表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵の覇主  作者: aaaa


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/21

第14章 次の一手

夜だった。


感知を前室に向けたままでいた。


影狼が脇腹を縮めて横たわっていた。

術者の最後の一撃が入った傷だ。

毒と火傷で動きが止まった体から、

それでも魔法が出た。


(あれは読めなかった)


ボーンスカウトも同じだった。

胸郭が砕けかけた状態で、

最後に残った腕を前衛の兜に叩き込んだ。

あの一撃が前衛の侵入を遅らせた。


強いものを相手に使い捨てると、

使い捨てた側が何かを残す——

そういうものかもしれない。


コアバットは通路の床から引き上げてあった。

翼を広げられない。

感知の担当が3日落ちる。


今夜のダンジョンは通路が空で、

感知が縮んでいて、

影狼がいつ動けるかわからない状態だ。


次が来たとき、今夜の構成は使えない。


---


DM区画の石製寝台に腰かけて、

凪はチケットの枚数を確かめた。


10連チケット、4枚。

単発チケット、2枚。


今夜、10連は全部使う——

と決めたのは、戦闘が終わった直後だった。


核のメニューを展開した。


---


最初にガチャを引いたのは、

この部屋が出来上がる前だった。


チュートリアル完了のボーナス。

10連1枚。

結果は☆が8体、☆☆が2体——

ダークスライム、コアバット、影狼、アラクニアが混じっていた。


あのときは「当たりかどうかわからない」と思った。


次にモンスターを引いたのは、

ダンジョンがある程度形になってからだった。

10連チケット2枚——


1枚目で☆☆☆☆が出た。

アンデッド・ウォーロード——

今も出せていない。部屋が足りない。

ただしサンダーウルフが来た。


2枚目では☆☆☆が2体。

ゴースト・ガーディアンとマインドフレイヤー。


今夜、そのどちらも動いた。

サンダーウルフが重装前衛の内側に電流を通した。

ゴースト・ガーディアンが通路を塞いで2人の脚を止めた。


あのガチャが今夜の勝ちを作った——

そう言っていい。


ただし今夜は、次の基準ができた。


今夜の4枚が、次を作る。


チケット1枚を選択した。


光が弾けた。


---


核の前面に10行のリストが展開された。


```

[ ガチャ:10連召喚モンスター]

[ ☆ ドレインバット ]

[ ☆ スパークフライ ]

[ ☆ ベノムラット × 2 ]

[ ☆☆ ホワイトゾンビ ]

[ ☆ ウィスプ ]

[ ☆ ピクシー ]

[ ☆☆ スペクター ]

[ ☆ コーンスネーク ]

[ ☆☆☆ マインドフレイヤー ]

```


---


最後の行で目が止まった。


☆☆☆——詳細を展開した。


```

[ マインドフレイヤー ]

[ ランク:☆☆☆ ]

[ 分類:知性体(精神属性)]

[ 特性:精神支配 / 精神侵食 / 恐慌付与 ]

```


精神干渉型だ。


今回の戦闘で言えば、

術者は毒と火傷が蓄積しても最後まで呪文を撃った。

意志を折れなかった。


マインドフレイヤーが入口の間にいれば——

あの粘りを、もっと早く崩せた可能性がある。


ただし用途は戦闘だけではない。


精神支配の対象は、

侵入者に限らない。


この山に人間が住んでいるなら——

ギルドの動向を知る者がいるなら——

来る前に、知ることができる。


次の討伐がいつか。

何人来るか。

どのランクか。


入口を踏まれて初めて「来た」とわかる状況が、

変わる可能性がある。


ただし知性体だ。

指示の精度が問われる。

どこまで命令が通るか、試してからでないと使い方が決まらない。


スペクターは半霊体——物理耐性がある。

ボーンスカウトが重装前衛のハンマーで砕かれた轍を踏まない構造だ。

前衛の壁には向かないが、削り役として運用できる。


2枚目を充当した。


---


```

[ ガチャ:10連召喚モンスター]

[ ☆ コボルトスカウト ]

[ ☆ アシッドスライム ]

[ ☆ ウィスプ ]

[ ☆ ゴーストハンド ]

[ ☆ シャドウレイス ]

[ ☆ ボーンスカウト ]

[ ☆☆ スピリットアーマー ]

[ ☆☆ ダークナイト ]

[ ☆☆ バリアメイジ ]

[ ☆☆☆ コングアラクニド ]

