第93話 蒼の策略
【登場人物紹介】
蒼極鬼━━━━
閻魔宮で亡者の罪を記録する役目を担う、閻魔王の片腕。蒼鬼総大将であり、蒼鬼軍の居城、蒼鬼城の城主。知的で冷静沈着。紅鬼軍の壊滅と日本制覇を目論む。
蒼妖鬼━━━━
京都御所を襲撃する蒼鬼の修羅。『刀葉林』と呼ばれる刃の木の上で亡者を誘う絶世の美女鬼。蒼極鬼を好いている。京へ侵略を図るも、綾麿や鎌足に敗れ、撤退。
蒼将鬼━━━━
蒼鬼軍の修羅で副将格。蒼の鎧や兜に身を包んでいる。顔には面頬を装着し、その顔色は窺い知れない。閻魔王から授かった『泰山閻魔刀』を帯刀する。
━━━━綾麿たち『六歌戦』の久々の集結、鎌足たち伊賀組による出羽国への遠征。
そして旅路の先に人知れず息吹く、まだ見ぬ妖刀、鬼斬丸。
⋯⋯鬼との戦い、見えざる者との戦い。
迎え撃つ者たちが、日本の東西の地で想いを其々に、新たな局面を迎えていく頃。
この物語のもう一つの舞台、侵略する者たちの世界。
━━━━地獄。
━━━━九大地獄の最下層に聳え立つ蒼鬼軍の本拠、蒼鬼城。
⋯⋯此処、天守閣最上階の望楼の大広間に於いても、日本侵略の新たな策略の幕が上がろうとしていた。
侵攻の第二幕。
その始まりの鍵を握るのは、蒼の地獄絵図から吹き込む風に長髪を靡かせる、美しい一鬼の男。
それは城の内外に控える屈強な蒼鬼たちを束ねる、蒼鬼軍総大将の蒼極鬼だった。
類稀なる知力を誇る、地獄一の切れ者。
そして常に冷静沈着さを崩さず、天守程の遥かな高みから万事を見通す、一部の隙も許さない完璧主義者。
それが蒼鬼たちの蒼極鬼に対する共通の認識だった。
しかしそんな蒼極鬼の顔に今、珍しく何故か苛立ちが垣間見える。
骸の骨で造られた豪華狂乱な椅子に腰を掛けながら、先程から何かをずっと考え込んでいた。
《⋯⋯あの『六歌戦』が一人、綾麿と言う男。一度前に会った事があるのか? ⋯⋯いや、やはり思い出せぬ》
その苦悩の出処は、日本侵略の第一幕。
望まない結末を迎えるに至った、蒼鬼と紅鬼と人間によるあの三つ巴の大乱戦。
その撤退時にほんの少しの間だけ会話を交わした、『六歌戦』不知火中将綾麿。
その時の疑念を思い返していた事にあった。
向かうあう綾麿が口にした言葉。
(「相変わらずだな⋯⋯」)
あの一言がどうしても頭から離れない。
《何処かで見たような気もするのだが、相手は人間だ。この私と出会うはずもない。⋯⋯やはり気の所為だな》
蒼極鬼は首を左右に軽く振る。
《そして後もう一つ。あの夜、最後に放たれた光⋯⋯》
蒼極鬼が呟きかけた、丁度その時。
天守の重厚な鬼門扉が、亡者の泣き声や呻き声のような奇怪な音を立てながら開いていく。
そして唐突にこの大広間へと入ってきた者があった。
《とんとん、失礼致します、蒼極鬼様。見て見て、見てくださいな。この新しい着物。亡骸から剥がした皮膚を糸のように細くして縫わせましたの。如何かしら?》
わざわざ擬音語を呟きながらも、扉は叩かない。
自由奔放さと香しい妖艶さを纏いながら、気安く扉を開けたのは美しい女鬼。
蒼と銀を基調とした、真新しいきらびやかな着物を纏った、あの蒼妖鬼だった。
京都御所からの撤退の際に見せていた、苦渋に満ちた顔は今は微塵も無い。
元々気楽な性格。
加えて今は新調したお気に入りの一着を、憧れの蒼極鬼にいざ初披露している。
そんな高揚感からか、すこぶる嬉しそうだった。
《ああ⋯⋯、お似合いだ。蒼妖鬼、先の戦いの傷も完全に癒えたようで、私も安心だ。これでまた数え切れない程の無数の亡者が蒼妖鬼に魅了され、地獄の刀葉林を彷徨い、その身体を刃で切り刻む事になろう》
満面の笑みの蒼妖鬼に向けて、蒼極鬼も笑顔を返す。
しかしその笑顔には、何処かいつものような余裕が感じられない。
笑顔に隠れた憂いの気配に、蒼妖鬼は首を傾げた。
この二鬼の蜜月は数百年以上にも及ぶ。
