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呪いの人形(ドール)りんねちゃん 呪いの人形(ドール)をおもちか・・・・・・お出迎えしたらラブコメが始まった!?  作者: 涼風悠


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三組美少女達、一組にいざ出陣

 一年三組の教室にて、四限目の授業が終わった。いつもならすぐに机の上に手作りお弁当を広げて、一人で食べ始める天子なのだが、本日は予定があった。


 すぐに席を立った天子は、物凄く嫌そうに頬杖をついてる陽子とワクワク、ソワソワしている歩の元に向かう。


 そして、陽子と歩の目の前にたどり着いた天子は、聖女のような天使の笑顔を浮かべた。


 そんな彼女に対し、マジで来たとでも言いたげな不満そうな表情を向ける陽子。一方、歩はウェルカム! 大歓迎!といった様子で、瞳をキラキラさせ嬉しそうな表情を浮かべていた。


 またもや、珍しい組み合わせにクラスメイトの疑惑の視線が三人に集まる。


 むっとなる陽子は、クラスメイトの不躾な視線に対して、ガタッと苛立ちを表すように勢いよく席を立ち、教室を出ていこうとする。


 そんな陽子の後を、親鳥を追う小鳥のようにちょこちょことついていく歩と天子。


 廊下に出ると、陽子はすぐに足を止め、後ろを振り向く。


 すると、そこには期待に満ちた瞳で、お散歩を待つワンコの如く自分を見つめる歩と天子の姿があった。


 ため息をつき、『ではウチはこれで』と言わんばかりに、一組の教室とは真逆の方向へ歩き始めた陽子だったが、その制服の裾を歩が掴んだ。


「ようちゃ…ん……一組は…こっち…だ…よ」


 まったく、ようちゃんは、といった感じでやれやれといった人を小馬鹿にしたような憎たらしい表情を浮かべている歩に、内心イラッとなる陽子。間違えたんじゃなくて、逃げようとしたんだよ。察せよ。と心の中で憤怒する。


 しかし、にっこりと屈託のない笑顔を向けてくる歩に、結局絆されてしまい、ため息をつく陽子なのであった。


 しかたなく一組の教室の方へ歩き出した陽子は、嬉しそうに隣を歩く歩にそっと耳打ちする。


(あゆ……いいのかよ? ライバル……増やすだけだと思うぞ)

(……?)

(いや、なんで疑問顔浮かべてんだよッ!? 天ノ川……ぜってぇーヒトカタのことが好きだろ……あんま、ヒトカタと天ノ川が仲良くなられても困るだろ……あゆが……)

(……え? だって……天ノ川さ…ん…緋影…く…んと……仲良く…なりたい…だけって…言って…た…よ?)


 ヒソヒソと会話を交わした後、歩と陽子は同時に立ち止まり、後ろを振り向く。すると、聖女のごとく優雅な動きでついてきていた天子も足を止め、きょとんと首を傾げた。


(ほら、緋影…く…ん…と…仲良く…なりたい…だけ…だ…よ)


 にっこり笑顔でそうヒソヒソ言う歩に対して、『あ、こりゃダメだ』となる陽子なのである。先程の天子の顔を見て、何が、『ほら』なのか全く理解できない陽子は、ため息をついた。


「まぁ、あゆがいいなら……いいんだけどさ……」


 そうは言ったものの、よくよく考えると自分は人形ヒトカタ 緋影ヒカゲと関わりたくないことを思い出し、『いや、よくない』となる陽子。せめてもの抵抗とばかりに、左手で歩の背中を軽く叩いて、歩を先頭に立たせるのだった。

 

「……ほら、あゆが先に行けって」


 そう言って歩を先に行かせようとする陽子。しかし、歩はあからさまに不満と不安を滲ませた表情を浮かべる。


「よ、ようちゃ…ん」


 うるうるの瞳でこちらを見つめ、捨てられた子犬のような甘い声で名前を呼ぶ歩。その姿に良心を刺激される陽子。しかし、それでも先ほどより強く力を込めて、歩の背中を叩いた。


「……ヒトカタの幼馴染だろ……あゆは……」


 そう陽子に言われては、歩も観念するしかなかった。なぜなら、自分は緋影の幼馴染だからである。歩はそれほどまでに緋影の幼馴染であることに対して、誇りを持っているのである。


「……しょ、しょうが…ない…ね……緋影…く…んの…幼馴染の…わた…しに…任せて…よ」


 豊満な胸を叩き、自信満々にそう言い切る歩。その姿に、今のやり取りを微笑ましく見ていた天子は、緋影の幼馴染である歩に頼もしさを感じた。


「はい。七川さん頼りにしていますね」


 天使のような笑顔を向け、ポンコツそうに胸を張ってドヤっている歩を頼りにする聖女様。そんな二人を見て、今からあの人形ヒトカタ 緋影ヒカゲと呪いの人形ドールに、このメンバーで会いに行くことに不安しか感じなない陽子なのであった。


