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体育祭も終わり、片付けも終わった。律と真太郎はクラスのみんなの前に立つ。
「みんなのおかげで、最高の体育祭になったよ。ありがとう」
「何言ってんだ! 律のおかげで盛り上がったようなもんだよ。ありがとな」
そう言って、真太郎は律の肩を組む。真太郎の言葉を皮切りに他のクラスメイトも2人に感謝を告げる。
「この期間は本当に楽しかった」
律はかみしめるように、懐かしむように言う。すると、律の体が光に包まれた。
「何だこれ!」
一番慌てていたのは真太郎だった。支音が前に出る。
「律くんはもう未練が無くなったんだね」
「そうみたいだね。支音さん、あの日の僕を体育祭の代表にしてくれてありがとう。それに支音さんがいたから、勇気を持てたんだと思う。おかげでこんな大切な思い出ができた」
律は今までないくらい満面の笑みを浮かべた。そんな中、真太郎は足を踏み鳴らした。
「なんでだよ! 俺はまだ律と一緒に居たい! むしろここからが始まりだよ」
「そう言ってくれてありがとう。でも、僕はここが終わりにしたいな」
その言葉を最期に律は光に包まれて消えていった。その場には小さな水晶玉だけが残った。支音はそれを拾い、大事に抱える。
「いいこと、だったんだよね?」
カレンの発した言葉は思わず出たもののように聞こえる。真太郎は1人で呟いた。
「律にとっては最善だとしても、俺にとっては悲しいよ」
その声は真太郎にしては低く細い声だった。
それ以上は話さず今日は解散することになった。
支音はいつものように水晶を職員室に持っていく。無事に渡すことができて、外に出ると、結奈がいた。
「勝負は、私の負け……みたいだね」
結奈はゆっくりと言葉を続ける。
「運だけで勝つなんて、支音ちゃんはずるいね」
そうして、支音を睨みつける。
「あのさ——」
「何? 約束は約束。私が支援者を辞めるよ」
「そうじゃなくて、お願いがあるんだけど……」
支音は少し言い淀む。
「何?」
「律くんの成仏を見た影響でみんなの元気がないんだ。結奈ちゃんならなんとかできないかな?」
「わかった」
意外にもあっさりと結奈はそれを引き受けた。
次の日の朝に、結奈は支音のクラスに来た。クラスの雰囲気はそれは明るいものだった。
「元気が無いってのはどうしたの?」
少々きつい言葉で支音を責める。その2人の様子を見た真太郎が側にやって来た。
「いや、よく考えたらまた会えるんだし、土産話を用意するくらいでいいかって、な」
真太郎の言葉に他のみんなも同意している。結奈は無言で教室から出ていく。支音は廊下に出て結奈に向かって叫ぶ。
「待って、結奈ちゃん!」
結奈は振り向かずに応えた。
「支音の願いも叶えたし、辞めるのは無しでいいよね?」
「うん。いいよ」
「なんで!」
結奈は振り向き、大きな足音をたてながら支音に近づく。
「どうしていいなんて言うの! 私は支音を辞めさせるの諦めないよ。私が辞めればその危険もないんだよ!」
「そうかもしれない。でも、クラスメイトの1日の方が大切かなって思った。結局要らなかったけどね」
支音は軽く笑う。
「答えになってない!」
結奈は声を荒げて話していたため、肩で息をしている。そんな結奈に支音は穏やかに微笑む。
「それに、結奈ちゃんとはこれから話し合っていけるかなって」
「認めない。私は認めないから!」
言うだけ言って、結奈は背を向けた。




