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クエスト

 リザードマン狩りから四日が経った。


 その際、一階二階のボスとも戦った。そして運良くスケイルリザードから水護りのリングを手に入れたので、レイナの指に填めてあげた。もちろん左手の薬指だ。


 他にもスケイルリザードは名前の通り蜥蜴の鱗をドロップした。

 リザードマンはレアが鱗で、通常が肉なので、毎回エルーダの酒場に持っていって調理してもらった。

 鱗は冒険者ギルドでも売買価格が一つ百MSと高値なアイテムだったので、結構な稼ぎになった。


 そうやって資金を得ながら、俺は暇を見つけてはギルドでジョブの習得方法とスキルを増やす方法を聞いていた。お金を取られるのが痛いが今後のための投資と割り切った。


 まずはアビリティやジョブについて。

 アビリティには一定回数使用すると変化する技がある。

 そういうタイプのアビリティは、変化後に変化前のアビリティをスキルとして習得することが出来るらしい。他にもいくつか条件を満たすことで習得できるスキルもあると教えられた。


 次にジョブだが、俺は今、旅人、魔法使い、狩人の三つのジョブを習得している。

 

 旅人のジョブは正確な情報が無いということでタダで教えてもらった。

 どうやら旅をしているといつの間にか習得することができるジョブと聞いたので、

 試しにギルドでヴァルド領の地図を購入して、隣のガーゼス領まで徒歩で行って来た。

 半日以上かけて領地の境を示す簡易な木製の柵を越えてジョブを確認したら習得していた


 このジョブを習得する時に初めて知ったのだが、どうやらこの世界には国という概念が存在しないらしい。

 迷宮が存在する土地は自然豊かで生活しやすい環境であることが多いらしく、そのため迷宮の管理と領地の資源の保護のために、大きな町を作り、その町の名前がそのまま領地の名前となっているそうだ。

 俺の世界で言うなら、首都と国の名前が同じというわけだ。


 旅人が使えるアビリティは【マッピング】だけという、普通の人から見れば残念なジョブな気もするが、マッピングは俺にとってはかなり使いやすいアビリティだった。

 

 なんとこのマッピング、頭の中に自分を中心とした一定範囲内を地図として見ることが出来るのだ。

 浮ぶ地図も普通の地図と同じ様に上から見下ろした形なのでとても見やすい。

 しかも誰かいれば色つきのアイコンで表示されるからすぐに見つけられる。

 流石に建物内の人物までは表示されないが、俺が建物内に入ってしまえば問題なく現れる。


 ただし本来はそんなアイコンは出ずに地図だけが浮ぶらしい。

 俺は解析スキルを持っているからだとすぐに気付いた。

 本当に解析はチート級に使いやすいスキルだ。


 魔法使いは戦闘中に一度はウィンド・トルネードを使うことで習得した。

 でも魔法は増えなかった。がっかりである。

 

 狩人はボウガンを買って毎日迷宮探索から帰ってから、永遠と木に向かって同じ矢を撃ち続けて習得した。矢もタダではないし、基本ボウガンも使用しないから、壊れるまでは一本でいいかと予備も買わなかった。


 習得できるアビリティは【ストライク・ショット】【命中率小上昇】の二つだった。 

 

 ストライク・ショットは矢が銀色に光って貫通力が増した。命中率は何が上がるのかちょっと分かりにくかったが、どうやら動体視力や視力自体が少しだけ上がったみたいだ。


 そう考えると攻撃力や防御力は一部の筋力や骨が強化されているのかも知れない。

 少なくともエーテル強度ではなく肉体そのものを一時的に強化しているのは間違いないだろう。


 新しいジョブを入手はしたが、装備ジョブはそのままにしておいた。

 魔人は変えても良かったかもしれないが、取り合えずレベル20まで育ててみることにした。

 それで変化がないなら旅人と魔法使いを状況に分けて装備していくつもりだ。


 そしていつものように迷宮に行こうと町の中央広場を訪れると、広場の真ん中に大きな木版が設置されて、そこに張り紙が張られていた。


「なんだ?」


 張り紙に群がる人だかりを遠巻きに眺めながら呟く。


「見てきましょうか?」

「お、いいね。あたいが行って来るよ」


 お祭り好きの獅子族の血が騒ぐのか、レイナが意気揚々と人ごみに消えて言った。というか押し分けて自ら潜り込んで行った。


 しばらくしてレイナが戻って来た。


「どうやら盗賊団が出たみたいだ」

「盗賊団?」

「徒党を組んだ盗賊の事です」

「なるほど、そのままか。で、どんな悪さしたんだ?」

「それが隣の領に向かって移動していた商団の馬車を襲ったらしい。人数は把握されていないが、荷を乗せた馬車が二台持ち去られたそうだ。あと護衛の兵士は報告に戻った兵士以外は死んだらしい」

「どこの世界にも悪い奴はいるもんだな。ま、俺達には関係ないし、態々首を突っ込む必要もないだろう」


 町を襲撃しに来た。とかなら戦いに行かなくもないが、正直見知った者が巻き込まれていないなら放置でいいだろう。


「そうか。一応早期解決のために町からのクエストって事で、褒賞金が出るみたいだが、ダーリンがそういうなら無視でいいか」

「え? 褒賞金が出るの?」

「ああ、盗賊団を倒せば十万MS。盗賊団のアジトを見つけて騎士団に報告すれば三万MS出すってさ」


 褒賞金は魅力的だな。特にアジトを見つけるだけで三万はでかい。

 戦いは多勢に無勢になったら困るので避けるとして、俺の能力ならアジトを見つけられる可能性は高い。


「よし。倒すまではしないまでも、アジトは探してみるか」

「確かにリザードマン狩りだけではまだまだ十万まで遠いですからね」


 という訳で当初の予定を変更して盗賊退治クエストへと向かう事にした。


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