```


---


最後の行で目が止まった。


コングアラクニド——

アラクニアの上位種だ。


アラクニアが今夜、斥候の腕を縛った。

あの糸の強度と射程が増した版が入ったことになる。

縛れる対象が増え、

縛れる時間が延びる。


糸は消耗品ではない——再生する。

だから今夜の戦闘でも天井に戻れた。


コングアラクニドとアラクニアを同時に使う構成は、

2本の糸が交差する形になる。

前室の天井は10m×10mだ——

2体が別の角度から降りれば、

逃げ場がなくなる。


ただし維持費が増える。

今夜は計算だけしておく。


3枚目。


---


```

[ ガチャ:10連召喚モンスター]

[ ☆ コアバット ]

[ ☆ スカルフェイス ]

[ ☆ スティングビー ]

[ ☆ ポイズンモス ]

[ ☆☆ シャドウストーカー ]

[ ☆☆ フロストフォックス ]

[ ☆☆☆ オーガメイジ ]

[ ☆☆☆ クリムゾン・ドレイク ]

[ ☆☆☆☆ グランドゴーレム ]

[ ☆☆☆☆☆ 深淵母龍アビス・マザー]

```


---


最後の行で、リストが止まった。


☆☆☆☆☆——


記号の数を、一度数え直した。

5つ——間違いではなかった。


詳細を展開した。


```

[ 深淵母龍アビス・マザー]

[ ランク:☆☆☆☆☆ ]

[ 分類:竜種(深淵属性)]

[ 特性:深淵ブレス / 母の加護 / 絶対支配領域 ]

[ 配置条件:大部屋(100m×100m以上)]

```


最後の行だけ、色が違って見えた。


配置条件——100m×100m以上。


10m×10mが今の最大だ。

100倍の広さが必要だ。


(まだ使えない)


事実として認識した。


「絶対支配領域」という言葉だけが、

どこか遠くに引っかかったまま4枚目を充当した。


---


```

[ ガチャ:10連召喚モンスター]

[ ☆ コーンスネーク ]

[ ☆ スカルフェイス ]

[ ☆ スケルトンシーフ ]

[ ☆ スティングビー ]

[ ☆ スモークドレイク ]

[ ☆ ソーンクロウラー ]

[ ☆☆ アイアンガーゴイル ]

[ ☆☆ チェインスコーピオン ]

[ ☆☆ ダークナイト ]

[ ☆☆☆ ダーク・エレメンタル ]

```


---


ダーク・エレメンタルが出た。


自然現象が意思を持った存在——

実体を持たない分、物理攻撃が通りにくい。

今夜の重装前衛のような金属鎧を相手にしたとき、

元素攻撃は別のルートで入る。


アイアンガーゴイルは石造りの身体を持つ飛行型だ。

通路の幅に縛られず動ける。


今夜受けた損耗に対して、

代わりになれる構成が少しずつ揃ってきている——

そう整理した。


さっきの衝撃はもう、計算の外に置いてあった。


終わった。


凪はメニューを閉じた。


40回の結果を整理した。


☆☆☆☆☆が1体——

深淵母龍アビス・マザー

大部屋が要る。今は出せない。


☆☆☆☆が1体——

グランドゴーレム。

中部屋待ちになる。


☆☆☆が5体——

マインドフレイヤー、コングアラクニド、オーガメイジ、

クリムゾン・ドレイク、ダーク・エレメンタル。

こちらは配置できる。問題はPTだ。


最初の10連で手に入れた面子が今のダンジョンを動かしている。

今夜の40回が何を動かすかは、

部屋の広さにかかっている。


---


現状を整理した。


所持PT:30。

維持費:6PT/日。


6PT/日は5日で30PTが消える。


外部討伐での収入がゼロなら、

5日後には何も動かせなくなる。


(それを前提にして考えてはいけない)


