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幽霊学園  作者: 久遠 零


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 (ゆう)を見失ってしまった支音(しおん)はすることもなく、裏山の入り口で立ち尽くしていた。


「当然だけど、信用されてないな……」


 ぼんやりと道ゆく人を眺めていると、見知った顔があった。それは相手も同じだったようで、驚いた顔をして近づいてきた。彼女は中学の時の友人だ。正確に言うと、美玲(みれい)の取り巻きの1人。優の復讐対象ということになる。


「支音ちゃん? どうしてここに?」

「え? えーっと、なんとなく?」


 よく考えたら、今日は普通の平日、大抵の学生であれば学校で授業を受けている時間だ。まさか、幽霊の未練を解決するために探索しているなんて、口が裂けても言えない。

 彼女も支音の返答に対して、特に追及することはなかった。しかし、妙なことを言い始めた。


「支音ちゃんは何をしてるの?」

「えっ!? さ、散歩かな?」

「そうじゃなくて、普通に学校に通えてるの?」

「ん? どう言うこと? 普通かはわからないけど、通ってるよ」


 彼女の様子はどこかおかしい。思えば、声をかけられた後からまともに顔を合わせてこない。その視線はずっと地面に向けられている。


「そうなんだ。――鉄村(てつむら)優って覚えてる? いや、忘れてないよね」


 唐突に出された名前にドキリとする。今現在一緒に行動してるなんて言えるような雰囲気ではない。そもそも、言ったところで信じてはくれないだろう。支音の返答を待たずに彼女は続ける。


「あの後、私、耐えられなくて動画のデータを警察に渡したんだ。あまりにも鉄村さんのご両親のことが怖くて……それが証拠になって、美玲さんとかは警察に……わたし達みたいな傍観者は特別な罰とかはなかったけど、あの日のことがずっと忘れられないんだ」


 支音に聞いてほしいと言うよりは、独り言のようにただ口を動かしている。

 少しの間、沈黙する。そして、ようやく支音の顔を見ながら言った。


「支音ちゃんもそうでしょ?」


 返答に迷い、うやむやに答える。彼女の気持ち自体は理解できた。しかし、彼女は同調してほしい訳ではなく、同じ境遇の者としての言葉が欲しいと思っているとわかっていた。だからこそ答えられなかった。


「あのさ、言いづらいんだけど、あの日って何?」


 彼女は目を見開いている。まるで何を言っているのかわからないと言った様子だ。


「ここの裏山で……」


 説明はしたいけれど、口にはしたくない。そんな様子だ。


「裏山で何があったの?」


 優の未練を聞いている支音にはある程度予想はついている。しかし、今優から話を聞いたなんて言ってもややこしいだけだし、真実かどうかを確かめるためにも敢えて聞く。


「え、もしかして、支音ちゃんはあの場にいなかったの?」


 こくりと頷く。


「おそらくね」


 彼女は慌てたように、スマホを操作して、何かを探し始めた。目的のものを見つけたようで、手を止める。


「支音ちゃんだけ、何故か呼ばれてない……」


 ようやく、支音の記憶と合っている証言を得られた。

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