4:ギルド下編 4
この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~4ギルド下編 4を読んでいただきありがとうございました。
すみません。投稿遅くなって。ちょっと忙しくて、というのもあったんですけどなかなか書き進めれなかったです。
これで長かったギルド編の終幕です。
とまぁ、こんな感じのシリーズですが応援していただけると幸いです。
第4章 ギルド下編 4
ロビンが気持ち悪さに咽びく中、唯は更衣室に駆けていた。そう遠く無い位置だが唯は悩んでいた。
男子更衣室に入るか否か。
男子更衣室にならセイラのレイピア、ロビンの弓、それにアーサーの鎧に剣。武器がある。もちろん女子更衣室のアリアの蛇腹剣・朱紅葉と唯の魔法具である指ぬき手袋と帯は取ってくるのだが。
うーん、年頃の女子として男子更衣室に入るのは……、でも~……、更衣室手前で悩んでいた。明らかに不審者然とした唯に、クラーケンから逃げてきたと思われる人々が一瞬チラッと見てから去っていった。
あーでも、こーでも、どーでもないとたっぷり悩み、
「えぇい!ままよ!」
どうとでも慣れ的な意味を込め唯は覚悟を胸に足を進めた。
「ユイのやつ遅くないか!?いい加減拳を魔力だけで覆うのも疲れるんだが?」
アリアはキャパオーバーで微妙にダウン気味のロビンとライトニングを守りながら独り言ちっていた。
「相変わらず魔力の絶対量が少なすぎるねぇ。そう増えるもんじゃぁないけども……!ひゃああ!!」
ロビンに一方的にヘイトを押し付けられたライトニングは、何とかぎりぎり触手を避けれていた。
ライトニングは体を鍛えているわけでもない、身体能力が高いわけでもない、歳ももうじき50のオッサン。
ただの魔法使いに過ぎないの彼では触手が当たれば即お陀仏。
「……ふう。まぁ、そういうもんですからねぇ……うっぷ!」
ロビンは吐き気と戦いながら足腰をふらつかせながら何とか立ち上がった。
「すまん、アリア……。もう少しだけ時間をくれ」
「おう。たぶんもう少ししたらユイも帰ってくるだろうし、無茶しなくてもいいぞ」
「……まぁ、せっかく呼び出したし存分に働いてもらうさ」
ロビンは再び弓に力を籠める。弦を命一杯引き一射の準備をする。しかしそこに矢はつがえられてはいない。
クラーケンが暴れ狂いあちらこちらに触手が当たる音が響く。
その中、ロビンの周りだけはロビン以外に音の発生源がないかのように静かに時が流れているようだった。
そのままロビンは弦を空のまま射る。
すると、ビンとよく張られた弦の音だけが少し響く。
ロビンの目線の先の触手がグジュとちぎれ飛び勢いのまま海に落ちた。
「ふぅ……。こんなもんだろう」
思わぬ伏兵に驚くクラーケンをよそに、ロビンは再び静かに一射構える。
「ロビン君そんなところ撃ってもダメだよ。漏斗溝ちょい下くらいを狙うんだ」
「ライトニングさんどこですそれ?」
「人間でいう眉間みたいなところさ」
といっても狙おうにも触手が暴れ狂い的が絞りずらかった。
ロビンは構えを上の方に向け射った。
「おぉ!あれはロビン君の必殺技!インビジブルレイン!」
「ライトニングさんそれ恥ずかしんでやめてもらっていいです?」
「あ、あれは!ロビン君の魔導弓・明光は戦闘において二つの能力を発揮する。一つは矢の不可視化!もう一つは矢の複製!この二つを合わせた技インビジブルレインは読んで字のごとく不可視の矢が雨のように降り注ぐぅ!」
「いや、ほんと恥ずかしんでやめてもらっていいです?」
ライトニングは誰に向けてか説明口調の仰々しいセリフ回しでロビンの弓の能力を説明した。
