↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/11

第8話 入院生活―後半―

入院後半戦。前半の入院は同居人の苦労が多かった。後半は私の苦労が多かったように思う。

 

 2週間の入院を折り返したころから、顎の腫れがだんだん引き始めた。結構パンパンに腫れていて元通りになるか不安だったけど、ちゃんと元通りになった。(そらそうや)


 毎日鏡を見る同居人も腫れが引いてきたのがわかってきたようで、「だんだん良くなってきた」と写真付きでラインを送ってくれていた。昨日も顔を合わせたし、明日も顔を見る。それでも腫れが引いてきているのがわかるし、写真写りが毎回ちゃんときまってるのがなんとも悔しい。

 私は亡霊のように写真に写るタイプのオタクなのだ。



 腫れが引いてきたら、ドレーンチューブが取れた。スッキリ! 出血が止まったことを意味するため、このころようやく口からの食事がスタート。おおよそ1週間ぶりの経口食。どろどろの10分粥からスタート! 傷が完全にふさがっているわけではないので、味は薄い。


 ドレーンのホースは、傷に直接刺さっていると説明した。その通りで、出血は治まっても傷口はわずかに開いている箇所がある。そのため傷口に食べ物が触れないようにしたいし、調味料が多いと傷に滲みる。

 ホースが刺さっていた傷口は、特別縫うなどの処置はしなかった。そのまま自然と傷がふさがるのを待ちつつ食事をして、毎食しっかり歯を磨く。



 歯磨きは鬼のように頑張った。相変わらず食事のとき以外は矯正器具に強いゴムみたいなものを上下を渡すようにかけて、口が開かなよう固定する毎日。そのため、ストローが大活躍した。コップでも飲めなくもないけど、ストローは持っておいて損はない。


 入院後半、様子を見つつ、口を開ける練習を開始。術後1週間くらい、まともに口を開けていない。歯磨きは必要最低限しか口を開けず、あくびは輪ゴムで封印して過ごしていた。


 骨が固まってきて主治医から口を大きく開ける練習をするよう指示があり、歯磨きのときなどに実践。

 これが開かない! 思うほど口が開かない。主治医は「縦に指が3本入るくらいまで、口を開けられるよう目指しましょう」と声をかけたとのこと。練習開始直後の同居人からのラインでは「2本も入らん」。最初はこんなものなのだろう。だんだん口が開くようになっていった。




 入院も後半戦になると慣れてくるし、病院食もいろんなものが楽しめるようになる。

 このエッセイではあまり掘り下げていないが、同居人は大食漢。本当によく食う。休日なんか、調子が良ければずっとなんか食ってる。そのため、「水と一緒にサンドイッチを買ってきて」だとか、「ゼリーが食べたい」とか、荷物が増えるし出費もかさんでしょうがない。わがまま放題だった。


 病院食の写真を見たとき、私は自分の胃袋だったら多分半分と食べきれない量だと思った。でも同居人はどうかと考えたら、圧倒的に足りないのが悲しいかな分かってしまう。足らんやろなと見当がついてしまうので、買って行かないわけにもいかない。なんだかなぁと思いつつも、毎回買い物をして面会に行っていた。




 顎変形症の手術は、食べるものの制限もあり、傷も気になる。他の方のブログなどを見ると、ものすごく痩せたと書いている人も結構いた。


 これを見ていたためか、同居人は「絶対痩せる。だから食べられるうちに食べる」とちょっと気が狂った原理で入院前好きなもの好きなだけ食っていた。手術前の回でも書いていたと思うが、わらじサイズのファミチキを晩ごはんの後に食うほどである。


 入院中も高栄養ジュースやお茶など、今考えると結構早い段階から体にガツンと栄養を入れていた。ドレーンのホースが取れて以降は、病院食も開始。病院食だが、食事が進むごとに形状がしっかりしていった。

 最初は全粥、次に八分粥、五分粥、三分粥、軟飯と2日間くらいの間であっという間に普通のごはんにステップアップ! 大きい病院だからなのか、食事が毎食豪華。純粋に羨ましいなと思えるようなラインナップが、毎日毎食続いた。


