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「彼を推薦したの?」
律を見送った後、後ろから声がする。振り返ると結奈が立っていた。
「うん」
「どう考えても向いて無さそうなのに、押し付けたんだ」
「そんなことは」
結奈は支音の目を見ていない。その視線は窓の外の方に注がれていた。支音の話を遮るように手をあげる。
「別に話は聞きたくない」
そう言って、ようやく目が合った。
「勝負をしようよ」
「勝負?」
「うん、今から早く未練を見つけた方が勝ち。安心して不正なんてしないよ。まだ未練を検討してない人を選ぶから」
それだけ言って、結奈はくるりと振り返る。
「待って!」
支音の呼びかけに結奈は顔だけをこちらに向ける。
「何? あぁ、言い忘れてたね。負けた方は支援者を辞めるから」
一方的に言いたいことを言って、結奈はまた歩き出した。
「違う。そうじゃなくて」
「じゃあ何? やりたくないなんて言わないでね」
今までのように優しい表情をしている。しかし、言葉は真逆だ。
「やらないとは言わない。でも、これでいいのかな?」
「何が言いたいの?」
「未練ってそんなに急いで見つけるものなの? それにみんなを巻き込んじゃっていいのかなって」
「じゃあ何? 支援者、辞めてくれるの?」
言葉が止まる。時が止まったようにピタリとも動かない。
「辞めるわけないよね。なんも考えてないのに、ただ文句だけ言わないで」
支音はその場で立ち尽くし、胸に手を当てる。そして1つのことを決意した。この戦い方が合ってようが間違っていようが、関係ない。とにかく勝たない限り話すことはできない。
「頑張らないと」
誰に聞かせるも無くそうつぶやいた。