更に蒼妖鬼にとって蒼極鬼は恋焦がれる相手。
男の些細な表情の変化とは言え、熱く恋する蒼妖鬼が見逃すはずがない。
蒼極鬼の凛々しく美しい横顔を覗き込むようにして、蒼妖鬼はすぐに心配そうに問いかけた。
《またあの綾麿についてお考えを?》
《⋯⋯まあな。⋯⋯しかし、それだけではない》
《気にする事はありませんわ、蒼極鬼様。根暗な男、『六歌戦』中将綾麿が口にした、奇怪しな戯言など。それに蒼極鬼様の籠絡の計によって、『六歌戦』の内の一人、忍の”彼の者”は蒼鬼の仲間なんでしょう? 過去の戦いとは違って、『六歌戦』の動きは手に取るように分かるんですから⋯⋯ね? 何も案じる必要は無⋯⋯》
蒼極鬼に気を遣い、どんな亡者でも“堕ちる”ような、燦々と煌めく、ありったけの癒やしの笑顔を見せる。
《⋯⋯あ、でも、一つあった。⋯⋯光、光よ、光》
だが突然、その笑顔が曇り、眉間に皺が寄る。
記憶の隅に追いやっていた、くだらない“第一幕”。
その終幕の瞬間を、自身から切り出した話の流れで、ふと思い出してしまったらしい。
蒼妖鬼は両手を腰に当てて口を尖らせると、今度は一転して愚痴を漏らし始めた。
《それにしても本当に腹が立ちますわ、帝まであともうちょっとだったのに。あの攻撃、あの光さえ無ければ》
《⋯⋯それだ。私も今丁度その光の正体を改めて考えていた。まだ私の頭を悩ませている。最初はその時参戦していた紅鬼の誰かの仕業なのではないかと思ったが、紅鬼二十三鬼は全滅している。その者たちを日本から導いた修羅の紅鬼が居たとしても、我々より先手を取って帝を攻撃こそすれ、守るような事は絶対に有り得ない》
《んー、ならば一体何者の仕業なのでしょう? 蒼極鬼様も妾の妖凛刀を通して見ていたからお分かりかとは思いますが、あの時、間違い無く何か流体のような“もの”が蠢いたの。人間にあんな芸当が可能なのかしら?》
《⋯⋯『六歌戦』の何者かか、まさか帝自身の攻撃か。しかしどう考えても、蒼妖鬼を吹き飛ばす程の攻撃は、人間には無理だ。⋯⋯真にもって奇怪。この私ですら、まだ読み解けぬ。今の所の可能性としては紅鬼の強力な援軍部隊の何者か、としておく他は無い⋯⋯、か》
《⋯⋯蒼極鬼様、蒼妖鬼。その光の正体はさて置き》
頭を捻る蒼極鬼たちの間に口を挟む、第三の声。
大広間に居並ぶ三十鬼を超える屈強な蒼鬼羅刹たちを統率する位置、最前列中央にその声の主は居た。
全身を鬼面と蒼炎の禍々しい鎧兜に覆われた武者姿。
蒼鬼軍副将格、蒼将鬼だった。
《⋯⋯蒼妖鬼も参った由にて。一刻も早く伝えたき重要な”報告“がありまする》
《⋯⋯あ、そう! それよ! 妾を呼んだのは蒼将鬼ね? 何か大事な話がある、とか何とかって聞いたけど?》
《蒼将鬼よ。どのような報告だ? もしや京の随所に派遣していた斥候の蒼鬼たちが何かを掴んできたのか?》
《⋯⋯いえ、その蒼鬼たちからでは無く、意外な所から。あの夜、我々蒼鬼軍を脅かした”三匹“の人間。その内の一人に関する情報が⋯⋯、いや、由々しき事態が。つい先刻、手に入りましてに御座います⋯⋯》━━━━
━━━━蒼将鬼が口にした人間の”三匹“。
それが誰を指しているかは明白だった。
現『六歌戦』の一人にして、得体の知れない妖刀『村雨』を操る、恐るべき剣客、不知火中将綾麿。
屈指の強さを誇る蒼鬼修羅、閻魔鋼の蒼鋼鬼を一方的に追い詰めた、樋ノ口少将麒麟と言う名の謎の少年。
そしてその蒼鋼鬼に最期のとどめを刺し、かつて紅鬼を退けた伝説の刀『鬼切丸』を持つ、江戸からの援軍、伊賀の女忍、鎌足。
蒼鬼二十二鬼を尽く粉砕し、謎の光と共に蒼妖鬼を追い詰めたこの三人は、あの侵略の夜を経て今、蒼鬼軍にとって危険で厄介すぎる、危険因子と見なされていた。
蒼将鬼はこの内の一人に関する何かの情報を掴んだ。
確かに今、そう口にした。
