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4人で話していると、扉が開かれる音がした。
「時間だ。席につけ」
担任の先生の言葉に、みんなは慌てて席についた。いつもは端的な業務連絡ですぐに終わるが、今日はいつもと違った。
「今日は体育祭のクラス代表委員を決めて貰う。誰か立候——」
先生が言い終わる前に、1人が勢いよく立ち上がって、手をまっすぐに挙げる。
「はい! 俺! やります!」
クラスの全員の視線が一斉に彼に集まる。彼の名前は運真太郎。いわゆる、運動ができて、勉強ができないタイプの男子だ。
一気に注目の的になったにも関わらず、物怖じせず手を挙げ続ける。みんなが彼の言葉を待つが話出す気配もない。
「……あぁ、運真太郎。君がやってくれるのか?」
先生が聞いてようやく口を開いた。
「はい! 俺がやります!」
「わかった。後もう1人必要なんだが、誰か立候補者はいるか?」
案の定、他に手を挙げる人はいなかった。
先生は頭を掻いて、支音を指差す。支音は慌てて、首を横に振る。
「違う。上天支音。誰か適任はいないか?」
と、言われたところで動きを止める。体育祭に未練がある人もいるかも知れないと思い、周りを見渡す。しかし、見る人、見る人が首を横に振ったり、目を逸らしたりと乗り気そうには見えない。最後に目が合ったのが、恩知律だった。
「律君はどうでしょうか?」
ほとんど考える間も無く、口に出していた。クラスがざわつく。それもそのはず、律は大人しく、体育でもいつもうまくできず、最後までやらされていることが多かった。真太郎とは真逆のタイプの人間だ。
律は驚いた表情を見せたものの、嫌がる様子はなかった。
「どうだ? 恩知律? 嫌なら断ってもいい」
少しの間、オロオロと周りを見ていたが、ゆっくりと立ち上がる。
「僕でいいのであれば、やらせてください」
「おう! 一緒に頑張ろうな!」
律は弱々しくもその言葉に応えるように手を挙げる。
ホームルームが終わり、支音は律に話に行こうとしたが、すでに教室に姿がなかった。廊下に視線を移すとちょうど歩いていたので、慌てて追いかける。
「律君!」
その言葉にゆっくりと止まって振り返る。
「ごめんね。迷惑じゃなかった?」
「いやいや、大丈夫だよ。僕がやってみたいって思ったんだ」
「それなら良かった。律君って運動苦手だよね? むしろ体育祭、嫌いなのかなって思って」
「苦手だけど、嫌いというよりはむしろ好きかな」
運動が苦手なことと嫌いなことが同じだと思っていた支音は目を見開く。
「あはは、そんなに驚かないで。もし、なにかあれば相談してもいいかな?」
「うん、それはもちろん」
律は安心したように微笑み、どこかへと歩いていった。




