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羅生門怪鬼譚  作者: 夏川凪
第一鐘 京都六歌死闘編

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第82話  邂逅

【登場人物紹介】

不知火綾麿しらぬいあやまろ━━━━

 従三位じゅさんみ中将ちゅうじょう。帝と日本を守る『六歌戦ろっかせん』の一人。謎の妖刀『村雨むらさめ』を時の帝から拝領し、御所警備の西番を任されている。村雨むらさめ真刃しんば鞘刃さやばを使った不知火しらぬい二刀流にとうりゅうの使い手。江戸徳川政権を激しく憎み、鎌足かまたりを快く思っていない。昨晩起きた蒼鬼あおおに紅鬼あかおにの御所侵攻を退ける。


くち麒麟きりん━━━━

 従四位下じゅしいのげ少将しょうしょう白鞘しろさやの模造刀を手にする少年公家。天舞てんまと呼ばれる剣技を操り、御所警備の北番と南番を務める。性格は執念深く自己中心的。人によって態度ががらりと変わる。些細な出来事から生じていた鎌足かまたりとの確執は根深い。鎌足かまたりとの戦いの不覚を綾麿あやまろに叱責される。


 ━━━━⋯⋯今をかさのぼること、三年。


 この京都御所内では、その年もまた毎年恒例の春の宴席が開催されていた。

 帝や関白をはじめとして左大臣以下、御所に出仕する全ての文官が一堂に会する。

 桜を愛でながら春を祝う、習わしの祝賀の会だった。


 そのめでたい宴席の場に、皆の楽しい笑い声を打ち消すような、公家や女官にょかんの悲鳴が唐突とうとつ木霊こだましていた。


 その悲鳴の先は上座かみざのすぐ近くだった。


 大臣たちが座している席の前。

 その地だけが、春にはまるで似つかわしくない紅葉もみじ色の赤で染まっていた。

 刀を固く握りしめたまま、一人の髭面(ひげづら)の中年の男が、異形いぎょうな出で立ちで倒れていた。


 ⋯⋯異形いぎょう


 そう見えたのには理由があった。

 一人なのに、身体が二つあったからだ。

 (すなわ)ちその男は、鋭い刀剣によって脳天からこう唐竹からたけ割りを受けたような状態で、真っ二つに斬り裂かれていたのである。


 そしてその傍には、一人の少年が立っていた。

 まだよわい十二、三歳だろう。

 その中年男の異形いぎょう亡骸なきがらを、冷ややかな眼差しで見下ろしながら、無言のまま仁王立ちしている。


 少年の手には、桜の木の枝。

 しかしその掌に咲く桜は誰もが愛でる桃白とうはくではない。

 真っ赤な薔薇ばらのような、生々しい鮮血のしたたりに彩られていた。

 少年は何処(どこ)となくだが、微笑みを浮かべている。

 そして沸き上がる何かの感情を、一人じっと噛み締めているようにも見えた。


 ざわめく参列の公家たちや、上座周辺に続々と駆けつけてくる警備兵。

 そんな焦燥しょうそうの彼等にはまるで構うこと無く、この謎の少年に向けて仰々しく盛大な拍手を送る、赤ら顔の一人の公家の姿が在った。

 それは上座の列席者の中でも、特に位階いかい上位の高官。

 久我こが右大臣だった。


 右大臣の両手には酒の徳利とっくりと、なみなみと()がれたさかずきが握られている。

 その顔色からも、既に相当に泥酔でいすいしているのは明らかだった。


「⋯⋯ひっく。⋯⋯ん、おうおう、本当に斬りよった。真っ二つ、文字通り真っ二つじゃあ」


 右大臣は称賛の言葉を口にしながら、手にしたさかずきの酒を一気に喉へと流し込んだ。


 嬉々とした右大臣の拍手や酔いどれの笑顔とは裏腹に、血の惨劇を目の前に宴席の空気は凍えきっていた。

 静まり返った宴席の中を、少年が歩き出す。

 そして唯一自分を讃えてくれた右大臣のすぐ目の前に近寄ると、礼を尽くすようにゆっくりとひざまずいた。


「おお、よしよし、天晴天晴あっぱれあっぱれ。約束通り帝の御側衆おそばしゅう従六位じゅろくい侍従じじゅうに取り立てて進ぜよう」


「⋯⋯はっ。ありがたき幸せ。久我こが右大臣様」


 両膝を突いた少年は、地に頭を擦り付けるようにして右大臣に平伏していた。

 そんな少年を改めて讃えるように、右大臣は再び盛大な拍手を送る。


 沈黙の宴席の中、鳴り止まない右大臣の一人拍手。

 初対面にも関わらず、度を過ぎている主従の光景。


 上座だけ、右大臣だけが、空気を異にしていた。

 そんな怪訝けげんか光景は、参列している公家たちの“ひそひそ話”の格好の的となっていた。


(御帝や関白殿たちが来賓らいひんの見送りに退席した途端に、この乱痴気らんちきじゃ。右大臣殿はほんに酒癖さけぐせの悪い御方じゃのう。こうなっては手がつけられぬぞ)

