4:ギルド下編 3
この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~4:下編 3を読んでいただきありがとうございます。
たぶん今まで一番影の薄かった唯の相棒的存在、ロビン回につながるための回みたいな感じです。
わりかし引き的にはいい感じの場所じゃないでしょうか?次回気になりますよね?えぇ、なるはずでしょうとも。たぶん。
とまぁ、そんな感じのシリーズですが応援していただけると幸いです。
第4章 ギルド下編 3
クラーケン。イカ型の超大型水棲魔物の総称。
小型のものでも、胴だけで10メートルを超える。この魔獣はこのビーチのように遠浅の海岸付近で、沖に出た船が襲われたり、海の寒暖の差による影響もなくとにかく幅広い地域で目撃されていた。
水棲の魔物は大型化しやすいが、その中でも顕著な例の一つだった。
「はーっはっはっは!ざっと胴だけで20メートルか!触手は倍以上。いいサイズじゃないか!」
アーサーは高笑いをしていた。今この場で武器もなく、ろくに戦えるのがセイラくらいなもので、ロビンも弓はないし、アリアも蛇腹剣・朱紅葉は置いてきてしまっている。
(しまった。帯と指ぬきグローブを装備していないです。これだと魔法が……!)
かなり風の魔法に頼った型を組んでいたのだとこの時自覚し、唯は装備がないときの対処を一切考えていなかった。
しかし、一旦取りに帰ろうにも触手をブンブンと振り回し一般人の観光客を襲っている。そん状況を見捨てるように流暢に取りに帰るなんてこと、ほかでもない唯自身が許さない。
「てーやぁ!」
「ありがとうございます!」
真っ先に全力で駆け、クラーケンの触手が観光客に当たりそうなところすんでの差で蹴り弾く。ブンブンと振り回す触手はそれ自身は軟らかいのだが、あれだけの長さをブンブンと振っている。それだけで、一般人に当たったら即死だろう。唯も膂力だけで対抗するが、それも一撃以上はかなりきつい状態だった。
もろに当たれば痛いどころじゃすまないかもしれない。
そんな嫌な予感をさせるには十分な威力を誇っていた。
そんな唯に激高したのかさらに触手を暴れさせる。一般人を逃した後なら一旦離脱できるかもと考えていたがそうもいかない状況に追い込まれる。
蹴り弾いた時に若干痛めた足をかばいながら、躱し受け流ししながら何とかしのぐ。
バチィゴォオン!!
上から来た触手を避けたところ、地面に触手跡が残るほどの高威力。単純に腕や足で受けるのもきつそうだと感じた。
「……ふごぉ!な、何事!?」
今目覚めた少し遠くのライトニング。なんてのんきなんだろうと唯は少しあきれた。
「はーっはっはっは!しかし、かなり怒っているね!ふん!」
アーサーはそんな高威力の触手の攻撃を避けたり躱したりしながら随所で殴っていた。膂力だけで言えばアーサーの比にならない程唯の方が強い。
しかし、問題はそんことではない。
単純に肉体強度で負けているから攻撃が通らなかったブラックアリゲーター。そして、スピードが速く当たった時のインパクトが大きいからこちらに帰ってくるダメージの大きいクラーケン。
質こそ違えどどちらもこちらの攻撃が有効打にならない、もしくは反動が帰ってくるという点では同じだった。
それをどうして平然と殴り返せるのだろか。疑問はこの一点。
「よっと、あぶねぇ。離れててしかも先読みが利くから避けれるけど、なんで唯はあれを避け続けれるんだよ……。化け物か?」
「おらぁ!」
唯からするとかなり後方にロビンとアリアもいた。一瞬ちらっと映った程度だが確かにアリアも殴り返していた。
アーサーの肉体だからこそできる芸当なのかと思ったがそうではないようだ。
明らかに肉体の性能だけ言えば群を抜いていいる自分にできないのに二人にはできるのか?泡沫のごとく疑問と対案が浮かんでは消える。
「フェンリル!」
セイラが触手の一本を凍らせる。その瞬間だけ触手を引き抜こうとクラーケンの動きが止まる。その瞬間を逃さず唯は、アーサーに声が届きそうなところまでに下がる。
「なぜ、殴れるのですか?」
「はーっはっはっは!それはね!こうだ!」
こうだと言われてもって感じではあったが一瞬感じた、帯と指ぬきグローブで風を起こすのに似た感じ。きっとこれがヒントなのだろうと確信めいたものは産まれたが、今この瞬間にできるものではなかった。
「やあぁやあぁ、立派なクラーケンだーねぇ。よっと」
ライトニングが触手を躱しながらロビンに近づく。
「ライトニングさんなら、一発でしょう?早いとこやっちまってくださいよ」
