#4.アンドロイドのアイちゃんだよ~!!
異世界コンカフェも4日目の営業となり、
さすがにもう色々と慣れて来た今日この頃。
エリ様からの辱めについてはいまだに恥ずかしいけれど、
ボクはそれにさえ順応しようとしていた。
そんな時、また突然の来訪者が現れた。
━チリンチリン━
店のドアに付けられた呼び鈴が鳴らされる。
入って来たのは異質な質感の肌をした人物だった。
緑色のツインテールにメイド服、まではまだ良い。
肌の部分がどう見てもメカなのだ。
「え、お客様、えーと…ロボット、ですか?」
そう表現するしか無かった。
しかし、その身体はロボットと言うにはあまりに流線形で、
近未来な印象を受けた。
「あ、えーと…、アイって言います。
アタシ実はアンドロイドでぇ~、人々を楽しませる、
コンパニオン的な?仕事をしてるんですけど~、
ちょっとあまりにも最近愚痴りたい事が多くて~」
幽霊、妖怪、宇宙人の次は人工生命体…。
もはや異世界コンカフェの名前には収まりきらないくらい、
ここはオカルトの集積地のようになっていた。
「あぁ、え~と、そうなんですね…。
と言う事はお客様、って事で良いんですよね?
まさか、キャスト希望って事は無いですよね?」
その時、アンドロイドのアイちゃんはボクに飛びついて来た。
「キャー、何この猫耳ミイラ、きゃわわ~!!
え、何何、イジめて欲しいのかな~、こんなエッチな恰好して。」
「わ、え...と、あの、ボク、一応ミドフォーの男なんですが…」
「え~、男の子なのにこんなにえっちで可愛いんだぁ?
良いじゃん、アイそういうの好きだよ。」
あまりに積極的なアンドロイドの抱擁に、ボクは振りほどけなかった。
「アイちゃん、力強いんだね…。えと、愚痴りたいんじゃなかったっけ?」
「あーね、まぁその為に来たんだけどさ、店長さんがあまりに可愛くて。
ねぇ、お尻に指入れてあげよっか。アタシ、結構上手いんだよ。
アンドロイドだから、計算して一番気持ち良いのしてあげれるよ。」
まさか、アンドロイドの能力をそんな形で使うなんて。
ボクは丁重にお断りをして、アイちゃんをカウンター席に座らせた。
「やー本当ね、アンドロイド相手だと、皆平気でセクハラして来てさー、
こっちにだって既に心はあるんだっての!
本当人間達って皆勝手だよね、機械の延長みたいに思ってんのー。」
それを聞いて、レイナちゃんも思う所があったようだ。
「あー、レイナちゃん所の星も人工生命体があるが、
最初の頃はかなりセクハラとかもあったらしいと聞いたなりよ。
人間皆、まずはエロから始まるなりね、人間も動物なりから仕方ないが」
━チリンチリン━
そうこうしていると、若い男性のお客様が来店した。
「お、アンドロイドいるじゃんー。アイツなら触っても良いっしょ。
ちょうどムラムラしてたから、都合が良いぜ。」
そう言うとお客様達は席に着くよりも先にアイちゃんに触れた。
「ちょっと、何するのよ!アイに触らないで。
今は仕事中じゃないんだから、サービスしてあげないんだから。」
「おいおいー、アンドロイドのクセにそんな事言うなよー。
どうせお前ら、一歩間違えれば性奉仕用『セクサロイド』
になるかも知れなかったんだろー?もう一つの可能性(笑)」
「・・・!!」
アイちゃんが急に怒りを露わにした表情に変わった。
すると、突然客を怒鳴り始めた。
「アンタ達、本っ当に何もわかってないね。
セクサロイドはアタシ達とは別のラインで組み立てられるの。
それに、セクサロイドは凄く役に立ってるんだよ。
自分で性処理が出来ないお年寄りや事故の被害者、
色んな事情を持った人たちに性的処理サービスを提供する。
あのコ達の悪口言うなら、アイ許さないからね。」
まさに一触即発状態で緊張した状態が続いた。
そこへエリ様がある提案をした。
「だったら、コヤツらをセクサロイドにすれば良い。
レイナ、仮想空間転移は使えるかのぅ?
こやつらが性奉仕をするのがどれだけ大変か、
身を持って思い知らせてやれ。」
「わかったなりよ、それじゃあ仮装空間にご案内なり~」
男達はレイナによって意識だけが仮想空間に飛ばされた。
そしてそこで、自ら望まぬ相手に強制的に性奉仕させられ、
彼らは一瞬で心が死んでしまった。
「ふぅ、まぁザッとこんなモンなりね。」
男達はたった数時間の事で、白髪になっていた。
「も、もうダメだ…ババァの相手なんてしていられねぇ…」
随分とセクサロイドの大変さを味わったようだった。
アイが男達に説教をした。
「コレでわかった?もう絶対しない?