(⋯⋯しかし事の経緯いきさつはよく見てはおらなんだが、あれは何事ぞ? 余興にしては酷すぎる。桜吹雪に血飛沫ちしぶきとは。おうおう、折角の酒が不味くなったでおじゃる)

剣舞けんぶの余興で呼ばれた、師匠と弟子だそうじゃ。それにしてものう。自らの剣の師をあんな桜の枝で真っ二つとは⋯⋯。まさに鬼じゃ。鬼の強さじゃ。春のかほりに誘われて、子鬼が迷い出たのじゃ。⋯⋯おお、怖い怖い)━━━━。






 ━━━━この時。


 離れの控えの間では、笛の余興の準備をする二人の男の姿が在った。

 異なる二つの笛の音色。

 落ち着いた優しい響きと、しずかの中にどうを感じる不思議な響き。

 異なる旋律が絡み合い、心地良く、厳かに春をまとう。

 宴席の喧騒を離れて響くこの澄んだ音色は、桜の枝のうぐいすの鳴き声とも重なりながら、穏やかな刻の流れをひっそりとうたっていた。


 そんな笛の音が、突然に止まる。


 刻の流れを元に戻し、控えの間に吐息も荒く駆け込んできたのは、伝達役を担う警備兵だった。


「⋯⋯少将しょうしょう綾麿あやまろ様! 大変です! 此度こたび剣舞けんぶの余興に呼ばれた剣客が一名、斬られ、落命⋯⋯!」


 少将しょうしょう

 警備兵はそう口にした。

 笛を吹いていた二人の男。

 それは三年前、まだ少将しょうしょうだった頃の“綾麿あやまろ”と、あの謎の男”青龍せいりゅう“だった。


 篠笛しのぶえを唇から離した綾麿あやまろが、背中で報告を聞く。

 その隣では龍笛りゅうてきを手に、青龍せいりゅうが静かに座していた。


 綾麿あやまろがゆっくりと警備兵を振り返る。


「⋯⋯事の詳細は?」


 その声は笛の音と同じく、冷静で落ち着いていた。


「はっ⋯⋯、此度こたびの宴席に呼ばれた天衣無縫流てんいむほうりゅうとかいう流派りゅうはの、いかにも見窄みすぼらしい出で立ちの剣客とその弟子が、離れた場から刀の波動だけで桜の枝を斬るという奇怪きっかいな芸を見せましたところ、酒に酔いました右大臣殿が、『この折れた桜の枝で師弟同士で斬り合ってみろ、相手を殺し勝った方を御側衆おそばしゅうに取り立ててやる』などとごとを申しまして、その言葉を一人が真に受け⋯⋯」

 

 驚いた青龍せいりゅうが間髪を入れずに問いかける。


「⋯⋯何と。桜の枝で人を斬れ、と⋯⋯? そんな事が名も無き一介の剣客に出来るとは思えませんが。⋯⋯で、師匠ししょうが己の出世のために弟子を斬ったのですね」


 警備兵は首を激しく横に振った。


「いえ、それが⋯⋯、斬られたのは師匠ししょうの方です。しかもその弟子の少年は、刀は一切使わずに本当に桜の枝で、師匠ししょうの男を一刀両断。頭から真っ二つに⋯⋯」


「なんと⋯⋯! 弟子が⋯⋯、しかも少年とは」


「はっ、まだあどけなさ残るよわい十二、三の少年です」


 青龍せいりゅうは隣の綾麿あやまろの顔をうかがった。

 

「⋯⋯綾麿あやまろ様、どうなされます? これは我々の篠笛しのぶえ龍笛りゅうてき響演きょうえんどころではなくなりましたね」


 綾麿あやまろは黙って目を閉じ、警備兵の話を聞き入っていた。

 そしてほんの少し間を置いてから、ゆっくりと目を開き、淡々と呟いた。


「⋯⋯剣の才能に溢れた少年か。⋯⋯来たるべき戦いに使えるかもしれん。これも何かのえにし。一度会ってみるとしよう」━━━━。






 ━━━━右大臣はとにかく上機嫌だった。

 酒を次から次へと胃に流し込み、酔いによる増長ぞうちょうの度は増すばかりだった。


「⋯⋯もう女や雅楽ががくはよい、いらぬいらぬわ! ⋯⋯誰か! この鬼神きじんのように強い子供を打ち負かす者はおらんのかや! この子供は見ての通り、小汚く見窄みすぼらしい衣。明らかに腹を空かせた貧乏の極致きわみ。しかも桜の枝しか持っておらんのだぞ? ⋯⋯そうや、何なら真剣で立ち向かってもよい、のう? 構わぬな? ⋯⋯っと、名前は⋯⋯、はて、何じゃったかな」


