第66話 凶刃
【登場人物紹介】
不知火綾麿━━━━
従三位中将。帝と日本を守る『六歌戦』の一人。謎の妖刀『村雨』を時の帝から拝領し、御所警備の西番を任されている。村雨の真刃と鞘刃を使った不知火二刀流の使い手。江戸徳川政権を激しく憎み、鎌足を快く思っていない。帝の命を守るため、御所内へと消える⋯⋯。
伊賀の鎌足━━━━
江戸城の公儀御庭番伊賀組の小頭の女忍。伊賀流鎖鎌の使い手。七十年前に鬼を滅した伝説の刀『鬼切丸』を手に、鬼が現れた京都に援軍として派遣されるが、裏では朝廷の探索の密命も帯びる。帝の命を狙う鬼達の襲撃の中、綾麿が死んだと勘違いし、更なる闘志を燃やす。
樋ノ口麒麟━━━━
従四位下少将。紙垂付きの白鞘の刀を手にする少年公家。謎の剣技を操り、御所警備の北番と南番を務める。執念深く自己中心的かつ残虐な性格で、自分よりも位が下の者には容赦は無い。些細な出来事をきっかけに鎌足に因縁をつけ、暗殺のために御所にふらり現れる。
近衛兼季━━━━
従二位大将。武官最高位の大将として、清涼殿だけを警備する御帝親衛隊を指揮する。鞍馬一刀流の使い手で、性格はおおらかで実直。鎌足にも親しみを見せる。
蒼妖鬼━━━━
京都御所を襲撃する蒼鬼の修羅。『刀葉林』と呼ばれる刃の木の上で亡者を誘う、絶世の美女鬼。薙刀型の『妖凛刀』を操る。帝の命を狙い、御所内部に侵入中。
蒼鋼鬼━━━━
京都御所を襲撃する蒼鬼の修羅。人間の身体の数倍はある巨体で、凄まじい怪力と絶大な威圧感を誇る。まさに”鬼に金棒“、手にした金砕棒で破壊の限りを尽くす。
紅閃鬼━━━━
京都御所を襲撃する紅鬼の修羅。長い髪に長襟の羽織を纏い、落ち着いた風貌だが性格は残虐。飛翔する鉄扇の刃と鉄串が武器。帝の命を狙い、御所内部に侵入中。
━━━━(⋯⋯何で、何で麒麟が御所に居るんだ?)
紅斬鬼との戦いを終えた鎌足の視線は、御所の西の方角に向いていた。
視界に捉えたのは、蒼鋼鬼と戦闘中の麒麟の姿。
今日は鎌足が担当する東番。
麒麟の警備番の日ではない。
鎌足が御所に入った際も、間違いなく麒麟は出仕していなかった。
(⋯⋯一体何がどうなって、この状況に? いつから戦いに参加していたんだ、麒麟は⋯⋯、麒麟は性根は腐ってても立場は少将、南北の番頭。この騒ぎを何処かで聞きつけ、帝を守るために駆け付けた、ということか!?)
鎌足は目を擦る。
そしてもう一度、西の地に目を凝らした。
やはり見間違いではない。
蒼鋼鬼と対峙しているのは、間違いなく麒麟だった。
更に驚くべきはその戦況だった。
鬼切丸で斬り裂いてもすぐに元に戻る能力を持つ、閻魔鋼。
そんな閻魔鋼を全身に備え、圧倒的な強さを誇る蒼鋼鬼が今、麒麟の放つ不思議な剣技の前に、やはり完全に圧されていた。
そんなにわかには信じられないような現実を目の当たりにして、鎌足の頭は更に混乱する。
(彼奴、口だけじゃなくて本当に相当の使い手だったのか!? しかも⋯⋯ッ!)
蒼鋼鬼の胸の皮膚。
即ち閻魔鋼の鉄壁の防御は、どういう訳か深く抉れ拡がっている。
更に蒼鋼鬼は、片目も無くしているように見える。
そしてあの何もかもを破壊する凶暴すぎる金砕棒も、蒼鋼鬼の手の中には見当たらない。
(⋯⋯まさか! 信じられない!? あの傷、本当に麒麟が付けたのか!? 私の鬼切丸や綾麿の村雨でも手こずったのに⋯⋯。もしかして”あれ”が、綾麿が言っていた天衣無縫流⋯⋯、そして白鞘の本質、ってやつなのか!? ⋯⋯ッ、蒼鋼鬼が金砕棒を持っていない理由もよく分からないけど、⋯⋯でも!)━━━━
「⋯⋯次はあの蒼の血を頂きだ」
━━━━(⋯⋯蒼鋼鬼を斃す絶好の機会だ!)
(⋯⋯え?)
心の声の間に割り込むようにして、鎌足の口から出た言葉。
⋯⋯蒼の血を頂く。
それは鎌足が心で抱いていた言葉とは、似て非なる言葉だった。
(⋯⋯あ、あれ? 私、まだ何かおかしい⋯⋯、何で思った事と違う言葉を呟いているんだ!?)
