第26話 疑惑
※今回はかなり長いため、急遽2話に分割して投稿することにしました。本来の後半部分に当たる「影法師」は、次回第27話として明日2月19日に投稿予定です。
【登場人物紹介】
不知火綾麿━━━━
従三位中将。不知火流という恐るべき剣の使い手。謎の妖刀『村雨』を時の帝から拝領し、御所警備の西番を任されている。江戸の徳川政権を何故か激しく憎んでいて、鎌足たち御庭番衆の援軍を快く思ってはいない。奥座敷で鎌足と対談する。
伊賀の鎌足━━━━
江戸城の公儀御庭番伊賀組の小頭の女忍。伊賀流鎖鎌の使い手。幻斎に授けられた、七十年前に鬼を滅した伝説の刀『鬼切丸』を手に、鬼が現れた京都御所に援軍として派遣される。裏では朝廷側の探索の密命も帯びる。内裏では男装をしている。
甚左━━━━
伊賀組の中忍。江戸から京都へ派遣された四人の忍のうちの一人。鎌足の京都での補佐役を務め、鎌足からの信頼も厚い。剣の腕も立ち、いつも優しい人格者。
平次━━━━
伊賀組の中忍。江戸からの援軍の四人の忍の一人。手裏剣の名手。全国各地の情勢に詳しく知識が豊富。お節介焼きな性格で、鎌足の身だしなみには特にうるさい。
大吾━━━━
伊賀組の中忍。江戸からの援軍の四人の忍の一人。まだ若くて実戦経験に乏しく、武芸の腕もいまいち。真面目でひたむきな性格。京都では情報伝達が主な任務。
━━━━昼間の溢れんばかりの人と喧騒が嘘のように消え去った、陽が沈んだ大通り。
御所の偵察を終えた鎌足たち四人は、足早に帰路についていた。
町の灯火は疎らで数も僅かしかないが、わざわざ提灯を用意する必要は無かった。
今宵の満月はとりわけ大きく、そして明るく輝いていて、その月の光が鎌足たち四人の足元を、十分すぎる程に照らしてくれていたからだ。
ともすれば風流な春の夜道のように思えたかもしれないが、鎌足の表情や心だけは少なくとも、月の美しい輝きの下の風流とは似つかわしくない、まさに不機嫌そのものだった。
櫻や美桜と再会できたという嬉しい出来事もあった。
しかしある程度は覚悟を決めていたとは言え、今日一日もまた昨日に負けず劣らず、色々と不快なことが起こり過ぎた。
麒麟との確執と激突、そして綾麿との対談で受けた挑発と軽蔑。
この一連の鬱憤が、御所を離れていく今でもまだ心の奥に大きく引っ掛かかり、鎌足の表情に暗い陰を落としていた。
鎌足は時折、頬をぷっくりと膨らませたり、口も尖らせたり、口数もいつもよりも遥かに少なく歩いていた。
その鎌足の姿に、甚左たち三人も、鎌足の身に”何かがあった“ことだけは理解していた。
何となく話しかけるのも憚られる空気の中、大吾が恐る恐る口を開く。
「⋯⋯小頭、あの⋯⋯、聞いてもいいですか、⋯⋯その頬の傷、どうしたんですか?」
「大丈夫だよ。大吾、ほんの掠り傷だから」
「大丈夫じゃないですよ。小頭はこれでも女子なんですよ。大事な顔に傷が残ったらどうするんですか! ⋯⋯そうだ、甚左さん、いつもの塗り薬は持ってますか?」
「⋯⋯これでも、は余計」
「⋯⋯ん? ああ。妙草薬だったな、⋯⋯持っているはずだ。⋯⋯効きますぞ、そんな傷など、一、二日もあればすぐ目立たなくなります。⋯⋯さあ、小頭、どうぞ」
甚左は懐から軟膏の入れ物を取り出すと、鎌足に手渡した。
「⋯⋯あ、⋯⋯うん、⋯⋯ありがとう」
空返事で蓋を開けた鎌足は、半ば無意識で薬を指に付けて頬を触った。
(⋯⋯つッ)
⋯⋯薬が傷にしみる。
それが鎌足の愚痴のきっかけになった。