麒麟きりん⋯⋯、に御座います」


「⋯⋯麒麟きりん! あの伝説の霊獣の麒麟きりんと同じ名か! ほほほ⋯⋯、名前負けにも程があるのう。⋯⋯こんな小さい姿形なりをして、麒麟きりんかや? ⋯⋯ほっほっほ、愉快愉快」


「⋯⋯勿論もちろん、相手は真剣でも構いません。貧しく卑しい私は、この枝桜えだざくらの美しさを身にまとえるだけで十分です」


「⋯⋯ほほほ、ふはっははは! 聞いたか各々方! この媚びへつらいながらの、謙虚な自信。下々の者のかがみじゃ! ⋯⋯どうだ? 誰も居らぬのか!? ほんに臆病な者ばかりじゃのう。情けないことじゃ。ほっほっほっほ⋯⋯」


 触らぬ神に何とやら、だった。


(⋯⋯我等は武官ではない、文官ぞ。分かっておってからに。そんな危ない真似、麿まろたちに出来るはずがない)

(⋯⋯麿まろは真剣はおろか、しゃくよりも重たいものなど、持ったことはおじゃらぬよ)

(⋯⋯ああ、くわばら、くわばら。見て見ぬふり、聞かぬふりじゃ。酔いが覚めるまでの辛抱じゃ)


 公家たちの誰もがうつむいていた。

 右大臣や少年から目線を外し、愛想笑いをしていた。


「⋯⋯ひっく、⋯⋯だらしの無い奴等よのぉ」



 右大臣が呆れ顔で呟いた、その時。


 居並ぶ公家たちの末席の向こう。

 臨時の衝立ついたての壁をけ、宴席こちらに向かって歩いてくる二つの人影が見えた。


 その人影のうち一人は、左右に分かれた宴席の真ん中を大胆にも通り抜け、そのまま右大臣と麒麟きりんの前に悠然と歩み出た。

 そして右大臣に向けて、凛とした言葉を告げた。


「⋯⋯右大臣殿。そのお相手、麿まろ相努あいつとめましょう」


 それは左手に篠笛しのぶえを手にした、綾麿あやまろだった。



「おお、少将しょうしょうが相手をか? これは面白い!」


 思わぬ大物の参戦に右大臣が歓喜する。


 一方、麒麟きりんも若くても武に生きてきた者。

 相手の剣氣けんきや闘気を察知する能力には長けていた。

 目の前でただならない氣を放っている、この男。

 少将しょうしょうと呼ばれた公家。

 恐らくは武官の何者かなのだろうが、その素性すじょうが気になって仕方がない。


 麒麟きりんはすぐさま右大臣に問いかけた。


「⋯⋯右大臣様。⋯⋯あの男は? 何者ですか?」


 そんな麒麟きりんに右大臣が耳打ちする。


「あの者は九条少将くじょうしょうしょう綾麿あやまろと言ってな、その名と剣の腕は、既に京都中に知れ渡っておる。その強さとほまれゆえに、年内には帝から禁忌きんきの妖刀『村雨』を授かるのではないかとか、次の『六歌戦ろっかせん』に指名されるのは確実だとか、⋯⋯まぁ、武功の噂はとんと尽きぬ男じゃ」


 そして最後に手にしていた扇子の面で、麒麟きりんの頬を軽くはたいた。


「⋯⋯ほほほ、間違いなくこの御所内で一番強いぞな」


「⋯⋯少将しょうしょう、⋯⋯村雨むらさめ、⋯⋯『六歌戦ろっかせん』⋯⋯」


 綾麿あやまろを見上げながら、麒麟きりんが呟く。

 その目はまるで獣のように鋭かった。

 そして何故なぜか身体を小刻みに震わせ、歯軋はぎしりをしていた。


 そんな麒麟きりんの姿を一瞥いちべつした右大臣は、にやにやと酒臭い息を漂わせながら、麒麟きりんに再びささやいた。


「何じゃ、悔しいのか。劣等感、というやつかの。⋯⋯ほほほほほほほ。御前の田舎臭い曲芸の剣。しかも枝桜えだざくらで、あの手強い少将しょうしょうに勝てる自信があるか? ⋯⋯ん? もし勝てたならば、この久我こが右大臣の直属の配下に取り立ててやってもよい」


「⋯⋯え、ま、まことですか」


「小綺麗な衣を着て、美味い食べ物を毎日食べれることができるのだ。今まで貧乏な師匠ししょうの下、散々苦労をしてきたのじゃろう? ⋯⋯地位と名誉を勝ち取るのは今じゃ。⋯⋯のう? 霊獣の麒麟きりんではなく、ただの野良犬のらいぬとして産まれた、名前負けの小童こわっぱ麒麟きりんよ」