⋯⋯その時。
⋯⋯どくん⋯⋯
鎌足の身体の内で、何かが突き上げた。
それは胸の奥底が弾けるような、今日だけで三度目となるあの異様な感覚だった。
「⋯⋯あ、⋯⋯うっ」
鎌足は咄嗟に胸を押さえていた。
胸の動悸は、押さえつけた手をも弾き飛ばしてしまうのではないかと思える程に、異常なまでに熱く速く、そして激しく脈打っていた。
同時に鎌足の中にまるで“もう一人の鎌足”が居るような、そんな不思議な感覚が湧き上がってくる。
(⋯⋯あれ? 意識が⋯⋯遠のいていく⋯⋯?)
鎌足が困惑と混濁で目元を歪ませる。
そして続けざま、愉しそうに口元を緩めた。
それは無意識の微笑み。
笑みを浮かべた理由は自分でも分からない。
鎌足は左手で胸を押さえたまま、ふらふらと前へと歩き出していた。
右逆手には、鬼切丸を固く握りしめている。
そしてその脚は鎌足の意思とは関係なく、何かの力に操られるように、“勝手に”前へ前へと進んでいく。
「⋯⋯やる。私がやる。大切な役目だ」
傷の痛みや疲労が再び押し寄せてきたのか、それとも心と身体の”剥離“状態を表す現象の一つなのか。
歩く鎌足の身体は不安定だった。
一歩地を踏みしめるごとに、まるで夢遊病者や死人のように左に右によろけていた。
しかしそれでも鎌足は歩みを止めない。
一歩ずつ一歩ずつ、ゆっくりとゆっくりと速度を速めながら、ただ前だけを見つめて進んでいった。
鎌足の身体が向かっている方角は、西。
その視線の先には、斃すべき蒼い血。
蒼鋼鬼の姿が在った。
目的となる蒼鋼鬼を改めて視界に捉えた鎌足は、目をぎらつかせ、鬼切丸を眼前に水平に構え直す。
「⋯⋯必ず、⋯⋯斃す、⋯⋯蒼鬼」⋯⋯
⋯⋯その瞬間、鎌足は溜めていた力を一気に解放するように、激しく地を蹴り、一陣の風となって駆けていた━━━━。
━━━━この時、東からの鎌足の接近に、快楽の海に溺れていた麒麟は全く気が付いていなかった。
無邪気に満面の笑みを浮かべ、ただひたすらに真剣を持つ手首を撓らせ続けていた。
「⋯⋯さあさあ!? 心の臓が見えてきたぞ!? これで終いだ! そしてこの手柄で俺の少将の座も安泰になる!」
《⋯⋯がが、ぐぅッ!? ⋯⋯俺様の鋼鉄の胸が! 閻魔鋼の壁が!? 剥き出しになっていく⋯⋯!?》
麒麟の刃の削る力の速さに、閻魔鋼の回復が間に合わない。
不壊不死の自慢の胸は大きく広く抉れ、蒼鋼鬼の胸からは絶え間なく血飛沫が舞う。
そして今、胸の陥没状の穴の奥から僅かに覗くのは、生々しく扇動する濃蒼色の塊。
それこそが麒麟の欲する、権力に居座るための手柄。
鉄壁の閻魔鋼に守護された、蒼鋼鬼の心の臓だった。
《⋯⋯ぐぬううぅぅッ!? 俺様の武器は金砕棒だけだと思うなよ!!》
追い詰められているとは言え、蒼鋼鬼も武力と妖力を高めた蒼鬼修羅、ただでは終わらない。
閻魔鋼の成分を含む、巨大な両の拳。
その残された最後の凶器を、手根骨の軋みが聞こえる程にまで全力で握りしめ、筋骨隆々とした両腕を左右に広げた。
そして天を仰ぎ見ると、凄まじい雄叫びを上げた。
《ぐおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! ⋯⋯喰らえええぇぇぇ!! ⋯⋯双極金砕拳ッ!!!!》
蒼鋼鬼は今、その巨大な拳を二本の金砕棒に見立てていた。
拳を繰り出す目的は、剥き出しになりつつある心の臓の防衛。
そしてそんな窮地にまで自身を陥れた、目の前の小生意気な人間、麒麟をぶん殴り、全身の骨を粉々に粉砕してやるため。
左と右の連続拳撃を繰り出すべく、蒼鋼鬼が第一撃の左腕と左拳を大きく振りかぶった。
「⋯⋯次は徒手空拳か! 無駄だ! 拳の反撃なんて間に合わない! 身体を削り抉る方が断然速い! ⋯⋯あぁ、あんな巨大い蒼鬼の心の臓を斬り刻むのは、どんな感触かなあ!? きっと硬いだろうなぁ⋯⋯、楽しみすぎるぜ! さあさあ! 遊戯の終幕だぁぁ!」