⋯⋯ただ問題はそれが“誰の事か”、だった━━━━。
━━━━《⋯⋯この三匹は我らの野望の成就のためにも、絶対に早急に排除せねばならん。⋯⋯して、その入手した情報とやら。それは誰に関する情報だ?》
《はっ、伊賀の女忍、鎌足に関する情報です》
⋯⋯蒼将鬼が告げたのは、鎌足の名だった。
その名前は蒼妖鬼にとって完全に肩透かしだった。
身を乗り出して意気揚々と構えていたものの、次の瞬間にはがっかりと項垂れていた。
赤羅様に失望した表情を浮かべている。
《⋯⋯何だ。誰の情報かと思ったら、鎌⋯⋯何とかちゃんかぁ。蒼将鬼さぁ? 鎌ちゃん情報はいらないわよ。あの小娘はね、気をつけなくて大丈夫。だって警戒する程には強くないんだもの》
派手に両手を広げ、やれやれといった表情を浮かべる蒼妖鬼を、蒼極鬼が穏やかに宥め諭す。
《そう言うな、蒼妖鬼。鎌足が七十年前の戦いを終結させた刀、鬼切丸を持っている事を忘れてはならぬ》
《真、蒼極鬼様の仰る通り。⋯⋯実はな、御主の妖凛刀の妖の眼と同様、拙者も羅刹たちの空の邪道を通し、乱戦を俯瞰していたのだ。⋯⋯閻魔刀の刃、その刃紋に京御所を映して、な。⋯⋯あの夜の鎌足の動き、そして垣間見えたその秘めし力は、只者ではない》
《⋯⋯あら。何よ、空から覗き見してたの? ふーん、お堅い”見てくれ“によらず、良い趣味してるじゃない。高みの見物かぁ。⋯⋯で? いつまで見てたの?》
《最期の羅刹が麒麟とやらに斃され、邪道が全滅するまで、だ。当然に蒼妖鬼と鎌足の戦いも見せてもらった。蒼妖鬼よ。あの時の鎌足が、鎌足の全てだと思うな。蒼紅双方の修羅たちとの戦いの一部始終を見ていた拙者が言うのだ。⋯⋯あの女忍、決して侮る事はできぬ》
《⋯⋯ふーん。あの小娘がねぇ⋯⋯》
それでもまだ蒼妖鬼は半信半疑な表情だった。
ただ隣の蒼極鬼の方はまるで違っていた。
その瞳には鎌足への確かな殺気を露わにしている。
《蒼将鬼の話ならば、現に蒼鋼鬼へのとどめを刺したのは鎌足との事だ。しかも先の紅影鬼に続き、更に鬼紅葉の紅斬鬼をも斃したと聞く。鬼切丸の使い方次第では、やはり侮れぬ危険な存在。今のうちに殺し、不吉な鬼切丸も破壊してしまうのが安全かつ最善だ》
《⋯⋯あーぁ、紅斬鬼も耄碌したわねぇ、あんな鎌足に長い鬼生の最期を看取られるなんて。⋯⋯紅斬鬼、今頃はきっと無間の苦しみと共に、どこかの草葉の陰で歯軋りしながら大泣きしてるわ。⋯⋯うふふふふ、⋯⋯あ、そう、それよりも蒼将鬼さぁ、その鎌⋯⋯何とかちゃんの話の中身よ。由々しき事態って言ってたけど具体的に何なの? そして情報の仕入れ先は何処よ?》
《⋯⋯此度の報告の情報元。それは我々と手を組む、日本『六歌戦』にも名を連ねし彼の忍⋯⋯━━━━》
《⋯⋯ふーん、あの蜘蛛の何とか、っていう男ねぇ? ⋯⋯なに? もしかして蜘蛛ちゃんと鎌ちゃんて、同じ忍同士だし、何か訳ありなのかしら? ⋯⋯うふふ》
蒼将鬼の言葉の途中でも、蒼妖鬼は愉しそうに笑う。
人間同士の争い事は、見るのも聞くのも大好物。
甘い甘い蜜の味。
蒼妖鬼にとってこの上ない至福の御馳走と言えた。
しかしそんな蒼妖鬼の恍惚の黒い笑顔を、蒼将鬼は見向きもしない。
兜と面貌の間から覗く、濃銀の瞳だけが揺らめく。
そして神妙な面持ちで、言いかけた言葉を続けた。
《━━━━⋯⋯そして、由々しき事態とは⋯⋯》
それはいよいよ情報の核心部分。
《⋯⋯蒼極鬼様が今まさに“破壊した方がよい”と仰られた、鬼切丸にまつわる件》━━━━⋯⋯
━━━この時、蒼将鬼が延々と口にしたのは、伊賀の機密情報だった。
それは鎌足が盗み読まれた、あの幻斎からの文。
蒼鬼の日本侵略を脅かす、半刃の鬼切丸。
その残りの半刃『鬼斬丸』が、人間界の霊場の一つ、万年雪に覆われた出羽国の山中に存在する。
そして鎌足がその刃を求め、今まさにその出羽国へと旅立とうとしている。
