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「これが僕の過去……思い出せたよ。ありがとう」
律は優しく微笑みかける。支音は首を振る。
「いやいや、そんな。それにしても、律くんは病弱だったんだね? 今は大丈夫なの?」
それを聞いて律は体温を確かめるようにおでこを触る。
「うん、思い出すまで自分が病気がちだったこともすっかり忘れてた」
すると、律は布団に向かって拳を振り下ろす。支音はビクッと跳ね上がった。
「悔しい! 体の調子が良くてもこんなにも運動神経が悪いだなんて思いもしなかった」
思ったよりも優しい拳に安心しつつ、意見を伝えてみる。
「運動神経が悪いというよりは体の使い方を学ぶ機会がなかったんじゃないのかな?」
「使い方?」
「そう。自転車のこぎ方だって、何回もやってようやく覚えるでしょ?」
「確かに……」
「律くんはそういう経験が少ないから、運動が苦手なんじゃないかな?」
律は真剣な表情で支音の顔を見る。
「つまり、練習あるのみ! ってことかな」
律は小さく手を握った。
「ありがとう。支音さん」
「とにかく、今日はゆっくり休んでね。また明日」
手を振り、保健室から出て行く。律はゆっくりと体を倒し、布団をかぶって、手を振り返した。
次の日、いつものように律は学校に登校して、授業を受けていた。支音もいつものように授業を受けて、日常をすごしていた。
放課後になり、帰ろうと外に出ると、昨日も見た光景があった。校庭に玉入れのカゴが立っているのが見える。
「あれ、律かな? 昨日怪我したのに、熱心だね」
カレンがそう言うと、支音も同意する。
「本当だよね。行ってみようか」
苺花も頷いて、校庭に向かう。
校庭に行くと、律と真太郎が準備体操をしていた。
「今日も一緒に練習しに来たのか?」
「いや、真太郎も止めてよ。律くんは昨日怪我をしたんだよ」
律が手を止めて、支音の元に近づいてくる。
「支音さん、真太郎くんのことを責めないで、僕がお願いしたんだ」
「お願いされたからな。でも、俺も考えたんだよ。さすがに怪我したばっかりだったから、ストレッチのみやってるんだ」
真太郎も一度ストレッチを止めて、立ち上がる。
「あの、そしたらあれはどうしてあるの?」
苺花が指を指した先には玉入れのカゴがあった。
「昨日使ったものは、もちろん律を届けた後に俺が片付けたんだけど」
「僕と真太郎くんで来たときにはもうすでに置いてあったんだよね」
みんなで首をかしげていると、どこからか声がかかってきた。
「あれ、僕たちが一番だと思ってたんだけど」
振り返ると、他のクラスの人が何人か立っていた。
「照真くん!」
「支音さんのクラスだったんだ」
他のクラスの支援者であり、体育祭の代表者をしている照真が立っていた。