拳が振り下ろされそうになる間でも、麒麟の天舞の刃は閃き続けた。
今宵の宴を締め括る最後の一献前の余興とばかりに、更に鋭さを増した真剣の刃が、僅かに残された蒼鋼鬼の左胸を守る閻魔鋼すらも抉り砕く。
不壊不死の全てを破壊する。
そして今、遂に露わとなった蒼鋼鬼の心の臓に刃が到達する⋯⋯。
⋯⋯その瞬間。
麒麟の視界、右横の空から不意に現れて、蒼鋼鬼に重なっていく人影が在った。
その人影が狙うのも、麒麟と同様に、腕を振りかぶったことでがら空きになった蒼鋼鬼の左胸。
「⋯⋯はぁん!?」
麒麟は思わず声がひっくり返っていた。
⋯⋯”何か“の煌めきを手に、空を舞う人影。
それは先程の振動で倒壊した石燈籠を踏み台にして、空高く飛び上がった鎌足だった。
「⋯⋯なッ? ⋯⋯か、鎌足⋯⋯!?」
鼻息荒く攻勢をかけていた麒麟。
その刻が止まった。
開いた口が塞がらない。
勝ち誇った恍惚の笑みも、一瞬にしてぴたりと止まっていた。
月明かりの下、飛翔する鎌足の右手には、逆手で鬼切丸が握られている。
その刃の煌めきが、鎌足が今”何をしようとしているのか“を、麒麟に如実に教えていた。
「⋯⋯なッ!? お、御前また⋯⋯じゃ⋯⋯じゃ⋯⋯じゃじゃ⋯⋯邪魔をぉ⋯⋯ぉぉぉ⋯⋯!? ⋯⋯俺の愉しみと手柄をぉぉ、邪魔するなあああああぁぁぁぁぁッッ!!」
「⋯⋯今なら、今なら閻魔鋼を、蒼鋼鬼を、斃すことができるッ!! ⋯⋯うおおおおおおおぉぉぉぉぉッッ!!」
夜空に麒麟の叫びが虚しく響き、鎌足の叫びが熱く響く。
空中で身体を翻した鎌足は、蒼鋼鬼の心の臓に向けて鬼切丸を思い切り突き刺した。
《⋯⋯ぐがぁッ!? がああああああぁぁぁぁッッッ!!》
「⋯⋯ッ! 今度こそ真の手応えありッ⋯⋯⋯!」
鎌足の一撃とほぼ同時だった。
蒼鋼鬼の振り上げた左腕。
その渾身の拳が鎌足を襲う。
「⋯⋯ああッ!?━━━━⋯⋯⋯⋯」
麒麟の見開いた目、その視界の中。
激しい激突音と共に、鎌足が一瞬にして⋯⋯消えた。
一方の麒麟の刻は止まったままだった。
完全に呆けていた。
お愉しみのひとときを、突然に略奪された。
その動揺の大きさで、天舞の攻撃の手もまた完全に止まっていた。
蒼鋼鬼に向けてあれだけ猛威を奮っていた右手は、今はだらんと下に垂れ、何も無い地面に刃を向けている。
「⋯⋯お、⋯⋯まえ、⋯⋯あ、ああ、⋯⋯あああ、あ」
口をぽっかりと開け、青ざめた表情のままで無念の言葉をぼそぼそと呟く。
そればかりか見えない何かに救いや助けを求めるように、震える左手を宙に差し伸べていた。
そして無意識と無防備のまま、麒麟はふらふらと前に歩き出した⋯⋯。
⋯⋯と同時だった。
蒼鋼鬼の連撃の第二発目。
振り上げた右腕と巨大な拳が、次は麒麟を襲っていた。
「⋯⋯ふがっ!?━━━━⋯⋯⋯⋯」
霞んでいく蒼鋼鬼の視界の中。
激しい激突音と共に麒麟も一瞬にして⋯⋯消えた。
左胸を鬼切丸で貫かれた蒼鋼鬼の拳は、生の残り香を僅かに纏った肉体の最後の反射的な動きだった。
拳に乗せた力は、かなり弱まってはいる。
とは言え、蒼鋼鬼の巨躯による魂心の剛拳。
ほぼ真正面から食らってしまっては、小柄な体躯の二人はただでは済むはずもない。
鎌足と麒麟、二人共に相当な遠くまでふっ飛ばされていた。
鎌足が弓なりに宙を舞う。
地に落下した後も、背中で地を滑っていく。
一方の麒麟はと言うと、鎌足よりも勢い激しく、宙を錐揉みしながら舞っていた。
地に激しく叩きつけられて大きく弾むと、そのまま地を大きく滑る。
そして御所を取り囲む土塀に頭からぶつかり、その身体はようやくにして止まっていた。
その激突の勢いたるや凄まじく、土塀の一部は完全に倒壊し、白灰の土煙をあげている。