⋯⋯文に書かれていた全ての情報は、謎の忍狩りの集団から蒼鬼の軍へ。
何千里も刻と場所を超え、地上から地獄の底へ。
鎌足の動向は今、完全に蒼鬼たちに掌握される所となっていた━━━━。
⋯⋯━━━━《彼の者が入手した、鎌足と江戸との間で交わされた文によれば、⋯⋯二刀が揃いし時、真の力を得る、⋯⋯とだけ記されているの事》
《⋯⋯⋯⋯》
《ねえ? 真の力って、何よ? 鬼切丸に鬼斬丸? ⋯⋯くっだらない。そんな眉唾な話、本当に信じるわけ?》
沈黙を続ける蒼極鬼とは対照的に、蒼妖鬼は半信半疑を通り越して、もはや呆れ果てていた。
鬼斬丸もまた日本各地に残っている、真偽不明の伝承や昔話、誰かが創った夢物語の一つに決まっている。
話を聞くのも無駄とばかりに、蒼妖鬼は人骨で造られた豪華な長椅子にどっしりと腰を掛ける。
その呆けた口からは、蒼将鬼の進言を嘲る溜め息さえ漏れていた。
蒼将鬼が反論する。
《これは鎌足に宛てられた文からの情報。間違い無く本当の話だ。そしてその片割れの刀、鬼斬丸を出羽三山で護るは、七十年前当時の『六歌戦』の生き残り。幻術をもって剣をなす恐るべき男、第十八代、役小角⋯⋯》
《⋯⋯? 『六歌戦』の生き残り? 役⋯⋯なんたら? それは何者なの? 幻術使い? でもいくら強いと言っても、妾の幻術には敵わないと思うけどなぁ》
余裕を見せる蒼妖鬼の隣。
蒼極鬼がようやく口を開く。
《⋯⋯蒼妖鬼よ、その小角は間違い無く類稀なる術者だ。七十年前に紅鬼たちが人間に敗れたのも、日本を守るその小角の力が、あまりにも強かったからだと聞く》
《⋯⋯で、でも! 蒼極鬼様。七十年は人間にしては相当の年月。今はもう生きてはいないのではありませんか? しかも人間界で修羅道に生きた者ならば、天上界に行けるとは思えませぬ。寿命が尽き、この地獄にもう既に堕ちているのでは?》
《いや、かなりの高齢だが、まだ生き永らえているはずだ。この七十有余年、私が閻魔宮で亡者たちの罪状を記録している間に、役小角の名前は聞いた事が無い⋯⋯》
蒼極鬼は思考を巡らせた。
鎌足の持つ鬼切丸は、当時の『六歌戦』、もう一人の生き残りである百地幻斎から授けられた。
ならば七十年前の紅鬼との戦いの後、鬼切丸の半刃ずつを、小角と分かちあっていたとしても、何らおかしい話では無い。
紅鬼を退けた程の恐るべき刀、鬼切丸と鬼斬丸。
七十年有余年前、絶大な妖力を持っていた、役小角。
この二つが再び交わる事だけは、絶対に阻止しなければならない。
蒼極鬼の銀の瞳が妖しく煌めく。
その”眼“は、蒼鬼ならば誰もがよく知る、“眼”。
蒼極鬼が本気の下命の際に見せる、”眼“だった。
《⋯⋯必ずや鎌足より先に出羽国に向かえ。⋯⋯そしてこの二刀が集まる事は絶対に防がねばならぬ》━━━━
━━━━《⋯⋯蒼極鬼様、無策で狼狽えながら危機を告げる副将など、愚の骨頂。閻魔王の傍ら知恵袋に蒼極鬼様が控えるように、蒼極鬼様の傍ら、片腕にはこの蒼将鬼が控えております。⋯⋯御安心を。既に手は打っておりまする。ただ殺すだけでは物足りない。愉しく、狂わしく、恐ろしく、そして確実に命を奪う、鬼斬丸と仲間に縋る鎌足に相応しい、死の舞台を》
蒼極鬼の本気に蒼将鬼も応えた。
蒼将鬼は徐に懐から一枚の小さな紙を取り出す。
そして何の意図か、紙を宙に無造作に投げ捨てた。
紙がゆらゆらと大広間の天井を漂う。
左へ、右へ、また左へ。
扇状に弧を描いてに気ままに揺らめく紙。
性格の似ている者を好むのか、はたまた亡者と同じく絶対的な美しさに見惚れたのか、呑気に長椅子に座している蒼妖鬼の上へと舞い落ちていく。
《⋯⋯ん? 何よ、これ》
蒼妖鬼は手を掲げ、迷子の紙を掴む。
目を通した紙には、見慣れない九つの文字が記されていた━━━━。
藤林 涼之介
家城 半兵衛
