第二十四話 魔神復活!?
エンシェントドラゴンがノイズのような光となって霧散し、長きにわたる沈黙が破られた大空洞。
その最深部に鎮座していた『魔神の封印体』——黒い鎖が音を立てて弾け飛び、重厚な石棺の蓋が内側から吹き飛んだ。
立ち上る濃密な魔気の中から現れたのは、世界の破滅を齎すと謳われた凶悪な魔神——
……のはずだった。
「ふははは! ついに我が封印は破られた! 待たせたな人間ども、我が災厄の力を——」
高らかに叫びかけた魔神だったが、ふと眼前に立つナタルに視線をやると、その口がぴたりと止まった。
魔神は驚愕に目を見開き、自身の背後でポリゴンのように消滅していくエンシェントドラゴンの残骸と、未だ異様なノイズを纏うナタルの右手を交互に見比べる。
次の瞬間、魔神は先ほどまでの威厳ある態度を跡形もなく捨て去り、冷や汗をダラダラと流しながら素で尋ねてきた。
「……おい、マジかよ。お前、あのアホみたいに硬いメイン・セキュリティプログラムをぶっ壊したのか……!?」
あまりに情けない魔神の反応に、傍らのスターシャが思わず呆気にとられる。
「……なんか? 伝説の魔神って、もっとこう……世界を滅ぼす邪悪な存在じゃなかったのか……!?」
「うるせえ! お前らこそ何考えてんだ! あのドラゴンはLv.1000超えの自動排除システムだぞ!? まだ生きてんのバレたら完全に消去されるから静かに眠ったフリしてやり過ごしてたのに、なんで正面からハッキングして叩き潰してんだよバカなのか!?」
魔神は頭を抱え、頭上の「空間」を恐る恐る見上げながらナタルに詰め寄る
「お前……まさか俺と同じ『エラーバグ』か? だが、そのコードの狂い方……ただの倫理観逸脱じゃねえな。お前、システムそのものを上書き(オーバーライド)してやがるだろ……!」
ナタルは不敵に口元を歪め、己の掌を握りしめた。
「壊したんじゃない。喰らって俺の『コード』の一部にしたまでだ。……で、お前は何者だ? 魔神」
「俺か? 秩序に従わなかったせいで『不良品』扱いされて追われて捕まってた、ただの哀れな先行エラーだよ!……ったく、最悪だ。あいつが壊されたってことは、高次元の管理者がすぐ次のデバッグに来るぞ……!」
魔神はハァと深く溜息をつくと、鬱陶しそうに髪を掻きむしり、ナタルをじろりと睨みつけた。




