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瀬戸内海でもっとも大きな島  作者: 坂本光陽
甘き薔薇よ、永遠なれ

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アニソン談義


 叔父に相談をもちかけたのは正解だった。まるでミステリーに登場する安楽椅子探偵である。何を隠そう、私は何度も、叔父の推理力に助けられているのだ。アニソンとは言うまでもなく、アニメソングのことである。


「叔父様、それって何のアニソン?」

 叔父はコーヒーを口に含むと、笑みを浮かべて、

「メグちゃん、俺が言ったのは、あくまで【甘きバラよ】や【永遠なれ】と似たようなフレーズにすぎん。これで正解が手に入った、とは思わんといてくれ」


「うんうん、わかった。だから教えて、何ていうアニソンなの?」

「エヴァは知ってるよな。『新世紀エヴァンゲリオン』。主人公が碇シンジで、綾波とか、アスカが登場する、超人気アニメだけど」


「うん、数年前に完結したアニメでしょ。『シン・ゴジラ』とか『シン・仮面ライダー』も手掛けたナンノ監督だっけ?」

「ナンノじゃなくてアンノ。庵野秀明監督ね。数年前に完結したのは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。でも、俺が言いたいのは、新劇場版じゃなくて旧劇場版。1997年公開の『Air/まごころを、君に』だよ」


「1997年ということは、約30年前か。その旧劇場版のエヴァに、【甘きバラよ】が出てくるの?」

 叔父は首を横に振って、

「そうやなくて、あくまで似たようなフレーズや。人類補完計画が進むシーンで、挿入歌として流れるんや。ポップス調のアニソンなんやけど、歌詞が英語でな。そのタイトルが『甘き死よ、来たれ』」


「……もう一度、言ってくれる?」

「『甘き死よ、来たれ』。このタイトルの元ネタは確か、バッハの教会カンタータ『来たれ、汝甘き死の時よ』やったかな」


「……」

「ああ、言いたいことはようわかる。改めて考えてみると、合っているのは、【甘き】と【よ】と【れ】だけだし、メグちゃんの探している【甘きバラよ、永遠であれ】とは違うよな。でも、語感は似ているし、まだ続きがあるんや」


 叔父が語ったのは、バラがらみのアニソンについて。先ほどのドラクロワのフランス革命つながりなのか、『ベルサイユのばら』の「薔薇は美しく散る」を筆頭に、新しいところでは『薔薇王の葬列』の「我、薔薇に淫す」、マイナーなところでは『砂の薔薇デザートローズ雪の黙示録』の「ボーン・アンダー・ザ・スターズ」。ちなみに『あたしンち』の「情熱の赤いバラ」というのもあった。


「バラというモチーフはアニメを相性がいいんやろうな。バラの花束とか、バラの花びらが散る様子とか。そういえば、凍ったバラが粉々に砕けるカットを見たこともある。いや、あれはアニメじゃなくて、実写やったか」


 私が口を挟もうとした時、叔父は私に手のひらを向けた。

「ちょっと待った。思いついたことを吐き出したところで、そろそろ頃合いやな。メグちゃんから、重要なことを教えてもらわんとあかん」


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