新堂 颯一郎
富岡 太助
凛花
麗
環
伊織
乙葉
━━━━《⋯⋯これは? 人間たちの名?》
九つの名の記された紙を眺め、疑問符を浮かべる蒼妖鬼。
その蒼妖鬼をまた眺めながら、蒼将鬼は不敵な笑みを浮かべている。
《鎌足は人間界の刻で十五日後、出羽三山に入る。その前に伊賀の仲間たち九匹と合流する手筈らしい。ここに記されし九の名こそが、その同伴の九匹。⋯⋯ふふふ、これぞ拙者が仕掛けし秘策だ》
《⋯⋯は? だから何? これの何処が秘策なのよ?》
《まだ分からぬか。⋯⋯よかろう。⋯⋯冷鬼の姉妹よ、参れ。姿を見せよ》
蒼将鬼の謎めいた呟きの直後だった。
空間が歪んだ。
肌を刺す、異様な冷気が舞い降りる。
突然に巻き起こる、氷の竜巻と吹雪。
大広間の温度が急激に下がり、天井からは鍾乳洞のような太く長い氷柱が幾つも垂れ下がり始め、四方の壁はまるで氷の鏡や彫刻のように硬く凍り付いていく。
そして窓から抜けた冷気は、天守の屋根や瓦までをも全て呑み込んでいった。
見渡す限りの銀世界。
蒼鬼城天守の望楼はこの時、一瞬にして極寒絶対零度の氷と雪の世界へと変貌を遂げていた。
《⋯⋯氷と雪か。⋯⋯なるほどな》
《⋯⋯わわわ、さむいさむい。ちょっとぉ! 今日の妾はいつもより薄着なのよ! 半端なく寒いじゃない!》
蒼妖鬼の制止の声に応えるように、この荒れ狂う雪と氷の嵐は徐々に落ち着きを見せていく。
そして視界を遮っていた吹雪が消えた時。
蒼極鬼と蒼妖鬼其々の目の前には、白と青の二色の氷の衣と袴を纏う、二鬼の女の蒼鬼修羅の姿が在った。
《⋯⋯あらっ? その後ろ姿は蒼氷鬼、こっちは妹の蒼雪鬼じゃない? ⋯⋯ははぁん、そっか。今回の舞台は雪山。ならば亡者たちをいつも極寒の冷気で凍らせている、貴女たち姉妹の右に出る蒼鬼は居ないわよね》
《⋯⋯お久しぶりです。蒼妖鬼姉様。蒼の地獄、氷の山、”嗢鉢羅“と”獄鉢特摩“より参りました》
言葉を紡ぐ息吹が白い冷気に変わる。
蒼妖鬼に跪く”蒼雪鬼“が、ゆっくりと顔を上げた。
左右に結んだ、長く美しい髪。
冷気の靄を纏った、透き通るような色白の肌。
その白肌に映える、冷酷な蒼い眼の輝き。
そして髪の隙間から見える額からは、凍り付いた宝石の結晶のような、二本の角を煌めかせている。
まるで繊細で美麗な氷細工のよう。
身体の全てが目を引く。
⋯⋯まさに、”雪女“。
人間の世界に於いては、こういう女性こそを、そう言った通り名で呼ぶのだろう。
蒼妖鬼の視界には、もう一鬼の修羅。
蒼極鬼の前に控えている姉の“蒼氷鬼”も、背中越しに言葉を発した。
《姉様に失礼を働いたと聞く伊賀者。この蒼氷鬼が必ずや仕留めて参ります。⋯⋯でもその前に、蒼妖鬼姉様? 久しぶりに会う私の顔、覚えてらっしゃいますか?》
蒼氷鬼の姿は、蒼妖鬼の座っている長椅子からは、長く伸びた髪と背中しか見えない。
蒼氷鬼は蒼妖鬼の方へ、ゆっくりと振り向いていく。
蒼妖鬼は蒼氷鬼の事もよく見知っていた。
妹と違って髪は結ばず、氷の山で凍える亡者たちの前で、その美しく透き通った長髪をいつも靡かせている。
そしてその顔も姉妹故に蒼雪鬼と当然似ていた⋯⋯。
⋯⋯はずだっだ。
《何言ってるの、勿論じゃ⋯⋯、⋯⋯え、⋯⋯誰?》
振り向いた顔に向けて微笑みかけた、蒼妖鬼の頬の緩みが一瞬にして止まった。
着ている衣は蒼雪鬼と同じ。
何百年と目にしてきた、氷細工の戦闘和装。
だがしかし、違う。
この女鬼は、蒼氷鬼ではない。
振り返った蒼氷鬼の顔は、蒼妖鬼が予てから見知っていた顔ではなかったのだ。
目の蒼みも、瞳の銀の輝きも、消え失せている。
ましてやその額には、鬼の証の二本の角すらも無い。
《⋯⋯は? ⋯⋯え? ⋯⋯まさか、人間?》
蒼妖鬼が唖然とした表情で呟く。
わなわなと狼狽える蒼妖鬼を横目で見ながら、蒼将鬼は得意気に腰の閻魔刀に手をかける。
