65
体育の時間、この時間は代表者が主導して体育祭の練習をする。
「そしたら、それぞれ選んだ種目に分かれて練習を始めてください」
律は積極的に前に出てまとめている。
「律って、こう言うの得意だったんだね」
カレンは品定めするかのように律を見て言った。苺花も同意するように言う。
「私みたいに苦手だと思ってた」
少し申し訳なさそうに縮こまる。
支音、カレン、苺花の3人は玉入れの練習をしにきた。カゴは身長の3倍ぐらい高いところにある。
「なんか、高くね?」
カレンの言葉にみんなが同意する。
「それじゃあ、まずは僕がお手本を見せるから」
律はお手玉のようなボールを4つ5つ手に取り、手を三角形にしてまとめて持つ。その状態のまま、ジャンプしてボールを投げる。周りのみんながその様子を固唾を飲んで見守る。
「ほい!」
投げられたボールは約10cm上がり、ぼとりと落ちた。
律は落ちたボールを1つずつ拾いながら言う。
「ごめんなさい」
「いやいや、こんなに高いの無理だよ!」
カレンが必死にフォローをする。
「そうだよ。それに、三角にして持つといいんでしょ? ちゃんと伝わったよ!」
支音もすかさずそれに続いて言った。
「うん。そのつもりだったんだけどね……」
律は下を向きながら、ボールを数個ずつまとめて置いていく。そこに1人の男が律の肩を叩く。
「なんだ律! やっぱりできなかったみたいだな。ここは俺に任せろ!」
真太郎は律が置いたボールを片手で取り、律と同じように両手で三角形を作って投げる。
そのボールはカゴのはるか上まで飛ばされる。半円を描いて落ちる。ちょうど落ちる先にカゴが位置していた。そのまま全てのボールがきれいにカゴの中に入る。
「ほら、こんな感じだ!」
完璧な動作に4人は拍手をする。
律はもう一度ボールを手に取る。その場で投げるふりをしてイメージを高める。三角にまとめられたボールを見てから、かごを見る。しっかりと膝を使い飛びあがり、ボールを投げる。投げられたボールは先ほどよりも高く上がり、律も小さくガッツポーズをする。が、かごの近くにはとても届かず落ちてしまった。
「僕にはちょっと出来ないみたい。ここは真太郎くんに任せていいかな?」
「おう、任せとけ!」
律は周りを見渡して、何かを探しているようだ。
「二人三脚の方に行ってくる」
そう言って、駆け足で走り出そうとしたところで、急に止まる。そして、支音たちの方に振り返る。
「当日は僕も参加するんだ。また練習しに戻ってくるから」
律のことを見送り、真太郎の指導のもと練習を開始した。




