3:ギルド中編 1
この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~3:ギルド中編 1を読んでいただきありがとうございます。
ぶっちゃけますと、正直書きにくくて勝手に設けた締め切りに無理に間に合わせただけっていう。なんでいつもより文章量は少なめです。
これも年末年始とか正月と挟んだせいです。もう少ししたらまともに書く時間が取れるようになると思います!
一応なんですけど、頭の中にぶれいぶすとーりー!2のどういう風に書き進めていこうとか、大まかなストーリーってのはもうできているんですよ?
まぁ、そんな感じでゆるゆるとしたシリーズですが、応援していだけると幸いです。
第3章 ギルド中編 1
一週間の船旅に唯はかなりグロッキーになっていた。
ルルアーノ州より出立した冒険者用の船には、他の冒険者も多く乗っているわけで、冒険者というものは基本的に、やはりというかかなり陽気な種の人間が多い。
そんな陽気なテンションが、人が苦手な唯は一週間毎日冒険者に絡まれていた。
旅立つ前にブラックアリゲーターのクエストを2日で攻略し、その後にストラードファミリーとの大立ち回りをしてしまったため、街ではちょっとした有名人になってしまっていた。
そんな渦中の唯たち一行はアリアは冒険者と酒を、ロビンとセイラはそこそこに世渡り上手なのでのらりくらりとしていた。
しかし唯はというと、絶賛コミュ症発動中のため反応が面白いからとおもちゃにされてしまっていたのだった。
「……はぁ~……。一週間ひどい目にあいました」
大きなため息をつきたくなる時もある。
ごねごねのぼろ雑巾のようにおもちゃにされていたのだから。
「あはは。災難でしたね」
「お嬢はもうちょい人とうまくやるすべを身に着けるべきだな」
「わたしはロビンやセイラ君と違いそういうのは苦手なんです!」
船から降りながら唯はこの一週間に対しはぁーっと再び大きくため息をついた。
まぁしかし、今日からはこのアンティーノ共和国にて冒険者として冒険をするんだ。
そしてその果てに、魔王を討伐する。そしたら今度は…。
当たり前のようにこの世界での未来を夢見た。
わたしはどうしたいのかと、すーっと心が唯が冷めていき、寒々しいものを感じた。
(ほんと、わたしどうしたいんだろう。)
「んあー、ようやくアンティーノ共和国についたな」
「そうですね!早速四ヶ国大市を目指しましょう!今からワクワクです!そして大市はどこでしょう?大市という割にはただの港町のような感じですが?」
「四ヶ国大市はここから南東に馬車で焼く二日ほど行ったところで、その近くにギルドがあるからだいたいこの船のやつらはあと二日は一緒だな!よかったなユイ」
ニヒルな笑顔と一緒に聞こえてくる他の冒険者の、よろしくな!ユイちゃん!とか、やったぜ!ふぅ!!とか、ユイちゃんかわいいよ!!とか聞こえてくる。
「もう、いやぁーー!!」
さてまた二日唯はおもちゃにされるのだった。
「じゃあな!ユイちゃん!どっかであったら、また飯でも食おう!それじゃ!」
ガハハと大きな声をあげる冒険者たちと別れる。
唯はどよんと沈んだ顔で、ふらふらと手を振って見送った。
そのころには、街にはぽつぽつと明かりが灯る家が増えてくる時刻になっていた。
「さてと。そろそろ宿を取りに行くか。もう遅いし、ギルドには明日向かうぞ!飯だ飯!」
この世界は娯楽に乏しく、睡眠や食事といったことにしかあまり楽しみを見いだせないが、それでも1,2もなく唯は食事という単語につられた。
元の世界にいた頃より、食事に娯楽を見出していた唯はより一層こちらの世界で食事に対しやる気を出すようになっていた。
「アンティーノ共和国の郷土料理とか食べたいです!どんな何でしょうか?ルルアーノ州は荒くれ家業の街って感じで肉料理に少しの副菜、時々魚が出てくるって感じでしたけど、大陸を渡るとやっぱりだいぶ食生活とか変わるんでしょうか?楽しみです!」
「まじで……?あたし苦手なんだよな……」
「僕もですね……。食べればどうってことないんですけど、口に運ぶまでが、ちょっと……」
「まぁ……。確かにな。苦手な奴はとことん苦手だよなあの手の料理は」
一様に目をそらす唯以外の三人であった。その反応に唯は首を傾げるばかりだった。
「まぁ、ユイが食べたいって言ったもんな。行くか」
やはり乗り気ではない3人に対し唯は小首をかしげ続けるほかなかった。料理が運ばれてくるまでは……。
「おまたせしやしたぁ~」
かなり活舌とか呂律とかがふわふわとした店員が大皿をもって来た。
先ほどから非常に香ばしい臭いが店全体に漂っていて、香りは非常に食欲をそそられるものだったが、いざテーブルに降ろされた料理を見ると。
