生後1日目 5
そこは当然、雰囲気が冷たく肌寒い。名付けるならば、川べりの洞窟。汚くて仕方ない川とはいえ、そんな場所にあるのだから、寒く感じるのは無理もない。裸足であり、腰から膝上がなんとか隠れるだけの布きれしか身につけていないのだから、尚更。
しかし、そんな状況が俺の頭を冷静にさせ、慎重に洞窟を進ませた。入口から覗いた時に予想したよりも、洞窟の中は狭いように感じた。
入口から10歩も入れば、お天道様の光が届かず、自分の手元、足元すら何も見えない状態に陥る。
これは1度引き返して、たいまつでもこしらえるべきかと歩みを止めた瞬間⋯⋯。
ポッ⋯⋯
ポッ⋯⋯
ポッ⋯⋯
突然小さな明かりが灯り、洞窟の中を照らし始めたのだ。
ビカッと目が眩むくらいに明るいわけではないが、目の届く範囲を仄かに淡い光で雰囲気よく照らしてくれる。
場合によっては、お金を払って楽しむような事になれるかもしれない。
それでも不思議だったのは、周りの土の壁には明かりを点けるようなものがないこと。ろうそくなり、それこそ松明なり。それに、小さくもまあるい光は、僅かに空中をプカプカと泳ぐように飛んでいるように見えた。
まるで、お尻に明かりを灯した虫が命を宿しているかのよう。
そうだとしたら、何かお礼をしなければならない。
何も持っていないので、頬を赤らめながら、腰の赤ちゃんくるみ布を取ることしか出来ないが。
その瞬間、俺の周囲を照らしていた明かり達が一斉に俺の股間に結集した。我先に、我が1番初めの順番であると。たった1つの肉塊に猛獣達が唸りながら飛びかかるようだった。
見栄えのない、慎みがない明かり達に俺は憤怒した。
「何をしているんだ、君達は!はしたないぞ!ちゃんと役割を果たしなさい!!」
洞窟に俺の怒号が響き渡る。明かり達はシュンと落ち込みながら元の位置に戻る。心なしか、先ほどよりも明かりが弱くなってしまったような気がしたが、洞窟を進むには問題はなかった。
入口から40歩程歩いた頃だろうか。洞窟にある空気感が変わった。少し開けた場所に到達したのだ。
それまではもう少し両腕が長ければ、両側の壁に触れそうなくらいだった。それが今はキングサイズのベッドが余裕で置けるくらいの空間がある。
そこにあるのはベッドではなく、宝箱だったけど。石製の台座に乗った宝箱。俺の到着を待ち受けていたかのように。魔王城の地下の洞窟と言っていいその最奥で鎮座していたのだ。
しかも、すんげー縦長にデカいやつが。




