#31.魔法石は何と交換?
アラヤの野外放尿によりワラワラと涌いて来た来た便所コオロギ達。
一匹一匹は大した事が無くても、集まると厄介な敵だ。
何より攻撃魔法がショボいボクと一匹ずつ相手にするアラヤ。
この二人だけでこれだけの数の便所コオロギに勝てるのだろうか。
「ギャアァァァー!!」
便所コオロギ達が一斉に襲い掛かって来る。
アラヤは一匹ずつを相手にするものの、全然捌き切れない。
ボクは苦手な攻撃魔法を唱える。
『ホワイト・ロック!!』
白い小さな石をぶつける魔法。
しかし黒魔法に比べれば使用魔力効率も悪い上に、
一匹一匹に対してのものでしか無い。
そうしている間に、便所コオロギ達はアラヤの肌を切り裂き、
そしてボクの包帯を食い破り始めた。
「ちょ、ちょっとぉ!?何で食べちゃうのぉ~!?
ちょ、破れたら恥ずかしいってば、やめてよぉ~」
ボクは女の子みたいにクネクネ動いて泣き言を言った。
するとその姿を見てアラヤが興奮していた。
「みぎゃー….お前、可愛過ぎだろ…」
「ちょ、こんなのに見惚れてないで、ドンドン攻撃して~!!」
しかしボク達の反撃も非常に限定的で、便所コオロギの群れを
一掃出来るほどの力は無い。
このままボク達のパーティーは全滅してしまうのか…。
その時、一人の男性がボク達の間に割り込み、
魔法石と言うアイテムを使用した。
『魔法石・ファイアー!!』
それは黒魔法使いの魔力を封じ込めたもので、
冒険の初期には非常に高価なものだが黒魔法使いがパーティーに居ない場合
とても有用なアイテムだった。
━ボォー――!!!!━
便所コオロギ達は一斉に焼かれて、あっけなく全滅した。
「あ、ありがとうございました…。
貴方が来てくれなかったらボク達は全滅していました。
あの、貴方は?」
単なる町人、と言った雰囲気の30代中盤くらいの男性は答えた。
「ん?あぁ、俺はこの町の一般住民さ。アンタ達が気球を使う為に
魔物達がうじゃうじゃいるココに挑戦する所を見てな、
4人で一斉に行くならまだしも、2対2に分かれるなら、
絶対アンタ達の方がヤバいなと思ったんだ。
そりゃあ俺もそれを見過ごして全滅されたら夢見が悪いからよぉ、
家の中にある魔法石片っ端から持って来て、助けに来たってワケだ。」
アラヤも「ありがとう」と礼を言った後、男に尋ねた。
「しかし、そんな高価なものを私達の為に…。
大切なものだったんじゃないのか?
何故冒険者の私達の為にそこまでしてくれるんだ?」
「その…、惚れちまったんだよ、一目惚れだ、そこの猫ちゃん。」
「って、え、えぇえ!?ボ、ボク!?
ボク、多分キミよりも年上の男だよ!?」
「お、おぉ、やっぱ男だったんだな、股間の所盛り上がってたもんな。
でも、それが逆に良いんだよ、俺より年上の男がこんなにえっちで
可愛い猫耳包帯魔法使いとか…正直やられちまったよ。
なぁ、ここから先に魔法で焼くのが最適解の魔物が出たら助けるから、
別れたパーティーと合流出来たら俺にご褒美をくれよ。」
「え、ご褒美って…でもボク、何も持ってないよ?」
「いや、その…アンタの匂いが付いてる包帯があるだろ?」
まさか!異世界に来てまでボクの包帯は狙われちゃうの!?
どうして皆、こんなミドフォー男が着た臭い包帯なんかを欲しがるの!?
だけどコレを差し出すくらいで無事に進めるのなら…。
「わ、わかりました。だけどその、目の前で嗅がないでね?
さすがに恥ずかしいからさ。」
「ヒャッホォ~!!やったぜ、言ってみるモンだなぁ。
いやぁアンタ本当に可愛いからよ、男でも良いってヤツ、
町にはいっぱいいると思うぜ!?」
褒められてるのかよくわからないけど、まぁとりあえず無事に進める。
ボク達は全滅の心配が減り安心しながら道を進んだ。
やがて合流地点が見えて来た。
確かに地下からワラワラと魔物達が湧いてきている。
なるほど、ここにある板をアチラのパーティーと同時に踏めば
この魔物達の出現を抑えられるのか。
「おーい、黒みぎゃ子ー、もう到着してるー?