 右大臣は麒麟きりんの顔に唾を吐いた。

 発破はっぱの意味合いもあったのかもしれない。

 それとも、単なる酔いの悪態や悪ふざけの一つだったのかもしれない。

 しかし麒麟きりんはその唾を拭おうともせず、綾麿あやまろをただ真っすぐに睨み続けていた。

 その瞳には激しい憎悪の炎が宿っていた。


「ありがたき幸せ⋯⋯。必ずあの公家の男を倒します。そしてそのあかつきには、是非とも右大臣様の配下に」



 右大臣に忠誠の一礼をした後、麒麟きりんは音もなく立ち上がった。

 その手には、まだ血のしたたる桜の枝を握りしめている。

 そして凄まじい殺気を放ちながら、綾麿あやまろと向かい合った。


「はじめまして。私は天衣無縫流てんいむほうりゅう麒麟きりんと言います」


「⋯⋯九条くじょう少将しょうしょう綾麿あやまろだ」


「⋯⋯ふん、貴方は相当に強いらしいですね。位が高く人望があって、自信満々な顔⋯⋯か。⋯⋯私が一番嫌う人間の部類です。⋯⋯出世のため、師匠ししょう同様に、貴方には此処ここで死んで頂きます」


 麒麟きりんの得意気な宣戦布告が終える前だった。

 綾麿あやまろはすぐ傍に真っ二つにされて横たわる、中年男の亡骸なきがらに目をやった。

 亡骸なきがらの身体には、春風に散った桜の花弁はなびらが無数に降り注いでいた。


「⋯⋯そうか。その歳で天衣無縫流てんいむほうりゅうとやらを極め、更に師匠よりも高みを目指すつもりか。⋯⋯一つ聞こう、御主、父や母は居るのか? 兄妹きょうだいは?」


 綾麿あやまろの問いに、麒麟きりんは他人事のように淡々と言葉を並べた。


「母は私を産んですぐに死にました。妹が二人いましたが、一人は飢えで死にました。もう一人は野盗に殺されました。残った父は男手一つで私を育ててくれましたが、その父も死にました」


「⋯⋯それでその後、剣の師匠ししょうに拾われていたのか」


「いえ。父は今しがた死にました。其処そこたおれてます」


 まさかの言葉だった。

 まるで感情を感じないその言葉に、余興をけしかけた右大臣をはじめ、参列していた公家たちから一斉にどよめきが起きた。


「⋯⋯ッ! ⋯⋯こやつ、鬼畜きちくか」


 綾麿あやまろの後方、二人のやり取りを眺めていた青龍せいりゅう狼狽ろうばいした。


 しかし綾麿あやまろは一言も発しない。

 憐れみを感じる物悲しい視線だけを、麒麟きりんに送り続けていた。

 そんな綾麿あやまろの眼差しは、麒麟きりんにとって不快以外の何物でもなかった。

 沸き上がるのは、反吐へどが出る程の嫌悪感。

 そして劣等感。

 負の感情を振り払うように、麒麟きりん綾麿あやまろへと鮮血の桜の枝をかざしていた。


「⋯⋯お喋りはもういいでしょう? ⋯⋯あれ、真剣はどうしました? 私みたいに貧しくて、刀も持てない買えない、ってわけじゃないでしょうに」


 綾麿あやまろは刀を差していなかった。

 左手に篠笛しのぶえを持っているだけだった。


「⋯⋯麿まろはこれでよい。この笛で十分だ」


「⋯⋯なッ!? 笛で天衣無縫流てんいむほうりゅうと戦う⋯⋯、だと?」


 淡々と話していた麒麟きりんが、初めて動揺を見せた。


麿まろにとっては、笛もさやも、そしてやいばも、そのじつは変わらぬ。⋯⋯言うなれば麿まろ不知火流しらぬいりゅうもまた、そなたの使う天衣無縫てんいむほうの流れを汲んでいるのかもしれんな」


 綾麿あやまろは左手を右肩の位置にまで上げていく。

 高々と構え直した綾麿あやまろの笛。

 それは麒麟きりんの目には、まるで本当のさやのように、そして真剣のように、妖しく鋭く光り輝いて映っていた。


「⋯⋯麒麟きりんとやら。もし麿まろが勝ち、その身が地に打ち据えられたなら、その時は御主、麿まろの直属の配下となれ」


「⋯⋯なッ!?」


 今度は麒麟きりんが驚く番だった。

 綾麿あやまろの口から出た、まさかの言葉。

 目を見開いて驚きの表情を浮かべる麒麟きりんを横に、青龍せいりゅうは眉をしかめながら、思わず綾麿あやまろの傍へと歩み寄っていた。


「⋯⋯綾麿あやまろ様。⋯⋯この麒麟きりんとか申す者。私の占術せんじゅつがんによれば、こののち明らかに綾麿あやまろ様や日本ひのもとの災いの種になると思われます。この場で斬り捨ててしまった方がよいかと⋯⋯。今程の発言はどうか再考を⋯⋯」


