7:ドラゴン 決戦・真 6
この度はぶれいぶすとーりー!2~佐藤唯は勇者です~ 7:ドラゴン 決戦・真 6を読んでいただきありがとうございます。
一応はドラゴン編完という事で、感想やレビュー、評価頑張った私へしてくれてもいいんですよ(チラッ
冗談半分です。
では本編どうぞ
唯の猛攻と、ゾンビのような勝利への執着に、ドラゴンは長く生きてきた中でも初めての経験をしていた。
圧倒的な捕食者、強大な力を持ち食物連鎖の頂点に立つ彼らドラゴンが、今喰われる側に立たされていた。
そして初めて死を恐怖していた。
ぬぐいされない根源的恐怖。
自身の死へゆっくりじわじわと詰められ、そして半歩外は崖のような窮地へと、王手が掛かった。
小娘にも相当な数を打ち込み、なんなら小娘の方が死に体のはずだ。
それでも、賢い生き物としても知られるドラゴンが、生き延びる事にしか頭を回せないほど追いやられている。
屈辱以外の何者でもないだろう。
しかし命有ってこそのと、懸命にも逃げることを賢く選択する。
所詮人間には翼がないのだ、飛んで逃げれば追い付くことはできない。
そうドラゴンは踏み、攻撃の合間に飛び去るタイミングを見計らっていた。
そして唯は、飛び去ろうとする瞬間をずっと狙っていた。
今の覚醒状態になってからの、今までの攻防の間中ずっとだ。
今こそ人間は飛ぶ鳥を落とすように、ドラゴンを本当の意味で地に落としてやろうと算段していた。
もちろんだが、唯は高くジャンプ出来ても、空を歩ける訳ではいし飛べるわけでもない。
ある一定高度にまで瞬時に飛び上がられてしまったら、みすみす逃すことになる。
しかしそんな逃げることに一瞬でも使えば、今の唯なら2度は殺す。
そういう風な空気感で牽制をして、実際にやってのけるつもりだ。
その牽制は確実にドラゴンの思考と行動を慎重にさせ鈍らせ、やってのけるという気迫は逃げ腰を誘発させ焦りを産ませていた。
闘争の歴史は簡単で、強い方が勝ってきた。
もちろん腕っぷしの強さも大事だが、もっと大事なものがあった。
それは、わたしは強いという自信で、戦いにおいて強く勝ちやすい選択肢を選びやすくする。
また逆に、負けるかもや勝てないという、負の感情は弱く負けやすい選択肢を選びやすくする。
この感情の微妙な揺らめきは、高度な知能を持ち牽制やフェイント、選択をする生き物間では非常に有効になった。
そしてこの感情のパワーバランスは、時に戦いの間ふとした瞬間にも入れ替わることがある。
唯とドラゴンのようなケースでは、先に力量差を感じ及び腰だった唯は、一度死にかけた。
リベンジマッチ後明らかに唯が優勢だったのは、捨て身ともとらえれる獣のような執着がドラゴンを恐怖させた。
その恐怖が、死に体な小娘なぞという慢心と相まり、勝敗まで読みきられる結果を生んでしまった。
こうなった今、ドラゴンの取れる選択肢は、自ら弱い方へと絞ってしまっていた。
そうなってくるとあとは唯の技量次第で、戦況は自在に操れる。
読んで誘って受ける。そしてまた読みきる。
その際にあえて飛び込みやすい隙を作ってやる。釣れたら叩く。
体格差や本来のパワーバランスは圧倒的に唯が不利。
そしてこの戦いを有耶無耶にする権利すら本来、ドラゴンが飛んで逃げるだけだったので有していたはずだった。
しかしすべてが逆転し、すべての権利が死に体な小娘の掌で踊らされ、思考のタイミングや考えることすら自由でなくなってしまっている。
そしてその事にすら気づけない。
先程まで倒す事にも一部注いでいた思考すら完全に放棄して、ドラゴンは唯に背を向け逃げ出す。
これではもう、少し大きいだけのトカゲのようになってしまった。
背を向け走りだし、助走のままに飛び上がる。
