表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~  作者: なつみん
4:清帝国編
32/40

8:湯治 2

この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~8:湯治 2を読んでいただきありがとうございます。

投稿したてであれですが、書き直したい。

 アリアは1房髪を切り、そのまま唯に置く。


 アリア曰く、髪は上質な触媒となるらしく、奇跡とすら呼べる魔法の行使に欠かせないらしい。

 と言っても、個人で死にかけの人間を復活させるなんて芸当は、アリアしか出来ない訳なので、何の参考にはなりはしない。

 それに、神に愛されたアリアの髪だから触媒になりえるだけでもある。


 もし同じ事をやろうと思うと、高位の魔術が使える人間と大量のきんと膨大な魔力、それと生け贄が複数人。

 過去に同様な方法で自国の王さまの復活を試みた例はあるが、軒並み失敗に終わっている。

 唯一の成功例と言われる清という国の現国王も少々懐疑的なところもある。

 しかしなにかと政治的、対外的に厄介なお国柄であるゆえ、そこを突っつくのはやぶ蛇といった具合で、何処の国もあえて触れはしない。


 それはともかく、アリアなら唯を復活させられるのか。

 それも難しいのが現実。

 よくも悪くも、その時の神様の気分次第と成功しても唯の心とか魂とかそういった部分が死んでしまっていたら、肉体だけのただの入れ物がきれいになるだけで終わってしまう。


 まず第1の関門である神様の気分をどうやって上げてあげるか。

 めちゃくちゃに媚びるのだ。

 媚びて媚びて、媚びまくる。

 普段出さない様な猫なで声だって出してやる。


 そして、第2の関門だがとにかくスピード重視。

 今はまだ心臓が動いていて、浅く不規則ではあるが呼吸もある。

 死線期呼吸と呼ばれる、心肺停止状態における詰まった様な呼吸になる前には、何としても神様の気分をあげなければならない。


 アリアはバックパックを漁ると、底の方に入れていた包みを開ける。

 中には、招き猫と呼ばれるグンタマや大和・錦とかその辺りで縁起物として好まれる置物だった。

 あまりセイラやロビンには馴染みがないものだが、いろいろ旅をしてきたアリアにとってはそこそこ程度には見慣れたものらしい。


 そして高すぎず低すぎず、ちょうどいい高さに置いてやることが大事らしい。

 置いた段階から儀式は始まった。

 普段どちらかというと少し不機嫌そうなアリアの顔が緩む。

 全開笑顔でるんるんとリズムを取りながら、とても祝詞とは思えない祝詞を紡ぐ。


「おーねがい。かーみさま♪」


 招き猫を始点に唯を囲むように円形に石灰の粉を引く。

 魔法にしろ魔術にしろ円は力の循環を示し、効率よく魔力を扱うために特に大規模な魔術、魔法にはほぼ必須である。

 ゆえに魔術師はまず始めに、きれいな円を書ける様に訓練するほどである。


「ほにゃららっほい。ほにゃららっほい♪」


 複雑に円や様々な図形を段々と組んでいく。

 これもフィーリングらしく、神様との美的センスや波長の様なものが合っていないと失敗してしまうらしい。

 だから同じ儀式をしても、一回一回全く違う形に組まれていく。


「同じ(うた)は詠わぬよ。ならば一層春は遠からじ♪」


 そしてアリアはその波長が限りなく神様に近い。

 更に複雑化していく魔方陣を一切の躊躇なく書き進めていく。

 色と嘘を重ねれば黒くなるように、魔方陣も重ねれば相互干渉を起こす。

 数が増えれば増えるほど、予期せぬ失敗を産むもので、一般に1,2個。

 大魔術に数えられるものですらせいぜい多くて6~8個程度、それも慎重に練りに練り上げられ長い時を掛け作り上げる。


「2つ離れた三つ子の兄弟。同じときは歩めない♪」


 今ざっと数えるだけでも15の魔方陣が重なる。

 少しでも魔術を囓っていれば、これがどれだけ貴重で人間離れした技術なのか、そして魔術師として埋まることのない差をわからされる。

 セイラは15と言わず、もっと早い段階から吐き気を催していた。


「流れ流れどこへゆく。毒も喰らわば薬へと♪」


 それらすべてを丸っと大きな円で囲ってひとつに無理やりまとめる。


「これにて完成。さぁさぁ、おーねがい。かーみさま♪」

 自身の指を切り、血を数滴招き猫へと垂らす。


「奇跡はここに成った」

 にゃーんという効果音と共に招き猫が弾ける。

 散った破片から魔力が漏れるように陣を満たしていく。

 いずれ完全に満ち、それすら終わるとおおむね成功、という形で儀式が終了する。


