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ぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~  作者: なつみん
4:清帝国編
31/40

8:湯治 1

この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~ 8:湯治 1を読んで頂きありがとうございます。

結局一昨日中に投稿するとか言いながら遅れるって言うね。

はいすみません。

 セイラは料理をしていた。

 この壁挟んだ向こうでは唯がドラゴンと戦っている。

 少し悠長にも思えるが、唯を死なせない為にもどうしても必要な事なのだ。


 作る料理は決まっていた。

 すぐに栄養になって、尚且つアリアの好物である方が望ましい。


「…チャーハンが食いてぇ」


 確かにアリアはチャーハンが好きだった。

「えっ!アリアさん起きてたんですか!?」

「そもそも寝てねぇよ」

 上体を起こしながら、妙におっさん臭い動きで体ダリぃーとか言っている。


「それより、チャーハンだ。はやくしてくれ」

「あ、はい」

 セイラは急かされちゃかちゃかと食器や具材の準備を始める。

「オタク魔力不足でダウンしてたんじゃないのか?」

「どちらかというとだな、ほれ」

 ぼろぼろの上着を脱ぎ、肌着には大きく穴が空いていた。

 その下の皮膚には大きく割れたような痕こそ残っているが、ふさがりかけの傷を思わせる。


「腹に岩が刺さっていたんだよ。ギフトの能力で、一定以上の怪我を自己修復し始める。神の寵愛らしく、出来そうなことは大抵できる」

 もちろん膨大な魔力消費はしてしまうがと一言付け足したが、やはりメリットに対するデメリットがバランスを崩壊していた。

「いやぁー、それはオタクずるでしょ…」

 ロビンは半ば呆れ呟く。


 やはり本気で世界を救おうとする連中は、そいつら自身も化け物のような異常な力を持っているらしい。

「魔力が回復したらあんたも治してやる」

「…そいつはありがてぇ」

 本来なら現役引退物の大怪我の右足と左腕、それすらも治すと公言する。

 痛みで目を固く瞑りながら、まさに奇跡だと素直にそう思う。


「それよりまずユイだ。ユイはどんな状態だ?なるべく詳しく教えてくれ」

 セイラは調理を進めながら答える。

「全身に大小様々な擦り傷や打ち身裂傷があります。とくに酷いのが両腕で、左腕は肉が割けて筋肉の繊維が露出してました。右腕はパンパンに腫れ上がって色も変色してました。そして、何より出血が酷いです」