「ぼくもそうしたいんだけどねぇ、むりなんだぁー。今回ぼくはぁ、ただのテレポート役さ。アーサーさんは話が通じないけど、ぼくが手を出すなって言ってるんだ」
「それこそ、君ならどうとでもできるじゃないかぁロビン君」
「……」
答えない。ライトニングから唯一教えてもらった魔法。ロビンだけのとっておきの魔法。これ以外は魔術も魔法も扱えない代わりの一級品といったところ。
「んじゃ、ライトニングさん時間稼いでください」
「え!ちょ、ロビン君やめてぇ。あぁ!」
ロビンはどうやら今回一切やる気のない自身の師匠を肉壁にした。
二泊二礼一泊。これもライトニングがロビンに教えた込んだことの一つ。ただのルーチンだがこの行動に唯一の魔法を結び付けさせられている。
右手を掲げ、ロビンはありったけの魔力を込める。
バチバチと火花が散るように閃光が走る。
今現状唯一の攻撃力であるセイラは、フェンリルと共に触手を一本以本丁寧に切り落としていた。切り落とすというと少し語弊がある。実際には切れる位置に鋭利な氷柱を設置しているというのが正解だ。
しかし、だ。
「きりがない……!」
フェンリルと正式に契約しているセイラは、フェンリルを用いた魔術の行使に時間短縮、威力上昇、精度向上、使用魔力減少etc…
そんな状態のセイラでも、切ったそばから生えてくる触手に攻めあぐねていた。
しかし着実にヘイトが唯からセイラに集まっているのもまた事実。唯ならばこのペースでセイラに触手が集まるように成ればいずれ脱出できる時が来るだろう。
セイラのアシストもあり、唯は脱出の機会を探ることができるほどには余裕ができてきた。帯と指ぬきグローブさえあれば攻撃できるかもしれない。そうすれば多少は現状打破につながるだろう。
「……。わたしだって!」
唯は自ら脱出のチャンスを掴むために一計図る。右手側からの横なぎの一撃が来るこの瞬間に極限に集中した。唯の神懸かり的な動体視力で世界は失速する。
横なぎの一撃に対しイナバウアーさながら背を反らしギリギリの位置で躱す。唯の上を過ぎる瞬間、右足を蹴り上げ体をひねり触手に唯の方から絡む。巨木の幹のように太い触手に掴まりそれを体のひねりと膂力のみでねじり切った。
その断面はぐずぐずで、すっぱと切れた時よりも回復が遅いようだ。ほんのわずか数瞬のみ数が減れば唯は離脱が可能。
「アーサーさん。あとお願いします。」
「はーっはっはっは!まじかー!だが、任された。ここは死守しよう!」
唯は脱兎のごとく戦場を離脱した。
普段の飾りっ気のない弓ではなく、サイトやスタビライザーなどの大きな付属品。見事にアーチェリーの弓のようだった。
普段の飾りっ気の無さから考えられない程豪奢な装飾を施された一品。イェンチェ・クルーガーがロビンに弓を渡した時におもちゃと称したのも納得のものだった。
「魔導弓・明光」
ロビンの唯一の魔法、どこにあってもどこにいてもこれを取り出すだけ、たったそれだけの魔法。これさえあれば、その程度で十分なのだ。しかし魔法や魔術の才能がないロビンにとってこれを覚えることこそ重要だったのだ。
だからこそ、ものぐさな師匠に師事したのだ。世界に数人しかいない魔法使いの一人に。
「おぇ、ぎも”ぢわ”る”い”」
キャパオーバー。この魔術を使うとロビンは吐きそうなほどの頭痛にかられる。
んじゃ端からその弓で戦えばいいじゃないかってなるがそれこそ無理な話なのだ。この弓は世界を旅する弓。持ち主こそロビンなのだが、ふっらっとこの弓は消える。そんなふらっと消えた弓を無理やりロビンの手元にひきずってくる。
燃費は悪いが、その分高性能。スポーツカーみたいなものなのだ。
この度はぶれいぶすとーり!2 ~佐藤唯は勇者です~4:ギルド下編 3を読んでいただきありがとうございます。
この場を借りてまずは謝罪。
今まで、大変読みずらい作品を掲載していしまい申し訳ありません!小説を書く以前に書き方のルールや、なろうにおける読みやすさを度外視した作品作り重ね重ね申し訳ありません!
ですので、今後今まで掲載していた作品を分割する作業を時々します。もしその作業中にかち合ってしまった読者の方がいらっしゃったら、ご容赦願います。
今後ともより良い作品を作るため精進する所存であります。
よろしくお願いします!
そんな感じで次回予告。
VSクラーケン戦再終幕。ついにロビンが活躍?
そして夜には……。
とまぁ、そん感じで書き進めようと思っておりますのでシリーズ通して応援していただけると幸いです。