本来の麒麟なら、難なく避れていたはずの拳。
愉しみを突然に奪われて呆然自失状態、口惜しさで完全に上の空だった麒麟は、蒼鋼鬼の右の拳をまともに受けてしまっていた。
相当な一撃を食らった麒麟とは反対に鎌足の方は、横から攻めた角度と、蒼鋼鬼が左眼を失っていたことが幸いしていた。
蒼鋼鬼の左側の焦点が、幾分かずれていたのだ。
左拳の直撃を避け、掠るようにして当たったのは、咄嗟に翳した腕だけだった。
骨などに損傷は無い。
何とか打撲だけで済んでいる。
それでも地に落ちた衝撃は、それ相応なものだった。
頭を打ち付けてしまった鎌足は、激しい頭痛に襲われて、頭を抱えて蹲っていた。
「⋯⋯あ、い、痛たた⋯⋯、あ、あれ?、⋯⋯私、今まで何を? 確か紅斬鬼を斃して⋯⋯、鬼と戦っている麒麟を見つけて⋯⋯、その後は⋯⋯⋯えっと⋯⋯、あ⋯⋯ッ! そうだ! 蒼鋼鬼は!?」
鎌足は飛び跳ねるようにして辺りを見渡した。
その表情や手脚の感覚に、先程までの違和感は無い。
蒼鋼鬼の一撃が、“気付”になったのだろう。
意識の混濁は既に収まり、心と身体が一致した元の鎌足の状態に戻っていた。
蒼鋼鬼の断末魔の叫び声の余韻が残る背後を、鎌足が振り返る。
鎌足の居る場所から少し離れた地。
視界に入った仁王立ちの蒼鋼鬼は、今まさに不壊不死の終焉を迎えようとしていた。
その巨躯は全身、蒼の濃い霧に包まれていた。
鎌足がとどめを刺した胸だけに限らず、残された右眼も暴力の限りを尽くした両の腕も、全身のありとあらゆる場所から土気色をした閻魔鋼の残骸が、どろりと溶け落ちている。
そして止まっていた刻が一気に押し寄せ動き出したように、その身体はみるみるうちに痩せこけて肉が削げ落ち、立ち尽くしたまま巨大な人骨の姿と化していった。
蒼鋼鬼の胸に突き刺さっていた鬼切丸が、蒼鋼鬼の頭蓋骨や肋骨など大小多くの骨に混ざりながら、地上に落ちていく。
鬼切丸の刃が地に刺さったとほぼ同時だった。
最後は一陣の風に吹かれた砂の城のように、蒼鋼鬼の巨躯は全てが跡形も無く、この世から消滅していった。
その瞬間、戦況を固唾を呑んで見守っていた何人かの警備兵たちが、一斉にどっと沸いた。
皆が涙ながらに歓声を上げている。
警備兵たちの戦意を喪失させ、恐怖を植え付けてきた凶暴巨躯の蒼鋼鬼。
その消滅は、この場に生き残る数少ない警備兵たちにとっても、何ものにも代えがたいこの夜一番の格別の瞬間となっていた。
そんな警備兵たちの喜びの声と、地に刺さる鬼切丸を見て、鎌足の心にもやっと蒼鋼鬼が消滅したという実感と、勝利の喜びが込み上げてくる。
「⋯⋯やった。⋯⋯やったんだ! あの化け物⋯⋯、閻魔鋼の蒼鬼を遂に斃したぞぉぉぉおおおおおおお!!」
気付けば鎌足は大声で叫んでいた。
そして強敵を撃退できた安堵から、鎌足の顔も自然と綻ぶ。
その心も周囲の状況を確認できるほどに、落ち着きを取り戻していた。
乱戦が始まった時に居た五十人の警備兵、そして蒼鬼紅鬼それぞれに三鬼の修羅と二十の羅刹。
百に近い数の人と鬼が入り混じった大乱戦だった。
しかし今は、残された人と鬼は目算できる程までに減っている。
戦いの始まりの時とは比べものにならないくらい、御所内は人の影も鬼の影もまばらになっていた。
その時、鎌足の活躍に感銘を受けた三人の若い警備兵が、喜びを分かち合おうと鎌足の元に走り寄ってきた。
「⋯⋯凄いです! 鎌足さん!! 見てましたよ! 強い女の紅鬼に続いて、あんな巨大な蒼鬼まで斃すなんて!」
「⋯⋯最後の蒼鬼を斃した跳躍の美しさ、強さ! 惚れ惚れするくらい本当に凄かったです! こんな小さい身体なのに懐に飛び込む勇気も! 本当に大した御方だ」
「⋯⋯お怪我は大丈夫ですか、鎌足殿? ⋯⋯残りの鬼たちはあと僅か。鎌足さんが居れば百人力、いや千人力だ。ぜひ私たちも一緒に戦わせてください!」