たった二つの能力。不可視化と複製。たった2つだが、最強の2つ。
遠距離からの狙撃能力の向上と不足しがちな手数の増強。ロビンはこの2つでかつてフェンリルグランとルーノ王国間で起きた戦争を終結させたのだ。
ロビンの矢がクラーケンに対し降り注ぎ触手が弾けていく。暴れ狂っていた触手は弾かれ細切れに肉片が飛ぶ。
辛うじてクラーケン本体は不可視の矢を、肉厚な外套部とひと際太い2本の触手で、自身の急所への攻撃を防いでいた。
攻撃が終わった時にほとんどの触手を失ったクラーケンは、触手を生やさそうとするが今までに比べ明らかに回復速度が落ちていた。クラーケンもかなり消費している。
今が好機と、そのタイミングをセイラとアーサーは逃さなかった。
「フェンリル!」
セイラはフェンリルの氷柱で自身から近いほうの触手を貫き落とす。ズルズルと片方の触手は海へ飛沫をあげながらそれに見合う落下音と共に落ちた。
もう片方はアーサーが、フェンリルの氷柱や生えかけの触手を足場に、外套部まで駆け上がり、吸盤で貼り付く触手を力で引きはがした。
「はーっはっはっは!今だよロビン君!」
「えぇー、わかってますよ……!っと!」
今度はまっすぐに漏斗溝めがけ、力一杯に引き絞り狙いをつけ放つ。
今までの射撃とは比べ物にならない風切り音で、高威力高弾速で矢を飛ばす。
誰一人として矢の軌道が見えるわけではないが、射貫けると確信の持てる力強い一射だった。
クラーケンの漏斗溝に、向こうが見えるほどの、握り拳大の風穴が空いていた。
風穴から、その巨体さからは少量のイカ墨を噴出させながら、クラーケンは倒れた。
「おみごとだぁーねぇ。ロビン君」
「ありがとうございます。にしても、……疲れたぁ!」
ロビンはその場で尻もちを着き、やり切った様にロビンはそのままの勢いで大の字に寝転んだ。
「はーっはっはっは!やるねぇ!ロビン君!流石は千里眼の持ち主と、いったところかな!はーっはっはっは!」
「ちょ……!アーサーさん、離れてください!墨が付くから!」
ロビンが撃ち抜く瞬間まで触手を掴んでいたアーサーは、イカ墨をもろに浴び全身真っ黒の状態セイラの肩を組んだ。
「はーっはっはっは!何を言っているのだね!強大な魔物を倒した後はみんで喜びを分かち合うものじゃぁないか!せーの!イエーイ!」
「……はぁ、もう!……そうですね!イエーイ!!」
そういってセイラを真正面から抱いた。
これは洗い流すのが大変そうだと、あきらめた様にセイラはため息をつき、空元気気味に声を出しアーサーを抱き返した。
「……お待たせしました!これで私も戦力です!さぁ!反撃といきましょう!」
「遅ぇよユイ。もう終わったは」
「そんな!なんかわたしいつもこんなじゃないですか!?」
結局唯は男子更衣室に入ったが家探しするのもちょっと恥ずかしかったので、武器も何も取ってこなかった。それどころかアリアの蛇腹剣・朱紅葉も取ってこなかった。
当たり前なのだが、武器なんて物騒なものは更衣室には置いていなかった。専用に別の場所に預けていたのだった。
結局その別の場所もセイラとアーサーが一括で預けに行ったので、その場所も分からずじまい。
無駄に時間だけを浪費して、自身の装備だけを取ってきただけに終わった。
「はーっはっはっは!ヒーローは遅れてくるそうだが、いささか遅すぎたようだね!」
「ははは。ま、まぁユイさんも観光客を救っているので大丈夫ですよ?」
「あらゆる意味でお嬢はヒーローだな」
アーサーとロビンににやにやと冷やかされ、セイラには結局よく的を得ないフォローを入れられる始末。
「もう!ドラゴン退治こそ私が活躍してみせますよ!!」
「期待してるぞお嬢」
