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41.侯爵令嬢はもふ神様と一方的に絶交する

初めてお読みになる方はこのまま読み進めてください。


更新を待っていてくださった方へ

新第二部の初めにあたり、お詫び申し上げます。

まずは第三部で更新が止まってしまい申し訳ありませんでした。


少々、内容を変えて再投稿させていただくにあたりまして、第二部&第三部を削除させていただきました。


いきなり話が消えて混乱させてしまいましたことを重ね重ねお詫び申し上げます。


本日より毎日更新させていただきます。

更新時間は朝7時です。


話の流れは旧第二部の要素を加えながらですので、一部変更という形です。


新しい第二部をお楽しみいただけると嬉しいです。


活動報告にも同じことを書かせていただきましたので、ご覧いただけますと幸いです。


それでは、よろしくお願いいたします。

「レオンとは絶交ね!」


「何!?」


 なぜレオンと絶交することになったのか?

 

 事の起こりは、王都からグランドール侯爵領に帰ってきた日までさかのぼる。

◇◇◇


 王都のタウンハウスから領地へと帰ってきた私たち一家とクリスとトージューローさんは、息をつく暇もなく、神様たちの試練を受けることになった。


 領主館に着いた早々、結界を張った応接室に集められた私たちは用意された軽食と紅茶で一息つく。しばらくすると、神様たちが時の神様の空間から姿を現した。


 神様たちの試練の振り分けについては、レオンから説明があった。


「ジークとクリスは彦獅朗ひこしろうとともにライルの試練を受けるがよい。リオは我とともに森で試練を受けてもらう」


「え? 『風魔法』の試練ということ? ということはトージューローも一緒なの? どうせならリオと一緒にもふもふ君の試練を受ける方が良かったわ」


 クリスが不満気ふまんげに口をとがらせる。


「俺が一緒で悪かったな」

 

 ふんとトージューローさんも不満気に鼻を鳴らす。


「クリスは土属性より風属性の魔力が強いのだ。ライルから『風魔法』を教わる方がよかろう」

 

 クリスの魔法属性は土、風(雷)という鑑定結果だったからだ。雷属性付きの『風魔法』持ちは珍しく、魔力が強いとレオンから聞いた。


「そうなの? お兄様に土いじりがお似合いだと言われたから、土属性の魔力が強いのだと思っていたわ」


「王太子の小僧の鑑定眼では魔力量までは量れまい」

 

 ふうんと納得したようにクリスは頷く。


「お兄様の鑑定眼はたいしたことがないのね。分かったわ。風の神ライル様の試練を受けます」


「僕は師匠とともに試練を受けられるのであれば、異論はありません」

 

 お兄様は素直に頷いた。

 

 そして、お父様の試練なのだが、あらたに火属性が覚醒していることが分かった。お父様は元々『土魔法』のみだったはずなのだが……。


「まさかこの年で魔法属性が増えるとは思ってもいませんでした」

 

 神様の神眼で鑑定を受けたお父様は心底驚いたようだ。この年というが、両親は結婚するのが早かったので、まだ二十代後半と若い。


「グランドール侯爵家の者は元々魔力量が多いのだ。複数の属性を受け入れる器がある。アレクシスには火の女神であるローラの試練を受けてもらう」

 

 お母様は『氷魔法』で『水魔法』の派生魔法なので、水の神トルカ様から南の海に面した別荘地で試練を受けるそうだ。

 

 執事長とマリーは闇の神ダーク様の試練を受ける。意外なのだが、執事長の奥様は『闇魔法』の属性持ちだったらしい。


 トルカ様の眷属であるマリーは本来トルカ様の試練を受けるのが筋だが、マリーはあえて『闇魔法』の試練を受けることを志願した。執事長は奥様が『闇魔法』持ちだったという縁もあり、マリーとともにダーク様の試練を受けることなったのだ。


『闇魔法』はどちらかというと、諜報活動に特化しているような魔法属性だ。それが目的だと思われる。


 ダーク様は感慨深そうに言っていた。


「マリーが『暗器使いのアリア』の娘だったとはな。どうりで懐かしい気配がすると思った」


 執事長は元貴族で武門の名門フォレースター伯爵家の当主だった。ある日、執事長を狙って、忍びこんだ暗器使いがいたそうだ。彼女こそマリーの母である『暗器使いのアリア』と呼ばれる凄腕すごうでの傭兵だった。

 

 名門フォレースター伯爵家の当主と手合わせをするために『闇魔法』のスキルである影渡りを使って、自分の前に現れたアリアに一目惚れをした執事長はその場でプロポーズをしたそうだ。


