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羅生門怪鬼譚  作者: 夏川凪
第一鐘 京都六歌死闘編 十一

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第99話  綾麿の策略 〜後編〜

【登場人物紹介】

不知火綾麿(しらぬいあやまろ)━━━━

 従三位中将(じゅさんみちゅうじょう)。帝と日本を守る『六歌戦(ろっかせん)』の一人。謎の妖刀『村雨(むらさめ)』を帝から拝領し、御所警備西番を任う。村雨(むらさめ)の真刃(しんば)と鞘刃(さやば)での不知火(しらぬい)二刀流(にとうりゅう)の使い手。江戸徳川政権を憎み、鎌足(かまたり)を快く思っていない。麒麟(きりん)や朱雀(すざく)など五人の直属配下と『六歌戦(ろっかせん)』現体制の打破を画策する。


番傘剣(ばんがさけん)朱雀(すざく)━━━━

 朱のきらびやかな振袖型の戦闘服に身を包んだ、綾麿(あやまろ)の直属の配下の美しい少女。十八歳。仕込み刀の番傘剣の使い手で、その剣腕は鬼の修羅をも凌ぐ。綾麿(あやまろ)に仄かな恋心を抱いているが、色恋に疎い綾麿(あやまろ)にいつもやきもきしている。招集を受け、京の外れの路地裏を訪れる。


 ━━━━弓のように細い三日月が、朧(おぼろ)がかっていく。

 視線を空から地に下ろしていく綾麿(あやまろ)の瞳にも今、遥か遠くに霞む山際が映っていた。


 この地より南へ約三里(※約12km)。

 広がる霞(かすみ)の間から見える山々の影の全てが、強大な権力を持つ弓削大社(ゆげのたいしゃ)の支配管轄。

 それは双方共に因縁を匂わす件(くだん)の巫女、宮司(ぐうじ)の弓月院(きゅうげついん)小夜(さよ)が鎮座する神山(しんざん)だった。



「⋯⋯小夜(さよ)様かぁ。⋯⋯今この瞬間も、あの山の本殿で、優雅に座しているんだろうな」


 まるで朧(おぼろ)の空が舞い降りたような曇った微かな声で、朱雀(すざく)が初めて“その名”を口にする。


「⋯⋯ああ、裏切者(それ)でなくとも、当面の俺たちの最大の障壁、攻めるべき本丸であることには変わらぬが」

 

 しかし綾麿(あやまろ)はそんな因縁の南を軽く一瞥(いちべつ)しただけで、何故(なぜ)か東の方角へと目を向けた。

 この場に訪れていた沈黙は、終わりを迎える。

 綾麿(あやまろ)は神妙な顔つきで、再び朱雀(すざく)に話かけた。



「⋯⋯六歌戦(うらぎりもの)の話は今はこれ迄としよう。⋯⋯朱雀(すざく)よ、そなたとの話はもう一つある」


「⋯⋯え、もう一つ? それは?」


 綾麿(あやまろ)からの唐突の声。

 朱雀(すざく)はきょとんとした顔で、綾麿(あやまろ)の方を振り返った。


「⋯⋯そなたもその名だけは聞いているかもしれんが、俺が東番を譲った、“鎌足(かまたり)”と言う名の江戸御庭番(えどおにわばん)小頭(こがしら)。その忍が昨日昼に遠き東の地、出羽三山(でわさんざん)へと向かった」


「鎌足(かまたり)? ⋯⋯ああ! 江戸からの援軍でしたっけ? 初日に紫宸殿(ししんでん)で暴れたとか、鬼を斬ると云う伝説の鬼切丸(おにきるまる)って刀の半刃(はんじん)を持っているとか⋯⋯。ほんの少しだけですが噂でちらりと。そうそう、綾麿(あやまろ)様ともかなり揉めた事も、青龍(せいりゅう)様から聞きましたよ? 何でもその鎌足(もの)の命を奪おうと、村雨(むらさめ)と共に御所内を追っかけ回したとか」


「⋯⋯⋯⋯」


「うふふ。綾麿(あやまろ)様ったら普段は大人なのに、やんちゃな子供みたいに可愛い所もあるんだからぁ、もう、好き」


 朱雀(すざく)は紅の頬に両の掌を当て、身体をくねらせながら愉しそうに微笑んだ。

 綾麿(あやまろ)には珍しく冷静さを失ったような行動も、朱雀(すざく)にとってはたまらなく愛しく思えるらしい。

 