「アンティーノ共和国の郷土料理といえば昆虫料理なんですよ……。特に、このカブトムシの幼虫のような芋虫は特に絶品とされています。ほかにも名伏しがたきGの素揚げや、バッタなどの佃煮などシンプルなものが多いです。そのせいで、もろに虫!って感じなんですよね……」
唯のロビンの肘から指の先までありそうな大皿いっぱいに芋虫みたいなのがのせられていた。
ただ平面的にのせられているわけではなく、立体的に山盛りだった。先ほどテーブルに置いた際にもごろっと2~3匹崩れ落ちてきていた。
「これもこれで見た目がかなりあれだからうっ!ってなるんだけど、名伏しがたきGはいくら調理されても根源的恐怖というかなんというか、うぶぅうっ!!って感じなんだよな……」
普段快活明朗傍若無人なアリアが、二の腕をこすり身を震わせていた。
そんな中、ロビンはひょいひょいっと自身の小皿に菜箸を使い器用に移していた。
「この手の料理は時間がたつと冷えておいしくなくなるから早めに食べたほうがいいぞ」
そういいながら10~15匹くらいを移した小皿を唯に渡してきた。
あまりというか、ほとんどというか、まったくこういった料理を食したことのない唯は皿を渡されるまで硬直していた。
「……。はっ!ありがと、うっ、ございます……」
形だけのお礼を述べロビンが取り分けた小皿を受け取った。
まじまじ見るとそのグロテスクさがありありと伝わて来た。
もともとは白かったであろう表皮は焼き色が付きこんがりとキツネ色になって、見た目は少し硬そうに思えた。
ところどころ中が透けて見えて、ここには内蔵みたいなのがあったのかな?ここは白っぽいけどここは黒い。
そんな見たくもない生き物としての存在感を発揮しているでっぷりとした腹部。
少し上に登ると移動のためにあったであろう、小さな爪の付いた腕。ぽつぽつと内巻きになった動体の内側に関節の沿うように付いたオレンジ色ぽい斑点。
頭頂部は黒というか焦げ茶のような色合いをしており、口の部分には少しばかりのキバのようなものがついていた。
「……いただきます」
小さくいただきますと述べるころには、唯の普段は感情をよく表すアホ毛がしなっとなっていた。
箸でつまむと見た目の印象からは程遠いぶにゅっ……。
っとした感触が箸越しに指先、腕、肩、首、そして脳までぶわっと伝わり総毛立つ。
「うっ……」
小さくうめくといつまでも箸で持っていても埒が明かないと一世一代の決心し、口に放り込んだ。
口の中では箸でつまんでいた時以上に鮮明にそいつの形を現していた。
早く嚙み切ってしまおうと思いそれをかむと、中からドロッとしたものが溢れてきた。
液のクリーミーさから白っぽい液を勝手に想像しながら、ゆっくりと噛みしめた。
するとどうだろうか、先ほどまではいやいやといった感じで食べていたが食が進む。
上質なクリームコロッケを彷彿とさせるではないか。
徐々にアホ毛の調子もあがってくる。
多少の嗚咽を漏らしながらではあったが、一匹を完食したころには食が進み二匹目に移ろうとして箸が止まる。
「……。見た目で完全に損していますね……。味は上等でおいしいのに……」
「まぁ。そういうもんだからな」
ロビンはひょいひょい口に運びむにむにと食事を進めながら答えた。
「おたくら、食べないのか?」
「……。あっ、いえ、いただきます」
「いただきます」
ロビンに勧められセイラとアリアも食事を始めた。
普段はセイラがアリアについていくといった感じだが、セイラにつられるようにアリアがいただきますと合唱していた。
大皿山盛り一杯にあった芋虫を完食するころには、ロビンを除く3人も多少の嫌悪感は薄れていた。
「んじゃ、食い終わったし明日は名伏しがたきGの素揚げにしよう」
「それだけは嫌!」
アリアの命いっぱいの抵抗のおかげで、名伏しがたきGの素揚げを食べずに済みそうだと少しほっとした唯だった。
登録のみにとどまり、実際にどれほどルルアーノの受付の館長さんに評価されているか知らずにいた唯たち一行は芋虫を食べた翌朝にギルドに向かった。
「冒険者・サトウユイさんですね。少々お待ちください」
「サトウユイさんはシルバーでセイラ・リーベルトさんはブロンズ階級での始まりですね」
「ロビンさんの評価なんですけど……。ギルド組織の上役の方で決めかねてるみたいで、暫定的にゴールド冒険者として登録されています。こちらの金の装飾の入った矢筒をお受け取りください」
「はぁ、まぁ。どうも?」
ロビンはあまり価値のあるものをありがたがらない。
理由はいくつもあるが根本には質素倹約な生活習慣による素朴さと、過去に斥候として生きた経験からだった。
貰ったはいいが、これからも今のボロボロの矢筒を使うだろうと簡単に推測できたし、実際に数日後には馬車の荷物の肥やしとなっていた。
せっかくの金の装飾の入った矢筒も、日陰で放置されては宝ではなくなってしまいそうだった。
