#28.夢は身近で最強の異世界
「最近俺、寝れて無いんだよね~。だから本当はこんな店なんか来るより、
ちゃんと寝なきゃなんだけどさ…やっぱり夜更かししちゃうんだ。
結局昼間にウトウトしたりして、この前も運転中事故りそうになってさ、
マジで命削ってるって自覚あるわ~。」
そう話してくれたのは、度々異世界コンカフェに来てくれる常連さんだ。
マジで命の危険があると思うのだが、どうしても止められないらしい。
「え~、そうなんですね。ボクも以前はブラック企業で働いてましたが、
この異世界コンカフェを始めてからはシッカリ睡眠取ってるんですよ。
お恥ずかしい話、勤務終わりから次の勤務の時間までずっと寝てたりして
ボクってばかなりお寝坊さんみたいなんですよ~」
社会人なら、仕事以外の時間を睡眠だけに費やしてしまう事はある意味で
恥ずかしいと思ってしまう人もいるだろう。だって寝ているその時間の間、
同僚達はドラマを見たり勉強したりと有益な行動をしているのに、
自分はただグータラ寝てるだけ、なんてちょっと恥ずかしく思ったり。
「え~、店長さんそんなに寝ちゃうんだぁ~。
だったら俺、寝てる店長さんを襲っちゃいたいな~」
もちろん、この常連さんもボクがミドフォー男子だとは知っている。
それでも襲いたいなんて言ってくれるんだから、ありがたいと言うか。
「ボ、ボクなんて襲っても何も良い事無いですよ?ホラ、男ですし。」
「だから逆に背徳的なんじゃん。店長さん体のラインがもう反則なんよ。」
「もぅ~、すぐにそっち系に話を流しちゃうんだから!
ココは異世界コンカフェなんだから、異世界の話をしましょう?」
こんな感じで、皆さんすぐにボクにセクハラして来る。
まぁでも、別に嫌じゃないって言うかボクみたいなゲテモノを
えっちな目で見てくれる事は実は嬉しかったりもするのだ。
こんなボクの考え方をエリ様なんかは「お前、思考が完全に女だな。
恥ずかしい事この上無い」なんて言ってイジめて来るけど、
別にえっちな目で見られること自体はそんなに悪くなくない?
問題は合意してないのに無理矢理襲われたりする事であって…。
なんて事を考えているうちに、営業終了時間だ。
しかし先程の常連さん、何とカウンターで寝ている。
「ありゃりゃ、これは起こしてあげないとだな~…」
しかしその時、アンドロイドのアイちゃんがボクにある提案をした。
「ねぇ、みぎゃタン。ちょっとこの常連さんの夢の中、入ってみない?
アイの技術で人の夢の中にVRみたいにして侵入出来るのがあるの。
まだ試作段階だけど結構ちゃんとしてるし、やってみようよ~」
ボクは不謹慎ながらも他人の夢の中に入れるのは面白いな、と思った。
一体この常連さんはどんな夢を見てるんだろう?
ボクはアイちゃんに促されて一緒に常連さんの夢の中に入った。
~常連さんの夢の中~
常連さんの夢の中はまるで何かの動物の体内のような、
ピンク色の内臓みたいなものが周囲にある空間だった。
趣味が悪いって言うかかなり独特だな、と思った。
すると奥の方から声が聞こえて来た。
「ふっふっふ、店長さん…こうやって両手両足を縛られたら
もう抵抗出来ないねぇ?さぁ、大事な所を見ちゃうよ?」
ボクは滅茶苦茶嫌な予感がした。
いや、店長さんと言っても別の店の店長さんかも知れない。
それにしてもつい先程までボクの店にいた人だ。
店長さんと言えば….。
そしてボクはおそるおそる、常連さんの後ろ姿を覗いた。
するとそこには何故かSMの女王様のボンデージ衣装を着た
常連さんと、その向かいにいるのは…ボクだった。
「うわぁ、やっぱり店長さんってボクかぁ….。
夢の中でどんな事をされてるのかな?」
よく見ると夢の中のボクは両手両足を触手に捕らえられて、
諦めたような表情で常連さんからの鞭に耐えている。
『う”ぅ、恥ずかしいよぉ…。鞭で叩かれたら衣装が破れちゃう。』
夢の中のボクがそう言った後、常連さんは鞭を振るった。
「オラオラオラ、衣装破れさせてやるよ!!」
━ビシィッ!バシッ!!━
すると見事に鞭により夢の中のボクの服が破れてしまう。
『あぁっ、全部….見えちゃう!!』
ついには頼りない大事な部分を覆っていない布を残し、
夢の中のボクの服装は全て剥がされてしまう。
我ながら相当にえっちな構図だ。
『あぁう、お願い…ヒドい事しないで?』
うるうる瞳で懇願する夢の中のボク。
傍目に見てる分には相当恥ずかしいぞ、コレ…。
だけどそんな夢の中のボクの姿を見ながら、
隣でアイは興奮していた。
「ハァ、ハァ…。みぎゃタン、エロいねぇ~。
ねぇ、現実世界に戻ったらコレしてあげようか?
