テレビドラマ談義
「まず、美幸さんが好きだったテレビドラマを言ってみてくれへんか? メグちゃんが覚えている範囲で構わんから」
「わかった。大ヒットした『愛の不時着』に『イカゲーム』。『アンナチュラル』、『信長協騒曲』、あと『大豆田とわ子』」
「ちょっと待った。よう覚えとるんだな」
「わりと記憶力は良い方やよ。けど、タイトルだけで叔父様わかる?」
「大丈夫や。大ヒットした韓流ドラマはもちろん、『アンナチュラル』は石原さとみ主演、『信長協騒曲』は小栗旬主演。『大豆田とわ子』は正確には『大豆田とわ子と三人の元夫』、松たか子主演。合うてるやろ?」
「うん、合うてる。あと『半沢直樹』、『パリピ孔明』。昔の作品やから私は観てないけど、『JIN-仁-』『眠れる森』いうのもあった」
「こうして聞いとると、ミステリーやサスペンスが好きやったようやな。普通のアラフォーなら不倫物がありそうなもんやけど」
「それは偏見やん。いろいろなアラフォー女性がいるから」
「それも、そうやな。偏った見方はまずいし、枠にはめた考え方は慎まんとあかん。メグちゃん、こんな風に反省する俺、なかなかええと思わんか?」
得意げに言うところが鼻についたので、私は右から左にスルーする。
「それはそうと、叔父様、アニメだけじゃなくて、ドラマも結構観てるんやね。驚いたよ。ただ、私、思いついたんやけど、ドラマって深夜ドラマとか単発ドラマもあるやろ」
「おっ、よう気づいたな。大河ドラマもあれば、朝の連続ドラマ小説もある。あと、忘れちゃいけないのは、特撮ドラマやな」
「特撮というと、ウルトラマンとか、仮面ライダーとか?」
「ヒーロー物以外もあるで。『南くんの恋人』とか、『電影少女』とか、『世にも奇妙な物語』も入る。SF的な設定と言った方がええかもしれん」
そう言いながら、叔父は席を立った。トントントンと二階に上がっていき、すぐに戻ってきた。手にはノートパソコンを携えている。
「美幸さんが観ていたテレビドラマのタイトルを聞いていて、第一印象が外れてへんことがわかったわ。メグちゃん、『信長協騒曲』、『パリピ孔明』、『JIN-仁-』。この三つの共通点がわかるか?」
「ええと、タイムスリップ?」
「そうや。ドラマの要素として、定番みたいになってきたな。人格の入れ替わりと並んで、平成・令和でかなり増えてきた。タイムスリップ物は昔からあるけど、際物に見られることが多かった。大ヒットしたのは、筒井康隆原作の『時をかける少女』ぐらいやな」
「それって、仲里依紗が声をあてたアニメ映画?」
「細田守監督がブレイクした作品な。それ以前にも、大林宣彦監督・原田知世主演の映画があったし、テレビドラマも作られている。主演は南野陽子や内田有紀やった。めちゃくちゃ遡ると、最初はNHKの『タイムトラベラー』や」
「ふぅん、そうなんだ」
「何や、リアクションが薄いやないか。せっかく、【甘きバラよ、永遠なれ】の重要な部分に近づいとるというのに」
そう言って、叔父はノートパソコンを開いた。