にやにやとロビンに言われさらにぷんすかと怒る唯だった。
一行はアンティーノ共和国のギルドに戻り夕食を取っていた。
「はーっはっはっは!結局負けてしまったね。セイラ君!」
「……。ははは……」
「お願いです……!もう忘れてください!」
クラーケンを退治し終え、決着がまだついてないないとビーチバレーの続きをすることになった。
セイラ・アーサーチームが8点。唯・アリアチームが9点の時。
決勝点は衝撃的ではあったが実に呆気ない終わり方だった。
セイラのサーブがクロス気味に唯のいる側のコートの最奥の隅、ライン際の厳しいコースに入った。
戦略として、唯が捕り打つという作戦を展開している関係上、唯はコートの中央寄りに構えていた。結果一番遠い位置に落ちる。
さらに運が悪かったのが、手元付近でさらに外に流れるようにサーブが流れた。
それを捕りスパイクの助走を素早くとるためにローリングをした。これが致命傷だったのだろう。
アリアは難なくトスを上げ、唯はそれを最高打点で打とうと飛んだ。そこで悲劇が起きた。
「……!?きゃぁーー!!」
水着のトップスの方がはだけた。
それのせいで唯は当てそこないのヘロヘロのスパイクを打ってしまった。
ブロックに飛んでいたアーサーの手にちょろっと当たった。
それをアリアがフォローしセイラ側のコートにぽとっと返してゲームマッチ。
一進一退の熱いシーソーゲームをしていただけに、最後は実に衝撃的でそして呆気なかった。
「はーっはっはっは!まぁ、いろいろあったが実りのある一日だったんじゃないかな?」
「たしかに、まぁーいろいろありましたねぇ」
ロビンは色々なことを思ったのだろう。
そして唯自身も実りがあった。
アーサーやアリアが打撃で高速の触手に打ち負けない理由をチラッとだが見えた気がした。
きっと今唯の頭にある考えが、この世界での戦いに必要なものだと確信めいたものを得た。
「……はい。そうですね。とても参考になりました」
「はーっはっはっは!そうかね!それはよかった。せっかくじゅんb……。ゲフンゲフン!バカンスに行ったかいがあったというものだよ!」
あぁー、やっぱり仕込みだったんだー。と一同によぎった。
わかりきっていた事だけに突っ込みを入れる気分にもならなかった。
「……はーっはっはっは!それでは私たちはここでお暇させていただくよ!すまないがドラゴン退治の方頼むよ!ライトニング君では帰ろう!」
「うん!相変わらずうまいなぁ!ぼかぁ昆虫食大好きなんだよ!」
食べかけのライトニングを引きずってアーサー達は帰っていった。遠くで一緒に怒られてくれよ?とアーサーの情けない声が少し聞こえた。
「んじゃあたし等は3日後に出発しよう。だいたい目的地までまた馬車で4、5日かかる予定だ。おそらくかなり強力なドラゴンだろ。アーサーからの依頼だ。かなりきついものになるだろうからしっかり準備していくぞ」
いつになく真剣なアリアに唯はいつもより少し姿勢や居住まいを正し顎を引き頷いた。
この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~4:ギルド下編 4を読んでいただきありがとうございます。
あとがきですよ!あとがき!どうもなつみんです。
投稿遅くなってしまい申し訳ありません!さぼりですね、これだけ遅いと!
次回はなるべく早くとうこうします!たぶん。頑張る…よ?
そんな感じですが次回予告。
そこそこ長めのドラゴン討伐編。
強大なドラゴンの前にピンチ!?どうなる一行?
みたいなキャッチコピーで書いていきたいと思います!
とまぁ、そん感じで描き進めようと思ってますので応援していただけたら幸いです。




