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優の過去を聞いた。概ね支音が知っている内容と差異はなかった。ただ1つわからないことがあった。しかし、今の優に話したところで火に油を注ぐのは明らかなので、今は聞かないことを決めた。
「思い出した? 自分がしでかしたことを」
「うん。覚えてたよ」
「覚えてた訳ない!」
優は声を荒げて、否定するように腕を横に振る。
「どんな思いで、私が……」
「ごめんなさい」
支音は一言そう言って、頭を下げる。
「って、言っても許せないよね」
優は声を出さず、肯定も否定もしない。支音は続ける。
「明日、学校の外に行こう。そこで証拠を集めよう」
「何言ってんの」
「私1人をどうにかしたからって、あなたの未練が解決されるとは思えない」
「する! そう確信してる」
その目に迷いは一切なかった。
「だから、死んで」
冷たい声。支音はただ俯くしかなくなる。優も同じく黙る。
しばらく沈黙が続く。先に動いたのは優だった。そのまま口を開かず、後ろを向き扉へ向かって歩き出す。
支音は手を伸ばして、口を開いた。しかし、なんの言葉を出すこともできなかった。優が出ていくのを見届けて、手を下ろす。
「やらなきゃ」
自分に向かって宣言する。
起き上がって、とある場所へと向かって行った。