「⋯⋯ま、まあ、それほどでもぉ。⋯⋯にはは。⋯⋯あ、ありがとう。皆さん」
照れた鎌足が頬を赤らめた。
三人ともが鎌足を心から案じ、そして敬意を見せてくれている。
その想いが真摯に伝わってくる。
慕い寄り添うその三人の姿に鎌足は今、共に江戸を旅立った亡き仲間たち三人の姿を重ねていた。
甚左、平次、大吾。
もし彼らが生きていて一緒に戦っていたなら、きっとこの三人と同じような言葉をかけてくれたはずだった。
そして共に勝利の喜びを、こうして分かち合っていただろう。
甚左たち三人の顔が自然と浮かんで、鎌足の目頭や胸が熱くなる。
今、鎌足の胸に去来するのは、先程までの妖しく不思議な動悸でもない。
昨日や服毒の一件から続く、悶々とした淀んだ心でもなかった。
優しくて、爽やかで、そして温かな気持ち。
見ず知らずの初対面の三人だが、鎌足はその心の中に、不思議な親しみが自然と湧き上がるのを感じずにはいられなかった。
「⋯⋯とりあえず三人共、大きな傷は受けてはいないみたいだね。⋯⋯よし。まだ暴れている残りの蒼鬼や紅鬼も斃さなきゃなんだけど、実は帝の御命が危ないんだ」
「⋯⋯えっ、まさか清涼殿に鬼が!?」
「そのまさかなんだ。⋯⋯紅鬼の手強い修羅が一鬼、既に清涼殿に侵入したのをこの目で見た。木の枝や草を操る妖力を持つ薙刀の蒼鬼の女も、もしかしたら既に清涼殿に足を踏み入れているかもしれない」
「⋯⋯それは本当ですか!?」
「⋯⋯っ、一刻を争う一大事じゃないですか⋯⋯」
「⋯⋯本当に情けないなぁ、東番頭なのに。こんな失態。⋯⋯は、はは。⋯⋯約定によると、私はたぶんもう死罪確定だ」
「⋯⋯そんな! 鎌足さんに非はありませんよ! 帝のために命を投げ出して、こんなに強い鬼を斃しているのに! ⋯⋯ッ、安心してください! 皆で鎌足さんを擁護する署名を募りますよ!」
「その通りです! こんなに傷だらけになって戦っているのに、死罪なんてあまりにも無慈悲。重すぎます!」
「⋯⋯ありがとう。⋯⋯でも、その話は帝を守り抜いてからだ。⋯⋯さあ、親衛隊以外は立入禁止なんて言っている場合じゃない。今すぐに清涼殿に急がないと!」
「⋯⋯本来は清涼殿の奥は禁忌なのですが⋯⋯、確かに。帝の命が最優先。鎌足さんが命を賭すなら、私たちもお供致します」
「⋯⋯私も! 戦うぞ!」
「⋯⋯私もです。さあ、鎌足さん、肩を貸しましょう、どうぞ」
「⋯⋯みんな。⋯⋯嬉しいなあ。本当にありがとう」
鎌足は堪忍袋の緒が緩みやすいが、涙袋の方も同じだった。
三人の言葉を前にして鎌足の瞳は今、夜露のような輝きを見せていた。
(⋯⋯おっと、ここで泣いたら様にならないぞ)
目元を力強く腕で擦った鎌足が、目を兎のように真っ赤にしながら呟く。
「⋯⋯ん、⋯⋯よし、行こうか」
鎌足は一人の警備兵の肩を借りると、御所に向けてゆっくりと歩き出した。
⋯⋯その時だった。
鎌足たち四人に、唐突に声を投げかける者がいた。
それは明らかな憎しみや妬み、そして怒りの詰まった声だった。
「⋯⋯おい、お前等。さっきから黙って聞いてりゃ、誰が蒼鬼を斃したって? ⋯⋯ふざけるなよ、人の手柄、地位、愉しみ、全部横から奪いやがって⋯⋯」
⋯⋯それは憤怒の念を包み隠さず曝け出す、血塗れの麒麟だった。
「⋯⋯いい度胸だ、やってくれるじゃねえか、鎌足ぃぃ。この顔、この痛み、どうするんだよ。御前が横から邪魔したせいだ」
その左頬や左眼辺りは相当に腫れあがり、鼻や顎の骨でも折れたのだろうか、口と鼻からは夥しく出血している。
綾麿から渡された真剣は、蒼鋼鬼に殴られた勢いで、何処かに飛んでいってしまったらしい。
たった今、何処かで拾ったばかりの別の真剣を、震える右手に固く握りしめていた。
(⋯⋯あっ、⋯⋯き、麒麟!?)
