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魔女と汽車 外伝 -大学教授と元貴族の助手-  作者: 白波
後編

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第3話

 ラファの町の近くにある山の中腹。アリスたちは町を出てから約二日でマジックアイテムがあるというこの地点に到達していた。

「なるほど。確かにこれは持ち出せないな」

 これまでの登山で体力を使い果たし、肩で息をしているマリーの横でアリスは物を見ながらそうつぶやいた。

 そのマジックアイテム……いや、遺跡とでもいうべきだろうか? 石造りの大きな板状のマジックアイテムには中央に一つ、それから上下左右にひとつずつの合計五つの穴が開いていて、そこに何かを収めるのだろうと推測できるようなものだった。

「確かに強力な魔力を放っているが、これは何かの台座なのか?」

 アリスがアスタに話を振ると、彼女は首を横に振ってから返答をする。

「いや、それが全く分からない。これに何を収めるべきなのかも、もっと言えば収めるべきものを収めた後に何があるのかもだ」

「ふむ。なるほど。これに触れても問題は?」

「……それに関しては問題ない。すでに私が何度か触っているからな」

 その会話の後、アリスは試しに石板のくぼみのところに手を入れてみる。しかし、当然というべきか魔力を濃く感じるだけで何も反応はない。

「……確かにこれは謎が多そうだな」

「あぁそうだ。出なければ、高名なアリス教授にわざわざご足労願わないよ」

 これの調査はかなり難航しそうだ。そう考える一方で、アリスの脳内にはなぜかマーガレットが集めている聖書のことがよぎっていた。もしかしたら、中央と東西南北にある大聖堂の聖書を集めたあとにここに収めるべき何かが手に入るようになっているのではないかと……いや、それはいくらなんでも考えすぎかもしれない。

「さて、まずはこの場でキャンプをする準備をした方がよさそうだな」

 そこまで考えて、アリスはマリーに声をかける。

「はい。わかりました」

 アリスが物思いにふけている間に息を整えたマリーはアリスの指示に従って近くの平地にテントを設置し始める。

「……それにしてもこいつの解析にはどれだけ時間がかかるのやら」

 そんなマリーの姿を横目にアリスはため息とともにそうつぶやいた。


*


 アリスたちがマジックアイテムの元へたどり着いた次の日。早速、アリスはマジックアイテムの本格的な調査を始めていた。

「……ふむ。何をしていいのかさっぱり分からないな」

 調査を始めたとは言っても早速調査は困難をきわめていた。普段であれば、魔力の波形などから何となく用途を把握し、それを元にどういった使い方をするのかを推定して実際に色々と触ってみるというのが基本的な流れなのだが、この石板はモノが大きすぎる上にあちらこちらを触れてみても何も反応がない。さらに言えば、石板から感じる魔力はこれまでに触ったことのあるマジックアイテムとは一線を画すモノだ。とにかく、今言えることとしてはこれが明らかに目の前の存在が未知のものだと言うことだろう。

「そうさ。私も長年魔法に関わってはいるがこういったモノは初めてだ」

 考え込むアリスの横でアスタがそのようなことを言っている。とりあえず、彼女の知見からしてもこれは未知の存在なのだろう。

 とりあえずアリスはいったん石板から離れてマリーの方へと目配せをする。

「どうかしましたか?」

 その視線に気づいたらしいマリーが首をかしげながら返答する。

「いや、少し考えがあってな。手伝ってくれないか?」

「はい。もちろんです」

 そこからアリスはマリーとアスタにこの先の戦略について話をしていく。

 それを一通り聞いた二人はそれぞれ小さくうなづく。

「なるほど。そういうことですか」

「確かにそれはありかもしれないな」

 二人の反応を見て、アリスは小さく笑みを浮かべた。

「あぁたはだし学生の夏休みが終わる頃には帰れるようにはさせてもらうがな」

 その会話の後、三人はそれぞれ石板がある位置を中心としてそれぞれ周囲へと移動していった。

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