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魔女と汽車 外伝 -大学教授と元貴族の助手-  作者: 白波
幕間

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幕間

 ラファの町を出発したその日の夜。マリーはテントの中で一人日記をしたためていた。

「……はぁ今日もお姉さまの動向はつかめずか……それどころか、どうして私がこんなことを……」

 マリーが使っている日記は普通のそれとは違い、ちょっとしたマジックアイテムとなっていて、日記に書いたことがルイス家に置いてある日記と連動するようになっている。そのため、マリーは日記を書くだけで今日の活動についてルイス家に報告できるようになっているという形だ。

 一応、マーガレットの前ではルイス家は完全に没落しているように見せかけるために演技をしたわけだが、実際はそうではない。正確に言うと没落寸前だ。別に父親であるコニーは酒に走っていないし、マリーに何かをするわけではない……最も、給料を払えないからという理由で使用人はいないに等しいのでそのあたりについては間違ってはいないのだが……

 なぜ、今更になってコニーがマーガレットを探しているのかはわからないが、マリーはコニーに言われるがままこの日記をもってマーガレットに近づいたというわけである。そこまでは良かった。そのままマーガレットの同情を買って、彼女のそばについていれば何も問題はなかったのだ。しかし、あろうことかマーガレットは自らの師匠であるアリスを紹介し、そのまま立ち去ってしまったのだ。これに関してはマリーにとっては大きな誤算だった。その後、マリーはマーガレットが師匠であるアリスに何かしらの動向を伝えるだろうと考えて、彼女のそばにいるわけだが、どういうわけだかマーガレットはアリスに何の連絡もしていないようだし、アリスがそのことについて気にする様子も見せない。この師弟はいったいどうなっているのだろうか?

 ここまで来ると、アリスもしくはマーガレットに自らが近づいてきた理由がばれてしまっているのではないかと不安になって来るが、今のところそう言ったことを指摘するようなことは言われていないのでまだ問題はないと考えた方がいいだろう。今のところは純粋に姉を心配して、その動向を知りたがっている妹。それを貫き通していればいつかはマーガレットの行方をつかめるはずだ……と思ってはいるものの、アリスは全くと言っていいほどマーガレットの動向について話をしないし、マーガレットがアリスのもとへと現れる気配はない。もしかしたら、マーガレットはマリーのことを完全には信頼しきっていなくて、あえてマリーのことを遠ざけたうえで自身の行動を悟らせないためにアリスのもとを訪れたり、自らの居場所を知らせていないのではないかとすら思えてくる。

 そう考えると、これ以上アリスのところにいるのは無駄なのではないかと思うのだが、そういったことを日記帳に書いてみても、返ってくる答えはそのままアリスのそばにいろというモノだ。まったくもって困ったことである。

「……マリー。ちょっといいか」

 そこまで考えたところでテントの外からアリスの声が聞こえてくる。

「はい。すぐに行きます」

 そう答えたのち、マリーは日記帳をカバンの奥底に隠してからテントの外に出る。

「何かありましたか?」

 外に出見ると、アリス教授はマグカップを二つ持っていて、その一方をマリーに渡す。中を見ると、そこにはどうやって用意したのかわからないが、コーヒーが入っていてそれを渡しながらアリスはマリーに声をかける。

「空の星がきれいだ。せっかくだから一緒に見てみようじゃないか」

「はい。わかりました」

 アリスの言葉にマリーはあくまでも笑顔で答える。

 とりあえず、今はアリスのもとで一生懸命働く助手でいなければならない。そう考えながら、マリーはアリスやアスタと一緒に空に広がる星々を眺め始めた。

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