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目を開くと一番に天井が目に入った。続けて、周りを見る。病院と言うには物が多く、ベットが少ない。おそらく、保健室だろうと思われる。
体を起こし、起きあがろうとする。意外にも簡単に力を入れて動かすことができた。
あの瞬間、支音は死んだとさえ思った。しかし、今体のどこにも不調を感じさせない。
「なにがあったんだろう」
自分の体をペタペタと触ってみる。すると、突然この部屋に声が響く。
「支音!」
「支音さん!」
そちらを見ると、カレンと苺花が駆け寄ってくる。その表情は喜んでいるような、怒っているようななんとも不思議な表情だった。
「2人ともどうしたの?」
「どうしたの? じゃないよ! めっちゃ心配したんだからね!」
「支音さんのことが心配だったんで、カレンさんと2人で後をつけてたんだ」
その一歩後ろに担任が立っていた。
「体に違和感はないか?」
「特にないです」
それを聞いて、先生はほっとしたように息を吐いた。
「上天と話をするから、2人は出て行ってくれ」
「ちょっと待ってくださいよ!」
カレンが即座に声を上げる。
「先生と話したから、支音が襲われたんじゃないんですか! そんなの納得できません!」
苺花も同じ考えのようで、首を縦に振る。
「ダメなものはダメだ。これは上天のためだ」
一歩も引かない態度に2人も押し負ける。そして、いやいやながらも部屋から出て行った。
最後まで出て行ったことを確認して、先生は話始める。
「まず初めに言っておく、傷はない。幽霊の生徒の攻撃で傷がつくことはない。しかし、生徒を欺くために傷がついているように見えることはある。今回はそのショックで倒れたのだろう」
お腹を見てみるが傷1つない。治療が早いのではなく、そもそもついてないのだとわかる。
「幽霊の生徒が生きている人間を恨んで衝動的になることはある。それで本当に死んでしまわないようになっている。そのため、未練を解決しないと、最終的に死ぬことは他の生徒には知らされてないんだ」
「で、何があった?」
「鉄村さんに急に刃物で襲われました……」
「鉄村優か。ちゃんと名前も知ってたんだな」
関心したように頷く。しかし、支音の顔色は晴れない。
「やっぱり合ってるんですね。彼女は私と同じ中学に通ってました……」
「そうか。それは良かったな」
「え?」
予想外の言葉に反射的に先生の顔をみる。
「未練を見つけやすいだろ」
「彼女は未練のために死ねって言いました」
先生は視線を動かす。どうやら何かを迷っているようだ。やがて、何かを決心したように一呼吸する。
「本来、教師は生徒に助言をしないんだが、1つだけ言う。この学園にくる幽霊は幽霊の中でも選ばれた者だけだ」
そう言って、去ってしまった。




