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幽霊学園  作者: 久遠 零


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 次の日、学校に登校すると(ゆう)が1人席に座っていた。誰とも喋らず、ただ本を捲っている優に支音(しおん)は歩み寄る。


「おはよう」

「おはよう。支音。部屋に帰ってからは大丈夫だったの?」

「うん、良くも悪くも特に何も」


 昨日は同じ支援者でもあり、ルームメイトの結奈(ゆな)と、最終的に話し合うことができなかった。同じルームメイトの綾華(あやか)からはクラスメイトの未練を解決するために他の部屋に泊まってると話を受けた。


「ごめん」

「いやいや、優さん」


 支音の言葉に遮るように。


「優でいい」

「わかった。優が悪いわけじゃないから、そもそも私が気づかなかったのが悪いんだし」


 2人は話すことなく、見つめ合う。やがて優が頬を掻きながら口を開く。


「あんなにも巨大な悪意に気づかない支音が大物なのか。隠し切った結奈が演技派なのか」

「本当にそうだよね……」


 優のもっともな意見に身が縮こまる。ふと、あることを思い出した。


「そう言えば、優と結奈ちゃんってどんな関係なの?」

「簡単に言うと、私が相談してた。自分のクラスの支援者だと話せないからって。そしたら、殺せばいいって。ちょうど支音を部屋まで呼ぶ方法はあるって言われた。まあ、程よく使われただけだよ」


 優の手に力が入った。

 

「それは、違うと思うよ。結奈ちゃんは本当にしっかりと考えて伝えたと思う。まあ、ラッキーとも思ってたかもしれないけど」

「あんなことされて、庇うとか。支音って、やっぱり鈍感?」


 2人は笑い合う。穏やかな普通の学生生活の一片を体験しているようだった。


「ちょっと、ちょっと」


 カレンが2人の間を割るようにして、両手を広げる。


「おはよう」


 2人のことを交互に睨みつけるように見ているカレンとは、対照的に苺花(いちか)は穏やかに挨拶をする。


「苺花ちゃん、おはよう」


 苺花に挨拶を返すと、カレンが顔だけを目の前に出してきた。その目は何かを懇願しているようだった。


「あ、カレンちゃんも、おはよう?」


 カレンはにっこりと笑顔を浮かべる。


「おはよう! 支音」


 満足したように、その場から歩き出したところで、大袈裟な動きで戻ってくる。


「違う! ちがーう! どうして、この人と仲良くしてるの!?」


 指を指し示した先には、優がいた。


「あれは、お互いに悪いところがあったから、仲直りしたんだ」

「いやいやいや、どうしたらお互い様になるの? 明らかに支音が被害者じゃん!」

「本当にお互い様だから……」


 言い淀む支音に気づいたのか、優が助け舟を出す。


「私の未練に関係してる。だから、詮索されると困る」

「あんた、未練は支音が死ぬこととか言ってたの覚えてるからね」


 数秒間固まる。ゆっくりと目を伏せた。


「優?」


 支音に向かって、グッとポーズを見せる。

 優とカレンの顔を交互に見る。優の方を見ると軽く頷かれる。カレンの方を見ると厳しい視線を向けられている。手をワタワタとさせて、ふと苺花の顔を見る。一瞬驚いた表情を見せた苺花はそのまま一歩前に出た。


「カレンさん。2人の中で解決してるならいいんじゃない?」

「それは、そうだけど、支音のことを心配してるの!」

「心配かけちゃってごめんね。でも、本当に大丈夫だから、信じて!」


 支音の説得もあいまって、カレンはようやくしぶしぶとうなづく。


「わかった。支音のこと、信じる。でも」


 カレンはビシリと優に向かって指を指す。


「次何かやったら許さないからね」

「人に指を指さない」


 カレンはその言葉に少し自分の指を見て、手のひらを広げる形に変えた。優は微かに笑う。


「支音の友達は面白いね。大丈夫心配してることは起きないよ。友達……は無理そうだけど、クラスメイトとしてよろしくね」

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