第19章 初クエスト
朝、ギルドへ向かった。
掲示板の前に立ち、
昨日目をつけた依頼書を取った。
「北東の丘陵沿いで薬草採取。
対象:青葉薬草(茎の付け根が赤い緑葉・湿地付近に自生)。
最低収集量:小袋一杯分。
報酬:銀貨二枚。一人可。継続依頼」
カウンターへ持っていった。
「これを受けます」
依頼書を確認し、ギルドカードを照合する。
「Fランク、ライさん。
北東の丘陵ですね。
帰りはそのまま窓口へ」
「わかりました」
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城門を出る前に、廃屋の前を通った。
マインドフレイヤーへ命令を送った。
「北東の丘陵へ先行しろ。
茎の付け根が赤い緑葉の草を探せ。
見つけたらその場で待機。
人の気配があれば、凪に知らせろ」
知性体への命令は、詳細に伝えることができる。
マインドフレイヤーが動き出した感覚が来た。
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北東の丘陵まで二十分ほど歩いた。
丘の入り口あたりで、核を通じた報告が届いた。
湿地に近い低い斜面、
岩陰の影になった地点に
目標の草を確認した、という内容だ。
方向を変え、そちらへ向かった。
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場所に着いた。
マインドフレイヤーの姿は見えない。
昼間は輪郭が薄れる。
だが気配は感知できる。
教えられた場所を確認した。
茎の付け根が赤い。
依頼書と一致する。
葉の形状も合っている。
根元から丁寧に切った。
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マインドフレイヤーが別の場所へ移動し始めた。
次の群生地へ案内している。
岩場の影、水が流れた跡の低地、
枯れ木の根元に近い柔らかい土。
場所を選ぶ基準が、的確だった。
最低量の三倍近くが集まるまでに、
三十分もかかっていなかった。
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草を集める間、人の接近はなかった。
マインドフレイヤーが斜面の上で
周囲の精神的な動向を拾い続けていたからだ。
接近があれば報告が来る手はずだ。
何もなかった。
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採取を終えた。
マインドフレイヤーへ命令を送った。
「廃屋へ戻れ。引き続き待機」
了解の応答に近いものが返ってきた。
知性体との意思疎通は、これに近い。
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足を止めた。
今の命令の精度を、頭の中で振り返った。
「特定の植物を探せ」
「人の気配を検知して報告しろ」
「複数地点を巡回し、案内しろ」
すべて通った。
細かい手順を含む複合的な指示が、
城門の外にいる知性体へ届いた。
ならば。
ダンジョン内部の配置変更も、届くはずだ。
建設命令も、届くはずだ。
距離の問題ではない、と仮定した。
試すのは今夜でいい。
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丘を少し登り、視界が開けた。
東南東の山の稜線が、霞の向こうにある。
今、核とどこで繋がっているか、
それを意識したことがなかった。
核の通知は遠隔でも届く。
狩猟隊への命令も、ここから出している。
それは当たり前のことだと思っていた。
建設命令は一度もここから出したことがなかった。
ただ試していなかっただけかもしれない。
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丘を降りた。
ギルドへ戻り、窓口に向かった。
担当スタッフが草を確認する。
「根元の切り口もきれいです。
はい、受領確認」
銀貨二枚を受け取った。
「早かったですね。
明日もありますよ、同じ依頼。
来てくれると助かります」
「考えます」
窓口を離れた。
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宿に戻り、夜を待った。
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日が落ちた。
まずコアバットへ命令を出した。
通路で療養中の個体に、
空き部屋Aへ移動するよう指示した。
通った。
少し、間があった。
予想はしていた。
だが実際に応答が来たとき、
思っていたよりも素直に動揺した。
ほぼ間をおかず応答が返ってきた。
コアバットが移動を開始した。
ダンジョンの内部から、確かに。
仮定が正しかった、というより、
当たり前にできることに