 同じくアリアも執事長に一目惚れをしたようで、プロポーズを受けたそうだ。アリアは平民だったので自分も平民になる道を選び、執事長はあっさり弟に爵位を譲ると、アリアとともに旅立ったのだ。


 残念ながらアリアは産後の肥立ちが悪く、天国へ旅立ってしまった。正確には輪廻の帯に乗って来世へ旅立ったが正しいだろうか。


 私はあることを思い出し、ダーク様に対して疑問を投げかける。


「ちょっと待ってください! ダーク様、マリーに『闇魔法』を授けた時に二百年ぶりって言っていなかったですか?」


「忘れていた。気まぐれでアリアに魔法を授けたからな」


「……そうなのですか」


 マリーの隣にいるダーク様が悪びれた様子もなく、しれっとのたまう。気まぐれ姉弟神とレオンが言っていたけれど、本当にそのとおりだ。


「わたくしはリオに試練を与えるので、レオンと一緒に行うのじゃ!」


 レオンとフレア様の試練を同時に受けるのか。私の試練は一番難易度が高そうだ。



 領地に帰ってきた翌日、お弁当が入ったバスケットを持ってレオンとフレア様とともに試練を受けるため森へと向かう。


 朝、お弁当をクリスとマリーと一緒に作ったのだ。クリスは元々手先が器用なので、手際良く作業をこなしていた。料理にこだわりがあるマリーが褒めていたほどだ。


「レオンの試練はどういう内容なの?」


 先導しているレオンの長い尾が単体で意志を持っているように動いている。思わず掴んでみたくなる気持ちを抑えて、レオンの後ろ姿に声をかける。基本レオンは森に入ると小さな獣姿から獅子姿に変わるのだ。


 レオンは歩みを止めるとくるりと振り返る。


「『創造魔法』を使って一から何かを創り出すのを繰り返す。課題は自由だ。魔法を上手く行使するには経験がものを言う。おまえはまだ『創造魔法』を使い始めてから日が浅いからな」

 

 青色と金色の美しいオッドアイの瞳に見つめられ、ドキッとする。


「ローズガーデンを創造した時のように?」


「そうだ。何か造りたいものの構想はあるか?」


 少し考えてはっと思いつく。


「あの城跡を復元してみたいわ」


 元々グランドール侯爵家の城だったと推測されるあの城跡を復元したい。尖塔にマリオンさんの肖像画が飾られていたあの場所を……。


 だが、城跡を復元したいという私の願いを聞いたレオンのオッドアイがすうと細められ、厳しいものへと変わる。


「ダメだ」


 願いは虚しく拒否されてしまった。何度お願いしてもおそらく拒否されるのだろう。これ以上はお願いしても無駄だと悟った私は潔く諦める。


 ふいに胸に針が刺さったような痛みが走る。


 やはり、今でもレオンの心にはマリオンさんがいるのだ。彼女との思い出が残るあの城跡は、レオンにとって大切な場所なのだろう。誰にも触れさせたくないほどに……。


「……分かったわ。温室を作って畑を耕すわ」


 声を絞り出すようにそれだけ言うと、適した場所を探そうと森の中を駆けだす。


「畑を耕す!? なぜそうなるのだ? 待たぬか、リオ!」


 レオンが駆け出してくる気配がしたので、追いつかれないようにさらに足を速める。


「それと、レオンとは絶交だからね!」


 私は後ろのレオンに聞こえるように叫ぶ。


「何!?」


「全く女心が分からぬやつじゃ!」


 フレア様が呆れたようにレオンを叱っているのが、後ろの方から聞こえた。

◇◇◇


 木々の隙間から差し込む日の光は温かく、小鳥は歌うようにさえずり、頬をかすめる風は温かく優しい。実に心地のいい日だ。


「今日は農作業日和ね」

 

 小鳥のさえずりに合わせるように、鼻歌交じりで土を耕す。

 

 クリスからもらったイーシェン皇国からの献上品の種を育てるべく、森の中に温室を作り、その中に畑を作っているのだ。


「リオ、それは我への当てつけなのか?」

 

 そんなレオンの問いかけは無視する。


「この種を土に植えていけばよいのじゃ? リオ」

 

 種が入った袋を手に提げたフレア様が確認するように私の前に差し出す。


「お願いします、フレア様」

 

 耕した畑に作業服を着た私とフレア様は仲良くおしゃべりをしながら、種を植えていく。


「リオが反抗期だ!」

 

 獅子の姿でウオーンと遠吠えしているレオンは放っておく。 

ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] な!・・・・『絶好』が・・・・『絶交』になってる・・・ 喧嘩はするけど「もふ神様大好き」って意味だと思ってたのに
[一言] サブタイトルが『絶好』になってます 多分『絶交』ですよね?
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