 しかし綾麿(あやまろ)はそんな朱雀(すざく)の微笑ましい仕草には触れず、既に過去の話とばかりに御所での経緯(いきさつ)も顧みない。

 崩さない表情と真剣な眼差しが、今から伝える話の大事(だいじ)を何よりも物語っていた。

 その話こそが此処(ここ)に朱雀(すざく)を呼んだ最大の理由。

 そしてそれは、鎌足(かまたり)の旅の目的でもある、”あの男“に関する話(もの)だった。



「⋯⋯その行き先は、朝廷とは遥か前から縁を切り、出羽(でわ)の秘境に隠遁(いんとん)として暮らす、━━━━役小角(えんのおずぬ)」



 ⋯⋯役小角(えんのおずぬ)。

 朱雀(すざく)は初めて聞く名だった。


「⋯⋯は? えんの? おずぬ? その者が鎌足(かまたり)とやらとどんな関係が?」


「鎌足(やつ)め。どうやらその小角(おずぬ)に会いに⋯⋯、いや、”刀を求めに“、向かったと見える」


「⋯⋯刀? ⋯⋯うーん、どういう事ですか?」


「その出羽国(でわのくに)の役小角(えんのおずぬ)は、今よりおよそ七十年前。紅鬼(おに)を封じた元『六歌戦(ろっかせん)』。生き残った者の内の一人だ」


「⋯⋯今は引退した『六歌戦(ろっかせん)』の一人?」


「そして俺はかつて噂で一度耳にした事がある。その小角(おずぬ)は鬼を斃(たお)した伝説の刃を所有している⋯⋯、と」


「⋯⋯刃。⋯⋯ん? あれ? ⋯⋯あ、それって、鎌足(かまたり)とやらの鬼切丸(おにきりまる)と同じ曰(いわ)く? また鬼を斬る刀だ?」


「俺の憶測にすぎん。⋯⋯が、小角(おずぬ)が持つその刀とは、もしかしたら鎌足(かまたり)の持つ鬼切丸(おにきり)の片割れ。まだ見ぬ半刃(はんじん)のもう一つなのではないか? そなたはどう思う?」


「⋯⋯なるほどぉ。それは十分にあり得ますね。生き残った『六歌戦(ろっかせん)』が二人。伝説の刀も二つ。しかも鎌足(かまたり)とやらが持つのはちょうど半分」


「⋯⋯少なくとも俺は、その二つの云(い)われは元は一つ。同一の刀だと見ている。⋯⋯とすれば、俺たちにとって厄介な事になる」


「⋯⋯厄介な事?」


 朱雀(すざく)はあどけなく首を傾(かし)げた。


「ああ、今の鎌足(やつ)の剣技(うで)はまだ未熟。朱雀(そなた)たちには及ばぬが、その秘めた素質には目を見張るものがある」


「でも麒麟(きりん)君に、ぼっこぼこにされたんでしょう?」


「あの勝負。麒麟(きりん)は終始手を抜き油断していた⋯⋯とは言え、麒麟(きりん)程の使い手が追い込まれたのだ。最後の一閃、一瞬。あの時の鎌足(やつ)の動きは麒麟(きりん)の読みに勝り、俺の想像の上をいっていた⋯⋯。鎌足(やつ)自身もまだ気づいていない。⋯⋯が、確実に底しれぬ不思議な強さ、そして鬼たちをも凌ぐような大いなる謎も秘めている」


「⋯⋯ふーん、そんな侮れない奴なんだ? でも私たちの計画の邪魔になることはないのでは? 京都に援軍に来てるとは言え、いつか京都を離れる江戸者でしょ?」


「⋯⋯これもまた俺の憶測になるが、⋯⋯鎌足(あやつ)の背後が気になるのだ」


「⋯⋯背後? 鎌足(かまたり)を裏で操る者たちがいると? 江戸の御庭番衆(おにわばんしゅう)、伊賀の忍たちですか?」


「⋯⋯⋯⋯」


 この時、何故(なぜ)か綾麿(あやまろ)の言葉が止まった。

 朱雀(すざく)がそんな綾麿(あやまろ)を覗き込むようにして、また首を傾(かし)げる。


「⋯⋯綾麿(あやまろ)様?」


「⋯⋯いや何でもない。今は詳しくは話さぬが、まあそんな所だ。鎌足(やつ)がもし鬼切丸(おにきり)の両刃(りょうじん)を手にすれば、何(いず)れは俺たちの計画の前に必ず立ちはだかる。そして大きな災いとなるだろう。それだけは未然に防がねばならん」


「でもどうして綾麿(あやまろ)様はそんな危険な奴を、この十数日の間も野放しに? 京都の町を一緒に守る!⋯⋯なーんて、大の江戸嫌いの綾麿(あやまろ)様が思う事は無いだろうし。綾麿(あやまろ)様の権力(ちい)や剣腕(うで)なら、御所の中で幾らでも殺せる機会などあったでしょうに。鬼の襲撃の際も、襲撃後も、昨日も。しかも人知れずひっそりと」


