↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ultimate pack-mule ただひたすらに強さを求めて  作者: 煉獄
第二章 秩序との戦い
42/58

第四十一話 代償

「ふん……3体目完了だ。行くぞ、スターシャ。極東を抜け、次のノードへ向かう」

決意を口にし、黒い手袋を深く締め直したその瞬間であった。

ツ——————ッ。

「……なっ!?」

ナタルの視界が、突如として激しく左右に揺らいだ。

一歩を踏み出そうとした足から完全に感覚が失われ、膝から砕け散るように、ナタルは冷たい黒石の地面へと崩れ落ちた。

ドサッ……!!

「ナタル……!? 嘘でしょ、急にどうしたの!?」

慌てて駆け寄るスターシャの悲鳴のような声すら、遠く不鮮明なノイズのように鼓膜の奥へと遠のいていく。

体内で、異変が起きていた。

『1体目』の空間歪曲、『2体目』の絶対空間切断、そして今しがた強引に喰らい尽くした『ヴォイド・ドラゴン』の空間虚無と存在消滅領域——さらには、限界を強行突破して「魔法レベル300」へと突入させた際に自作した『事象穿孔』の過剰な概念コード。

それらの莫大なデータ群が、ナタルの体内で一斉に猛威を振るい始めたのだ。

(くっ……身体が……重い……! 体内が……焼けるように熱い……!!)

ナタルの手袋から覗く皮膚には、かつてないほど不気味で濃密な赤黒いノイズが明滅していた。

激しい息吐きとともに右胸を押さえるナタル。全身の骨と肉体が、内側からの圧力で激しく軋み音を立てる。

『概念吸収(システム・オーバーライド)』により、一気に高次元の概念を強奪し、拡張させたナタルの『器』。しかし、今回の戦闘はあまりにも異常だった。

コピー&ペースト処理がパンクした状態から、ナタルは自身の魔法レベルを300まで強引に引き上げ、自ら新しい概念をプログラミングして展開した。その「規格外の魔法負荷」がかかった状態のまま、間髪入れずに『ヴォイド・ドラゴン』の巨大な存在消滅領域を丸ごと体内に流し込んだのだ。

——要するに、**「器の拡張と内部処理が追いついていない状態での、急激すぎる概念の爆発的加算と魔法レベル過負荷(オーバーロード)」**を引き起こしたのである。

「ナタル! しっかりしなさい! 一体何が……ッ!」

「……触るな……ッ!」

手を伸ばそうとするスターシャを、ナタルは途切れ途切れの低い声で制した。

「今の俺に……下手に触れれば……体内で渦巻く『消滅』と『虚無』の概念がお前にまで波及する……! ぐ、ガっ……!」

額から滝のような冷や汗を流しながら、ナタルは血の混じった息を吐き出す。

ステータス上の表記は相変わらず『Lv.1』のままだ。しかし、内部でせめぎ合う概念の数値と魔法レベルの負荷は、まさに爆発寸前の限界領域(クリティカル)を示し、ナタルの精神と肉体を内側から破壊しかけていた。

自ら創り出した未知なる魔法と、喰らい尽くした3体目の巨龍の力。

その圧倒的すぎる「勝利の代償」が、今になって最弱の『Lv.1』の肉体にしかえしとして襲いかかっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。