勝利の余韻に浸るあまり、鎌足たち四人は麒麟の存在などすっかり忘れていた。
そんな忘却すらも絶対に許せないと言わんばかりに、鎌足の前に現れた麒麟の表情は、まさに“凄まじい”の一語に尽きた。
怒りに打ち震え、眼は真っ赤に血走り、鎌足をひたすらに鋭く睨み付けている。
そして痰を吐くように、蒼鋼鬼の拳の衝撃で抜けた奥歯を荒々しく吐き出した。
「⋯⋯ひぃっ、⋯⋯樋ノ口少将様⋯⋯だ」
「⋯⋯あ⋯⋯あ⋯⋯、⋯⋯しょ、少将様⋯⋯」
「⋯⋯少将様も、⋯⋯お、お怪我はありませんか」
三人の警備兵たちの動揺は明らかだった。
鎌足は清涼殿での昨日の出来事、因縁を思い出していた。
逆らったら何をされるか分からない、表裏の激しい性格。
表の人懐こい笑顔に隠した、裏の残虐性。
位に固執した、格下の者たちに対する傍若無人ぶり。
案内役同様に警備兵たちも全員、予てから麒麟の裏表には気付いているのだろう。
普段から麒麟という存在を恐れている事が、この三人の態度や仕草を通じて伝わってきた。
「⋯⋯樋ノ口少将、麒麟⋯⋯様。⋯⋯貴方は⋯⋯」
相手は少将。
南北の番頭である上に、従四位下の位階も持っている。
鎌足は表向きは仮初めの敬語を使いながらも、麒麟を鋭い目で睨み返した。
「⋯⋯鎌足ぃ、何だ、無官の分際で何だその眼はよ? ⋯⋯まぁ、昨日の事もある。御前の処罰はお愉しみ、後回しだ。まずはそこの三人に俺への無礼の咎の罰を下さなきゃだな」
「な⋯⋯!? こんな大事の時に何を言ってるんだ!?」
鋭い眼差しだけではない。
その思考も語る言葉も、麒麟は昨日と何ら変わっていなかった。
昨日と同じく、それはあまりにも横暴で身勝手な自分本位の断罪だった。
「⋯⋯え? 咎? し、少将様!? これはあの⋯⋯」
「⋯⋯少将様、誤解です、私はそんなつもりでは」
「⋯⋯そう、誤解です。どうか気をお鎮めください」
麒麟が念のため辺りを見回す。
今、この場には上官である綾麿も兼季も居ない。
そんな願ったり叶ったりの事実と、蒼鋼鬼に殴られた傷と痛みが、麒麟を更に増長させる。
「⋯⋯ふん、そうか、これは誤解かぁ。そうかそうか、ごかい、⋯⋯五回、この刀で斬られる罰を甘んじて受ける、⋯⋯って言うんだな? ⋯⋯あははは、そうかそうか、見上げた咎人どもだ」
「ひっ⋯⋯!」
「⋯⋯!?」
「⋯⋯しょ、少将様!?」
警備兵三人の顔が一斉に強張り、凍りつく。
三人ともが鎌足に助けを求めるように、そして鎌足の背後に隠れるように、じりじりと後退りしていく。
「⋯⋯ッ? ⋯⋯おい! 少将さま、冗談はやめ⋯⋯」
言いかけた鎌足の言葉が止まる。
(⋯⋯!? 麒麟の目。⋯⋯本気だ)
昨日の夕刻、案内役を斬ろうとした麒麟の姿が、鎌足の脳裏を過った。
⋯⋯次の瞬間。
鎌足は警備兵二人を突き飛ばし、一人に体当たりしていた。
麒麟は真剣を握りしめる右手首を、五重に三度、撓らせた。
景色が五重に揺らぐ。
そう思った瞬間、体勢を崩した鎌足の左右を、得体の知れない衝撃が吹き抜けていった。
鎌足の忍装束の左右の二の腕に、刃の鋭い痛みが走る。
麒麟の眼の”本気“を悟った鎌足は、一瞬の判断と機転で警備兵三人の救出に動いていた。
とは言え、今は手裏剣を懐に忍ばせているだけの、ほとんど丸腰。
しかも守るべき者は、昨日の案内役のような一人ではない。
三人は麒麟の天舞の衝撃波の直撃を免れつつも、決して無傷ではなかった。
一人は背中を深々と斬られてうつ伏せのまま倒れ込み、また一人は肩口を大きく斬られ、肩を抑えながら痛みに顔を歪ませている。
そしてもう一人。
両掌で顔を覆った三人目の警備兵の指間から覗く顔面は、まるで焼けた網目を押しつけられたような細かい傷に満ち、血塗れになっていた。
三人は重傷を負っているものの、何とか一命だけは取り留めていた。
鎌足が対処しなければ、恐らくこの三人の警備兵は今頃は、誰が誰かも分からない程に柘榴のように斬り刻まれていただろう。
(⋯⋯ッ、何てことを!?)
幸いにして鎌足自身の二の腕の傷は、表皮を僅かに掠っただけで済んでいた。
(⋯⋯それにしても、何て凄い剣技だ。そうか、この剣技で蒼鋼鬼を削っていたのか!?)
