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深淵の覇主  作者: aaaa


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26/30

第25章 突入

一日目の夜。


```

[ 自動計上:維持費 ]

[ 影狼 × 1          :-1 PT ]

[ アラクニア × 1       :-1 PT ]

[ サンダーウルフ × 1     :-1 PT ]

[ ゴースト・ガーディアン × 1 :-3 PT ]

[ 骸骨剣士 × 3        :-3 PT ]

[ アンデッド・ウォーロード × 1:-5 PT ]

[ スピリットアーマー × 1   :-1 PT ]

[ 残PT:214 PT ]

```


```

[ 外部討伐確認:野生獣 × 18 ]

[ 外部討伐確認:魔物 × 7 ]

[ 獲得PT:+41 PT ]

[ 残PT:255 PT ]

```


---


二日目の夜。


```

[ 自動計上:維持費 ]

[ 残PT:240 PT ]

```


```

[ 外部討伐確認:野生獣 × 17 ]

[ 外部討伐確認:魔物 × 6 ]

[ 獲得PT:+40 PT ]

[ 残PT:280 PT ]

```


---


三日目の夜。


```

[ 自動計上:維持費 ]

[ 残PT:265 PT ]

```


```

[ 外部討伐確認:野生獣 × 19 ]

[ 外部討伐確認:魔物 × 8 ]

[ 獲得PT:+45 PT ]

[ 残PT:310 PT ]

```


310PT。


1Fの回復も、順調に進んでいた。


数字は積み上がっている。


だが、積み上がるほど、かえって落ち着かなかった。


いつ来るか——それだけが、読めなかった。


---


核の感知が反応した。


```

[ 侵入者感知:反応あり ]

[ 侵入体数:1 ]

[ 推定種別:人型(武装)]

[ 脅威度判定:極高(推定Aランク帯以上)]

```


一人。


来た。


---


続けて、二つ目の反応が入った。


```

[ 侵入者感知:反応あり ]

[ 侵入体数:7 ]

[ 推定種別:人型(武装)]

[ 脅威度判定:高(推定Bランク帯)]

```


先行する一人と、その後ろの七人。


間隔は、ゆうに200mを超えている。


(足並みを合わせる気がない)


噂通りだ。


---


感知を入口方向へ絞った。


先行する影は、迷いのない足取りで斜面を登ってきた。

松明を持たない。

月明かりだけで、亀裂の位置を正確に捉えている。


大剣を背負った長身の輪郭。


ゼイン。


---


亀裂をくぐった。


足を止めない。


奥の暗さへ、そのまま踏み込んでくる。


案内も、下調べも、必要としていない歩き方だった。


---


入口の間に入った。


暗闘罠が反応した。


視界を奪う効果——だが、足取りが変わらなかった。


真っ暗な空間を、

見えているかのような速度で横切っていく。


(見えていない。数えている)


歩数と、壁からの距離。

それだけで、この男は空間を組み立てていた。


---


落とし穴の縁で、初めて足が止まった。


一拍。


跳んだ。


3m先の着地点へ、片足で正確に降り立った。

体勢を崩さない。


毒霧散布罠の範囲にも踏み込んだが、

布も薬も使わず、

息を止めただけで通り抜けた。


---


18秒。


入口の間を、無傷で抜けた。


罠の総数を、ほぼ最短ルートで避けきっている。


(初見でこの動きは、噂の範囲を超える)


評価を更新した。


極高——その表記のままでは足りない。


---


通路に入った。


連鎖爆炎魔法陣の起動点が、床に三つ並んでいる。


ゼインは起動点を一瞥した。


跨いだ。


三点とも、踏まなかった。


---


背後、遠くの反応に意識を移した。


七人は、まだ亀裂の手前にいた。


先頭に立つ女の輪郭に、見覚えがあった。


長衣。杖を持つ手つき。


(生き残りの後衛)


道案内は、彼女で確定した。


---


七人は、慎重だった。


先頭が松明を掲げる。

その後ろで、盾を構えた男が半歩下がって続く。

さらに後ろ、双剣を提げた男。

最後尾近くに、もう一人の術者。


道案内の女が、入口の縁で足を止めた。


何かを指し示している。


音声が届いた。


```

[ 音声断片(入口)]

[ ——ここから先、暗くなる——]

[ ——足元、気をつけて——]

```


記憶を頼りに、警告している。


正確な情報だった。


---


入口の間に、七人が踏み込んだ。


暗闘罠が起動した。


視界が消えた。


盾持ちの男が、即座に声を上げた。


「止まれ」


隊列が止まった。


道案内が答えた。


「まっすぐ、五歩」


---


五歩進んだところで、

落とし穴の縁ぎりぎりを、隊列は迂回した。


正確だった。


だが、六人目の位置がずれていた。


弓を背負った男が、

隊列の間隔を詰めようとして、右へ寄った。


床が抜けた。


```

[ 罠起動:落とし穴 ]

[ 対象:1名 ]

[ 効果:落下・拘束(脱出まで約12秒)]