 綾麿(あやまろ)は少しばつの悪そうな表情を浮かべる。

 そして朱雀(すざく)から目線をそらし、ぼそりと呟いた。


「⋯⋯⋯⋯、だから内裏(だいり)で追っかけ回した」


「⋯⋯あ、そこに繋がるんだ? なるほどぉ。うふふ」


 綾麿(あやまろ)のぶっきらぼうな物言いに、逃げ惑う忍と、村雨(むらさめ)二刀を振り回しながら忍を追い回す綾麿(あやまろ)の姿を、朱雀(すざく)は思わず想像してしまう。

 その余りの可笑しさに、朱雀(すざく)の口元も自然と緩む。


「元々好機は窺(うかが)っていた。鎌足(やつ)から刃を抜くように圧をかけながら。その刃を交えた時も、鎌足(やつ)の力を試しながらだったが、確実に殺るつもりだった。だが蒼鬼紅鬼(おに)どもの急な出現があり、その機会は逸(いっ)してしまったが」


「⋯⋯ん? でもその後、いくらでも殺せたのでは?」


「⋯⋯その時の互いの罵り合いや諍(いさか)いは、生き残った警備兵(もの)たちに見られている。それ故(ゆえ)に派手な手出しはできぬ。鎌足(やつ)がもし御所で死んだり殺されたり、何か不審が起こると、麒麟(きりん)共々疑われて面倒な事になるからな」


「⋯⋯ふーん?」


「それに鎌足(やつ)には、共に御所を命懸けで守り抜いた、その礼もあったからな。今の所はその命、見逃してやった。⋯⋯まあ、そのような理由が色々とあって、襲撃後は言葉で圧をかけるくらいしかできなかったのだ。⋯⋯ふっ、その代わり此方(こちら)から散々に脅して罵ってやった。その青ざめた表情、なかなかに愉しかったぞ」


「⋯⋯本気の道化(どうけ)最中(さなか)の、情けを完全に捨てている、鬼よりも恐くて厳しい綾麿(あやまろ)様が⋯⋯、見逃した? しかもそんなねちねちと絡みに? ⋯⋯ん、私の勘ですけど、あれこれ理由はあれど、もしかして命懸けで御所を守った”御礼“って理由(やつ)が、良くも悪くもいつのまにか“興味”に変わっちゃいました?」


 綾麿(あやまろ)の性格を誰よりも知っている朱雀(すざく)は、少し驚いたような表情を見せた。

 そして立ったまま脚を組みながら、何度も左右に首を傾げ、人差し指を頬や額に当てて考察する。

 開いている番傘までも、左に右に不規則に回る。

 朱雀(すざく)の顔には、明らかな疑問符が浮かんでいた。


「⋯⋯まあ、命を助けたのは、元々心根がお優しい綾麿(あやまろ)様らしいと言えばらしいけど。共に鬼と戦った事で情が移っちゃったのかなあ? うーん⋯⋯でも珍しいなぁ。いつも冷静沈着な綾麿(あやまろ)様が人目も憚(はばか)らず追いかけ回す程、むきになったり。と思ったら意外や意外、情けをかけて見逃してみたり。⋯⋯その男、どんな奴だろう?」


「⋯⋯女子(おなご)だ」


「⋯⋯え?」


「⋯⋯鎌足(かまたり)は女子(おなご)だ」




 ⋯⋯不自然な沈黙が流れた。




「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。⋯⋯女子(おなご)、⋯⋯なんですか」


 唐突に訪れた長い沈黙の後。

 朱雀(すざく)は眉間に皺(しわ)を寄せ目を細め、綾麿(あやまろ)をじいっ⋯⋯と睨みながら、異様に低い声でぼそりと呟いた。

 その声の響きには、つい今しがたまでの明るさや張りは何一つ感じられない。


 この時、この綾麿(あやまろ)の返事を聞くに至るまで、江戸徳川将軍からの正式な援軍である鎌足(かまたり)がまさか女性だとは、朱雀(すざく)は頭の片隅にも考えた事が無かった。

 きっと図体(ずうたい)も大きく、髭もじゃ。

 そして岩のように筋骨隆々、屈強な身体。

 鎌足(かまたり)をそんな”ごつい男”とばかり思い込んでいた。

 

 朱雀(すざく)の顔が明らかに苛立(いらだ)ちで歪(ゆが)む。

 手の中に握る番傘の柄(え)が、みしみしと音を立てる。


 その心は嫉妬(しっと)の炎で燃え滾(たぎ)っていた。



(⋯⋯あの綾麿(あやまろ)様が、一人の女にそんな執着を? 有り得ない、有り得ない、有り得ない。⋯⋯っ、ぐぎぎぎぎぎぎ、⋯⋯か、鎌足(かまたり)ぃぃぃ。⋯⋯どんな禍々しい憎たらしい色気を放っている美女なの!? ⋯⋯私より歳上? ⋯⋯綾麿(あやまろ)様、実は年増(としま)女が趣味なの!? ⋯⋯でも待って待って。まさか⋯⋯、もし⋯⋯歳下⋯⋯だったら? ⋯⋯嘘ぉ!? ⋯⋯はぁああぁ!? まっさかぁ!?)