あまりの衝撃的な剣技と非道さを前にして、鎌足の額を困惑と動揺の汗が伝う。
そんな鎌足を憎々しそうに睨みながら、麒麟は怒鳴り声を上げた。
「⋯⋯おい、鎌足ぃぃい、御前はどこまで俺のやりたい事を邪魔すれば気が済むんだ!? また刑の執行を邪魔しやがって!」
「⋯⋯な、何だとぉ!? 」
「⋯⋯ふん、まだ約束の半刻までは十分に時間はあるな。⋯⋯よぉし、順番変更。先に御前からだ、鎌足ぃ。手柄や愉しみの横取りの罪と、この殴られた傷の痛み、そして昨日の悪戯も合わせて、きっちりその身体で落とし前を付けてもらうからな」
昨日と同じ一方的な因縁を押し付けてくる麒麟を前に、鎌足は湧き上がる感情の波に身体を震わせていた。
鎌足にとっては、初めて会う三人の警備兵を傷つけられた、ではない。
大切な仲間を傷つけられたことに等しかった。
だからこそ鎌足の頬には今、不快な汗だけではなく、悔し涙までが伝っていた。
怒りに満ちた鎌足の心が、麒麟という存在を激しく拒絶する。
「⋯⋯お、御前ッ! 何を言ってるんだ、自分が今何をしたか理解しているのか!? ⋯⋯今刃を向けたのは、人間だぞ。共に鬼と戦う仲間だぞ? それを何故斬った!? あんなくだらない理由でか!?」
「⋯⋯あぁん? ⋯⋯俺への無礼は、帝への無礼も同じだ。俺に跪いて鬼を斃した感謝を告げる前に、手柄横取りの盗人、しかも無官の御前に尻尾を振ったばかりか、肩までも貸しやがって。死罪しかねぇだろが」
「そんなくだらない理由で⋯⋯!?」
「⋯⋯は!? くだらない、だと!? 勝手に決めるんじゃねえ! 誰も御前の意見なんて聞いてねえ! 俺が気に食わない、そう判断した奴等は皆、万死に値するんだ! ⋯⋯これがこの麒麟の決まりだ! 覚えておけ!」
「⋯⋯くッ、さっきは綾麿を鬼だと断罪したが、間違っていた。⋯⋯少将⋯⋯いや、麒麟。御前こそが人の皮を被った鬼だ。鬼畜生だ! ⋯⋯この人非人め!!」
「⋯⋯は? 更に侮辱の咎も上乗せか? ⋯⋯ふん、いいか、よく聞け。鬼には葬魂の術があるんだ。その三人も鬼に身体を乗っ取られて、可哀想だから殺しました、って言えば、中将も大将も大臣どもだって、誰も分かりゃしねえ。⋯⋯生みの親みたいな綺麗事ばかり言って、これ以上俺を怒らせるな!」
力強く我を貫いた麒麟が、大きく顔を歪ませる。
「⋯⋯麒麟、御前、今まで一体どういう生き方をしてきたんだ? その邪な考えは死ななきゃ治らないのか」
鎌足も麒麟と同じだった。
これ以上はどんな話をしても無駄だ。
そんな確信と共に、苦々しく顔を顰めた。
⋯⋯その時だった。
麒麟の傍に近づいてくる、二つの禍々しい影。
それは戦いの最中の蒼鬼羅刹と紅鬼羅刹だった。
激しく矛と刀を交わらせ、麒麟の方へと動きながら、一進一退の斬撃の応酬を繰り返している。
間近に迫る蒼と紅の刃の閃き。
その攻防を一瞥した麒麟の顔が、更に険しく歪んだ。
「⋯⋯あぁ、人間も鬼も。この世は本当に鬱陶しい奴等ばかりだ⋯⋯。⋯⋯邪魔なんだよ、皆。⋯⋯俺の進むべき覇道を、映えある出世を⋯⋯、妨げる奴は、皆、⋯⋯邪魔なんだよッ!!」
そう言い放つや否や、麒麟は真剣を手に宙を舞っていた。
それは鎌足の眼でも追い付けない、恐るべき速さだった。
鎌足の眼が麒麟の飛翔に追い付いた時。
既に蒼鬼と紅鬼の首は、無かった。
蒼鬼と紅鬼の首を撥ねた麒麟は、狩衣の袖をひらりと靡かせ着地すると、疎らになった蒼鬼紅鬼たちの乱戦の中に、一人飛び込んでいった。
「⋯⋯⋯⋯━━━ふふふふ、はっはっはっはっは!!!!」
不気味に高笑いする麒麟にとって、蒼鬼も紅鬼も関係は無い。
次から次へと手当たり次第に、目の前に在る鬼の顔を斬り刻んでいった。
蒼鬼を真っ二つに斬り裂く。
その骸を足蹴に飛び上がる。
そしてすぐ近くにいた紅鬼の顔を柘榴に変える。
信じられない速さで地を駆け、身体を翻し、何度も宙を舞い、地上から上空から、麒麟は天舞の技を絶え間なく繰り出した。
その手首と刃が撓りを見せる度に、無残な二色の肉塊の山ができていく。