唯はそんな情けない背を追いかけ、飛び上がったタイミングで尻尾を掴みあえて空に投げてやる。
その空の領域ですら、わたしの掌の中だと教えて上げるように。
本来逃げるために飛び上がったはずが更に空に投げられ、空中での姿勢を乱してしまう。
1,2もなく逃げ出す為には、こんなところで姿勢を崩すわけにはいかない。
必死に姿勢を戻すべく羽ばたく。
しかし、それではもう遅かった。
もっと早く逃げ出していれば、たった4人と侮らなければ、早くから本気を出していれば、死に体と放置しなければ。
ドラゴンに後悔が走馬灯のようにめぐる。
唯は構えを完全に終えていた。
左足を地面に食い込ませ、これから自身の発する攻撃の余波に備えるために。
右手に魔法もチャージ済み。いつでも発射できる。
あえて届く範囲に投げたのだ。
ほんとはもっと遠くへ投げれただろう、なんならすぐに地に叩き落とすことすらできただろう。
そうする方が万が一逃げられる事もなかっただろう。
でもそうはしなかった。
これは因幡の血。
遠い遠い空にいる神を地に落とし、蹂躙していた因幡の血。
上を見上げて生きてきた因幡の血。
脈々と受け継がれ、それは今までも向上心という形で、唯に強く根差すものだった。
一番になりたい訳じゃなくて、自分より上にいるものを叩き落としたい。
その結果副次的についてくるの一番であった、因幡の呪い
『讃美歌ノ嵐 《ギームン・ブーリャ》!!』
天に向け掲げた右手から、ドラゴンへと向け放たれるすべてを切り裂く嵐。
ドラゴンの羽を無造作に紙でも裂くよう切り裂き、硬かった外郭すらスポンジのように気楽に切り刻む。
飛行能力を失ったドラゴンは、最後の逃げ場と思いきっていた大空から、重力に従い地面へと叩き落とされる。
生き恥を晒すように逃げようとした。それすらも力でねじ伏せられた地に落とされる。
地に落ちたドラゴンへの判決の時。
その合図は今度は唯の左手へチャージが完了する時。
唯の発する膨大な魔力がそのまま流れ、土煙すらも流し去る暴風を生み出す。
先程よりも長いチャージに、今度はドラゴンが飛ばされないように踏ん張らされる。
『星空ノ大嵐 《ズヴィオーズナイ・ネーバ・ブーリャ》!!』
今度は右足を踏み込み、力みの取れた美しすぎるフォームで正拳突きをする。
同じ地へ伏すものへの手向けとして、今度のは慈悲すらなくすべてを切り裂く。
ドラゴンを外郭から細切れにし、この廃城の壁すらも突き破って大穴を開けてゆく。
更に向こうへと威力を底無しに上げ、直線上の森の木々をもすべて薙いでゆく。
ドラゴンを細切れにしきった頃には、長く大きなクレーターを1つ作り上げていた。
肝心の核石だけは、体の中央で肉を削ぐだけの威力では、破壊しきるには至らなかった。
しかし、それ以外が完全に消滅しては復活はもう望めない。
そして同時に唯も倒れる。
長かったような短かったような、唯とドラゴンの決着は勝者なしという形で終わる。
あとがき!どうもなつみんです!
唯の必殺技?的なやつなんですけど、直訳も直訳でただのロシア語で単語そのままって感じです。
一応は意識が有って、キャラごとにパーソナルカラーと国のイメージがあります。
唯や鵜鷺だと、白と赤、ロシアっぽい感じとか孝弘は黒、日本とかね。
もちろんロビンやアリア、セイラにもイメージはあります。
いちばん分かりやすいイメージが、アーサーがアメコミヒーローですね。
その辺もおいおい語りたいです。
あと実は投稿済みの話にもちょこちょこ編集を加えています。
読みやすくなってたらいいんですけどね。
この辺で次回予告。
唯達一行以外のキャラにも焦点を当てて話を作りたい。
8:唯の湯治編(仮)でお会いいたしましょう!