 青龍せいりゅうは珍しく厳しい表情を浮かべていた。

 その言葉の意味。

 それは綾麿あやまろも理解していた。

 だが綾麿あやまろは涼やかに、その進言を一笑に付した。


「⋯⋯青龍せいりゅうよ、分かっている。九分九厘、そなたの申す通りだろう。だが死人しびとをこれ以上無駄に増やすのではなく、一人の人間として残りの一厘に賭けてみたい。⋯⋯案ずるな。もし賭けが外れ、想いが届かなかったならば、その時は麿まろが責任を持って、この者を斬るゆえ⋯⋯」


 綾麿あやまろは改めて麒麟きりんに向き直った。


「⋯⋯麒麟きりんとやら。御主はまだ若い。改心の余地もあろう。後々に人になるか邪になるか。今は分からぬが、その天賦てんぷの才、此処ここで散らしてしまうのは惜しい⋯⋯」


 “惜しい”、その言葉の後だった。

 それまで冷静を貫いていた、麒麟きりんを見つめる綾麿あやまろの瞳が、妖しいきらめきを放つ。

 その瞳の変化に麒麟きりんも当然に気付いていた。

 まだ何一つ刃は交わしてはいない。

 しかし綾麿あやまろから放たれる視線は、まるで見えない刃のような鋭さを秘めていた。


(⋯⋯気に食わない)


 麒麟きりんは明らかに苛立っていた。


「⋯⋯ッ!? さっきから黙って聞いていれば⋯⋯! 何をごちゃごちゃと言ってるんですか!」


 青龍せいりゅうは呆れ顔だった。

 軽く溜め息をつく。

 しかしその声は、表情や吐息に反して穏やかだった。


「⋯⋯ふっ。⋯⋯綾麿あやまろ様。⋯⋯分かりました。其処そこまでの御覚悟ならば、もうお止め致しません」


「⋯⋯すまんな、青龍せいりゅう麿まろの”気まぐれ“を許せ」


「やれやれ、綾麿あやまろ様らしい。でも念のため⋯⋯、どうかお気をつけて。あの者の剣は今はまごう事無き邪剣じゃけんゆえに」


「⋯⋯案ずるな。それに麿まろは今年の七夕たなばたに必ず迎えに行くと約束をした者が居るからな。此処ここではまだ死ねん。もし約束を違えたら怖いからな」


「⋯⋯はは、確かに」


 この状況下に於いても、綾麿あやまろ青龍せいりゅうは軽く目を合わせ、爽やかに涼やかに微笑んでいる。

 そんな二人とは真逆に、麒麟きりんだけは爽やか涼やかどころか、背中に恐れにも近い薄ら寒さすら感じていた。

 綾麿あやまろから発する巨大な氣と妖しい瞳の力。

 その鋭い圧を前に、麒麟きりんは未だかつて味わったことのない戦慄を覚え、完全に飲まれていた。


「”気まぐれ“だとぉッ!? ⋯⋯それよりもこの凄まじいまでの剣氣けんき⋯⋯、初めてだ⋯⋯、く、⋯⋯くそぉっ!」


「⋯⋯さあ、いつでも良い、かかってこい。⋯⋯一つ言っておくが、麿まろは強いぞ。⋯⋯そなたが今まで戦ってきた、どの者たちよりも、だ」


「⋯⋯うぐうぅうッ!?」


 麒麟きりんは焦っていた。

 余裕を無くした心が、考えるよりも先に身体に命を下す。

 く心が求めるのは、この不快な圧を叩き潰すこと。

 天舞てんまの技を活かした先手必勝だけだった。


(⋯⋯潰す、潰してやる。その得意顔もその自信も。俺は出世するんだ、絶対に成り上がるんだ。⋯⋯そして今まで俺を見下してののしり笑ってきた奴等を、今度は俺が見下してののしって、心の底からあざけり笑ってやるんだ!!)


