表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に巻き添え召還されました。魔女認定され隣国に追い出されました  作者: りな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/29

エルンストと男

男は呻き声をあげながら目を覚ました。

気づけば椅子に縛りつけられており、手足は動かない。

冷たい石壁と蝋燭の明かり、そして目の前には無表情のエルンスト。


「……お前、誰だ」

「質問するのは私だ」エルンストの声は静かだった。

「誰に頼まれた」


男は口を閉ざし、唇を結んだまま睨み返す。


エルンストは机から一冊の厚い本を取り上げ、ぱらぱらと音を立てて頁をめくった。

「君は、この本を知っているか? 世界中の拷問方法を記したものだ。以前から実験したいと思っていたが、人体を手に入れるのはなかなか難しくてね」


無造作に読み上げていく。

「足先から魔獣に少しずつ齧らせる……指を一本ずつ切り落とす……皮膚を剥いで塩を塗る」


男の顔色が見る間に変わった。

「……はったりだ」

「……面倒だな。では、身体を少しずつ削ぐとしよう。鼻あたりからなら、長く保つだろう」


エルンストはナイフを抜き、男の鼻先を軽く切りつけた。血がにじみ出る。

「ま、待ってくれ! 話す!話すから!」


男は慌てて叫んだ。

「貴族の使いのような小綺麗な男が前金をよこしたんだ! エルンストが薬を作ってるか探れってな! もし薬を手に入れたら、その五倍を渡すとも言われた。前金で早速飲んださ。詳しいことは知らん! だから、殺さないでくれ!」


エルンストは一歩退き、冷たい目でさらに問う。

「あの子を追い詰めた時、何が起きた?」

「わ、わからん! 急に力が抜けて……身体が動かなくなったんだ! あれは何だ!」

「……あの子に触れたのか?」

「ち、近づいただけだ!」

「……あの子には、危険の時に発生する魔術がかけてある。試験段階だから、秘密だ。……死ななくて、良かったな」

エルンストは嘯く。沙羅の能力は隠さなくてはならない。


蝋燭の炎が揺れる。


「……黒い髪の魔女の伝説は知っているか?」

「……昔は聖女だったが、最後は王や貴族を殺しまわったって話だろ」

「そうか」


男は息を荒げながら、にやりと笑った。

「なぁ、聖女といえば、隣の聖女の話を聞きたくないか? 貴重な情報だぜ。俺を自由にしてくれるなら、話してやる。俺の友人だった奴が、死と引き換えにくれた話だ」


エルンストの瞳が細くなる。

「……話せ」


男はごくりと唾を飲んで続けた。

「隣の国ではな、聖女が他の世界から召喚されるんだ。どの聖女もとんでもない力を持ってる。家を宙に浮かせたり、天候を操ったりな。だがな――どの聖女も数年、長くても十数年で死ぬんだ。理由は誰も知らねぇ。死んだら、また新しい聖女を召喚する。面白いだろ?」


エルンストは言葉を返さず、ただ無言で男を見つめた。


その時、家の扉を叩く音が響く。

「エルンスト」


階段を上がり、扉を開けると兄が数人の兵士を連れて立っていた。

「兄さん、早かったね」


「少し探った。やはり裏に貴族がいるようだ。……こいつは好きにしていい」

兄は口元を吊り上げ、ニヤリと笑った。


地下でそれを聞いた男は必死に叫ぶ。

「話しただろ! 自由にするって言ったじゃねぇか!」


エルンストは淡々と答えた。

「約束は守るさ。……この部屋からは自由だろ?」


男の顔から血の気が引き、声にならない叫びが地下にこだました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