 しかし綾麿(あやまろ)は色恋沙汰にはまるで不器用。

 一言で性格を表すならば、”鈍感“や“無関心”だった。

 この朱雀(すざく)の変化に何一つ気付かない。

 それどころか赤羅様(あからさま)に不機嫌に変わっていく朱雀(すざく)を前にしながら、鎌足(かまたり)との回想を更に続けていた。



「鎌足(やつ)め。鬼との戦いの後、抱きかかえて部屋まで運んでやったが、俺の腕の中で涎(よだれ)を垂らし、百地(ももち)殿の名を呟きながら胸にも擦り寄ってきおった。ははは⋯⋯。きっと夢の中で俺を、その江戸の百地(ももち)殿と勘違いして、その身体を任せていたのだろうな。⋯⋯ふふふ」


「⋯⋯だ、抱き!? ⋯⋯よ、涎(よだれ)!? ⋯⋯す、すすす、擦り寄り⋯⋯、⋯⋯み、みみみ、身を任せ⋯⋯!?」


「それと傷の様子をわざわざ見に行ってやった、昨日は昨日でな。謹慎明け一番に会った時の、鎌足(あやつ)の驚いた顔といったらなかったぞ。しかも江戸が恋しくなった、傷がまだ癒えていない等と嘘八百を並べてな。そのくせにそれはそれは嬉しそうに、廊下をまるで野兎のように飛び跳ねていきおったわ。⋯⋯ははは、おかしな奴よ」


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


「しかも内裏(だいり)の勤怠(きんたい)を扱う式部省(しきぶしょう)にな、昨日あの後、大将殿宛てで出羽国(でわのくに)行きの届を出したらしい。江戸ではない何処(どこ)かへ向かう事だけは何となく読めていたが、調べる手間や時間が省けた。そんな届を出せば、まるで筒抜けになる。勿論(もちろん)、念のために逢坂(おうさか)の関所にも問い合わせた。北東の方角に向け、間違い無く鎌足(やつ)が京都を離れた事が確認されている。⋯⋯ははは、どう思う? 朱雀(すざく)よ。鎌足(かまたり)は本当にそんな笑える程に、間抜けで愚かな奴だと思うか? ⋯⋯俺はな、この一連の件、実の所⋯⋯ん? どうした朱雀(すざく)?」


 綾麿(あやまろ)は何かを言いかけて、一旦言葉を止めた。

 目を鋭く細め、じっと無言で綾麿(あやまろ)を見つめ続けていた朱雀(すざく)。

 その嫉妬と猜疑心(さいぎしん)に溢れた視線を、ようやくにして感じ取ったからである。


 朱雀(すざく)の眉間はぴくぴくと引き攣(つ)っていた。


「⋯⋯綾麿(あやまろ)様? はっきりと言ってくださいな。愚かな奴とか、おかしな奴ではなくて、愛しい女子(ひと)の間違いでは?」


「⋯⋯ん?」


「 ⋯⋯貴方様という御方は、目の前にこんな尽くす美女が居ながら⋯⋯。褥(しとね)にその愛しい女子(おなご)を運んでから、一体何をなされたのです?」


「⋯⋯どういう意味だ?」


「⋯⋯言葉の通りです」


「⋯⋯愛しいひと? とは? 何だ?」


「⋯⋯さあ? 御自身の胸に聞いてみれば如何(いかが)でしょう。ちなみにその鎌足(かまたり)って女忍、歳は幾つですか?」


「⋯⋯歳? ⋯⋯あぁ、正確には知らぬが、そなたよりは若い。麒麟(きりん)よりは上だろう。十六ほどではないか?」


「⋯⋯はぁあぁあぁあぁあん!? じゅ、十六ぅ!?」


「⋯⋯? どうした?」


「⋯⋯綾麿(あやまろ)様、歳の差。ないわ。趣味が悪すぎます」


「⋯⋯趣味? ん? 何やら不穏な殺気を感じるが?」


「⋯⋯そうですか? ⋯⋯別に」


「⋯⋯ふふふ。⋯⋯その殺気、丁度良い」


「⋯⋯は?」


 綾麿(あやまろ)の一言に、細かった朱雀(すざく)の目も、尖っていた口も、ぽかんと丸くなる。

 そんな朱雀(すざく)に向けて、綾麿(あやまろ)は薄笑みを浮かべた。



「⋯⋯話を戻そう。鎌足(かまたり)の件。廊下まではともかく、届出と関所の件は、鬼切丸(おにきり)同様に半刃(はんじん)。半分は真(まこと)、半分は形無きもの⋯⋯、即(すなわ)ち偽りだ」