そして鎧兜や手甲の擦り合う重厚な音を響かせながら、面貌の下でほくそ笑んだ。
《⋯⋯ふふふ、これこそが我が秘策。奴等人間を追い込むためには、多数の力は要らず。最も効率的な手は、先の御所の作戦でも判明した通り。外からの鋭い刃ではなく、内からの疑心暗鬼。⋯⋯よって此度もまた、“内”から揺さぶり揺さぶり揺さぶり抜いて、混乱を生じさせ、極寒の山牢に足止めする。そして気が狂う程に弱り果てた所を“外”から。氷の刃で一網打尽とする作戦⋯⋯》
⋯⋯蒼将鬼の口にした”秘策”の意味。
蒼極鬼はその意図の全てを悟る。
そして妖しく微笑みながら、言葉を返した。
《そうか。仕掛けたのか⋯⋯。葬魂の術、疑心暗鬼を》
蒼将鬼の顔色や口元は、相変わらず窺い知れない。
しかしこの副将の饒舌さが、その胸に秘めている揺るぎ無い自信を如実に表していた。
《江戸には既に甲賀の忍の中に潜ませし、羅刹たちが居ります。彼の者に二つ返事で羅刹を貸し与えたのも、こういう万が一の事態を想定してのもの。⋯⋯その羅刹たちの手により、江戸側とは既に邪道は開通済。⋯⋯そこで。この蒼氷鬼は先手を打ち、江戸へと抜け、つい今しがた地獄へと戻ったばかり。この顔は、その江戸土産》
《⋯⋯土産? ⋯⋯あ、ははーん、そうか。やっと妾も分かってきたわよ。さっきの九つの名の意味、が。⋯⋯なるほど、そういうことね》
《やっと理解したようだな、蒼妖鬼よ。⋯⋯そう。鎌足が合流する予定の伊賀者九人。この見知らぬ顔はその内の一匹だ。江戸から旅立つ前に、隙を見て既に━━━━
━━━━”殺害“。
⋯⋯この蒼氷鬼が葬魂の術により、身体と魂を奪っている。この者の本当の名は⋯⋯、⋯⋯⋯⋯、⋯⋯はて、誰だったか。⋯⋯まあ、名前などどうでもよい。人選は適当よ。たまたま蒼氷鬼に見初められ狙われた、運の悪い一匹の伊賀忍がいて、先に死んだ。ただそれだけだ》
顔を違えている蒼氷鬼も、蒼将鬼の勝ち誇る声や笑みに続く。
何処かの伊賀忍の顔が不気味に笑う。
しかしその”名無しの権兵衛“の蒼氷鬼の顔にも、紛うことの無い蒼鬼の狂気の自信が浮かんでいた。
《先の戦いの葬魂の術は所詮は羅刹の一度きりの葬魂。なれば綾麿の罠にはまり、失敗するのも必定。ですが此度は修羅の私の仕掛ける葬魂。見知った者同士、内に生じる油断や隙。その弱点を突き、伊賀者たちを一人また一人と、順番にじわじわと血祭りにあげていきましょう。⋯⋯ふふふ、誰も信じられず、疑心暗鬼に囚われていく。鎌足達伊賀忍の苦悶の顔が目に浮かびますこと》
《⋯⋯わぁあ、面白そう! 愉しそう! 寒いのが苦手じゃなかったら身近で私も見たいくらい! 鎌⋯⋯何とかちゃんは鈍感だし、絶対に気付かないだろうけど、もし他の奴等に思いの外早くばれそうになったら?》
《⋯⋯その時はその時。万が一にも気取られそうになった場合は、その気付いた伊賀者でも殺し、また別な顔になるまで。一度しか葬魂を使えぬ、羅刹とは違い、疑心暗鬼の渦は消える事は無い⋯⋯。うふふふふ⋯⋯、だから此度は絶対に失敗はあり得ませぬ。どうか御安心を、蒼極鬼様。そして先の戦いで煮え湯を飲まされた蒼妖鬼姉様も。この私たちが代わりに復讐を遂げてみせましょう。私たち姉妹の連携を前にしては、人など儚く脆い》
姉の蒼氷鬼は、目線を妹の蒼雪鬼へと移す。
蒼雪鬼の表情は、見知らぬ顔と名の姉以上に、まさに蒼鬼の修羅らしい勝ち気さと自信に満ち溢れていた。
《蒼極鬼様。姉の葬魂の罠を完成させるため、ぜひこの蒼雪鬼めに、蒼氷鬼が出羽国に辿り着いた際、私が導く羅生門邪道を通る羅刹を、二十鬼程お与えください。⋯⋯蒼氷鬼が敵の内部に潜り込む中、私は彼奴ら伊賀者残り九人を、外から休む事なく常に襲撃する⋯⋯、その最凶の連携攻撃の布陣として!》
その提案に蒼妖鬼が再び嬉々として目を輝かせる。
