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035 話しの流れで好意を伝えてみる


 (スキルオープン)


 スキルについてはこれまでの経験でかなり使いこなしていると思ってるけど、変化していく分はチェックが必要だ。時々確認するけど、使い勝手が変わるちょっとした成長がある。熟練度があがるのと一緒にスキルも進化するって感じだ。

 それなりに調べたり聞いたりしたけど、スキルってこの世界では一般的な能力じゃない。スキルを持つ者がごく一部の者に限られてる。主に異世界から来た者と、過去に異世界より来た者の子孫の一部が使えるだけらしい。だから資料があまりない。ギルドには資料室があって様々な情報が得られるようになってるんだけど、そこにもスキルについての情報は少なく、過去にこういったスキルが存在した……といった情報にとどまっていて、各スキルがどんな成長をしていったかとかの細かい情報はなかった。結局自分のスキルは自分で試しながら知っていくしかないみたいだ。


 俺のスキルの説明を再度読む。真っ先に気付くのが熟練度だ。


< 体調管理 > 熟練度 7


 やっぱり熟練度が上がってるな。リゲルにスキルを使った時の持続時間が延びてたもんな。内容を見ると触れてスキルを使用する時にできる持続時間の設定が「2日ほど」となってる。「ほど」ってことはぴったり2日ってわけじゃないみたいだな。そうなるともし継続して敵を拘束するようなケースでは余裕をもって早めの対応が必要ってことだな。

 おお! スキルの有効範囲が延びてる。40mだ! これってどこまで延びるんだろう。最終的に100mとかになったら、弓とか魔法を相手にしても射程外から無力化できるかも。熟練度については10が最大って情報があったから、この調子だとあと3つ上がって70mってところか。それでも十分だな。ほとんどの敵は接近する前に対処できるかも。アマンダに「個人戦なら最強」とか言われたけど、先にスキルを使える状況なら確かに誰にも負けないかも。リゲル戦の時みたいにこっちからの攻撃でダメージ与えられないってケースもあるだろうけど、無力化すればじっくり時間かけてダメージ与える方法考えればいいしね。


< 負担軽減 >


 これは初めて見るな。なになに、スキルにより自らの能力を操作した時に発生する負担を軽減する。そのまんまだな。でもこれって反応速度の強化で発生した片頭痛とかが軽くなるってこと? それだと凄く助かるかも。現状の俺の身体能力というか戦闘能力ってこの世界じゃ貧弱だもんな。スキルが特殊だからここまでそう苦戦することが無かったけど、もし無力化できない相手とか出たら、スキル無しの身体能力だとあっさり倒される、いや殺されかねない。厳しい戦闘とか長期戦の時、スキルで身体能力の強化が使いやすくなるのは助かる。負担の軽減度合いは試す必要があるな。


 ということで、熟練度が上がったおかげで持続時間が延長し、有効範囲が拡大、そして自分を強化した時の負担が軽減ってことみたいだ。案外熟練度って簡単に上がっていくんだな。鍛えたって感じじゃないし感覚としては慣れてきたって感じかも。魔法みたいに修業して身に着けるってものじゃないのかもな。


「ただいまー」


 アマンダが帰ってきた。風呂上りだがいつもの黒いTシャツ短パンの体操服姿で短剣を持っている。宿は安全とは言え若い女性は最低限身を守れる装備を持つのが常識らしい。すこし赤くなった顔がかわいいな。

 短剣をテーブルへ置くとベッドへ倒れこむアマンダ。


「アマンダ、スキルを確認してたんだけど、熟練度って案外簡単に上がるものなの? 俺のスキル、もう熟練度7なんだけど」


「んー、そうかも。私の場合はこの世界に来て3ヶ月経たずに10になってたよ。王宮ではお父さんたちと違って戦力外ってことになってたけど、こっそり修業は続けてたからかなー」


「そっか、でも俺ってそう修業ってほどスキルの訓練とかしてないのに熟練度があがってるんだよな。なんか感覚としては、慣らし運転って感じなんだよ。新車を購入したけど、最初は低い回転数だけで走ってエンジンを慣らしつつ、徐々に高回転まで使う……みたいな」


「慣らし運転?」


「あ、アマンダは車の運転とかしたことないから分からないか」


 とりあえず、アマンダもスキルの熟練度はサクサク上がったってことみたいだから、きっとそういうもんなんだろう。

 まぁスキルの確認はこんなもんでいいか。


「ところでケインは、ロッサーナのことどうするの?」


「え? どうもしないよ、いきなり求婚されて応じられるわけないじゃん」


「そか」


 そりゃそうでしょ。というかやっぱりアマンダ気にしてくれてるみたいだ。これはチャンスか? この流れで、ハッキリ告白してみるか? いやでもちょっとそんな雰囲気って感じでもないしな、でも軽く気持ちを伝えとくくらいは問題ないか。