 麒麟きりんの想いが弾けた。

 麒麟きりんが攻撃に転じる。

 桜の枝を持つ右手をしならせた。


「⋯⋯喰らえ! 天舞てんま麒麟きりん剣、⋯⋯柘榴ざくろ!!」


「⋯⋯真空の刃。⋯⋯鎌鼬かまいたち亜流ありゅうか」


 綾麿あやまろの目の前で煌めく、一筋の閃光。

 しかしこの時、綾麿あやまろは避けるでもなく退くでもなく、ましてや飛ぶでもない、麒麟きりんの想定外の動きを取った。

 篠笛しのぶえを持つその左手をしならせ、麒麟きりんと同様にまるで円を描くように回転させたのだ。

 ただ唯一違ったのは、その回転の“向き”。

 綾麿あやまろ麒麟きりんとは逆回転となる、左回りに手首をしならせていた。


「⋯⋯な、何故だ!? 天舞てんまの刃が! どうしてあんな笛如きを削れない!? そればかりかいなされ弾かれている!?」


 物理学的には、左回転の方が右回転よりも力が強いと言われている。

 そのことわり綾麿あやまろは知ってか知らずか。

 麒麟きりんの手の右回転から放たれた鋭い刃の波動は、逆回転で左から渦を巻く綾麿あやまろ篠笛しのぶえの、滑らかな流水のような動きを捉えきれない。

 その全ての衝撃が、綾麿あやまろの左側へと弾かれていった。


「⋯⋯天舞てんまの太刀筋、既に読めたり」


 綾麿あやまろの口元が微かに動いた。


「⋯⋯くそぉっ!? ならば⋯⋯!」


 そして麒麟きりんが次の技に移ろうと、地を蹴り、そら高くに飛び上がった⋯⋯。



 ⋯⋯その瞬間。


 既に綾麿あやまろは、麒麟きりんよりも高くそらを舞っていた。


「⋯⋯あ」


 地を蹴り、空を舞い、唸り声をあげた伝説のけもの麒麟きりん

 その麒麟きりんの遥か頭上。

 今、天高くを舞い、颯爽と両翼を羽ばたかせ、鋭い爪をきらめかせながら麒麟きりんに襲いかかる、伝説のけもの鳳凰ほうおう


 自分に向かって舞い降りる、袖を靡かせて篠笛しのぶえを翳した綾麿あやまろの姿は、麒麟きりんには確かにそう見えた。



「⋯⋯鳳凰ほうおうが、⋯⋯羽ばたいている⋯⋯」



 呆然ぼうぜんと呟いたまま、空を見つめ続ける麒麟きりん


 その右肩に向け、綾麿あやまろ篠笛しのぶえでの一撃を見舞っていた━━━━⋯⋯。








 ⋯⋯━━━━(あの時、肩の骨が砕けて、気付いたら俺は地に這いつくばって、泣きわめいていたっけか⋯⋯)


 降りしきる大粒の雨の中。

 傷ついた右腕を押さえてうつむきながら、麒麟きりんはふらふらと歩いていた。


 ふと自分の右手、指先に視線を下ろす。

 その視線の先は小刻みに震えていた。


(畜生ッ⋯⋯! まだあの眼にびびってるのか俺は!)


 その麒麟きりんの遥か後方。

 雨にかすみながら、綾麿あやまろ美桜みおの姿が見える。


(⋯⋯くそっ! もう少し産まれる時が違っていれば⋯⋯! もう少し早く御所に入っていれば⋯⋯、そもそもあんな貧しい家に産まれなければ⋯⋯! 今頃は俺が中将ちゅうしょう大将たいしょう、いやそれ以上の地位に着いて、村雨むらさめも拝領して、そして映えある『六歌戦ろっかせん』にも選ばれていたはずなんだ⋯⋯、俺が、この俺が⋯⋯、畜生ッ!)


 麒麟きりん邂逅かいこうのあの日と同じように激しく歯軋はぎしりする。


(俺は綾麿あいつがいる限り、ずっと綾麿あいつねたひがうらうらやみ、そして恐れながら生きるのか⋯⋯!? 麒麟きりんは一生、鳳凰ほうおうには届かないのか⋯⋯!?)


 麒麟きりんの脳裏に今、浮かぶもの。

 それは綾麿あやまろの自信に満ちた笑み。


 そして⋯⋯━━━━






 ━━━━⋯⋯(「そんな!? 記憶に無い、っていうのはどういうことですか!! 昨日、師匠を桜の枝で斬ることができたなら、帝の御側衆おそばしゅう従六位じゅろくい侍従じじゅうに取り立ててくれる、って約束してくれたじゃないですかぁ!!』)


(『そんなことを言われてものう。記憶に無いものは記憶に無い。麿まろはな、酔っぱらっておったのじゃ。宴席に酔いの戯言は付き物じゃ』)


(『⋯⋯なッ!!!? ⋯⋯わ、私は実の父を斬ったのですよ!? それなのに⋯⋯、ッ、記憶が無いで済まされるなど納得がいきません!!』)


(『これ、身分をわきまえなさい。⋯⋯鏡を見よ。御前のような見窄みすぼらしい出で立ち、品の無い物言い、貧しく汚いどぶの中にも等しい生まれで、内裏だいりに入るなど。⋯⋯ほほほ、しかも従六位じゅろくい侍従じじゅうなどの位階いかいを授かれるわけがなかろうて。⋯⋯おほほ、それにその痛々しい肩の傷よ。負け犬にはこの華々しい御所に居場所など無い』)