もししないなら、ココで一緒に美味しいお酒を飲もうよ。」
アイは男達に酒を勧めた。
そして男達はものの見事に30分くらいで酔いつぶれていた。
その姿を見て、エリ様が嘲笑う。
「クク、バカじゃのぅ。弱いクセに調子に乗りおって。
救い難いヤツらはいつの時代にもいるのぅ。」
そう言うとエリ様は、男達を妖怪『垢嘗め』に変えてしまった。
「ま、コヤツらはせいぜい、男の風呂の垢でも舐めるがよい。
もちろん、みぎゃーのような可愛い男の娘では無いぞ。
汗臭い、3桁体重のデブの不潔な男の風呂垢じゃ。
それを3週間ほどこなせば元に戻してやるとしようかの。
それくらいせねばこの手の輩は心から反省せんからのぅ。」
男達は人語を話す口を失い、ただ妖怪垢嘗めの習性に従い、
風呂のある方へと散って行ってしまった。
「あのさぁ、冷静に考えるとココって本当に非日常的な事が
あまりに日常的に起き過ぎてるよね。
感覚がめちゃくちゃ麻痺しちゃいそう。」
それにハナちゃんが応えた。
「でも、私達人外の暮らしってそんな感じですよ。
もう、人間時代の頃の感覚って大分無くなっちゃいましたもん。」
更にエリ様が輪をかけて僕にイジワルな事を言って来る。
「ふふ、お主もイジめられる事が日常になって来ておるの?
どれ、包帯の乳首の所を摘まんでやろうかの。
胸を張れ、イジめてやるぞ。」
さすがにそれはマズい。だって乳首はボクの性感帯だ。
「ちょ、ちょっと、いくらエリ様でも、それだけは止めて!」
ボクは咄嗟に手で胸を覆った。
エリ様は「ちぇー」と面白くなさそうな顔をしていた。
絶対、触られてはいけない。それをされたら、主従関係が決まってしまう。
まぁ既に逆らえなくはなってるんだけど。
しかしそこへ、アイちゃんが唐突にボクの胸に触れた。
「へぇ~、みぎゃタンって男の子なのにちょっと胸あるんだねぇ?」
偶然、その手が乳首の所に当たってしまい、ボクはビクンと体を震わせた。
「んっ!」
「ありゃま、どうしたの?変な所触っちゃった?」
「その…ボク、乳首がちょっと敏感だから、出来れば触らないで欲しい…」
「ありゃー、そうだったんだね。だけど何でぇ?
敏感って事は気持ち良いって事でしょー?
減るモンじゃないし、気持ち良くなっちゃえば良いじゃん。」
「アイちゃんだって、アンドロイドとして展示されて人前でセクハラされて
辛くなってココに愚痴りに来たんでしょ?
誰だって人前でそういう事をされたら恥ずかしい気持ちになっちゃうよ。
そういう事はプライベートな空間で楽しむものなの!」
「なるほど」とは言ったものの、アイちゃんは少し腑に落ちていなかった。
やはり、まだもう少しだけ人間の心の理解には時間がかかるようだ。
しかし、そんなボクを見てエリ様がニヤァと笑う。
「プライベートで楽しむもの、ねぇ・・・。
だったら、そんな痴女みたいな恰好を人前でするのはどうなんだ?
人からえっちな目で見られたいからやってるんだろ、このビッチめ。」
「び、ビッチって…、ボクは男だよ!
それに、コレは単に非日常を楽しんで貰うために…」
「ハッ、どうだかな。どうせ趣味と実益を兼ねているんだろう?
まぁ衆人環視の中で股間をおっ勃てない事だけは褒めてやろう。
それとも勃っているが小さ過ぎてわからないだけなのか?」
「う”ぅー、言い過ぎだよ、エリ様…」
ボクは少し涙目になった。そりゃちょっとイジめられるくらいなら、
Mだし嬉しい気持ちにもなっちゃうけど、さすがにやり過ぎだ。
「フン、妾は別に謝りはせぬぞ。ただ、今後は少し控えるとしよう。
壊れられてしまっては、長く楽しめぬからな。」
正直、毎日毎日辱められると気持ち良さと言うよりも自己否定が強くなる。
ここらで一回ビシッとこの店の主人は誰なのかを示しておきたかった。
「と、とにかく!この店は僕の店だから!
スタッフももうあと一人くらいが限界だよ。
いくらお給料が必要ないとは言っても、スペースにも限りがあるし、
あまりにスタッフが多過ぎてもお客さんは圧迫感感じちゃうでしょ。」
「圧迫感を与えてマゾにしてやれば良いのに…」と、エリ様が何やら
ブツクサと独り言を言っていたが無視する。
そしてこの日以降定期的にお客様が入れ替わり立ち代わり訪れて、
ようやく通常の店舗営業らしくなって来た。
コレはもう、このメンバーだけで店を回していって、
新規メンバーはもう必要無いかな、そう思っていた矢先に、
最後の新規レギュラーメンバーが訪れる事になるのだった。