「⋯⋯え? 偽り? ⋯⋯全く意味が分かりませんが?」


「鎌足(かまたり)は忍にしては確かに抜けている。恐らく感情を殺した潜入経験などは、まだ少ないのだろう。とは言え、流石に届出を出して御所を出る程は、抜けてはいない。また人目につき、行き先が分かる関所をわざわざ抜けて向かうような、救いようの無い馬鹿でもない。⋯⋯届出と関所の返答は、恐らくは霧人(きりひと)の陰謀だ━━━」



 それは事実、的を射ていた。

 式部省(しきぶしょう)からの伝達も、逢坂(おうさか)の関所からの返事も、全てが『六歌戦(ろっかせん)』鷹乃宮(たかのみや)中納言(ちゅうなごん)霧人(きりひと)の裏からの指示。

 昨日夜に配下の少納言(しょうなごん)葛羽(くずは)に命じ、陰陽衆(おんみょうしゅう)たちに手配させた、綾麿(あやまろ)一派の分散を狙った情報の横流し。

 極秘裏に進められている不可解な陰謀の一端だった。


 しかし綾麿(あやまろ)の目は騙されなかった。

 この隠された真実、霧人(きりひと)の計略を見抜いていた。



 小角(おずぬ)の名は知らなかった朱雀(すざく)だが、霧人(きりひと)の名には当然に聞き覚えがある。


「⋯⋯霧人(きりひと)。⋯⋯それは天才陰陽師と名高い、あの『六歌戦(ろっかせん)』の鷹乃宮(たかのみや)中納言(ちゅうなごん)の事ですね? 妖術知略に長けた、変幻自在の妖剣の使い手と聞いています。⋯⋯が、でもどうして? 何故に綾麿(あやまろ)様にそんな偽の情報をわざわざ流すんです!?」


「⋯⋯全てが偽ではない。今言った通り、半分は真(まこと)。鎌足(かまたり)の出羽(でわ)行きは真実だ」


「⋯⋯では、何故(なぜ)!? わざと綾麿(あやまろ)様に情報を流すなど。ますますもって鷹乃宮(たかのみや)中納言(ちゅうなごん)の真意が分かりません」


「⋯⋯恐らくは俺たちに鎌足(かまたり)を追わせる気だろうな」


「追わせる? ⋯⋯っ、⋯⋯まさか、狙いは分断?」


「⋯⋯だろうな。俺たち六人を東西に分散させ、京での邪魔な“目”を減らす目的だろう。⋯⋯それが何を意味し、そして何を企んでいるかはまだ分からぬがな」


「⋯⋯もしかしたら蒼鬼(あおおに)に協力している裏切者っていうのも、その鷹乃宮(たかのみや)中納言(ちゅうなごん)なんじゃ!?」


「⋯⋯かもしれんな」


「⋯⋯なら鎌足(かまたり)の出羽(でわ)の件なんて無視しなきゃ! ⋯⋯っ、そう言えば。この所の陰陽衆(おんみょうしゅう)の動きには、青龍(せいりゅう)様も疑念や不審を抱いていた。⋯⋯ッ! これは御所や京都の監視を強めないと!」


 朱雀(すざく)が切迫した真剣な表情で身を乗り出す。

 しかし綾麿(あやまろ)の次の返事もまた、そんな焦燥(しょうそう)の朱雀(すざく)が想像だにしていない、意外すぎる言葉(もの)だった。 



「⋯⋯否(いな)、⋯⋯ここは敢えて、誘いに乗る」



 思わず朱雀(すざく)の声も裏返る。


「⋯⋯はぁあ!? 綾麿(あやまろ)様!? どういう事です!?」


「情報の出処(でどころ)が霧人(きりひと)であろうとなかろうと、鎌足(かまたり)の件が真実ならば、それは決して見過ごせぬ話」


「⋯⋯そ、それは確かに、そうかもしれませんが」


「忘れたか。俺たちの目的は『六歌戦(ろっかせん)』の打倒。ならば逆に丁度良い。その『六歌戦(ろっかせん)』霧人(きりひと)が陰陽衆(おんみょうしゅう)たちと何を企み、何を御所で成そうとしているのか。霧人(やつ)の真意を探るのにむしろもってこいの好機とは思わぬか?」


「⋯⋯なるほどなるほどぉ。敢えて罠にかかったふりをして、もう一つ道化(どうけ)を演じて油断させる、か。⋯⋯うふふ、綾麿(あやまろ)様らしい嫌がら⋯⋯いや、反撃だなあ。そんな大胆不敵で知的な綾麿(あやまろ)様が、やっぱり朱雀(すざく)は好きぃぃ」



 綾麿(あやまろ)への羨望(せんぼう)と感嘆。

 朱雀(すざく)の表情が一気に蕩(とろ)けていく。

 そんな愛らしい姿を他所(よそ)に、綾麿(あやまろ)はこの朱雀(すざく)を招集した理由、その核心部分を口にする━━━━。



「━━━━そこで、だ。俺たちの計画、御所にまつわる不審、謎の裏切者、そして出羽国(でわのくに)に眠りし鬼切丸(おにきり)⋯⋯。その全てを踏まえ、朱雀(そなた)や青龍(せいりゅう)たち其々に、適任の命令(めい)を下すことにした」



