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みぎゃ☆みぎゃ異世界コンカフェへようこそ!  作者: みぎゃー


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14/25

#13.みぎゃタンのクローン!?

ボクはその日、異世界コンカフェに出勤する為に夜道を歩いていた。

コートの下には既にミイラコスを着込んでいる。


(もし人気の無い道路でコートを脱いでしまったら…、)


恥ずかしいけど、解放感があって気持ち良いかも知れない。

ボクはそんなどうしようも無い変態感覚に襲われた。


(よし、まぁ良いや、やっちゃおう。

 すぐにまたコートを着込めば良いや、えいっ!)


ボクはコートをバッと脱いでミイラコスを天下の往来で晒した。


(わー、今もし誰かがココを通ったら…滅茶苦茶恥ずかしいな。

 だけど案外人って来ないものだな。逆に退屈って言うか…)


そんな風に少しの物足りなさを感じていたボクの背後から、

突然声がかかりボクはビクッと体を震わせた。


「な~に恥ずかしい事やっちゃってんの?

 本当変態だよね~、こんなのがボクのオリジナルだとか、

 マジでコッチが恥ずかしくなっちゃうんだけど。」


見るとそこには、ボクより少しだけ背が高く、髪が長い、

黒い包帯のボク……ボク!?


「ふふ、驚いてる。か~わいいな~、まぁ可愛いって言っても

 ほぼボクと同じなんだけどね。ってかオリジナルだもんね。」


「え、えぇえ!?何々?ボクのコスプレですか!?

 それにしたって、何で包帯が黒だし髪も長いの?

 ボクの解釈違い別バージョンコスプレみたいな!?」


「まぁそうなるよね。大丈夫、ドッペルゲンガーとかじゃないよ。

 その証拠に全く同じじゃなくて少し違ってるでしょ。

 コレはね、オリジナルのキミとの違いを示す為に

 あえて差異を与えられているんだよ。あぁでも、性格や知性は

 オリジナルのキミよりも少し優秀にされてるけどね。

 だからってオリジナルのキミの価値が無くなるワケじゃないから

 あまり落ち込まないでね?ボクの方が賢いけどさ(笑)」


ワケがわからない。突然、出勤前に声をかけられて、

そしたらこんなボクに似たちょっとだけ違う誰かが声をかけて来て。


「ボクはね、キミに興味を持ったある組織…異世界存在によって

 造られたクローンなんだ。信じられるかな?まぁでも目で見たら

 信じるしかないよね?そもそも色んな異世界存在を見て来てるし

 もうクローンくらいじゃ驚かないでしょ?」


いや、普通に驚いた。って言うか、今までの幽霊や妖怪だとかは

あくまで自分と切り離した現象や存在として見ていた。

だけど、ほとんど自分と同じ目の前の存在についてはさすがに

すぐに受け入れる気持ちにはなれなかった。


「キ…キミは一体、何の目的で作られたクローンなの?」


「知りたい?フフ、ボクはねぇ。」


そう言うとクローンはボクの首筋に噛み付いて来た。


「あ、あぁうっ...ダメだよぉ、何か絵面がえっちぃよぉ。」


「そんな事気にしてるんだ?誰も見ていないのに?

 それともメタ的な意味で、誰かにこのシチュエーションを

 物語として読まれているって言う感覚?」


「何ソレ、わかんないよぉ…。

 でも何かこう、自分に首筋を噛まれるのって何だか…

 凄くえっちに思っちゃうんだもん…、だってさぁ……」


「フフ、言葉にしなくてもわかるよ。そうだよね。

 自分と同じなら吸血鬼のように血を飲んで相手の遺伝子を

 取り込む意味も無い。それなのに無意味なこんな事するのは

 まるで生殖に必要が無いのに快楽の為にエッチするみたいだ。」


「う”ぅ、言わなくていいよ~、って言うか本当に何なの?

 美味しくないでしょ、ボクの血なんて~」


「え~、普通に美味しいけど?オリジナルはやっぱり凄いな。

 ちょっと嫉妬しちゃうな。造られたボクなんかじゃあ

 この味は再現出来ないや。あ、そうだ質問に答えるね。

 特に意味は無いよ、噛み付く事に。だけどあえて言うなら

 『快楽』の為かな?キミだってそうでしょ?

 こんな人気の無い路地でわざわざコートを脱いで

 勝手に一人で恥ずかしい気持ちになって興奮して

 ソレって意味を聞かれたら快楽の為だけでしょ?」


「わー、何かもうあえてさっきの事をぶり返さないで~!

 って言うかキミ、どうしたいのさ…。

 まさか、お店にまで付いて来るの?」


「ん?あぁ、うん、そのつもりだよ。

 最近キミのお店滅茶苦茶忙しいでしょ?

 だから、ボクが副店長としてお客さんを少し担当してあげる。

 大丈夫だよ、キミのイメージ低下に繋がるような事はしない。

 あくまでキミに似た別の存在としてキミの可能性を拡張する。

 コレだってもしかしたら未来の『個』の在り方かも知れないよ。」


「う、何かでも改めて客観的に見ると凄くえっちな恰好だよね。

 若い女の子がやってるなら承認欲求とかでわかるけど、

 コレをミドフォーの男がやってると思うと背徳感がぱないね。」


「え~、何度となく自分で鏡で見てるクセに、今更?(笑)

 そうだよ、キミの格好って世間的にはかなり恥ずかしいよ。

 だけどそうだからこそ、惹かれる人もいるんじゃないかな?