今まで気づいていなかった、という感覚に近かった。
---
次に建設命令を出した。
1F 南東、空き部屋Aの隣に小部屋を増設する。
```
[ 建設開始:小部屋 ]
[ 1F 第5室(南東)— 10m × 10m ]
[ 消費PT:-20 PT ]
[ 残PT:260 PT ]
```
数分後、完了通知が来た。
```
[ 建設完了 ]
[ 1F 部屋数:5室 ]
```
直後。
```
[ 2F アクセス解放 ]
[ 解放条件達成:1F 部屋数 5室 ]
[ 2F への通路建設が可能になりました ]
```
---
管理に距離は関係ない。
そう確認した。
移動命令も建設命令も、
ダンジョンから離れた場所から通る。
核との接続は物理的な位置に縛られていない。
今後、ダンジョンに帰らなくても
一定の整備はここから動かせる。
---
```
[ 自動計上:維持費 ]
[ 影狼 × 1 :-1 PT ]
[ アラクニア × 1 :-1 PT ]
[ サンダーウルフ × 1 :-1 PT ]
[ ゴースト・ガーディアン × 1:-3 PT ]
[ 残PT:254 PT ]
```
続いて、狩猟隊の報告が来た。
```
[ 外部討伐確認:野生獣 × 22 ]
[ 外部討伐確認:魔物 × 9 ]
[ 獲得PT:+46 ]
[ 残PT:300 PT ]
```
区域変更の効果が出ている。
前夜より数字が戻った。
---
300PTを超えた。
中部屋の建設費は150PT。
2Fへ降りる通路の建設も、今夜から着手できる。
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控えのリストを、頭の中で整理した。
配置待ちのモンスターは多い。
☆☆☆の枠だけで七体以上。
☆☆も十五体以上ある。
今の1Fには収まらない数だ。
問題は置く場所ではなく、用途だった。
2Fをどう機能させるか。
それを先に決めなければ、
何を置いても意味がない。
索敵と惑乱を軸にするなら、
ダーク・オラクルが候補に入る。
通路が複雑であるほど機能する個体だ。
指揮系を核にするなら、
ネクロマンサーと骸骨剣士の組み合わせが成立する。
今の手持ちで揃う。
ただし、中部屋を建設すれば選択肢が変わる。
150PTで50×50の空間が作れる。
その条件を満たせば、
アンデッド・ウォーロードとシャドウ・ドラゴンの
配置制限が外れる。
どちらも単体戦闘力に加えて指揮機能を持つ。
2Fの中核として据えるなら、
今の控えの中でもっとも適した個体だ。
急がない。
構造が決まるまで、選定は保留でいい。
手順は正しい順序で踏む。
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【ダンジョン構造(変更点)】
■ 第5室 建設
小部屋(10m×10m)/ 1F 南東側に追加
→ 1F 部屋数:5室(2F アクセス解放)
【経路】
入口
↓ 通路(5m)
入口の間(10m×10m)
↓ 通路(5m)/通路内:連鎖爆炎魔法陣 / コアバット×1(移動後・回復中)
前室(10m×10m)
↓
ダンジョンマスターの間(10m×10m)
↓
DM生活区画(3m×4m・隠し扉裏)
↓
空き部屋A(10m×10m・未設置)
↓
空き部屋B(10m×10m・新設・未設置)← 第19章で建設
【配置詳細】
◇入口の間:暗闘罠×2 / 落とし穴×2 / 毒霧散布罠×1
◇通路(入口の間⇔前室):連鎖爆炎魔法陣 / コアバット×1(空き部屋Aへ移動・回復中)
◇前室:影狼×1(脇腹裂傷・中傷)/ アラクニア×1(糸再生中・軽傷)
サンダーウルフ×1(疲弊・休息中)/ ゴースト・ガーディアン×1(守護・軽疲労)
◇ダンジョンマスターの間:ダンジョン核
◇DM生活区画:排泄処理スロット / 洗面台(温水)/ 石製寝台(寝具セット有)
◇空き部屋A(旧空き部屋):コアバット×1(療養・移動後)
◇空き部屋B(新設):未設置(空)
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【戦力配置(変更点)】
■ マインドフレイヤー:廃屋待機 → 北東丘陵へ先行派遣(採取補助)→ 廃屋に帰還
役割:草群生地の事前探索・周囲の精神動向監視(採取を効率化)
■ コアバット:通路(療養中)→ 空き部屋A(療養継続)にリモート移動
■ 狩猟隊:区域変更(北西方向へ)
効果:野生獣×22・魔物×9(前夜比で回復)
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【PT収支】
章開始時PT :280 PT
建設(第5室) :-20 PT
維持費(1日分):-6 PT
狩猟隊収益 :+46 PT
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章終了時PT:300 PT