「⋯⋯っ、命令(めい)? と言うことはいよいよ今宵の本題ですね。⋯⋯しかも五人其々に? 一体何かしら?」


「ここ十日ばかり前から、青龍(せいりゅう)の羅生門(らしょうもん)の動きを探る占星術(せんせいじゅつ)が妨げられている。御所周辺の氣が乱れているからだ。恐らくは奴ら陰陽衆(おんみょうしゅう)の仕業。⋯⋯青龍(せいりゅう)には陰陽衆(おんみょうしゅう)への対抗術式と、引き続き羅生門(らしょうもん)本道(ほんどう)の探索を頼んだ。⋯⋯そして鎌足(かまたり)が抜けた東と、俺の西の二つの番。これは既に白虎(びゃっこ)に任せてある」


「青龍(せいりゅう)さんはまさに適任ですね。白虎(びゃっこ)は⋯⋯、鬼に同情かも。爪牙刀(そうがとう)に斬り刻まれる鬼が可哀想。麒麟(きりん)君は?」


「⋯⋯麒麟(きりん)はそのまま北と南の番だ。麒麟(あやつ)め、俺に激しく咎(とが)められたのが気に食わないのか、ここ暫(しばら)くは俺とはほとんど話そうとはせん」


「あらあら。麒麟(きりん)君、拗(す)ねちゃって。⋯⋯で、あれ? 綾麿(あやまろ)様は?」


「⋯⋯俺は清涼殿(せいりょうでん)の謎の閃光の正体を追う。それに小夜(さよ)と弓削大社(ゆげのたいしゃ)の秘密について、過去の書物や記録を中心に色々調べたい事もあるからな。⋯⋯当面の大敵は霧人(きりひと)ではなく、やはり弓削(ゆげの)の小夜(さよ)だ」


「なるほどぉ⋯⋯、あ、で私は? あと玄武(げんぶ)さんは?」


「玄武(げんぶ)には出羽国(でわのくに)の小角(おずぬ)が持つ半刃(はんじん)の探索。そして俺の見立て通りだった場合の、半刃(はんじん)”破壊“もしくは“鎌足(かまたり)より先の奪還”を任せた。もしその探索や破壊の邪魔をする者があれば、その者たち全てを排除せよ、ともな」


「⋯⋯なるほど、それも適任ですね。流石は綾麿(あやまろ)様。破壊にかけては玄武(げんぶ)さんの右に出る者はいないもの」


「玄武(げんぶ)は人の善悪を見抜く目にも長けている。小角(おずぬ)の従者たちを相手に、無益な殺生(せっしょう)は決してしないはずだ」


「⋯⋯うーん、でもなあ。破壊は適任とは言え、やっぱり大丈夫かな、玄武(げんぶ)さん。普段は冷静でも、怒らせたら本当に怖いからなあ。人でも家でも村でも砦でも城でも、何でも破壊し尽くしちゃいそう」


「そして⋯⋯、朱雀(すざく)よ。そなたには⋯⋯」


「⋯⋯あ、はい、何なりと」


 まるで何処(どこ)か近くの店(たな)に簪(かんざし)や菓子でも買いに行くような、のんびり気楽な表情で朱雀(すざく)は構えている。

 しかしその顔には、未だかつて綾麿(あやまろ)の命令を仕損じた事は無い、そんな絶対の自信と余裕が滲んでいた。

 

 綾麿(あやまろ)もそんな朱雀(すざく)の自信に応えるように、瞳を妖しく煌(きら)めかせる。

 そして次に綾麿(あやまろ)の口から飛び出したのは、数々の驚きの言葉を超える、歓喜雀躍(かんきじゃくやく)の一言━━━⋯⋯




 ⋯⋯━━━━「江戸御庭番小頭(えどおにわばんこがしら)、鎌足(かまたり)の追跡、そして抹殺を任せる」━━━━⋯⋯




 ⋯⋯━━━━鎌足(かまたり)の暗殺命令だった。




(⋯⋯あら、まあっ)


 朱雀(すざく)の口元が自然と綻(ほころ)ぶ。

 これ以上は無い、願ったり叶ったりの命令だった。


「⋯⋯女子(おなご)同士。故(ゆえ)に適任かと思ってな。不服か?」



「⋯⋯いえ。勿論(もちろん)、”喜んで“、⋯⋯お受け致します」



 朱雀(すざく)は当然に二つ返事。

 満開の笑顔の花を咲かせながら頷いた。



「既に一足先に玄武(げんぶ)は出羽(でわ)へと向かった。そなたも直ぐに準備をし、出羽(でわ)へ向かうがいい。馬は要るか?」


「その鎌足(かまたり)とか言う、憎(にっく)き女子(おなご)は歩きで?」


「ああ。これも御丁寧に霧人(きりひと)からの情報だ。鎌足(やつ)は伊賀の仲間九人と、出羽(でわ)の何処かで落ち合うらしい。仲間と集まる刻(とき)にまだ十分に余裕があるのだろう。ちなみに玄武(げんぶ)は歩きだ」