 ってかキミの方がボクよりもぷにぷにだね。

 ボク、背が高い分少しスレンダーなのかも。」


「う”ぅ、身体を比較しないでよ~、何か恥ずかしいよ。

 とにかく、お店に行こうか。皆にも紹介しなきゃだし。」


「ふふ、順応性が高くて助かるよ♪」


━チリンチリン━


ボクはクローンと会ってしまった事により少し遅れて出勤した。

遅れてとは言っても当然まだ営業時間外だ。既に皆店には出勤していた。


「え、その人は….お兄さん?お姉さん?」


「わー、めちゃめちゃエッチなりな。黒が体のラインをより

 引き立たせてるなりよ。良きかな良きかななり(笑)」


「みぎゃタン~、双子だったの~?

 良いなぁ~、アイも双子欲しい~」


「おいおい、さすがにコスプレだろそれは(笑)

 それにしても本当にそっくりだな。

 いわゆる完コスってヤツか?」


それぞれに感想を述べる中で、エリ様が口を開いた。


「ほぅ、クローン、か...。妖怪の中にも姿を真似る者はいるが

 全く同じ遺伝子を使った存在と言うのはおらぬな。

 それにしてもこう二人並べてみると卑猥じゃのぅ。

 妾は黒い方が好みじゃぞ。知性があるし色気も高い。」


「ちょ、エリ様酷いよぉ~、ボクが知性無いみたいじゃん~」


「いや、お主絶対に会社を辞めてからこのカフェを開くまでに

 変に開き直ってIQダダ下がりしたじゃろ(汗)

 言葉使いが明らかに40代中盤男のソレでは無いし、

 最近では一人では何も出来ずに困っているような素振りもする。

 ハッキリ言って恥ずかしいぞ、最近のお主。」


「う”…、だってこの格好してるとこう振る舞いたくなるんだもん。

 変に堂々と男らしくていたら可愛くないでしょ?」


「そもそも可愛さを最重要視している事が男としてどうか、

 と言っておるのだがな…。まぁ良い、お主の店だからな。

 それにしても同じ店で働くのなら少々手狭では無いか?

 どうせなら、二号店を立ち上げてそちらを経営させてはどうだ。」


エリ様の突然の提案により、ボクは一瞬戸惑ったが、

絶対にこのクローンと一緒に働けば色々と比較されてしまう。

その為ボクはキャスト達の出勤日を増やす意味でも、

二号店の立ち上げを決定した。場所はすぐ近くに候補地があった。

更にはそこで口裂け女やゾンビのぞん子と言った非レギュラーの

異世界存在達にも出勤の出番を増やす事となった。

結果としては二号店は大成功となり、売り上げは倍増した。


クローンがボクに声をかけて来た。


「ふふ、上手く行ってるでしょ。

 ボクねぇ、実はちょっとえっちなサービスもやってるんだぁ。

 キミみたいな子供っぽいオリジナルには無理な事。

 ポッキーゲームとかツイスターゲームとか、ね?」


「そ、そんなのやろうと思えばボクだって出来るモン!

 って言うか、あまりボクの姿でえっちなサービスを提供しないでよ。

 イメージ低下はさせないって約束でしょ?」


「別にキミのイメージは低下してないよ?

 ただクローン(黒ーん)のボクのイメージが、

 『そういう事』もイケる店長だって印象付けられただけだよ。」


いつの間にかクローンは『黒みぎゃ子』を自称していた。

しかも聞けば彼は両性具有(アンドロギュノス)だった。

後から人工的に造られた存在となれば何でもアリだ。


「フフ、悔しい?ボクって男も女もイケちゃうんだぁ。

 キミがコスプレと言う形でしか叶えられない理想の姿を

 ボクは生まれもって持っているんだ。ねぇ、悔しい?」


「べ、別に悔しくは無いよ…。人間ってそういうモノだから。

 後から造られる存在なんて、何だって変えれるじゃないか。

 悔しいって言うか、ズルいなって感じだよ。

 ボクだってキミみたいな自由な自己表現が出来る体が欲しいよ。

 だけど人間である以上、それは出来ない事なんだよ。」


「・・・そっかぁ。意識デバイスを繋げば体験出来るかもだけど、

 キミはかわいそうな存在のままでいさせた方が可愛いし、

 あえてそういう高度な技術は使わないようにするね。

 ボクに嫉妬して色々とアレコレと御託を並べるキミ、

 とっても惨めで可愛いよ。人間って良いなぁ。」


それはバカにするようでは無く、本当の羨望が滲んでいた。

造られた存在は確かに何でもアリかも知れないが、

造られた側にとってその力や能力は生まれつき当然のもの。

逆に完全な意図を持って造られたワケではない人間と言うのが

彼らにとっては羨ましい存在なのかも知れない。


「ホラ、ボクってちょっと人権ラインの身長にするために

 少しスレンダーにされちゃってるじゃん?

 だからキミのこのだらしないお尻とか、良いなぁって。

 ボクのなんてただの固めのクッションだよ。」


そう言ってクローンはボクのお尻をペロッと手で撫でた。

ボクは「ひゃあ!」と情けない声をあげて飛び上がった。

このクローンはやっぱり、ちょっと苦手かも知れない。

色々とボクをイジめて来るし、余裕っぽいのも苦手だ。

だけどこのクローンを通じてボクは自分をより深く知る為の

鏡みたいな存在として考えようとも思った。


何にせよこのクローンの登場によってボクは、

これまで以上に様々なトラブルや事件に巻き込まれて行きそうな

そんな予感がしていたのだった。


挿絵(By みてみん)

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