(『⋯⋯ッ!? どぶの中に等しい生まれだってぇ!?』)


(『⋯⋯なんじゃ、その目は。本当の野良犬みたいに噛みつきおって。犬なら犬らしく生きてみよ。尻尾を振って愛想よく近寄れば、野良犬とて思わぬ御馳走にありつける時もある。⋯⋯おほほほほ』)


(『⋯⋯ッ、だ、騙したな、よくも騙したなあぁ!!』)


(『人聞きの悪い。これ、警備兵よ。何を黙って見ている? この者を早くつまみ出せ。今日は刀も桜の枝も無い。あまり暴れるようならば咎人とがびととして牢に入れよ』)


(『⋯⋯ち、畜生!! 畜生ッ!! 離せ、離せよぉぉ!!』)


(『⋯⋯お待ちください、久我こが右大臣殿』)


(『⋯⋯ん? おぉ、少将しょうしょう綾麿あやまろか。何ぞ用かな?)


(『⋯⋯しょ、少将しょうしょう!? ⋯⋯あや、まろ』)


(『⋯⋯無礼にも右大臣殿に罵声を浴びせしこの者。昨日、麿まろとの約束、戦いの結果により、麿まろの直属の配下になることが決まっております。よってこの者の処分は、あるじである麿まろにお任せ頂きたい』)


(『⋯⋯ほほほ、約束とな。⋯⋯ほほ、そうか、よかろう。煮るなり焼くなり好きにしや。⋯⋯あまりにもしつこくてのぅ、はたはた困り果てておったのじゃ。⋯⋯ならば後は任せたぞ少将しょうしょう麿まろはこれからまた宴席じゃ。春は良い。くれくれとうぐいすのようにうるさく鳴かずとも、酒が向こうからやって来ておじゃる。⋯⋯ではの』)


(『⋯⋯はっ、畏まりました』)


(『⋯⋯う⋯⋯ぁ⋯⋯何処どこ何処どこ行くんだよ、⋯⋯戻れよ、帰ってこいよ。⋯⋯帰ってきてくれよ⋯⋯』)


(『⋯⋯麒麟きりんとやら』)


(『⋯⋯っ! 何だよ、負けた俺を笑いに来たのかよ。それとも下働きとして雇って、俺が死ぬまでずっと蔑んだりののしったりするつもりなのかよ⋯⋯、ふざけるな』)


(『⋯⋯話は最後まで聞け。麿まろは帝の護衛も務めていてな。丁度、剣腕うでのたつ補佐役を探していた所なのだ』)


(『⋯⋯だから、だから⋯⋯何だよ』) 


(『帝の御側衆おそばしゅうではない。⋯⋯が、その少将しょうしょう補佐の位階いかいは、従六位じゅろくい侍従じじゅう。⋯⋯どうだ、引き受けてみたくはないか?』)


(『⋯⋯ッ!? ⋯⋯え⋯⋯わ、私に位階いかいを!? 従六位じゅろくい侍従じじゅうを!? ほ、本当ですか? あや⋯⋯いや、中将ちゅうじょう様!』)


(『⋯⋯ああ。麿まろは誰かとは違い、嘘は言わぬ。⋯⋯律令りつりょうを逸脱した例外ではあるが、この抜擢、必ず通してやる。⋯⋯それならば御主の心も晴れよう』)


(『⋯⋯は、はい! もし、もしそのお話が許されるのならば、御言葉に甘えとう存じます!』)


(『⋯⋯よかろう。ただし』)


(『⋯⋯ただし?』)


(『⋯⋯何時いつか真に“選ばれし者”になるため、心正しき”人“としての徳を積め。そして今後は無益な殺生は二度とするな。⋯⋯そして、”来たるべき時“には、それこそ麿まろの手となり足となり、時には野良犬いぬとなってでも、その天舞てんまの秘剣で存分に働いてもらう。⋯⋯良いな』)


(『⋯⋯っ! ⋯⋯き、来たるべき時? それは!?』)


(『⋯⋯今はまだ言えぬ。だが近い内にこの日本ひのもとは大きく揺れ動く可能性がある。そのために麿まろは今、『六歌戦ろっかせん』にも打ち勝てる力や才を持つ仲間ものを、何人か集めている、⋯⋯とだけ言っておこう』)


(『⋯⋯⋯⋯』)


(『⋯⋯⋯⋯、麒麟きりんよ、喉が渇いたか』)


(『⋯⋯は、はい?』)