「なら私もそうしようかな。玄武(げんぶ)さんからは半日遅れ。急げば追い付けるかもだし。それに日本(ひのもと)の北だと、たぶんまだ相当に寒いでしょう? 馬でかなり先に着いちゃうと、鎌足(えもの)が来るのを、寒さに震えながら何日も待たなくちゃならないですから」


「小角(おずぬ)の支配する地は、吹雪(ふぶき)が舞う万年雪、極寒の地と聞く。決して備えを怠るな。そして青龍(せいりゅう)の占術によれば、蒼鬼(あおおに)や紅鬼(あかおに)どもも出羽(でわ)の方面、北から東へ向けて、何らかの不可解な氣の動きが見られる、との事だ。⋯⋯よいか、努(ゆめ)々油断するな」


「御安心を。青龍(せいりゅう)様の羅生門(らしょうもん)探索と陰陽師(おんみょうじ)対策。麒麟(きりん)君や白虎(びゃっこ)の御所警備。そして玄武(げんぶ)さんの鬼切丸(おにきりまる)破壊。⋯⋯この仲間内の手柄勝負にも、絶対に負けられませんわ。何をするにしても綾麿(あやまろ)様の一番じゃなくちゃ。もし私の前に蒼鬼紅鬼(おに)どもが現れても、その全てを蹴散らして、必ずや綾麿(あやまろ)様の御期待に添いますから。⋯⋯うふふふ」


 朱雀(すざく)は両の振袖をひらひらと舞わせながら、嬉しそうに微笑む。

 そして最後に上目遣いで綾麿(あやまろ)を見上げた。


「⋯⋯あの。でも念のため、一つ聞いても良いですか」


「⋯⋯何だ?」


「本当に良いのですか。その鎌足(かまたり)とやらを殺しても?」 


 綾麿(あやまろ)の返事を聞くのが怖いのか。

 この短い問いかけが終わる時には、朱雀(すざく)は少し伏し目がちになっていた。


「何故(なぜ)、改めてそのような事を聞く?」


「⋯⋯だって。さっきから話を聞いてると、綾麿(あやまろ)様、その鎌足(かまたり)という女子(おなご)に何か特別な感情や執着を抱いている御様子⋯⋯、私の気の所為(せい)かもしれませんが⋯⋯」


 朱雀(すざく)は左右の振袖の端を目の前で擦り合わせながら、もじもじとしている。

 そんなしおらしい朱雀(すざく)に向けて、綾麿(あやまろ)は“心配するな”とばかりに、力強く微笑みかけた。



「⋯⋯蒼鬼紅鬼(おに)と同じ。江戸や徳川もまた俺の敵。殺したい程、憎くてたまらない。⋯⋯そんな江戸側に組(くみ)する鎌足(やつ)らに対しても同じだ。命を保護する俺の中での礼、義理立ても終わった。⋯⋯構わぬ。⋯⋯俺の代わりに、━━━殺(や)れ」



「⋯⋯っ、わあっ」


 朱雀(すざく)の表情がぱあっと輝く。

 その笑顔を見届けた綾麿(あやまろ)は、狩衣(かりぎぬ)の袖を片方だけ颯爽(さっそう)と翻(ひるがえ)す。


「⋯⋯さて。長い立ち話をしてしまったな。そろそろ中将(ちゅうじょう)に戻らせてもらうぞ、朱雀(すざく)。⋯⋯後は任せた」


「⋯⋯あーあ、残念だなぁ。今の綾麿(あやまろ)様の方が良いのにぃ。⋯⋯まぁ、道化(どうけ)の綾麿(あやまろ)様の、妖しくて危険な雰囲気や、雅(みやび)な麿(まろ)言葉もまた好きなんだけどぉ」


「⋯⋯ではな。⋯⋯”麿(まろ)“は白虎(びゃっこ)の待つ御所へと向かうとしよう。⋯⋯ほほほ」


 綾麿(あやまろ)は公家独特の少しだけ甲高い笑みで呟くと、夜の闇に溶けるように道化(どうけ)の中へと戻っていく。

 綾麿(あやまろ)は朱雀(すざく)に背を向けると、御所のある方角へとゆっくりと歩き出した。



 去り行く綾麿(あやまろ)。

 一月(ひとつき)近くはかかるかもしれない旅路。

 暫(しばら)くは見れなくなる綾麿(あやまろ)の大きな背中を、朱雀(すざく)は目に焼き付けるようにして見惚れていた。


 時には淡く、時には熱く。

 恋心を込めて、ずっと見続けてきた背中。

 綾麿(あやまろ)が何を考えているのか。

 どんな気持ちでいるのか。

 決して目には見えない口にもしない細やかな感情も、その背中や歩みを見ているだけで、何となくだが分かるようになっていた。


(⋯⋯あ)