ボク達はもう到着したよー?」
崖の上の方に呼び掛ける。すると、返事が返って来た。
「お前ら、遅過ぎるだろー。ボク達なんてもうとっくに来て、
昼寝してたぞー!?」
何とも生意気だ。でもまぁコレが黒みぎゃ子だ。
ボクは二人が無事着いていて安心した。
「それじゃあ、板を踏むよ?せーのでお願いね?」
「オッケー」
そうしてボク達は1,2の3で互いの足元の板を踏んだ。
━ドンッ!!━
崖の上から大きな岩が落ちて来て、魔物達の這い上がって来る穴が
塞がれた。一体誰が作った仕組みなんだろう。
魔物達が上がって来なくなり、ゆっくりと周囲を見渡す。
すると気球が見つかった。
「コレか!でも、火種が無くない?」
その時崖の上から声が聞こえて来た。
「おーい、火種があるんだけど、コレ使えるかー?」
「あ、うーん!それ、紐か何かで安全に降ろして来てー」
黒みぎゃ子達はその辺りにあるツル等の植物を繋げながら、
少しずつ火種を降ろして来た。
さぁ、火種と気球は揃った。
しかし、コレをどうやって飛ばせば良いのかボクにはわからないぞ?
「私は何となくならわかるが、下手に間違ってしまってもな…」
しかしその時、町の男性が申し出た。
「実は俺、コレの使い方知ってるんだ。
だけどさ、やっぱご褒美が欲しいよなぁ?」
ボクの包帯を欲しいと言った後、他に何かボクが出せるモノが
何かあると言うのだろうか?
「あ、アンタのさ、その、玉…股間の、その…。
も、揉ませてくれよ…。」
え、えぇぇぇぇぇぇぇっぇええーーーー!!!!!????
ボ、ボクのいわゆる、金の…玉?
そんなモノを揉みたいの?この男性、変態なの?
「か、勘違いするなよ!俺は別に男趣味はねぇ。
ただ、アンタはちょっと可愛すぎるんだ。
だからその、何て言うか凄く倒錯的でさ…。」
「・・・・。」
ボクは少し考えた。
いや、もうこの男性に頼るしか無いのはわかってる。
だけど、ボクの玉を揉ませる…そんな事が本当に、
そんな価値があるのだろうか…。
「え、えぇと…、わかり…ました。
ただ、その…あまり乱暴にしないでね?」
するとボクのおどおどとした態度が刺さったらしく、
男は興奮してボクに寄って来た。
「キャッ!」
「おいおい、キャッ!だってよ(笑)
お前本当に40超えた男なのかよ、もういっそ女として生きた方が
楽に生きられるんじゃねぇか?」
そう言いながら男はボクの玉を揉みしだいた。
別に自分だって持ってるだろうに、何が楽しいんだ、こんなの。
「ん、ちょ、ちょっと…長い、長過ぎない?」
男は結構な時間揉み続けている。
「ん?あ、あぁ、すまないな。あまりに揉み心地が良くてよ。
よし、わかったぜ。ご褒美も貰った事だし、気球飛ばすか。」
そして男はあっと言う間に気球に火を入れ、飛び上がる準備が出来た。
「うわぁ、凄い!!」
「さて、俺はここまでだ。最後に包帯のご褒美、くれるんだよな?」
「う”ぅ~」
ボクは包帯の大事な所以外をアラヤの剣で切って貰い、それを渡した。
「ありがとうよ!クンクン…うぉっ、臭くて良い匂いだ!」
「ちょっとぉ~、目の前で嗅がないでって言ったじゃん~!!」
しかしこれでようやくこの男ともお別れと言う事でボクは耐えた。
そして気球は接地を切られて上昇して行く。
「じゃあなー、また会ったら今度はケツの穴見せてくれー」
「絶っっっっ対に、ヤダーーーー!!!!」
そして崖の上まで来た時、黒みぎゃ子とおたっぴぃが乗って来た。
「アレ?お前何か包帯少なくなってね?」
「ま、まぁ、色々あってね…」
おたっぴぃさんは何かを察したのか、ニヤニヤしていた。
そして気球の飛んだ後の扱い方は知っていたアラヤが言った。
「さぁ、それでは【はじまりの塔】へ行くぞ!
この最上階の中ボスを倒せば、冒険も終わりだ!!」
包帯で包まれた部分が少なくなり、風が肌に冷たかった。