ダイア、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ、カッパー、無星。ギルドは冒険者を7段階で評価している。
評価の基準だが、もちろん単純な実力も評価対象になるが、才能を見据えた評価をされることもまれにある。
唯とセイラの評価には、ルルアーノの受付の館長さんの鑑定眼のようなものが働いていて、才能を見据えた評価になっている。
一方ロビンの評価に悩んでいる理由の一つとして、呪いによる千里眼のおかげじゃないかと、評価を下げる側と英雄とはやし立てる側の2極化してしまったため、ロビンの評価にぶれが出ている状況だった。
「……現ギルド総括アーサー・ヴィクトリア3世殿下より、手紙が届いております」
この世界において文字とは所謂一種の呪いみたいなもので、簡単な文字を書くことぐらいはできる商人なんかもいたりはするが、文章ましては手紙を書くなんてことはかなり無謀な事だ。
手紙がこのように届くこと自体が珍しいを通り越している。
そのことに唯以外の受付さんを含んだ4人にいやでも緊張が走る。
「あ、はーい」
空気も読めずサッと受け取りびりっと封を唯は開けてしまった。
「ばか!おまっ!」
おっかなびっくりするように反射的に顔を覆うようにそらす4人。
何も起きていないことに恐る恐る顔をあげる四人をよそに、唯は丁寧に三つ折りにされた手紙を開き読み始めた。
「なになに……」
Halo.Ms.Yui Satō
君が手紙を開くことは知っていたから、君宛に書くよ。
まずは感謝を。この世界に来てくれてありがとう。勇者の素質を持つ者、佐藤唯。
私は君をルルアーノの街で見ていた。率直に言ってその時才能を感じた。
だが君では世界を救えない。
↳2枚目へ
まだまだ余白はあるのに次へと指示されていた。唯は紙をめくりながら少しむっとした。
(やってみないとわからないじゃないですか。)
君は実にわかりやすい性格をしているね!やってみないとわからないって思っただろう?
私にはわかるんだよ。悲しいことにね。
そこにいる千里眼のロビンは断続的に未来を見てるかもしれないけど、私は違う。
未来はぴったりと途絶えているんだよ。約9か月後にね。
これは私が死ぬからだ。私の死は人類の死と同義だ。
もちろんすべてを見れるわけじゃない。だあらこそ、これだけは言い切れる。
未来は無数に分岐していて、絶対滅びるってわけではない。
予測不可能な存在がいくつかあるからだ。
例えば君の父、佐藤孝弘が20年の猶予を作った時のように。
君にも私の予測の外の人間に成ってほしい。そう切に願っているよ。
君は半年後に魔王に挑み、そして死ぬ。
その時君は、勇者と呼ばれるにふさわしい器を持っている。
そんな君でさえ私の予測の範囲内を超えていない。
私はこれから半年間で人類延命のための策を弄する。
もう一度、予測できない君の父の力を借りることになる。
借りれなかったときは延命も何もないだろう。
そして最後に。君にも私の予想の外の人間に成ってほしい。
P.S.
I love you.Aria.
「……だそうです」
唯宛の手紙は、死の宣告文だった。
唯は半年後に死ぬ。アーサーの未来視はアーサー曰く完ぺきではないらしいが、それでも唯が死ぬことはほぼほぼ確定らしい。
それは文章からありありと伝わった。
あったこともない、胡散臭い手紙の主のことをすべて信じるわけではないが、こうも確定的に言い切られると唯も何も言えなくなっていた。
「わたしは、死ぬのでしょうか?」
みんな気を使って何も言えなかった。重い空気が流れる一行。
「……。きょ、今日のところは四ヶ国大市に行ってみてはいかがでしょうか?とても賑やかで、華やかで、もしかしたら興味の惹かれるものもあるかもしれません!ささ!行ってみましょう!」
追い払うように背中を押されそのままギルドを後にした。
この度はぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~3:ギルド中編 1を読んでいただきありがとうございます。
あとがきですよ。あとがき!どうもこんにちはなつみんです!
あんまり書き進めれなかったです!ごめんなサイ・サイシー!
何か小話を用意しとこうと思ったんですけど、なんの小話も用意できませんでした!というわけで次回予告。
今回アンティーノ共和国にたどり着き、ギルド組織の管理者アーサー・ビクトリアスから不吉な手紙を受け取り気落ちする唯。ギルド受付の勧めを聞き四ヶ国大市に向かう。そこでは……。
おっと、ネタバレになりますね?
そんな感じで次回も月曜日(1/14日かな?)をめどに投稿しようと考えておりますので、次回を楽しみに待っていただけると幸いです。