(『⋯⋯御主、今。⋯⋯この場は適当に口裏を合わせ、位階いかいを授かることができればそれでよい。後はどうとでもなる。約束など知ったことか。この綾麿おとこにとりあえずは媚びへつらい、日本ひのもとと言う名の川の流れに乗って、何時いつかこの綾麿おとこよりも高い地位に、上流に上り詰めてやる。そしていつか浴びるほどに日本ひのもとの川の源泉げんせんを飲み、この喉の乾きを潤してやる。⋯⋯そう、考えたであろう?』)


(『⋯⋯え!?⋯⋯い、いえ、決してそのような事は』)


(『⋯⋯ふん、今はそれでもよい。それも織込み済で、麿まろは御主の剣腕うでと改心に賭けてみたのだ。⋯⋯だが』)


(『⋯⋯は、はは、⋯⋯だ、だが?』)


(『⋯⋯どうせなら右大臣殿の口にした、鬼神きじんの“ような”強さではない。鬼神きじんを遥かに”超える“力を身につけろ。⋯⋯そしてそれに見合う“心”もまた鍛えるのだ。そうでなくば、御主はこの先、麿まろまなこの光る日本ひのもとでは生き残れぬ。地獄の鬼にも、麿まろにも、⋯⋯決して勝てぬ!!』)


(『⋯⋯ッ!? ⋯⋯ぐ⋯⋯う⋯⋯ぅ⋯⋯ぅ⋯⋯』)⋯⋯━━━━






 ━━━━⋯⋯(⋯⋯あの。全てを見透かしているようなあの。⋯⋯ッ、綾麿あいつの配下となったあの日あの時から、天舞てんまの剣も更に磨いてもっと強くなった⋯⋯。綾麿あいつの口添えでくちの家の養子にもなれた⋯⋯。あの時の綾麿あいつと同じ少将しょうしょうの地位を得る事もできた⋯⋯。でも⋯⋯でも、それでもまだ俺の喉の渇きはうるおわねえ!!)


 麒麟きりんの脳裏には、あの日の綾麿あやまろの眼差し、そして村雨むらさめとその刃に纏わりつく蒼白そうはくほむらが浮かんでいた。


(⋯⋯何が徳を積め、だ。何が無益な殺生はするな、だ。何が来たるべき時、だ。ふざけんな、俺は俺だ。麒麟きりんだ。天賦てんぷの才をもって生まれた、”神“に選ばれし人間。⋯⋯天を自由に舞う霊獣の化身、麒麟きりんなんだ!!)


 しかし今、そんな綾麿あやまろ村雨むらさめほむらの残像を打ち消し吹き消すように、麒麟きりんの心に巨大な風が巻き起こる。

 風は触れるもの、何もかもを破壊していく。

 御所も、京都も、日本ひのもとも、そして麒麟きりんの心に物悲しく薄暗く秘めていた、全てのもやも。

 全てが一瞬で無に帰していた。


 その風を巻き起こしたのは、一振りの刀。



 それは昨日見たあの”閻魔刀えんまとう“だった。



(⋯⋯違う。俺の心が望んでいた物は、地位や名誉とかそんな陳腐なものじゃない。やっと分かってきた。⋯⋯この日本ひのもとで俺が真に望むのは、邪魔な何もかもを吹き飛ばす、あの絶大な力。鬼が秘めている魔性の強さだ!)



 雷鳴がとどろく。

 雨の中、麒麟きりんは垂れていた頭をゆっくりと上げる。

 その顔は今までよこしまな“何か”を決意していた。

 そして妖しく禍々しく、⋯⋯微笑んだ。



(⋯⋯見てろ。今にこの日本ひのもとの頂点も、そして姫、美桜みお様の心も、俺が必ず奪い取ってやる! 綾麿あやまろにも他の『六歌戦ろっかせん』にも、勿論もちろん鎌足かまたりにも邪魔はさせねえ。⋯⋯必ず、必ずこの日本くにを支配してやるからな!!)━━━━。

 



第82話も最後までお読み頂きありがとうございました。

3連休中に2話、出せればいいなと思っていたので、無事に投稿することができて良かったです。

ブックマーク、☆評価、感想等よろしくお願いします。その優しさが新たな創作の励みに繋がります(*^_^*)。

次回第83話「鎌足と美桜」は、7月24日〜26日頃の投稿予定です。次回もどうぞよろしくお願い致します。


【改稿履歴】

改稿履歴は全て誤字脱字等や細部表現の訂正です。

過去話も誤字脱字を見つけ次第、訂正しています。

内容は全く変わっていませんので御安心ください。

(いつもたくさんの誤字脱字ばかりで、すみません)


【その他】

↓フォロワー様に創作して頂いたオリジナルEDです!

ED①https://suno.com/s/UDlzMnlrwuPI3Apg

ED②https://suno.com/s/dKiO9ljefO0sG1RT

こちらも良かったらぜひ聴いてみてください♪

どちらもお気に入りです!ありがとうございます!

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