 儀式自体は成功したが、完全という訳でもなく特に酷かった左腕には、まだ裂けたように縦に大きく傷が残る。

 右腕も不自然さはないものの、痣が残る。

 あとは自然に回復するのを待つだけだが、痕はどうしても残るだろう。

 ただそれ以外は細かく見れば傷も多いがだいぶ薄い。


 そして、これだけの大魔法にはもちろん代償が存在していた。

「今後の人生、一生ツキが回って来なくなっただろう」

 縁起物を割って、無理やり死の因果から切り離す様に生き残った唯は、元来持っている性質がひん曲げられた。

 その結果唯は、生きてる限りツキが離れていくという呪いを受ける。


「まぁ、生きてこそだろう」

 はぁー、疲れた。と大の字で横になるアリア。

 これほどの事を成し遂げて尚、疲れたの一言で済むのだから化け物である。


「アリアさん、もうじき夕暮れです。一旦拠点に戻って明日帰りましょう」

「あぁー…。そうだな」


 セイラは唯をお姫様抱っこで抱え、そして思う。

「…ロビンさんにヒントを貰って結局何も成せなかった」

 戦い抜いた唯を見て、アリアとの魔術師としての格の違いをわからされ、認めて貰えても、それは追い付いた訳でもない。

 セイラのできる範囲をできた事に対する褒め言葉で、未だにその程度なのだと、だいぶメンタルに来ていた。


 ロビンはきっと成長途中だと言ってくれるだろう。

 アリアはお前の強みはこれじゃないと言うだろう。

 唯はセイラ君は、器用で何でもできるじゃないですかと言うかもしれない。


 けどセイラ自身が弱いままであることを肯定できない。

 劣っている事を認め受け入れられないのも、結局自分自身だということも分かっているがそれでも。

「強くなりたい…!」

 結果何も成せなかった、最後も動けなかった、考え付く限りを尽くせなかった。

 万感の思いをのせ呟く。


 二度と誰にも傷ついてほしくないと、少年は決意を新たに固める。


 ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー

「円陣をこうして、こう!」

 少女は苦手を克服するため魔術を学んでいた。

 器用に足で円を作り、昔セイラが戦っていた時を真似して、略式様の札を使って魔術を発動させていた。


 しかし、少女が実際に行ったことは、この世界で最も簡単な魔術で、魔方陣に魔力を流し循環させる。

 ただそれだけの魔術。

 循環した魔力が、略式様の札に流れ魔術が発動していると、言い換えるのが正しい。


「ふぅーん!」

 なんとも気合いの感じられない声だが、踏ん張って踏ん張ってようやく出たのは、小さな水溜まり程度。

「お前さん、ほっっと才能がないのぉ」

 ほっほっほっと、笑いながら分かりきっている事を改めて言われる。

「わかってます!セイラ君ならもう少しうまく…!」


 何事も成功のイメージと過程を連想し、繋がらなければ成功しないと少女は考えている。

 身近なイメージとして、よく知る少年を真似してみるは良いものの、一向に掴めない。


 ふぅーん!と改めて踏ん張るが、どうもやはり才能がないらしい。

 昔、魔術に寛容がどうと聞いたが、物事には向き不向きがあり、どうやら少女には向いていなかった。

 ただ、向いていないというだけではやらない理由にはならないのが、少女の置かれている境遇だった。


 時間もそう多くは残ってはいない。

 少女がもしもう一度失敗すれば、今度こそ世界は滅びる。

 あまり広くない背中に、重たく大きいものを背負っている。

 最後の最後まで、できることをやり続けなければならない。

 弱点などない、パーフェクトヒロインにならなければならないのだ。

 ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー・ーーーーー

あとがきです!どうもなつみんです。

常日頃から耳なりに悩まされ、朝起きれば変な時間で毎日睡眠不足。

かと思えば休日寝ていれば丸一日寝ていて、無為に過ごすこともざら。

それでも私は元気です!

とまぁ、近況報告等はこの程度で次回予告にさっと。

予定してたお話だと、この後唯の腹を捌いてぐちゃぐちゃの内蔵を摘出するお話を書こうと思っていましたが、ぶっちゃけめんどくさくなっちゃったので割愛。

そういう事が起こってたんやなせたかしって思ってもらえば幸い。

まぁ、作中で触れる事は特にないと思われ。

ちゃっちゃとアンティーノのギルドに戻って、さっさと湯治させに向かわせたい今日この頃。

次回投稿がいつになるかは知りませんが、なるべくはやくお会いできる事を切に。

次回8:湯治 3でお会いいたしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