《⋯⋯わぁあ、追撃も愉しそう! それならば、戦いの最中、背中を刺された伊賀の奴等の死体が何人も転がっても、まさか仲間内に暗殺鬼が潜んでいるなんて、簡単に気付くはずがないわ! 気付いたとしても、時すでに遅し。生き残りなんてごく僅か。更にその後は葬魂による疑心暗鬼の苦悶が続けざまに襲いかかる、というわけね! ⋯⋯わぁ、それに! もしかしたら鎌⋯⋯何とかちゃんも最後は仲間から疑われて、仲間の手で殺されちゃうかも!? ⋯⋯わわわ、凄い、完璧な計画じゃない!》
《うふふ⋯⋯、蒼妖鬼姉様。お褒めの御言葉、ありがとう存じます。⋯⋯総大将であらせられる蒼極鬼様と、親愛なる蒼妖鬼姉様。その手を煩わせし伊賀の愚者とその仲間。絶対に許しません。⋯⋯内からも外からも彼奴らは常に刃を向けられ、雪と氷の極限の地獄の中、一人また一人とその魂の炎は消えていく事でしょう。⋯⋯蒼極鬼様は暖かいこの城内で、蒼妖鬼お姉様と一緒に、ごゆるりとこの殺戮を御観覧くださいませ》⋯⋯
⋯⋯作戦の全容は見えた。
素晴らしい。
そして愉しい。
ただ身体を斬り裂き、殺すだけではない。
蒼鬼たちに逆らった報いと後悔を嫌という程たっぷりと与え、狂い死ぬ程の絶望と苦悶の心闇へと追い込む。
そして仲間の顔、仲間の手によって、果てる。
改めて何度でも言う。
何と素晴らしく、何と愉しい策略なのか。
蒼妖鬼はそんな湧き上がる興奮が抑えきれない。
居ても立ってもいられずに長椅子を跳び上がると、蒼極鬼に嬉しそうに詰め寄っていた。
《蒼極鬼様っ! 相手は要注意三人の中で、実力が一番劣るであろう、鎌⋯⋯何とかちゃん。しかも此方はこの様に一切の油断や隙は無い用意万端。前回で二十もの羅刹を失い、あの謎の光に慎重になるのは分かりますが、もう一度、もう一度だけ、今は黙って羅刹二十鬼、この姉妹たちに是非にお与えくださいな。⋯⋯さすれば今回こそは勝利の美酒、美しい妾の酌にゆっくりと酔いしれることが出来ますわ!》
蒼極鬼は詰め寄る蒼妖鬼を落ち着かせるように、そっと肩に手をやった。
そして蒼将鬼に改めて問いかけた。
《鬼切丸の半刃はどうする? 役小角は?》
《⋯⋯老いたとは言え役小角は恐るべき相手なれば、念のため今は深追いは禁物、かと。それに小角も恐らくは相当の高齢、放っておいてもいずれは死にまする。⋯⋯万が一、鎌足たち一向が役小角の砦に逃げ込んだ際でも、その時は葬魂の術もまた砦の中。小角の手の及ばぬ所で鎌足の殺害は可能。鎌足を殺した後、手にする鬼切丸さえ破壊すれば、十分に足りる事。⋯⋯半刃二つが一つに集まらなければ、それでよし。鬼斬丸も万年雪に眠ったまま。今後において何の脅威もありませぬ》
《⋯⋯ふむ、そうだな。⋯⋯よし、まずはその三人の内、狙いは伊賀の鎌足からだ。折れて使い物にならなくなった鬼切丸と共に、真っ先にこの地獄に来てもらうとしよう。⋯⋯先程の申し出を許す。蒼雪鬼よ、羅刹を二十鬼選抜し、出羽での伊賀の忍狩りに同行させるが良い。⋯⋯そして蒼氷鬼よ、その顔で江戸へ急ぎ戻れ。出羽国に向かい、疑心暗鬼の死の罠を仕掛けるのだ》
《⋯⋯御下命、必ずや》
《⋯⋯お任せください、蒼極鬼様》
蒼氷鬼と蒼雪鬼は互いに顔を見合わせ、狂気を孕んだ冷たい笑みを同時に浮かべた。
それが侵攻の第二幕、開幕の合図だった。
大広間にまた突如として竜巻と吹雪が巻き起こる。
その嵐の中に、二鬼の姿は一瞬にして包まれていく。
そして吹雪が収まった後。
この二鬼の女鬼⋯⋯美しく冷たい暗殺者姉妹の姿は、大広間を銀色に凍らせていた氷や雪と共に、蒼極鬼たちの前から、跡形も無く消え去っていた━━━━⋯⋯。
⋯⋯━━━━氷雪の余波を受け、まだ寒々しさが僅かばかり残る大広間内。
蒼極鬼が蒼将鬼に再び問いかける。
《情報を流した『六歌戦』、彼の忍の者、今はどうしている?》