「…想像がつかん…。いや違うな、もし想像道理ならなぜ動けている?」

「…まるで、操られかのようにふらふらしているかと思ったら、急に技を使い始めたり、形容しがたい不安を感じました」

「ますますわからん」


「…ほっ、と。できました。チャーハンです」

 火の通りがいいようにと、一人前より少し多いぐらいで作る。


 至ってオーソドックスなチャーハンを作った。

 おにぎりにして保存していた米をほぐして使い、ホロホロ位に炒めた卵とみじん切りの玉ねぎとベーコンと絡めている。

 高火力でさっと仕上げることで、パサパサにするのではなくパラパラとした仕上がりになった。

 味付けも塩コショウと、アンティーノの4ヵ国大市で密かに買っていたセイラ達の地元の魚醤を、アクセントとして少量使っている。


 地元の魚醤が名産品なだけに、4ヵ国大市にも出品されるほどのもので良かったと思う。

 やはりないのとあるのとでは、味のクオリティーにも差が出てきてしまう。

 こんな非常時だが、やはり提供する以上は拘りたいという、元来の凝り性が産んだ逸品。

 そして何よりこれがセイラの作るチャーハンなのだ。


「どうぞ召し上がれ」

「いただきます」

 きれいに手を合わせ、作り手や食への感謝を述べる。


 そしてアリアは思う。

 初のドラゴンとの戦いで、ちゃんと生き残っている上に軽傷ですんでいるものだと。

 素直に立派になったとそう思う。


 昔の事を思う。

 サラの練度の高い軍すら進退を繰り返し、半壊の末に討伐を果たした。

 アーサーも腹を切り裂かれたりもしている。

 孝弘と鵜鷺も怪我こそ少なかったが、辛勝という表現が正しかった。

 アリアも一度灰となって死んでいる。


 とにかく誰も無事で勝ってきた訳ではなかった。

 連れてきた事や厳しく育ててきた事に負い目を感じない日はなかった。

 いっそ後悔と呼んでも間違いない程苦悩していた。

 そして今日こうやって、今ちゃんと息子が生きていることに感謝しかなかった。

 生き残る術をちゃんと教えられていたのだと、そしてセイラの血肉になっているのだとそう感じた。


「…!アリアさん大丈夫ですか!?」

「…うるせぇ!」


 何年ぶりだろうか。

 思い出すのも難しい程久しぶりに、涙を流していた。


「…生きてて良かった…!お前は強いよ」


 アリアはセイラを抱く。

 生きている事を確かめるように強く抱いた。


 面を食らった様に、目を白黒とさせるセイラだが母であり同時に師匠でもあったアリアから、お前は強いと太鼓判を押される。


 セイラは短いかもしれないが、誰よりも密に過ごしてきた15年を思い返してい。

 物心ついた頃から辛い時が多かった。それを嘆く暇すらなかった。

 連れて来て貰えた事が嬉しかった。もし無理だったならアリアは絶対に連れて行ってはくれなかっただろう。

 唯の才能に嫉妬した事もあった。そして、それすらもバネに努力もした。


 認められたのだ。


「…あり、がとう…ございます…!」

 普段の大人びた表情ではなく、年相応の15の少年らしく泣いた。


 アリアがセイラを抱いていると、巨大な物体が地面に墜落したであろう音と共にこの小部屋まで衝撃が伝わり揺れる。

 揺れたかと思うと今度は、唯が壊した部屋の壁から風が吹き荒れ、砂煙が入ってくる。


 暴風が止み当たりが砂煙にまみれたが急激に、すべての音が失われたかのようにピタッと静かになる。


『星空ノ大嵐 《ズヴィオーズナイ・ネーバ・ブーリャ》!!』


 唯の声が高らかに響く。

 その直後、この小部屋からみると反対側の壁に向け放たれる破壊の一撃。

 それは衝撃波や轟音となって、この部屋にも届く。


 その衝撃波が止むころにはすべてが決着していた。

「容態を確認しに行く。バックパックごと持って着いてきな!」

「はい!」

 倒れた唯と、格石だけ残し消滅したドラゴン。


 亀裂や崩壊した壁、柱が折れ崩れた回廊、爪痕の残る地面、溶けて原型を失った石畳。

 どこをとっても破壊の痕が熾烈な戦いであったと、すべてを物語っている。


 そして、血溜まりに投げ捨てられた様に唯が倒れている。

 白くふわふわだった髪はベッタリと服に貼り付き、あとからあとから幾重にも血を付け乾く暇すらなかったのだろう。

 両腕はどちらも機能を果たしていない。それぞれ違う風に壊れていて、まるで別々のおもちゃから腕を剥いで繋いだ様にすら見える。


 全身にびっちりと傷を付け、割けている。

 自分の力に耐えるために踏ん張った足は、自壊して内側から壊れていた。


 アリアが唯の容態をざっと確認しただけでも、外傷だけで数えることすら嫌になるほどだった。


「…すぐに処置する」


 アリアはそう言って髪を無造作に1房切って投げた。

あとがき!どうもなつみんです!


湯治と唄いながらその実セイラ達から見た唯の結末を

書くだけで終わるって言うね。

もちろん後々湯治に行きますよ。

まだまだ先にはなるんじゃがね。


とまぁ、そんなですが次回予告

アリア詠唱!

次回8:湯治 2でお会いいたしましょう!

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