 そして、勇気を出して先陣を切り歩き出した歩は、ちょうど一組の教室から逃げるように出てきた不良三人組と、廊下で鉢合わせることとなった。


「なッ、七川ッッ!? ど、どうしたんだよッ!? なにかようかッ!?」


 嬉しそうに歩に話しかけてきたのは、かわちゃんだった。彼の馴れ馴れしい口調に対し、歩は露骨に『げっ』という表情を浮かべる。


 誰がどう見ても『あなたのこと嫌いです』と訴えている歩の様子に、聖女様と呼ばれる天子はすぐに何かを察し、そっと前に出た。


「も、申し訳ありませんが……本日は……ある方に御用がありまして……」


 そう気まずそうな天使の笑顔を浮かべて話しかけてきた天子の方を、『ああんッ!?』と威嚇し睨むかわちゃんなのである。


「てめぇーッ……天ノ川……一組になんのようだッ?」


 この一週間ですっかり呪いの人形ドールにクラスカースト1位の座を奪われたにもかかわらず、なおクラスの代表ヅラをするかわちゃんである。


 今もその呪いの人形ドールが怖くて教室から逃げ出してきたというのに、である。


 陽子は『やれやれ』といった様子でため息をつきつつ、歩と天子の前に出て、二人を守るように下がらせた。


「……ウチら……ヒトカタにようがあんだけど……呼んでくんない?」

「……轟……てめぇには聞いてねぇよッ!」

「ああん……やんのかッ!? 川滝ッッ!」


 ヤンキーVSヤンキー勃発か――という一触即発の雰囲気。お互いメンチを切り合いメンチビームとばかりに火花を散らせ合う。


 ヤンキーの世界では日和ったほうが負けであり、シャバいのである。まあ、別に陽子はヤンキーではないのだが、舐められるのは性に合わない。


 それに、小動物系の二人にヤンキーの相手をさせるわけにはいかないという使命感も、陽子の中にはあった。


 なんちゃってヤンキーである川滝一行に対し、トドロキ 陽子ヨウコは「夜遊び上等」「パパ活」「薬」「ヤクザとつながっている」など、黒い噂が絶えない生徒だった。かわちゃんの仲間二人は、本能的に陽子には勝てないと感じているのか、若干日和気味である。


 もっとも、陽子にまつわる噂はすべて根も葉もないものに過ぎないのだが、かわちゃんたちはどうやら信じているようだった。


「か、かわちゃん……早く学食行こう」

「そ、そうだぜ……せ、席がうまっちまうぜ!!」


 取り巻きの二人にそう言われ、渋々といった様子でため息をついたかわちゃんは、陽子との睨み合いをやめた。


 つまり、シャバいかわちゃんなのである。


「チッ! しょうがねぇーッ! 行くかッ! おいッ、七川……ヒトカタの野郎とあんま話さないほうが良いぜッ!! あいつ、相変わらず頭おかしーからよッ!!」


 家猫のような警戒モードの歩に対して、捨て台詞を吐いて去っていくかわちゃんと、後をついていく取り巻きの男子二人。そんな彼らに歩は内心であっかんべーをしてやった。


 余計なお世話だと、怒り心頭のご様子である。


 シャバ僧共が去ったことでホッと一安心といった様子の天子は、『たわいもない』と鼻を鳴らしている男気あふれる陽子の前に立ち、頭を下げる。


「轟さん……申し訳ありません……先ほどは、矢面に立たせてしまって……」

「あ……あぁ……別に良いって……ああいうやつらは常識通じねぇ~からな~」


 聖女様に真正面から、お礼を言われると、顔を逸らし頬を掻きながら、顔を赤くして照れる陽子なのであった。まんざらでもなさそうな陽子に、歩がにっこり笑顔を向ける。


「さッす…が…ようちゃ…ん……頼りに…なる…よ」

「…………………………」


 雑になろう系モブの如く、自分をよいしょしてくる友人の歩に対して、すんと真顔になる陽子なのである。頼られるのはいいけど、当てにされるのは嫌な陽子なのであった。


「なぁ、あゆ……」

「な…に…? ようちゃ…ん?」

「帰っていいか?」

「ダメに…決まって…る…よ…ね? ほら…ようちゃ…ん…行く…よ」


 帰りたい(逃げたい)陽子の腕を掴んで放さない歩。二人のやり取りを見ていた天子が微笑む。

 

「お二人は本当に仲がよろしいのですね」


 天子に少し羨ましそうにそう言われ、陽子はほんのり顔を赤くして照れた。一方、歩は当然とばかりにドヤ顔で、『親友だもんね』と言わんばかりの表情を浮かべるのであった。

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