鎌足の頭の中に、今日一日の出来事が改めて鮮明に蘇ってくる。
「⋯⋯うぅう、くっそおぉぉぉお、⋯⋯麒麟めぇ。⋯⋯あの裏表の激しさ、何よ!? ⋯⋯あの口の悪さ、粗暴な性格、何よ!? ⋯⋯あんなのが内裏で少将として幅を利かせているわけ!? ⋯⋯あのわがまま小僧ッ! 今度会ったら、躾に厳しい”お姉さん“として、絶対にきつくお仕置きをしてやらなきゃ!」
「はぁ⋯⋯? 麒麟? 誰ですか? それは?」
平次が首を傾げ、眉間に皺を寄せながら鎌足に尋ねた。
「⋯⋯平次、ごめん、口に出すともっといらいらするから、もう暫く黙ってて」
「は、はぁ?」
「⋯⋯そして加えて、あの陰気すぎる道化の中将。ふざけんじゃないわよ。ちょっと顔が良くて、立派な村雨を持っているからって、いい気になってさ。⋯⋯何が麒麟には勝てない、よ!? 何が白鞘の本質よ!? ⋯⋯刀って答え以外に何があるっていうのよ! ⋯⋯しかも江戸を守るのは諦めろ、叶わない夢物語だ!? ⋯⋯ふん、綾麿の意見なんて誰も聞いてない! ⋯⋯で、誰が溝鼠よ!? ⋯⋯あああぁああぁ、もう! ⋯⋯私のことを見下して、蔑みやがってぇぇ!!」
「⋯⋯お、⋯⋯久々に出た、小頭の爆発」
平次が渋い表情を浮かべながら呟く。
「⋯⋯私、拙くない。⋯⋯戦っても絶対に負けないから。⋯⋯あの生意気な麒麟にも、ねちねちした暗い綾麿にも。⋯⋯不知火中将綾麿⋯⋯私たちの真意を見抜く程に頭は切れても、あの村雨をかざして見栄を張っているだけで、きっと見かけ倒しなんだ。⋯⋯あの口、近いうちに必ず塞いでやるからな。⋯⋯あぁああ、⋯⋯うぅう、でもやっぱり潜入任務だけは、私は苦手かもしれないな。⋯⋯短気ですぐ感情的になっちゃうし、また抜刀しちゃったのは事実だし、死罪になりかけたし⋯⋯、秘密の任務も何もかも全部見通されちゃったし⋯⋯、あぁあああ⋯⋯、せめて何か一つくらいは隠し通したかったなあぁぁ」
散々愚痴を撒き散らした後、鎌足はふと急に立ち止まり、今度は乾いた笑い声と青い顔のまま、がっくりと項垂れた。
情緒不安定な鎌足、そして意味深な呟き。
それを前にしては、普段なら鎌足が落ち着くまでは静観を決め込む甚左たち三人も、黙っていることは出来なかった。
「⋯⋯っ、抜刀ですと? しかも任務を全て見通されたとは!? ⋯⋯只事ではないですね。⋯⋯御所で一体何があったのです? あの先程見送りに出てきた二人が関係しているのですか?」
甚左の問いかけに平次も大吾も続く。
二人とも鎌足に矢継ぎ早に問いかけ始めていた。
「たまにある爆発とは言え、そこまで感情的になる小頭は初めて見ました。⋯⋯一体どうしたんですか? 何が起きたのか教えてください」
「そう言えば、最後あの公家たちを“敵”って言ってましたよね? ⋯⋯小頭の見立て、徳川にとってそこまでの危険人物なんですか?」
「⋯⋯あ、⋯⋯う、うん」
鎌足は言葉を濁した。
三人に心配をかけさせたくないという想いもあったが、あの不快な会話を言葉に変えるということが、たまらなく億劫に思えたからだった。
(⋯⋯でも、言わない⋯⋯わけにはいかないよな、やっぱり)
「歩きながら話していい? ⋯⋯実はさ⋯⋯」
鎌足は悩んだ挙句、今日一日の流れを掻い摘んで三人に話すことにした━━━━。
━━━━「⋯⋯なるほど、小頭程の実力者を、真剣の戦いでそこまで惑わせる麒麟とか言う少年も、村雨という妖しげな刀を持つ綾麿とか言う公家も、あの御所内はやはり気が抜けませんな。⋯⋯ん、しかし今日は今日、明日は明日。元気を出してください。きっと今日はどこかよそ行きの遠慮な気持ちがあって、自然と身体が手を抜いてたんですよ、本気の小頭の強さがどれ程のものか、私たちはちゃんと知ってますよ」