アイ、アンドロイドなのに興奮しちゃったよ。
やっぱりみぎゃタンってエロいよねぇ。」
アンドロイドなのに何で興奮するんだよ、って心でツッコんだ。
だけどコレは本人のボクから見ても相当にエロいシチュだ。
「おらっ、コレを…舐めろ!!」
常連さんはついには股間から邪竜を解き放った。
夢の中のボク、好き放題されまくりだな…。
『うぅ、臭いよぉ…。本当に舐めなきゃダメ?』
うるうる瞳で涙ながらに懇願する夢の中のボク。
ボクはとうとういたたまれなくなり、夢の中に干渉する事にした。
「ダメ―、やめてあげてーーー!!!!
いくら夢の中とは言え、ちょっとやり過ぎだよーーー!!!!」
ボクは二人の間に割り入った。
「え、て、店長さん、何でどうして?二人…これは夢?」
常連さんはココが夢の中だと言う事に気付きかけている。
「あ~、うん、もうぶっちゃけ言っちゃうけどココは夢だよ。
だけどボクはある技術を使って夢の中に干渉してる。
あのね、夢の中はいくら自由だからと言って…、さすがに
ボクにここまでしちゃうの、止めてくれないかな(困)
見てていたたまれなくってさぁ~(泣)」
しかし、常連さんは困惑していた。
「えぇ、…それはさすがに残酷ですよ…。
夢の中でくらい好きにさせて下さいよ。
俺、夢の中では店長さんを孕ませたりもしてるんスよ?」
ボクは一瞬、ゾワッとした感覚がつま先から頭のてっぺんまで
駆け抜けてしまった。孕ませ!?一体それはどこに入れて、
どこから出て来るんだろう?考えるのも恐ろしかった。
「あの、お願いだからボクの事をそんな風に性的消費は….」
「いや、だけどさぁ、店長さんってMじゃん。
案外こうされる事を嫌じゃないんじゃないの?
本当は妄想の中では俺達みたいなのに犯される事、
期待しちゃったりしてるんでしょ?」
「・・・・」
ボクは何も言い返す事が出来なかった。
確かにそういう妄想をした事が無いワケじゃない。
だけどそんな妄想をした後には決まって自己嫌悪に陥る。
何で男の人に犯されるような妄想をしてしまったのか、
こんなのガチの変態じゃないかと悩んだりもする。
「と、とにかく、夢の中だったらこう、キスまでとか、
節度を持って楽しんで下さい~」
「あーハイハイ、今の所はわかったフリしときますよ。
どうせ次の夢からは入って来れないんでしょ?
その時に改めて、店長さんにヒドい事しますから。」
「う”ぅ~」
ボクは結局、常連さんの思考までは変える事が出来ず、
アイちゃんと一緒に夢の中の世界を抜け出して来た。
「何か結局、何も解決出来なかったね。」
「いや、解決って言うか…、単に見に行っただけだよ?
人の思考なんてそう簡単に変えられないし、あの常連さんは
これからも夢の中でみぎゃタンの事を犯し続けると思うよ。
でもあの人も言ってたけど、みぎゃタン嫌じゃないでしょ?
包帯の股間の所、少し盛り上がってたし。」
「え?うわぁぁぁ、み、見ないでよぉぉ!!」
ボクのこの包帯で裸を巻いただけの格好は本当に恥ずかしい。
少し興奮しただけでバレてしまうからだ。
と言いながらもこの格好を改めないボクも相当だなと自分で思う。
「まぁ、良いんじゃないかな?どうせ夢の中だしさ。
あぁやって夢の中でみぎゃタンを犯す旅に現実の常連さんは
みぎゃタンへの依存を強めると思うんだ。
だから結果的にみぎゃタンへの執着から常連になる。
売り上げも上がるし、良いんじゃないかな?」
アイちゃんの言う事はもっともだ。
いくら気持ち悪いお客さんとは言え、定期的に来てくれたら
それは非常にありがたい事だ。
「まぁ、夢の中でくらい良いっか。現実のボクに対しては
特別危害を加えて来るような人じゃないし…」
それからのボクは常連さんがお店を訪れる度に、
今回はどんな夢の内容だったのかを積極的に聞くようにした。
すると常連さんは嬉々としてボクをどんな風にイジめたかを
話すようになって更にボクへの好意が上がったみたいだった。
夢の中の世界は本来他の誰にも侵される事の無い自分だけの神域。
皆さんもせめて夢の中で好きな人と好きな事が出来ますように。
ボクもココで微力だけど、祈っておくね。