 それに加えて、サンドイッチやゼリーを食べている。さすがにお菓子や総菜の類は持って行かなかったけど、痩せるわけなくないかと思わざるを得ない。入院終盤に向かうにつれて、リッチな入院生活だったような記憶さえある。




 入院2週間の最終日。予定通り退院が決まり、退院開始時間になると同時に回収することになった。同居人は家が好きだ。好き放題できる。大人しい暴君みたいなところがあるので、入院中だいぶ我慢したのではないだろうか。個室だったけど。


 退院当日、私はまた朝早く車を出した。1日おきに2週間も通っていれば、いくら方向音痴な私でもある程度道を覚える。行きに至ってはカーナビなしでいけるようになった。退院の迎え時間2時間前に到着。もっと遅くてよかろうと思ったが、朝の通勤ラッシュで混むからと手術の日と同じように相当早く到着させられてしまった。


 私はきっと疲れていたのだろう。退院の迎え時間になるまで、NHKで流れていた「いないいないばあっ!」を眺めていた。うーたんの時代のいないいないばあっ!である。



 回収時間に向けて、同居人側も退院準備が進んでいた。今回の入院で一番ネックになっていた、尿道カテーテルを取らねばならない。


 尿カテだが、私は入院した際、見るからに新人っぽい看護師さんがカテーテルを抜いた。私の尿カテは最初から失敗だったので、そのうち別のどこかで詳細を書きたいくらいである。

 カテーテルを抜くときも失敗で、抜ける瞬間先端が爆竹でバン! とされたくらいの痛みだった。痛みには相当強い方だが、「いってぇ……!!(怒)」と無意識に言ってしまったほど。私の尿カテ知識はそれしかないので、同居人にはそのときのことを随所で話していた。


 尿カテは、抜けきる瞬間爆竹で爆発するような痛さがある。

 その知識を持って、同居人はいざ泌尿器科へ!! 看護師さんではなく、なんとお医者さんからカテーテルを取ってもらったらしい。


 しかも、女医さん! 女医さんがカテーテル取ってくれたらしい!!! 泣くほど羨ましい。むせび泣くことしかできない。女医さんの腕は確かで、いつカテーテルを取り終えたかさえ分からなかったらしい。もう全部嫉妬。腕のいい女医さんのお世話になったなんて。どけ! そこ代われ!! って言いたいくらい羨ましい。



 尿道カテーテルも取れて、退院前に体重を計ることになった。ナースステーション前の体重計に乗る同居人。「ん? ちょっと増えてる」という、なんでだろ? って声が聞こえた。なんでもクソもない。食い過ぎ。

 私の思惑はちゃんと当たり、入院中痩せるどころか、ちょっと太って同居人は退院。恐ろしい人間と生活しているなと、迎えに行って帰宅する車中こっそり思った。がりがりどころか太るって……。


 退院は無事完了。会計で時間を食ったけど、昼前には帰り着く。

 帰りの車中、同居人はちゃんと機嫌がよかった。カーナビを入れようかと思っていたが、道案内してくれるとのこと。基本直線しか進めない私のことを気遣って、わかりやすい道を選ぶ。……なんてことはしない。左右曲がりまくって、ここはどこかな? と思いながら運転していたら急に家に着いた。


 私は同居人の帰宅に合わせて、ちょっと味を薄めにした、具材を小さめに切り分けた肉じゃがを作っていた。同居人は肉じゃがはおやつというタイプらしく(?)、おやつがあって嬉しかった様子。

「具は普通の大きさでもよかったのに」

お前が小さめに切れっつったんだろと、心の中で毒を吐く。


 昼前に帰り着いたけど、やっぱり病院食は少なかったようで、力加減なくごはんを平らげていた。口の手術をしたはずだが、情け容赦ない食欲だった。



泌尿器科で女医さんのお世話になったのを、私は未だに羨ましく思っている。なんでだよ。私だって女医さんのお世話になりたかった。多分ずっと根に持つ……!!


無事退院した同居人。その後また矯正歯科に通う生活を送る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。