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瀬戸内海でもっとも大きな島  作者: 坂本光陽
どすこいエルフ

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 笑わないでほしいのだが、「相撲取りの夢良関がエルフである」という噂があるらしい。僕は最近知ったのだが、一昨年あたりから大相撲ファンの間で広まっていたようだ。エルフとは言うまでもなく、ファンタジー作品に登場する伝説上の種族である。


 あなたは夢良関を御存知だろうか? NHKの「大相撲中継」を欠かさず見ている人ならば、間違いなく知っているはずだ。夢良関は多くのファンをもつ人気力士である。もしかしたら、横綱や大関よりも人気が高いかもしれない。


 相撲取りなのだから、もちろん痩せてはいない。身長は低めだが、相撲取りにふさわしい体格をしている。そんな夢良関がエルフであるわけがない。なぜ、そんな噂が広がったのか、そちらの方が僕には興味深い。


 ざっと調べてみると、きっかけは2年前のSNSにあったようだ。幼稚園のときの夢良関の写真を指して、「エルフのようだ」という投稿があったのだ。なるほど、かわいらしい男の子が写っているのだが、羽根つきのリュックサックを背負っているせいで、エルフのように見えるのだ。


(厳密にいえば、「エルフ」ではなく、「妖精」か「フェアリー」になるのかもしれない。『指輪物語』の「エルフ」には羽根がなかったと思うし、その辺りの使い分けはあいまいだと思うので、ここは「エルフ」で通させてもらう)


 夢良関は淡路島出身である。両親は二人とも、阪神淡路大震災のボランティアだった。ボランティア活動をとおして出会い、翌年に結婚して夢良関は誕生した。スポーツ選手だった両親のDNAを受け継いで、体重4000グラムという大きくて元気な赤ちゃんだったという。


 小さい頃から運動神経がよく、小学生のときは柔道を習っていた。わんぱく相撲に参加したことをきっかけに、中学・高校では相撲部に入部。衆目を集める活躍をする。相撲以外に、水泳やレスリング、バスケットボールもこなす。驚くほど身が軽く、プロフィールの特技にはブレイクダンスを挙げているほどだ。


 高校時代のテレビ取材中、カメラの前でブレイクダンスを披露したのだが、その機敏な動きは人間離れをしていた。やや強引な見方かもしれないが、軽やかに飛び跳ねている姿は「エルフ」に見えないこともない。


 繰り返しになるが、夢良関は角界一の人気者である。特に女性と子供のファンが多い。父方の祖父がアイスランド出身のせいか、真っ白な肌をしている。そんな出自も「エルフ説」に一役買っているのかもしれない。


 忘れてはならないのは、3年前、夢良関が横綱との取り組みで大怪我をしたことだ。両膝の靭帯損傷で再起不能という診断を受けて、引退の危機を迎えた。そこから奇跡の復活をとげたのだが、嘘か真か、エルフの秘術を用いたとか、ユニコーンの角を原料にした秘薬を服用したという噂がある。どちらにしても、真偽のほどは定かではない。


 確かな事実は、夢良関が地獄のようなリハビリと努力を重ねて、幕内に奇跡の復帰を果たしたことである。


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