「そうですよ。無事に戻ってこれただけで今日は良しとして、明日からの東番の警備の任の中で小頭の強さ、たっぷり見せつければいいじゃないですか。⋯⋯それに明日の東番は、私たち三人もやっと中に入る事ができますからね。四人で鬼どもをやっつけて、その中将たち公家どもを見返して、びっくりさせてやりましょうよ。⋯⋯あ、⋯⋯でも私は、剣の方はさっぱりなので役立たずかもしれませんが、⋯⋯あっはははははは」
平次と大吾は穏やかな表情で、言葉の端々に気を遣ってくれた。
皆との約束や強気な発言にも関わらず、再び御所内で抜刀してしまったこと⋯⋯それすらも何も咎めず、それどころか時折冗談を交えて、鎌足を笑顔で励ましてくれた。
(⋯⋯ありがとう、平次、大吾。思い切って話してみて良かったな、⋯⋯心が少しは軽くなった気がする)
平次や大吾が鎌足を慰め励ます中、甚左だけは神妙な表情を浮かべていた。
「それにしても⋯⋯、その中将に向けて刀を抜かなくて良かった。⋯⋯その綾麿とか言う公家、もしかしたら小頭の抜刀を誘っていたのかもしれませんな。その状況なら御所法に反したとか、何かと理由を付けて即座の無礼討ちが可能ですから。⋯⋯なれば、小頭の言う通り、妖刀村雨を持つ綾麿は間違いなく危険人物⋯⋯」
甚左は話の途中で急に言葉を止めた。
そしてその足もまた、突然ぴたりと歩みを止めていた。
「⋯⋯ん? 甚左、どうしたの?」
鎌足、平次、大吾の三人が一斉に、甚左の方を振り返る。
「⋯⋯いえ、ふと思ったのですが、まさか⋯⋯、その男、綾麿は⋯⋯、⋯⋯鬼、なのでは?」
「⋯⋯え?」
甚左のあまりもの意外な発言に、鎌足ら三人の足も完全に止まった。
「⋯⋯いえなに、そこまでの殺気と妖気を放つ男。もしや鬼の使う葬魂の術とやらにより、もう既に過去の戦いで鬼に喰われ、魂を奪われているのでは⋯⋯と、何となく思いまして」
それは鎌足も考えつかなかった、恐ろしい可能性の一つだった。
「でも綾麿が言っていた人と鬼の境目、⋯⋯暮れ六つ。その時は一緒に居たよ。何も無かった、何も起こらなかったけど⋯⋯」
「⋯⋯暮れ六つに鬼が正体を見せる、ということ自体がそもそも真っ赤な嘘、ということも考えられませぬか? 小頭を騙して、明日から我々全員を罠にはめようとしている、とか」
「その可能性もあるけど、でも⋯⋯」
鎌足は綾麿に嫌悪感を抱いてはいるが、鬼を敵とする同じ人同士。
それは生理的な思考や人としての本能とでも言えるかもしれないが、心の何処か片隅では、どんなに嫌いな綾麿でも絶対に人だと信じたいという気持ちが残っていた。
とは言え、甚左の言葉には不思議な説得力もあった。
先程の綾麿との対談。
江戸で人間相手には戦い慣れている経験豊富な鎌足をしても、あれ程までの妖しく強大な圧と尋常な妖気を感じる事は、今まで一度たりとて無かった。
しかも刀も構えず、面と向かって話をしているだけである。
今、心が落ち着いた鎌足の頭に、江戸で任務前に檄を飛ばす、御頭や幻斎の威厳と気迫に満ちた姿が浮かんできた。
先程感じた綾麿からの威圧感は、ともすればこの伊賀の上忍にして最強の二人から伝わる圧をも、遥かに凌駕していたように感じられてならなかった。