```


短い悲鳴。


「放っておけ、自分で上がってこい」


盾持ちの声は、揺れなかった。


---


暗闇が晴れた。


毒霧散布罠の範囲に、隊列の後方が入っていた。


術者の一人が、布を口に当てるのが一拍遅れた。


咳き込んだ。


もう一人の術者が、

杖の先に小さな風を起こし、霧を払った。


対応が早い。


(連携が組まれている)


これまでの侵入者とは、質が違った。


---


落とし穴から、弓の男が這い上がってきた。


膝をついたまま、肩で息をしている。


盾持ちが短く言った。


「歩けるか」

「……歩けます」


隊列が再び動き出した。


---


通路に入った。


連鎖爆炎魔法陣の起動点を、

道案内が指し示した。


「三点。踏まないで」


隊列が起動点を避けて、壁際に寄った。


罠は、沈黙したままだった。


---


先を急ぐ必要があった。


ゼインは、すでに次の部屋の手前に達している。


感知を、二つの場所に同時に絞った。


一つは通路を進む七人。

もう一つは、モンスターの間へ足を踏み入れようとしている一人。


両方を、同時に見る。


---


モンスターの間。


影狼が、壁際で気配を消していた。


ゼインが部屋の中央に踏み込んだ。


先制の間合いだった。


影狼が動いた。


牙が、背後から首筋へ向かう軌道を描いた。


---


届かなかった。


振り向きもせず、

ゼインの左手が背後へ払われた。


拳の甲が、影狼の顎を捉えた。


軽い音がした。


影狼の体が、壁まで吹き飛んだ。


---


立ち上がった。


顎の骨がずれている。

それでも、影狼は構え直した。


ゼインは、大剣を抜かなかった。


視線を向けただけだった。


「……それだけか」


低い声だった。


失望に近い響きだった。


---


影狼が跳んだ。


二撃目。


今度は正面から。


大剣の柄が、影狼の胴を叩いた。


骨が軋む音。


影狼が床を転がった。


動かなくなった。


```

[ 影狼:戦闘不能(重傷)]

```


---


(一撃も、まともに通していない)


数字を確認した。


ATK26、AGI20。

影狼のスペックは、これまでの相手には十分すぎた。


だが、今の相手には届かなかった。


評価を、もう一段引き上げた。


極高では、まだ足りない。


---


ゼインが歩を進めた。


奥へ。


止まる気配がない。


背後の七人を待つ様子は、微塵もなかった。


---


七人が、モンスターの間の手前に達した。


道案内が言った。


「ここからは、私は知りません」


盾持ちが振り返った。


「戻れ。入口で待機」


道案内は、頷いた。


迷わず、来た道を引き返していく。


(読み通りだ)


危険が本格化する境界を、彼女は正確に見切っていた。


---


七人から、一人減った。


残り六人が、モンスターの間に踏み込んだ。


サンダーウルフが動いた。


---


直線に並んだ隊列へ、

電撃を纏った体が突進した。


先頭の盾持ちが、盾を構えた。


金属の盾に、雷が直撃した。


「くっ——」


盾持ちの体が硬直した。


麻痺。


盾持ちが動けないまま、その場に立ち尽くした。


---


双剣使いが前に出た。


サンダーウルフの通過した床に、

電撃の残滓が漂っている。


それを避け、横から斬りかかった。


サンダーウルフが跳んで躱した。


着地と同時に、二撃目の突進態勢に入る。


---


アラクニアが、天井から降下した。


麻痺している盾持ちの首元へ、

糸を絡めようとした。


術者の一人が、それに気づいた。


火の球を放った。


糸を吐く直前のアラクニアの脚に着弾した。


脚が一本、焼け落ちた。


---


アラクニアが後退した。


痛みに構わず、残った脚で天井へ這い上がる。


盾持ちの麻痺が解けた。


「……効いた」


低く言って、盾を構え直した。


---


サンダーウルフの二撃目が来た。


双剣使いが、今度は正面から迎えた。


雷の突進を、両の剣で受け流す。


金属の刃に、電流が伝った。


「っ——」


短い呻き。


だが、剣を離さなかった。


刃がサンダーウルフの首をかすめた。


毛皮が裂けた。


---


ガーディアンが動いた。


部屋の奥、守護していた区域から、

白い輪郭が浮き上がった。


盾持ちと術者二人が、同時に反応した。


「来る」


半霊体の姿に、術者が魔法を放った。


光の弾が、ガーディアンの体を通過した。


二割の確率で外れる——その二割を、術者は引いた。


---


ガーディアンの拳が、盾持ちの盾を叩いた。


盾が軋んだ。


割れなかった。


だが、盾持ちの足が半歩、後ろへ沈んだ。


「……重い」


一撃ごとに、削られている。


---


双剣使いが、サンダーウルフとの間合いを切った。


肩で息をしている。


「数が合わない。四体もいるのか」


「まだ増えるかもしれない」


盾持ちが応じた。


判断が早い。


引くべきかどうかを、常に測っている。


---


(拮抗している)


