SS・クリスマス企画:もふっとメリクリ!
クリスマス企画のSSです。
時系列でいうと、リオが子供の頃です。
あくまでもパラレルなSSです。
「クリスやトージュ-ローさんは? 他の神様は?」という突っ込みはなしでお願いします。
今まで大人しく異世界の本を読んでいたフレア様がすっくと立ちあがった。
「クリスマスパーティーをしたいのじゃ!」
「え? クリスマスとは何ですか?」
それまでレオンをもふりまくっていた私は、手を止めてフレア様に問いかける。
「クリスマスとはクリスマスツリーを飾って、飲み食いする日なのじゃ! 夜にはサンタクロースという聖人が子供たちにプレゼントを渡すのじゃ!」
フレア様は得意げにふふと笑って、腰に手をあてて解説してくれる。
「また、おまえは妙なことを……それは異世界の話であろう?」
レオンが額に肉球をあてている。
フレア様が掲げている本のタイトルは『サンタクロースのメリクリなプレゼント』だ。赤い服と赤い帽子を被ったご老人がトナカイの引くそりに乗って、プレゼントを星空に投げている挿絵が描かれている。
「クリスマスとやらは分からんが、パーティーをするのは賛成だ」
ダーク様がフレア様の影からひょっこりと顔を出す。ダーク様のお目当てはマリーの料理だろう。
◇◇◇
異世界のクリスマスは十二月二十五日だそうだ。
フィンダリア王国の暦とは違うが、年明け前の冬のシーズンイベントらしい。今は年明け前なので、異世界ではちょうどクリスマスくらいなのだろう。
「フレアの提案なんぞにのらなくともよいのだぞ、リオ」
「でも、クリスマスとやらは楽しそうだわ」
私とレオンはクリスマスツリーとして使うもみの木に飾りつけをしていた。ツリーハウスの近くにあるもみの木だ。木にはドライアドという樹木の精霊が宿っているので、木は伐らず自然のまま生かすことにする。
もみの木はまだ若木なので、宿っている精霊は少女のドライアドだ。少女のドライアドは飾りつけの手伝いをしてくれている。自分がドレスアップするみたいで嬉しいと張り切っていた。
飾りはフレア様の本を参考に私とレオンで創造した。色とりどりの丸い玉をところどころに飾り、金色のリボンを木に巻き、頂上には星の形をした飾りをつける。
「これで本のとおりになったかしら?」
『サンタクロースのメリクリなプレゼント』のクリスマスツリーの挿絵が載っているページを開く。
「うむ。これで良いのではないか?」
挿絵に近いクリスマスツリーの出来上がりに大満足だ。
◇◇◇
クリスマスパーティーの会場はツリーハウスだ。
外では雪がちらついているのだが、クリスマスツリーに彩りを与えてくれているので、なかなか風情があると思う。
「リオ、寒くはないか?」
「レオンのもふもふが温かいから大丈夫よ」
獅子姿のレオンが私を包み込むようにしてくれている。おまけにマリーが風邪をひかないようにと厚着をさせてくれたので、寒くはない。ちなみにマリーも防寒着を着ている。そして、もふもふな黒い狼がマリーを包み込むようにしてくれているので、マリーも防寒対策は大丈夫だろう。
フレア様はいつもどおりの薄着でも寒くないようだ。
トルカ様は亀様で寒さに弱そうだけど、あくまで亀様姿なだけで神様なので、寒くはないようだ。
レオンに聞いたところ、神様は体温調節ができるらしいので、どんな暑さ寒さも関係ないらしい。
「それでは、クリスマスパーティーを始めるのじゃ!」
嬉しそうなフレア様が開始の合図をする。神様たちは当然のようにお酒、私とマリーは温かい紅茶で乾杯だ。
参加者はフレア様、ダーク様、トルカ様、時の神様、マリーと私だ。
「料理を出すぞ。ピンポロリン」
マリーが作ってくれたクリスマスの料理を時の神様が空間から出してくれる。
オードブルにサラダ、チキン(本当は七面鳥というちょっと変わった鳥を使うらしい)の丸焼きを味わいながら、パーティーは楽しく進行していく。
ふと気づくと、レオンとフレア様の姿が見えない。フレア様が悪酔いして、レオンが外で介抱しているのかしら?
「リオ、寒いだろう? 俺のところにくるといい」
黒い狼姿のダーク様が前足でくいと手招きをしてくれる。ダーク様に包み込まれていたマリーはトルカ様のお世話をしていた。
よし! 黒いもふもふにダイブだ!
「ダーク様。フレア様とレオンはどこに行ったのかしら?」
「気になるのか? もうすぐ戻ってくるだろう。そこの皿の料理を適当に食べさせてくれ」
皿に山盛りの料理をダーク様に食べさせる。レオンの「あ~ん」も可愛いけれど、ダーク様の「あ~ん」もなかなか可愛い。
ふいに外からシャンシャンと澄んだ鈴の音がする。何事かとツリーハウスの扉を開けると、赤い服に身を包んだフレア様を乗せたレオンが宙を走ってくる。よく見るとレオンの頭にはトナカイの角がついていた。
「メリークリスマス! なのじゃ!」
「なぜ我がトナカイなのだ」
ツリーハウスに着地すると、ほろ酔いしているらしい赤い顔のフレア様と、不満気な顔をしたレオンが中に入ってくる。
「良い子のリオとマリーにプレゼントなのじゃ!」
背中に背負った白い袋からプレゼントらしき包みを取り出すと、フレア様はマリーと私に包みを渡してくれる。
「わあ! ありがとうございます、フレア様」
得意気に胸を反らすと、ふふんとフレア様が鼻を鳴らす。フレア様のこういう仕草は可愛らしい。
「今日はフレアサンタなのじゃ! こちらはトナカイレオンなのじゃ!」
トナカイ役のレオンは不機嫌な顔をしていたが、私を見るとオッドアイの瞳が細まり、優しい表情に変わる。
「私にまでご配慮いただきありがとうございます、フレア様」
マリーがフレア様に対して、カーテシーをする。
「うむ。二人とも開けてみるがよいのじゃ!」
フレア様に促されてプレゼントを開けると、赤い花のブローチが姿を現す。
「きれいですね。何という花ですか?」
「ポインセチアというのじゃ。正確には花ではなく、葉が赤く色づいて花のようになる植物らしいのじゃ。別名クリスマスフラワーらしいのじゃ」
そんな植物があるのか。今度創造してみようかな?
「ブローチの素材は宝石ですか? これはまさかピジョンブラッドでは!?」
マリーが驚きのあまり、悲鳴に近い声で叫ぶ。ピジョンブラッドとは最高級のルビーのことだ。私も驚いた。
「このような高価なものを一介の侍女である私がいただくわけにはまいりません!」
「心配せずともよい。それは我が創造したものだ」
レオンが創造したもの? ということはこれはレオンからのプレゼント!?
嬉しさのあまり顔が緩む。
「レオンが創造したものなら問題ないわ。マリーありがたくいただきましょう」
「……お嬢様がそう仰るのであれば。ありがとうございます、レオン様」
マリーは宝物として大切に保管しようと呟いている。
私はストールを留めるために使おうかしら? それとも赤系のドレスを着るときに使おうかしら? いやいや。レオンからのプレゼントを無くすのはいやだな。私も宝物として大切に保管しよう。
「ふふ。レオン大好き!」
もふもふなレオンの首に抱き着く。
「本当にませているな。お前は」
レオンをもふりながら、クリスマスの夜は賑やかに更けていった。
メリークリスマス!
皆様が素敵なクリスマスを過ごせますように!
ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)