(⋯⋯いや、待て待て、流石に御頭や百地翁様を上回ることはない、⋯⋯あってたまるか。絶対に勘違いだ、さっきの私はどうかしてたんだ、慣れない場所や中将という名前、そして村雨を前に、心が虚ろになっていただけだ。⋯⋯でも)
⋯⋯甚左の言う通り、やはりあの綾麿の正体は人間ではないのではないか。
あの威圧感は自分の中で強引に説明がついても、座敷での人を食ったような態度や、どこか浮世離れした物言いも改めて思い返してみれば、今は甚左の考えが至極正しいものに思えてならなかった。
「⋯⋯あっ、そう言えば! ⋯⋯鬼しか知らないようなこと、色々と口にしていたな。⋯⋯うん、その時、怪しいとは思ったんだ、思い出した」
鎌足は、鬼の階級や葬魂の術、そして羅生門を語る綾麿の表情や言葉の記憶を、出来るだけ細かく詳細に蘇らせようとしていた。
そして考えれば考える程、思い出せば思い出す出す程に、あの綾麿が限りなく怪しく、人外の存在⋯⋯鬼のように感じてくる。
(⋯⋯これで綾麿が本当に人の皮をかぶった鬼だったら⋯⋯、綾麿は西番の上に、妖刀村雨を持っている。間違い無く帝の命が危ない⋯⋯)
甚左の推察に、鎌足同様に考え込んでいた平次も、何か一つの答えを見出したように、鎌足と甚左の会話に言葉を挟んできた。
「小頭、我々は京都に着いたばかりで、御所や警備など大きな事にばかり気を取られ、”個“についてはまだ何一つ探索や情報収集が出来ていません。些細で小さな火種が、いずれは不測の大事に繋がる恐れもありましょう。⋯⋯ここは念のために、その綾麿とかいう怪しい公家、⋯⋯調べてはみませんか?」
大吾も大きく頷き、平次の案に賛同する。
「若輩の私が言うのも何ですが⋯⋯、私も平次さんと同じ意見です。もっと詳しく、その男の“人となり”を調べてみるのが良いと思います。たとえ鬼では無かったとしても、小頭が敵と判断した男。いつかは探る必要も出てくるはず。私は剣腕は未熟で、鬼とは十分に戦えなくても、追跡や探索なら出来ます。自信はあります。⋯⋯うん、そうだ、早めがいい。警備は明日の夕刻からですし、それまでの間、是非私めに探索の御命令を」
大吾の言う通り、明日の夕刻までは確かにまだ十分に時間は残っていた。
三人の進言を受けて、今のうちに不審な綾麿に探りを入れてみるのも、正しい選択肢なのかもしれない。
果たして、綾麿は人か鬼か、探るか否か。
採るべきは二つに一つ。
決めかねて考え込む鎌足に、甚左も改めて積極策を推奨する。
「⋯⋯先程正門で別れてから、まださほど刻は経っておりませぬ。もしその綾麿が、あの後再び内裏に入ったなら、まだ御所近くに居るかもしれません。御決断されるなら、今。⋯⋯今日の夜の番は麒麟という少年ならば、あの綾麿は今夜は間違い無く非番。そのうち必ず自分の屋敷へと戻るはず。其処に隙も生じましょう。⋯⋯今から戻って追うことも、忍の足ならまだ間に合います。心配なようでしたら大吾だけでなく、探索に慣れている平次も付けてはどうでしょうか? 道を使わず、左右の屋根伝いに付ければ、まずもって気取らませぬ」
「⋯⋯確かにそうだけど、⋯⋯でも」
「⋯⋯それに私も、この二人も、二日間とも正門前で待たされ、まだ何も小頭の役に立ってはおりませぬ。この歯がゆさを、この気持ちを⋯⋯どうか汲み取っては頂けませぬか」
今日の御所内で起こった出来事。
鎌足の悔しさが滲む声。
そして悲しい顔と頬の傷。
それを見聞きした三人が、意気込むのは、ある意味当然だった。
鎌足は改めて甚左たち三人を見つめた。
三人の顔にはそれぞれに、江戸を発った時から密かに胸に秘めている、忍として課せられた大役への真っ直ぐな想いや確固たる決意が滲んでいた。
