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数日後、支音は朔久にとあることを頼み込んでいた。
「お願い。一緒に聞き耳起てよう」
「いやだ。どうしてストーカーみたいなことをしないといけないんだ」
「他の人には断られちゃったの。もう、朔久くんしか、頼れる人がいない」
支音は両手を合わせて、頼み込む。
「そもそも、する必要ないだろ」
「律くんが本当に無理してないか、確認するだけだから。そんなに時間もかけない」
朔久は少し悩んだ表情を見せる。
「わかった。ちょっとだけな」
その言葉に支音は喜びの声を上げた。
「ありがとう! 朔久くん」
こうして、2人はとある教室に向かう。その教室では体育祭のクラスの代表が集まって、話し合いをする予定になっている。
教室の扉はどこも閉じられており、中で何かやっているのはわかるが内容までは聞こえない。
支音はバレないようにこっそりと窓から中の様子を覗く。教室内では、既に会議が始まっているようだった。支音は律が積極的に発言しているのを見て安心する。他のクラスは知らない人だらけかと思ったら、1人だけ見覚えのある人がいた。同じ支援者の照真だった。
「支援者がやっても良かったんだね」
「やりたかったのか?」
バレたく無いのか朔久の声はいつもより小さめだ。支音は静かに首を振る。
後ろから朔久も覗く。
「だから、大丈夫って言っただろ」
とっとと立ち去ろうとする朔久の手を取って止める。
「いや、まだだよ。ちゃんと話してる内容も聞かないと」
朔久は露骨に嫌そうな顔をしたが、そんなのはお構いなく、支音は気づかれないようにゆっくりとドアを動かす。朔久は一歩後ろに下がった。ほんの少し間で声が聞こえてきた。支音は隙間に耳を近づけて、集中する。
聞こえた話をまとめると真太郎が突拍子もないことを言ったのを律がまとめているような内容が聞こえた。
「もういいだろ」
そわそわとしてどこか落ち着かないようだ。
「うーん」
「同じ支援者が中にいるんだろ。後で聞いてみろよ」
「まあ、確かに……」
なかなか動かない支音にだんだんイライラしてきたのか、軽く床を足で鳴らす。
「先に帰るから」
その言葉でようやく支音は扉から離れる。
「待って、私も帰る」
前を歩く朔久に追いつくために軽く早歩きをする。
「1人でできないことをするな」
「あはは、ごめん。まあ、これも貴重な学校生活ってことで!」
「こんな学校生活があってたまるか」
支音が朔久を誘ったのには1つ理由があった。それは初めに未練を見つけたのはいいが、肝心の学校生活を楽しむことを本人任せにしてしまったからだ。
2人はたわいもない話をしながら、帰って行った。