「⋯⋯あぁ、⋯⋯真剣での斬り心地はやっぱり最高だ。⋯⋯ぅぅぉぉおおおお、⋯⋯死ね! ⋯⋯死ね! ⋯⋯蒼鬼も死ね! ⋯⋯紅鬼も死ね! 其処の蒼鬼もだ! ⋯⋯邪魔者は皆、⋯⋯死ね!! 死んでしまえ!!」
「⋯⋯ッ!? こいつ⋯⋯、何て禍々しい邪剣、凶刃なんだ、⋯⋯これが天衣無縫流!?」
鎌足はそんな麒麟を唖然と見つめながら、ただその場に立ち尽くすしかなかった。
麒麟と言う一人の少年の中に潜む、狂気の凄まじさ。
それを目の当たりにした鎌足は今、ただひたすらに“人という生き物の業”への畏怖を感じずにはいられなかった。
乱戦の中を生き残っていた、他の残り僅かな警備兵たちも鎌足と同様だった。
麒麟の余りもの形相と残虐な剣技に腰を抜かした者、頭を抱えて蹲る者。
その場に居合わせた全ての人間が、この狂気の刃の嵐が収まる時を待つしかなかった。
鎌足はまだ痛む胸を押さえ、左脚を引きずりながら、蒼鋼鬼を斃した場に歩いていった。
その心は来たるべき嵐の収束、そして”その後“に巻き起こるであろう、もう一つの大きな嵐への備えに向いていた。
鎌足は地に刺さっていた鬼切丸を抜き、再び逆手に身構える。
本当の嵐の到来を待つ鎌足の背筋を走るのは、恐ろしいまでの麒麟の闘気。
それはともすれば、紅斬鬼や蒼鋼鬼と対峙した時に感じた恐怖や焦りを上回っているかもしれなかった。
⋯⋯そして嵐は収まった。
静寂の夜の闇を、嵐が残した蒼紅の瘴気の霧が色鮮やかに彩っていた。
切り刻まれすぎて軽くなり、蒼紅の肉塊がひらひらと宙を舞う。
地上だけではない。
夜空に浮かぶ蒼と紅の羅生門邪道。
その残っていた渦の殆どが今、流星のように落下し、粉々に砕け散っていく。
それはまるで粉雪と花火の饗宴のような幻想的な情景だった。
見た者全てがまるで異界にでも迷い込んだような錯覚を覚える景色の中、蒼紅の霧の中から麒麟がぼんやりと姿を現した。
そして手に真剣を握ったまま、ゆっくりと鎌足の方へ歩き出した。
その煌めく瞳に宿すのは、邪気、殺気、闘気、狂気⋯⋯。
麒麟の中の全ての煩悩が、見えない刃に変わり、今、鎌足だけに向けられていた。
ゆっくりと迫ってくる麒麟を前に、鎌足は決して認めたくない一つの事実を、改めて理解していた。
(⋯⋯ッ! ⋯⋯麒麟、この眼、この氣⋯⋯、あんなに苦戦して斃した紅斬鬼よりも、格段に強い⋯⋯!?)
一歩ずつ鎌足に忍び寄りながら、麒麟が無邪気に狂わしく”にたり“と笑う。
「⋯⋯はははは、邪魔者は皆消えた。昨日からずっとこの時を待っていた⋯⋯。これでゆっくりと御前を斬り刻める。⋯⋯真剣を使った俺の真の天舞麒麟剣。その頭の先から四肢に、足の爪先に至るまで。御前の全てを細切れにして、野良犬の餌にしてやるよ⋯⋯」━━━━。
━━━━この時。
蒼鬼も紅鬼も、庭園内に生き残っている羅刹は皆無となっていた。
蒼の修羅二鬼、羅刹二十鬼、消滅。
紅の修羅二鬼、羅刹二十鬼も、消滅。
夜空に残る羅生門は、蒼の邪道が一つと、紅の邪道が一つ。
この一際大きな修羅の渦、ただ二つを残すのみになっていた。
鎌足と麒麟の因縁の死闘が幕を開けた頃。
御所深部、清涼殿の更に奥。
夜御殿に抜ける迷宮のような回廊内では、帝の命を巡る人間と蒼鬼紅鬼との最終決戦が、繰り広げられていた━━━━。
第66話も最後までお読み頂きありがとうございました。
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次回第67話「帝の間へ」は、6月7日に投稿予定です。
【改稿履歴】
改稿履歴は全て誤字脱字等や細部表現の訂正です。
過去話も誤字脱字を見つけ次第、訂正しています。
内容は全く変わっていませんので御安心ください。
(いつもたくさんの誤字脱字ばかりで、すみません)
【その他】
↓創作して頂いたオリジナルEDです!
ED①https://suno.com/s/UDlzMnlrwuPI3Apg
ED②https://suno.com/s/dKiO9ljefO0sG1RT
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