 そんな朱雀(すざく)の目に、今の綾麿(あやまろ)の背中は、何かを悩み、悔いている⋯⋯。


 ⋯⋯そんなふうに見えた。



 任せた、任せられた、で終わるいつもの別れ。

 頭では分かっているにも関わらず、朱雀(すざく)の本能は、気付けば綾麿(あやまろ)を呼び止めていた。



「⋯⋯あ、綾麿(あやまろ)様! もう一度、もう一度だけ! 聞かせてください! その鎌足(かまたり)の首、この京に持ち帰って来ても良いのですね!? ⋯⋯本当に、本当に良いのですね!? ⋯⋯任務を果たして、⋯⋯それで、⋯⋯もし、綾麿(あやまろ)様に嫌われたら⋯⋯、私⋯⋯ッ」


 綾麿(あやまろ)の背中だけを真っ直ぐ見つめながら、朱雀(すざく)が強く強く問いかける。


 その小刻みに震える切実な声、刺すような視線に、綾麿(あやまろ)も立ち止まる。

 そして綾麿(あやまろ)らしく、背中で答えた。



「⋯⋯鎌足(かまたり)の首? ⋯⋯朱雀(すざく)よ、やはりそれは麿(まろ)の望む所ではない。今一度、命令(めい)を改めた方が良さそうだ」



「⋯⋯っ、⋯⋯え、⋯⋯え? ⋯⋯やっぱり」


 朱雀(すざく)の顔が哀しそうに曇った。



 綾麿(あやまろ)は再び狩衣(かりぎぬ)の袖を片側だけ靡(なび)かせて、半身だけ後ろを振り返る。



「⋯⋯鎌足(かまたり)は伊賀者九人と合流する、と言ったな」


「⋯⋯えっ?」



 綾麿(あやまろ)の口元が吊り上がる。

 朱雀(すざく)の目の前。

 其処(そこ)には紛れもなく、また迷いもなく、いつもの確固たる志(こころざし)に満ちた⋯⋯


 ⋯⋯不知火(しらぬい)中将(ちゅうじょう)綾麿(あやまろ)。


 その妖しく力強い瞳が在った━━━━。




━━━━「鎌足(かまたり)含め、奴等(きゃつら)伊賀全員の頭蓋(ずがい)、叩き割り、“二十“の首、持って来や」━━━━




 殺気と迫力に満ちた綾麿(あやまろ)の低い声に、朱雀(すざく)の口から甘い歓喜の吐息が漏れる。

 曇りかけていた表情が嘘のようにぱっと明るく弾け、番傘(ばんがさ)もくるくると嬉しそうに回る。

 番傘(ばんがさ)の花の模様が、今宵一番の綺麗な円を描いた。


(⋯⋯うふふふふ。⋯⋯やった、やった)


 この時の朱雀(すざく)は、まさに暗殺者としての顔だった。

 ただの可愛らしい天真爛漫な少女の顔ではない。

 

 華麗に大空を舞い、情け容赦無く獲物を狩り、命を奪う事に慣れた、冷酷非情の殺戮者の顔。

 京都の裏社会で、天舞童(てんまどう)麒麟(きりん)や爪牙刀(そうがとう)白虎(びゃっこ)たちと共に恐れられる、番傘剣(ばんがさけん)朱雀(すざく)としての顔。



(綾麿(あやまろ)様との恋路を邪魔する鎌足(やつ)は、絶対に許さない)



 春の夜に歓びを謳(うた)う、朱(あか)い雀(すずめ)、盲目の恋。

 その心に纏(まと)う化粧は、血の紅色(くれないいろ)の白粉(おしろい)だった。


 回し終えた番傘を、とん⋯⋯と肩に担ぐ。

 そして愛しい綾麿(あやまろ)と心を重ねる喜びを味わうように、朱雀(すざく)もまた妖しく狂わしい殺意を口元に浮かべながら、たった一言だけ、嬉しそうに短い返事の言葉を呟いた。




「⋯⋯御意(ぎょい)」━━━━。




第99話も最後までお読み頂きありがとうございました。

ブックマーク、☆評価、感想等よろしくお願いします。その優しさが新たな創作の励みに繋がります(*^_^*)。

次回はいよいよ第100話になります!

一つの目標にしていたので感慨深いです。

第100話は、9月26〜27日頃の投稿予定です。

引き続きよろしくお願い致します。


【改稿履歴】

改稿履歴は全て誤字脱字等や細部表現の訂正です。

過去話も誤字脱字を見つけ次第、訂正しています。

内容は全く変わっていませんので御安心ください。

(いつもたくさんの誤字脱字ばかりで、すみません)

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