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瀬戸内海でもっとも大きな島  作者: 坂本光陽
甘き薔薇よ、永遠なれ

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25/40

答え合わせ


 淡路島出身の俳優で最も有名なのは、渡哲也と渡瀬恒彦の兄弟だろう。他にはベテランの笹野高史、女性では大地真央、キムラ緑子、宮地真緒がいる。司会者のイメージが強いが、上沼恵美子、山口崇もいる。


 美幸さんは残念ながら、俳優として認められることができなかった。


 叔父には言わなかったが、美幸さんには甥がいる。由紀夫といって、美幸さんが店長を務めていたハンバーガーショップで、私たちは出会った。同い年だし、同じ時期にバイトを始めので、すぐに仲良くなった。もっとも親しいバイト仲間だといっていいだろう。


 私たちは今、馴染みのカフェで話し合っていた。用件は、もちろん【甘きバラよ、永遠なれ】についてである。あらかじめ、叔父の推理は伝えてあったので、今回は答え合わせのような意味合いをもつ。


「美幸さんとは小さい頃から毎年、盆正月に会っていたんやで」と、由紀夫は言った。「けど、あの人、自分のことは全然話さへんからな。メグミから話を聞かされて驚いたで。女優を目指していたなんて初耳やったしな」


 蛇足だけど、由紀夫のことを叔父に話さなかったのは、ただのバイト仲間だからだ。もし叔父の家に連れて行っていたら、間違いなく揶揄(からか)われたと思う。まだ彼氏彼女の関係にはなっていないし、叔父のせいで、由紀夫と気まずくなるのは避けたかった。


「親父に確認してみたけど、やっぱり『タイムリーパー・翔子』の件は知らんかった。ただ、美幸さんがテレビドラマのエキストラをしたり、劇団に入っていたりしたことはあったらしいで」

 ちなみに、由紀夫の「親父」というのは、美幸さんの兄にあたる。


「若いんだから、やりたいことがあったら、どんどんチャレンジしぃや。これ、美幸さんの口癖やった。子供の頃から何度も聞かされたもんや」

「それって、若い頃に挫折を味わったからかな」


「いや、これは、美幸さんの元からの性格やろ」

「うん、そうだね。その方が、美幸さんらしい」


「美幸さんの荷物を詰めた段ボール箱をあけてみたら、こんなもんが出てきた」

 目の前に差し出されたのは、一本の古びたビデオテープだった。市販のVHSテープであり、ラベルが貼られておらず、中味はわからない。ただ、録画ができないように爪が折られていた。


「ケースとテープの隙間に、この写真が挟まっていた」

 写真の中では、セーラー服を着た美幸さんが、ナイフとフォークを手にしてポーズをとっていた。テーブルの皿の上には、赤い花びら。背景には大きな時計があり、花が咲き、蝶が飛び交っている。


 おそらく、パイロット版のスチール写真なのだろう。


 由紀夫はビデオテープの中身を見るために、専門店に持ち込んでDVDへのダビングw済ませていた。由紀夫のアパートで一緒に見たのだが、それは案の定、『タイムリーパー・翔子』のパイロット版だった。


 美幸さんはバラの花びらを口に含み、厳かに呟いていた。

【甘きバラよ、永遠なれ】。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()ことを、私は切に願う。






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