これまでの侵入者と、明確に違う数字だった。


サンダーウルフの雷を受け流し、

ガーディアンの拳を盾で凌ぎ、

アラクニアの奇襲を魔法で迎撃する。


一手ごとに、対応が正しい。


---


だが、消耗はこちらにも溜まっていた。


影狼は、戦闘不能のまま部屋の隅で伏している。

アラクニアは、脚を一本失っている。


四体のうち、二体が既に目減りしていた。


(想定より削られている)


---


意識を、奥へ戻した。


ゼインは、すでに次の部屋を抜けていた。


コアバットが療養している部屋の脇を、

足を止めずに通り過ぎている。


その先——2Fへ降りる通路の手前まで、

残り十数メートル。


---


数字が食い違っていた。


こちらの六人は、まだモンスターの間で足止めされている。


だが、単独の一人は、

すでに1Fの終わりに到達しかけている。


隔離壁も、因果の罠も、スピリットアーマーも——

2Fに仕込んだものだ。


まだ、起動する場面に来ていない。


(早すぎる)


---


想定していた時間差が、崩れかけていた。


本隊が2Fに追いつく前に、

ゼイン一人が2Fの入口へ着いてしまう。


隔離壁は、本隊との分離を前提にした仕掛けだ。


分離すべき相手が、

分離される前に一人で先へ進んでいる。


---


核との接続を強めた。


2F側の配置を、今すぐ確認する必要があった。


骸骨剣士、ウォーロード、隔離壁の起動条件——

すべてを、もう一度洗い直す。


モンスターの間の戦闘は、まだ終わっていない。


だが、意識を割く先が増えた。


それだけだ。


■ あとがき — 第25章 ダンジョンレポート


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ダンジョン構造(変更点)】


変更なし(第24章時点の構造のまま迎撃中)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【戦力配置(変更点)】


影狼      :健在 → 戦闘不能(重傷・部屋の隅で伏している)

アラクニア   :健在 → 脚一本喪失(機動力低下・戦闘継続中)

サンダーウルフ :変更なし(交戦継続中)

ゴースト・ガーディアン:変更なし(交戦継続中)

骸骨剣士×3・アンデッド・ウォーロード・スピリットアーマー:変更なし(2F・未交戦)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【PT収支】


 章開始時PT       :229 PT

 三日分の維持費・狩猟隊収支(討伐隊出発待ちの期間):


 一日目 維持費(-15PT) / 狩猟隊(+41PT) → 255 PT

 二日目 維持費(-15PT) / 狩猟隊(+40PT) → 280 PT

 三日目 維持費(-15PT) / 狩猟隊(+45PT) → 310 PT


 討伐隊突入・戦闘継続中のため、以降の変動は未確定

 ──────────────────────────

 章終了時PT:310 PT


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【重要イベント】


■ 討伐隊出発までの3日間

 維持費15PT/日を狩猟隊収益が上回り続け、229PT→310PTに増加

 1Fモンスターの回復も継続(影狼・サンダーウルフ・アラクニア健在を維持)


■ 討伐隊、突入開始

 Aランク「ゼイン」が単独で先行、本隊6名(Bランク3名含む)+道案内1名が約200m遅れて後続する編成で侵入

 道案内(第21章生き残りの後衛)は1F入口の間まで先導し、モンスターの間手前で離脱・撤退


■ ゼイン、1Fを事実上無傷で突破

 入口の間の罠(暗闘罠・落とし穴・毒霧散布罠)をほぼ最短ルートで回避

 連鎖爆炎魔法陣の起動点も全て回避

 影狼の先制奇襲を素手で無力化(影狼:戦闘不能)

 通路を含め、2F接続通路の手前まで足を止めず到達(章末時点で1F突破目前)

 脅威度評価を「極高」からさらに上方修正(想定を超える実力と判断)


■ 本隊6名、モンスターの間で交戦継続(章末時点で未決着)

 サンダーウルフの雷突進を盾・剣で防御(盾持ちが一時麻痺)

 アラクニアの奇襲を魔法で迎撃(アラクニア:脚一本喪失)

 ゴースト・ガーディアンとの膠着状態が続く

 これまでの侵入者と比較して連携・対応精度が明確に高い


■ 時間差の想定外れ

 2Fの隔離壁・因果の罠・スピリットアーマーは「本隊との分離」を前提とした設計

 本隊がまだ1Fで足止めされている一方、ゼイン単独が先に2F入口へ到達しつつある

 凪、2F側の迎撃準備の再確認を迫られる(次章へ継続)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【通貨変動】


変動なし


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