《⋯⋯予てから画策していた江戸侵攻、その一族の悲願とやらの私怨一心に囚われておりまする。羅刹や甲賀軍と関東で合流すべく、甲府にまでは入りましたが⋯⋯。繋ぎ役を任せている蒼賽鬼の話では、御所より急な招集の連絡がある事を懸念して、やむを得ず一時また京都へと引き返さざるを得なかった模様》
《⋯⋯引き返した? 招集? どういう事だ?》
《『六歌戦』全員を集めての重要な集まりが、想定外に近々開かれる事になるだとか、なりそうだとか。あやつめ、この間の我々の御所侵攻、その“やりすぎ”が此度の招集の原因だと、相当に立腹していたらしいですな》
《⋯⋯『六歌戦』の招集か。⋯⋯あの綾麿という男も参加するのだな?》
《はい。綾麿と彼の者と、他四人。恐らくは今後の対策、作戦の協議かと。勿論御心配には及びませぬ。その席上で話し合われる内容、決定される機密事項、名を連ねる他の五人の動きに関しても、情報は随時入る手筈》
《⋯⋯⋯⋯》
《また聞く所によると、どうやら協議は常に“六人全員の賛成”が必要との事。即ちどんな良策でも誰か一人でも異議を唱えれば、否決。動こうにも動けない。集結も無意味になるというわけです。それを逆手に取り、我々蒼鬼軍に不利となるような決定は断固阻止、“良しなに”取り計らうよう、彼の者には堅く伝えてありまする》
《⋯⋯⋯⋯》
《⋯⋯なあに、彼の者も邪とは言え、腐ってもあの『六歌戦』、その強さは折り紙付き。綾麿はじめ誰かと意見が違っても、きっと力付くで抑え込めましょう》
《⋯⋯そうか。”鬼“の力を手に入れた、彼の者は確かに強い。恐らく蒼鬼修羅たちの中でも、奴に勝てる者はごく僅か。その招集における根回しからも、確かに蒼鬼軍には一切の抜かりは無いように見える。⋯⋯だが。⋯⋯それくらいで、彼の者の力だけで、⋯⋯綾麿という男は、果たして抑えきれるのか?》
《は⋯⋯? ⋯⋯と、申しますと?》
《⋯⋯っ、蒼極鬼様。あの綾麿って男は、美しい妾の分身たちを何の躊躇いも無く斬ったのよ。⋯⋯そうだ、きっと男色家なんだわ。蒼極鬼様は特にお気をつけて!》
蒼将鬼の疑問にも、蒼妖鬼の的外れな忠告にも、蒼極鬼は何の反応も示さない。
地獄を一望できる、廻縁(※天守閣を取り囲む足場)の高欄へ。
ゆっくりと歩を進めていく。
《⋯⋯⋯⋯》
《⋯⋯? ⋯⋯あ、あれ? ⋯⋯蒼極鬼様?》
背中で蒼妖鬼の呆気にとられた声を聞きながら、高欄の前に蒼極鬼は立つ。
地獄の風が吹き荒ぶ、その眼下。
水平線の先に広がる地獄世界を一望しながら、今、蒼極鬼は綾麿の顔を再び思い浮かべていた。
《⋯⋯『六歌戦』不知火綾麿⋯⋯か。会った事は無い。会った事はないはずだ。⋯⋯でも何故だ。この胸騒ぎは? ⋯⋯綾麿、何か蒼鬼について知っている。そしていずれはこの地獄に大きな厄災を招く存在になる⋯⋯。そんな気がしてならないのは何故だ?》━━━━⋯⋯
⋯⋯━━━━蒼鬼城にて侵攻の第二幕が上がり、蒼極鬼が綾麿に不吉の影を感じていた、まさにこの時。
先の御所襲撃に送り出した、二十の羅刹と三の修羅。
全てを斃された紅鬼軍。
その本拠、紅鬼洞では、出羽国に向かった鎌足を脅かす、もう一つの策略が牙を向こうとしていた━━━━。
第93話も最後までお読み頂きありがとうございました。
ブックマーク、☆評価、感想等よろしくお願いします。その優しさが新たな創作の励みに繋がります(*^_^*)。
次回第94話「紅の策略」は、8月31日〜9月1日頃の投稿予定です。(多少前後する可能性があります)
いよいよ今回からの数話で、綾麿の思惑や第二鐘の展開が見えてきます。引き続きよろしくお願い致します。
【改稿履歴】
改稿履歴は全て誤字脱字等や細部表現の訂正です。
過去話も誤字脱字を見つけ次第、訂正しています。
内容は全く変わっていませんので御安心ください。
(いつもたくさんの誤字脱字ばかりで、すみません)