凪は控えのリストに触れた。


配置待機中の☆——30体近く。

全員、維持費はゼロだ。


今夜この瞬間も、

召喚されたまま何もしていない。


---


一人で山猪を1頭仕留めても、

PTは数PT程度だ。

それを毎晩続けるには限界がある。


---


守り続ければ、損耗だけが積み上がる。


今夜1体消えた。

2体が戦力から外れている。

ギルドは組織だ——次の冒険者を送るコストを、

こちらより低く抑えることができる。


防衛に徹するのは、長期的に負ける戦い方だ。


攻勢に転じる——

ダンジョンの中ではなく、外で稼ぐ方向で。


---


だが30体が外で動いたとすれば——


計算の向きが変わった。


---


問題は制御だ。


モンスターを「部屋に配置する」のとは違う。

ダンジョンの外、核の感知が届く範囲を超えた場所で、

単純な命令だけで動かせるか。


☆には複雑な指示は通らない。

だが単純な命令なら届く——

「動け」「殺せ」「戻れ」。


「獣だけ狙え」

「人間には手を出すな」

「この方角より遠くで動け」


3つに絞れれば通るかもしれない。


---


人間を対象から外す理由は感情ではない。


人的被害が出れば、ギルドが動く。

ギルドが動けば、ダンジョンへの圧力が増す。

利益より損失が大きい——それだけだ。


---


斥候が必要だ。


ダストゴーストが1体いる。

ほぼ透明で、感知符以外には察知されない。

これを先行させれば、

人の気配を確認してから狩り場を選べる。


コボルトスカウトも入っている。

地形を記憶して群れ全体に共有する——

群れで動く狩りには、そういう個体が要る。


---


狩り場はダンジョンから遠ければ遠いほどいい。


山の稜線を越えた先、

人通りのない獣道や低地で動かせれば、

ここと結びつく可能性は薄くなる。


ただし核の感知圏を出た先で命令が届くかどうか、

まだ確かめていない。


今夜は試す——

編成ではなく、まず届く距離を計る。


---


骸骨剣士は通路に置く——

召喚費用はかからない。維持費だけだ。


追加したとして維持費は増える。

確認が必要だが、先に計算する。


---


通路の防衛から順番をつけた。


骸骨剣士1体を通路に配置——最優先。

次に連鎖爆炎魔法陣の再設置——10PT。

ただし10PTは今の状況では重い。


コアバットが回復するまでは、

感知の穴が残る。

通路に骸骨剣士を置いても、

「来ている」と気づく時間が遅れる。


感知符が33枚ある。

別の使い方があるかもしれない。


中部屋の建設は——

50m×50m。

今のPTと維持費の構造では、

外部討伐を複数回こなしてからでないと手が届かない。


つまり☆☆☆☆の2体は、

まだしばらく待機したままだ。


---


コアバットの状態に触れた。


初めて見る通知が開いた。


```

[ モンスター回復管理 — 有効 ]

[ 負傷個体は核の魔素供給により自然回復する ]

[ 軽傷:12時間 / 中傷:1〜3日 / 重傷:3〜7日 / 瀕死:7日〜 ]

[ 回復速度はランクに依存(高ランクほど遅延)]

[ ガチャ産個体が撃破消滅した場合:再召喚不可(永久消滅)]

```


通知のあとに、個体別の状態が並んだ。


```

[ 負傷状態:コアバット(☆)]

[ 重傷 — 右翼膜損傷 ]

[ 回復まで:3日 ]


[ 負傷状態:影狼(☆☆)]

[ 中傷 — 脇腹裂傷 ]

[ 回復まで:3日 ]

```


コアバットは3日。

翼が使えない間、感知の担当が落ちたままになる——

それはわかっていた。


影狼も3日だった。

ランクが上のぶん、回復に時間がかかる。


---


最後の行が引っかかった。


「ガチャ産個体が撃破消滅した場合:再召喚不可」


ボーンスカウトがいた場所は、空だった。


あの個体は今夜の戦闘で砕かれた——

消えた穴は埋まらない。

ガチャで同じ枠を引かない限り、戻らない。


(覚えておく)