(甚左も平次も大吾も、⋯⋯皆、この京の地で活躍の場を求めてるんだな)
急の探索の決定を躊躇していた鎌足だったが、結局は三人の熱意に負けた。
「⋯⋯わかった、あの綾麿を調べよう」
⋯⋯平次と大吾の二人を御所正門に引き返らせ、帰路につく綾麿を尾行させるという決断を下した。
これは武具の準備や内裏潜入の対策以外、伊賀衆の小頭としてこの京都で出した、最初の命令らしい命令だった。
(今回の任務への熱い気持ち、⋯⋯皆、私と同じなんだ、⋯⋯気づいてあげれなくてごめん、⋯⋯そして、私を気遣ってくれて本当にありがとう、⋯⋯皆)
鎌足は三人の想いに、改めて胸が熱くなるのを感じずにはいられなかった。
「⋯⋯そうと決まれば早速。いよいよ最初の出番だ。腕が鳴るな、大吾よ」
「⋯⋯腕だけじゃなくて足も鳴ってますよ、平次さん。急いで戻って、謎の綾麿を追いかけなきゃ。絶対に取り逃しはしないぞ。⋯⋯へへ、じゃあ、行ってきます、小頭」
「⋯⋯う、うん、気をつけて。くれぐれも深追いは禁物だよ。もし姿が見当たらなかったら、諦めてすぐに戻ってくるんだ」
小頭⋯⋯鎌足からの正式な命令を受けて、平次と大吾はすぐに動いた。
今戻ってきた道を、疾風のように素早い動きで、御所へと引き返していく。
まずは正門に急ぎ戻り、綾麿の姿を確認。
内裏に戻っている場合も想定して、姿が見えなくても再び姿を現すかどうかを見極めるため、半刻程は物陰に隠れて待機。
そして綾麿の姿を捉え次第、再び動く。
二人それぞれに左と右に分かれ、屋根や木を伝いにして、公家の屋敷が立ち並ぶ逆方向へと向かって通りを歩いていくだろう綾麿を、背後から追跡していく。
そんな手筈だ。
「⋯⋯行きましたね。⋯⋯なあに、大丈夫です。平次は探索の熟練ですし、大吾は頼りなく見えるかもしれませんが、そこは腐っても伊賀の忍。⋯⋯ははは、心配無用ですよ」
「⋯⋯ん、⋯⋯そうだね」
笑顔の甚左とは対照的に、平次と大吾を見送った鎌足は、何故か靄とした一抹の不安が、胸の奥から湧き上がってくるのを感じずにはいられなかった。
(命令は下した。もう後には戻れない。任務の成功のための一手だ、あの二人ならきっと上手くいく。⋯⋯綾麿の正体が、人か鬼かも分かる。⋯⋯けれど、⋯⋯何だろう、⋯⋯この胸のざわめきは⋯⋯)
甚左は笑顔で、そんな鎌足を再び夜の道へと促した。
「⋯⋯さあ、では、我々も行きますか、小頭。先に宿に戻って、二人の報告を待ちましょう。⋯⋯それにしても、煩いのが消えて、久々に二人きりになりましたな。⋯⋯京の町の夜風に当たりながら、あの二人よりも先に、もう少し詳しく⋯⋯、御所の中での出来事、⋯⋯そう、特にその綾麿という者について、そして村雨という刀について、⋯⋯じっくりと話を聞かせてください」━━━━。
第26話も最後までお読み頂きありがとうございました。
今回は別アプリの声劇版投稿と連動して、本来は2話分の文量を1話に合算した特別長編投稿の予定でしたが、あまりにも長くなりすぎ笑、読み易さも考えて分割して投稿することにしました。急な変更ごめんなさい。
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改稿履歴は全て誤字脱字等の訂正です。内容は全く変わっていませんので御安心ください♪
次回、第27話「影法師」(本来の後半部分)は、明日2月19日昼頃に公開です。ぜひ続きを御一読ください。




