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Ultimate pack-mule ただひたすらに強さを求めて  作者: 煉獄
第二章 秩序との戦い
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第四十六話 熱くて冷たい?

地下室で酒を酌み交わす静かな時間のなか、ナタルはグラスを傾け、冷徹な視線をヴァルネへと向けた。

「ヴァルネ。1体目の『空間歪曲』、2体目の『嵐龍』、そして『漆黒の大空洞』で3体目の『ヴォイド・ドラゴン』の『虚無』と『絶対重力』を喰らい尽くした。……次に狙うべき『4体目』のエンシェントドラゴンの情報を出せ」

「ふふ、もう3体目も呑み込んじゃったの? 本当に留まることを知らないバグね……」

ヴァルネは艶やかな声でくすりと笑うと、琥珀色の液体が入ったグラスを優雅に揺らした。

「いいわよ。残る9体のセキュリティコアのうち、今のあなたが次に喰らうべき『4体目』のデータについて教えてあげるわ」

ヴァルネは指先をすっと立て、薄暗い地下室の空気に赤いノイズの光でホログラムのような構造体を映し出した。

* 識別個体名 : 『獄炎巨龍・プロメテウス・ドラゴン』

* 統括ノード(潜伏地) :『極南・業火の大火山帯(ノード03)』

* 司る主要概念(権能) : 『絶対熱力学崩壊』『分子運動全停止(極低温・絶対零度)』『概念焼却』

* 単なる「炎」や「熱」ではなく、熱エネルギーそのものの法則を自在に操作・崩壊させる高次元コード。

* 周囲の温度を無限の超高熱に変えて物質の概念ごと焼き尽くす『概念焼却』と、逆に一瞬で熱を奪い去って絶対零度で分子運動を全停止させる『熱死領域』を交互に展開する。

* 変貌した防衛ルーチン :

* アクティブ化によって火山帯全体の熱エネルギー構造を完全に掌握しており、侵入者の体内から直接熱を奪い取って即死させるか、あるいは体内の魔力コードごと焼き切る「環境侵食型セキュリティ」を展開している。

「これまでの『空間』や『重力』といった物理的構造の破壊とは違って、今度の4体目は『存在そのもののエネルギー状態』を直接攻撃してくるタイプよ」

ヴァルネはグラスを置き、ナタルの顔を覗き込んだ。

「まともに近づけば、触れる前に体内の魔力も生命活動も凍りつくか、焼き焦げされて消滅するわ。……でも、ヴォイド・ドラゴンから喰らった『空間虚無』と『絶対重力』で熱エネルギーの伝播そのものを遮断して押し潰せば、その『熱力学』の概念すらあなたの『器』へ強奪できる。これを呑み込めば、攻撃属性の概念すら完全に無効化する『無敵のエネルギー耐性』が手に入るわ」

ヴァルネは妖しく瞳を輝かせ、不敵に口元を歪めた。

「どうかしら、ナタル? 4体目の『業火と絶対零度』……その身で喰らい尽くしてみる?」

「熱いのも寒いのも苦手なんだがな」

グラスを揺らす手を止めず、ナタルは至極面倒そうに吐き捨てた。

「贅沢言わないの」

ヴァルネは楽しそうにクスクスと笑い、赤い光のホログラムを消し去る。

「『概念吸収』でどんな理も呑み込めるようになったって、生身の感覚までは消えないものね。……でも、大丈夫よ。それを喰らって完全に『熱力学』の耐性を自分のものにすれば、灼熱の熱さも絶対零度の凍てつく寒さも、あなたの肉体にとってはただの『データ』になるわ」

ヴァルネはナタルのグラスに琥珀色の酒を注ぎ足すと、自身のグラスを軽く打ち鳴らした。

「火山の深層で焼き尽くされるか、凍りついて砕け散るか……あるいは、その相反する二つの極限を呑み込んで更なる『化け物』に進化するか。次の戦いも楽しみにさせてもらうわね、ナタル」


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