ゴースト・ガーディアンは損耗なし。

アラクニアは糸の再生が進んでいる。

サンダーウルフは電撃の充填が始まっている。


今夜の戦力は、

核の感知と、自分自身と、速度の靴だ。


---


今夜、外に出る。


凪は立ち上がった。


DM区画の棚を確認した。


竜玉瓶3本、術符5枚——鑑定は後回しだ。

感知符33枚——持ち出す必要はない。

双剣2本、短剣1本——自分には使えない。

草露薬2本はポーチに収まっている。


腐蝕の短剣を手に取った。

感知の首飾りに触れた。

速度の靴の紐を確かめた。


隠し扉を開けた。


---


前室を通った。


影狼が顔を上げた。


脇腹から血の滲みが残っていた。

目は死んでいなかった——

それだけで十分だ。


「休め」


影狼は目を細めた。

また床に顎を置いた。


---


通路を歩いた。


ボーンスカウトがいた場所は空だった。


使えた——

そう評価したのは、今夜の戦闘が終わった後だ。

3撃分の時間を稼いで消えた骸骨は、

代わりのいない場所を作っていた。


次は骸骨剣士が入る。

同じ場所で、もう少し長く持つはずだ。


入口の間を抜けた。


罠は起動していない。

落とし穴2箇所、暗闘罠2基、毒霧散布罠1基——

全部残っている。


---


外に出た。


夜の山の空気が肺に入った。


岩壁の亀裂を背にして、

斜面を見下ろした。


核の感知が外に伸びた。

感知の首飾りが反応した——

50mほど先に気配がある。


大型の獣だ。


凪は山道に踏み出した。


---


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ダンジョン構造(変更点)】


変更なし


【経路】

 入口

  ↓ 通路(5m)

 入口の間(10m×10m)

  ↓ 通路(5m)

 前室(10m×10m)

  ↓

 ダンジョンマスターの間(10m×10m) → DM生活区画(3×4m)

 前室

  ↓ 通路(5m)

 空き部屋(10m×10m)


【配置詳細】

◇入口の間:暗闘罠×2 / 落とし穴×2 / 毒霧散布罠×1

◇通路(入口⇔前室):コアバット×1(右翼重傷・療養中)

◇前室:影狼×1(脇腹裂傷・中傷)/ アラクニア×1 / サンダーウルフ×1 / ゴースト・ガーディアン×1

◇空き部屋:未設置

◇ダンジョンマスターの間:ダンジョン核


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【戦力配置(変更点)】


ボーンスカウト 配置中 → 消滅 ※ガチャ産・永久消滅確定(再召喚不可)

コアバット   配置中 → 右翼重傷・療養中(回復まで3日・感知担当一時停止)

影狼      配置中 → 脇腹裂傷・中傷・療養中(回復まで3日)


(ガチャ入手モンスターは全て控え待機中・未配置)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【PT収支】


 章開始時PT:30 PT

 ガチャ40回(チケット消費のみ):±0 PT

 ──────────────────────────

 章終了時PT:30 PT(変動なし)

 ※章末に凪が外部討伐(夜間狩り)へ出発 → 結果は次章


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ガチャ収支(第14章)】


 章開始時:10連×4、単発×2

 消費:10連×4(40回) 単発×2は温存

 ──────────────────────────

 章終了時チケット:10連×0枚 / 単発×2枚(未使用)


■ 10連1枚目(主な入手)

 ☆☆☆ マインドフレイヤー

 ☆☆ ホワイトゾンビ / スペクター

 ☆ ドレインバット / スパークフライ / ベノムラット×2 / ウィスプ / ピクシー / コーンスネーク


■ 10連2枚目(主な入手)

 ☆☆☆ コングアラクニド

 ☆☆ スピリットアーマー / ダークナイト / バリアメイジ

 ☆ コボルトスカウト / アシッドスライム / ウィスプ / ゴーストハンド / シャドウレイス / ボーンスカウト


■ 10連3枚目(主な入手)

 ☆☆☆☆☆ 深淵母龍アビス・マザー※大部屋(100m×100m)条件未達・待機

 ☆☆☆☆ グランドゴーレム      ※中部屋(50m×50m)条件未達・待機

 ☆☆☆ オーガメイジ / クリムゾン・ドレイク

 ☆☆ シャドウストーカー / フロストフォックス

 ☆ コアバット / スカルフェイス / スティングビー / ポイズンモス


■ 10連4枚目(主な入手)

 ☆☆☆ ダーク・エレメンタル

 ☆☆ アイアンガーゴイル / チェインスコーピオン / ダークナイト

 ☆ コーンスネーク / スカルフェイス / スケルトンシーフ / スティングビー / スモークドレイク / ソーンクロウラー


■ 高レア配置条件まとめ

 ☆☆☆☆☆×1:深淵母龍(大部屋100m×100m必要)

 ☆☆☆☆×1 :グランドゴーレム(中部屋50m×50m必要)

       ※既存 シャドウ・ドラゴン / ナイトメア・ドラゴン(中部屋待ち)と合わせ計3体待機


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【新規システム解放】


■ モンスター回復管理(初登場)

 コアバット状態確認時に核から初通知。

 負傷度別の自然回復期間(詳細は モンスター図鑑/概要.md)。

 ガチャ産が撃破消滅した場合は永久消滅・再召喚不可。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