「俺はここまでの旅で、アマンダのことが好きになっちゃったからね。できればこの先も一緒にいたいと思ってる。アマンダが嫌じゃなければだけど」


 さらっと言ってみた。どうかな? 30歳の俺がアマンダの恋愛対象外だったりしたら悲しいけど、伝えなきゃなにも始まらないしな。


……


 無言……えっと、この反応ってどうなの? アマンダ、うつ伏せに布団に寝たまま顔を向こうに向けてるから表情も見えないぞ。気まずくなるのだけは嫌なんだけど。


「いきなり、急に、そ、そんなこと言われたら、驚く、じゃない」


 なんかたどたどしく返事が返ってきたぞ。すっごく恥ずかしそうだ。嫌がってるって感じではないな。


「そうかな。ごめん、アマンダ可愛いから、そんなこと言われ慣れてるかと思った」


 実際可愛いからな。綺麗だし。15歳でこの世界に来たとしても、中学時代やそれ以前でも告白された経験とか何度でもあるんじゃないのかな。いや、もしかしたら逆に近づきがたい人になってた可能性もあるか。これだけ容姿が良くて武闘派だったりすると、よほど自分に自信があるような男じゃないと身が引けるよな。俺も出会いが牢屋仲間だったからすんなり関係ができたけど、初めてが町で見かけたりしたんだったら、遠くから眺めて綺麗だなーって思うだけかも。ハーフってのも影響してた?


「そんな経験ないし。男子にあまり話しかけられなかったし」


 やっぱりそっちか。となると恋愛経験無しってことだな。ここは人生経験での優位を活かしてもう一押し攻めてみるか。


「そうなんだ。意外だな。こんな綺麗な子が近くに居て誰もアプローチしないとかもったいない。俺だったら仲良くなりたいって思うけどな」


 実際同じクラスにアマンダが居たら、ちょっと近づくのに勇気いるかも。


「アマンダ凄く強いから男が気が引けるって所はあるだろうけどね。でも一緒に居ると優しくて面倒見がいい所とか、若いのになんか母性が強い感じがしていいんだよな。女性として魅力的って感じで」


「女子には綺麗ってよく言われたけど……男子には強そうとか怖いとか言われてた……」


「そりゃ周りの見る目がなかったんだな。アマンダが強いのは間違いないけど、中身が素敵な女性だって見抜けてなかったのかもな」


 どうだ。俺的褒め殺し作戦。よく言われそうな部分じゃない所をクローズアップすることで、自分のことをよく見ている、真剣に見ていると印象付ける作戦だ。実際見てるしね。本人が気付いてない寝相までじっくり見てる。学生時代のアマンダがどんなだったのかは知らないけど、年齢以上にキリッとして芯の強そうな姿の中に、15歳という若さで普通の社会から外れてしまったためか、幼さもちらちら見える。そのアンバランスさも可愛いと思ってる。

 戦闘に関しては、覚悟の決め方や思い切りの良さなど、俺とは別次元に鍛えられてるから表向きにはあまりそう見えないけどね。


「ケイン……これって告白?」


 うつ伏せのままアマンダがこちらへ顔を向いける。湯上りで赤かった顔がさらに赤くなってる。すっごく恥ずかしそうで、嫌そうには見えない。


「えーと、そうとってもらってもいいかも。でもアマンダが迷惑だったらもうそんなことは言わないよ。アマンダに嫌われたくないしね」


……


 じっと見てくるアマンダ。しばらくすると反対を向いて丸まってしまった。


「急にそんなこと言われても困る。今日はもう寝るね」


 そう言ってタオルケットにくるまった。嫌われたようには見えないし、なんかすっごく初々しい恋愛経験無さそうな反応に見える。まぁこの先もまだまだ一緒に居るだろうし、焦る必要はない。だけど俺が好意がある、恋愛対象として好意をもっているってことが伝えられたのは良かったかも。そう意識してもらって初めて進むこともあるしね。


 ケホケホ


 あ、咳してる。久しぶりに喘息の症状が出たのかも。


( 気道狭窄 0 )


 これで気持ちよく眠れるだろう。おやすみ……よし、俺も日課を済ませて寝るか。


 このところお決まりとなっている、スキルで筋力を強化して無理やり負荷かけての筋トレだ。あとは汗を流してから自然治癒力を高めて寝るだけ。手間のかかる筋トレを短時間で済ませ、しかも翌日の筋肉痛知らずの自然治癒力強化で手っ取り早く超回復! 魔法の訓練と違って確実に効果を実感できてる。でも魔法に関しては水が出せないと困るトイレ事情を早くなんとかしたいよ。




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