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羅生門怪鬼譚  作者: 夏川凪
第一鐘 京都六歌死闘編 十二

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第103話 鬼狩り

【登場人物紹介】

伊賀の鎌足(かまたり)━━━━

 江戸城の公儀御庭番(こうぎおにわばん)伊賀組の小頭(こがしら)の女忍。伊賀流鎖鎌の使い手。七十年前に鬼を滅した伝説の半刃(はんじん)『鬼切丸(おにきりまる)』と共に、鬼が現れた京都に援軍として派遣された。裏では極秘に朝廷探索の密命も帯びていたが、何者かの侵攻による伊賀の危機の報に、一時御所を離れる事を決断する。鬼切丸(おにきりまる)の残りの半刃(はんじん)を求め、出羽(でわ)へと一人旅立つ。

 森の中で道に迷い、とある小さな村へと辿り着いた鎌足(かまたり)は、鬼に纏わる奇怪な事件に遭遇する事になる。


謎の浪人笠の男━━━━

 鎌足(かまたり)が通された奥座敷で、村人から“鬼”と呼ばれ取り囲まれていた、浪人笠(ろうにんがさ)を被った、旅の剣客風の謎の男。その正体は江戸城御前試合で十人抜きを果たす程の、凄腕の剣客。”鬼を狩る“と呟いた言葉の意味は!? そしてこの男の名は━━━!?


 ━━━━「⋯⋯さあ、狩りの刻限(じかん)だ」


 浪人笠(ろうにんがさ)の男は畳に刺さる刀の柄(つか)を堅く握り、村人たち全員に向けて睨みを利かせた。

 その鋭い眼差しの対象は大人だけではない。

 鎌足(かまたり)が櫻(さく)の想い出を一時重ねていた男の子を含む、無邪気に笑う子供たち三人に対しても向けられていた。


(⋯⋯うッ!?)


 その視線に鎌足(かまたり)の無垢な本能が狼狽(うろた)える。


 今程の浪人笠(ろうにんがさ)の男が語った謎解きと言葉は、頭を使う駆け引き等が苦手な鎌足(かまたり)でも、十分に納得に足りる内容ではあった。

 村人たちが共謀して嘘をついている。

 現場の状況から見ても、それは間違い無い。

 しかし嘘をついているからといって、それが即座に彼等が鬼であるという証拠には繋がらない。


 亡骸(なきがら)が喰われる前に付けられた、この無数の傷。

 複数の鬼に寄って集(たか)って斬られた傷痕(もの)、そう考えれば全ての辻褄(つじつま)も合う。

 しかし亡骸(なきがら)が村長(むらおさ)ではなく、仲間の剣客の一人であるという言葉は、そのまま鵜呑(うの)みにしても良いのか。

 目の前に現にこうして村人たちが居る以上、この村が廃村だったという話もまた、即座には信じられない。

 そして村長(むらおさ)の妻が怯えながら叫んだ今の言葉、双方が交わした会話は何を意味しているのか。


 鎌足(かまたり)は理解が追いつかず、”半信半疑“だった。

 引き続き村人たちへの警戒を強めながらも、話の真偽の“確かな程”を浪人笠(ろうにんがさ)の男に問いただしていた。


「⋯⋯あの、浪人(ろうにん)さん、貴方が先程から口にしていた”狩り“とは、⋯⋯鬼を“狩る”という意味なのですか?」


「⋯⋯いかにも」


「貴方程の方が口にする言葉です。信じたい。信じてあげたい。でも、あんな小さな子供たちもいるんです。今の話が本当ならば、あの人たち全員、子供までもが鬼という事になってしまう⋯⋯、だから⋯⋯、私はまだ全て信じる事ができません、いえ、信じたくなくて⋯⋯」


 浪人笠(ろうにんがさ)の男は、横たわる亡骸(なきがら)の男にそっと目を送る。


「⋯⋯御主もこの亡骸(もの)と同じ、か。子供を想う優しさ故(ゆえ)に葬魂(そうこん)の情に絆(ほだ)されるは、是非(ぜひ)も無き事。しかし、⋯⋯それこそが奴等鬼たちの思う壺なのだ」


「⋯⋯で、では! 何か他に確実に信じることができるような証拠は無いのですか? このままだと罪も無い、大勢の人間を殺めてしまう気がしてならない!」


 真剣で力を帯びた鎌足(かまたり)の言葉に、浪人笠(ろうにんがさ)の男は軽く溜め息を付きながら、やれやれと言った表情で答えた。


「⋯⋯よかろう。其処(そこ)まで言うならば致し方ない。鎌足(かまたり)殿が納得できる、確たる証拠を今、見せるとしよう」


「⋯⋯っ!? 本当ですか? そんな証拠(もの)が!?」

 

「鬼は鬼の血を求める。⋯⋯実は拙者の握るこの刀は、曰(いわ)く付きの魔性の刀でな。余(あまり)にも鬼を斬りすぎたが故(ゆえ)、その血は刀に染み込み、今では刃を向けた相手が鬼ならば、互いの血が呼応するように、妖しく光を放つのだ」


 浪人笠(ろうにんがさ)の男は何故(なぜ)か少しだけ口元を緩めた後、鎌足(かまたり)に目配せするように、握る柄(つか)へと視線を下した。

 鎌足(かまたり)も誘われるように、黒刀へと視線を落とす。


「⋯⋯刃が、光を放つ?」


 浪人笠(ろうにんがさ)の男は片膝立ちのまま、畳に刺さった刃の向きだけを変え、鎌足(かまたり)の方へと向けた。


 当然のように、黒鉄(くろがね)の刃は元の黒光りのまま。

 何の変化も無い。


「このように人間⋯⋯鎌足(かまたり)殿には何の変化もない、⋯⋯が」


 鎌足(かまたり)に見せ終わると共に、浪人笠(ろうにんがさ)の男は颯爽(さっそう)と刀を畳から抜き去る。

 そしてその刃の先を肩の高さまで掲げ、今度は離れた下座の村長(むらおさ)の奥方(おくがた)に向けた。


「⋯⋯ッ! ⋯⋯ま、まさかッ!?」


 鎌足(かまたり)は我が目を疑った。


 座敷の内側に向けられ集まる、無数の行灯(あんどん)の灯り。

 その光にも負けない程の不思議な輝きが今、鎌足(かまたり)の視界を包んでいる。

 その出処(でどころ)は件(くだん)の黒刀。

 先程は何ら変化の無かったはずの刃先が、今は仄(ほの)かに金色(こんじき)の光を纏(まと)っていたのだ。


 浪人笠(ろうにんがさ)の男は続けざまにその刃を切り返す。

 次に刃を向けたのは、村長(むらおさ)の妻の背後に横並びする村人たち。

 向かってその左端の男だった。


 ⋯⋯村人たちの誰一人とて逃さない。


 そんな固く誓う心を宿した光の刃は、その左端の男を起点として、ゆっくりと左から右へ。

 言葉の代わりに刃で威嚇(いかく)をするように、村人たち一人一人を順番に差していく。


 二十一人の村人全員を差し終えるまでの間ずっと、浪人笠(ろうにんがさ)の男の翳(かざ)した刃は金色(こんじき)の光を放ち続けていた。

 最初は仄(ほの)かだったその輝きも、止んだり収まりを見せるどころか、むしろ更に強く激しく煌(きら)めきの度を増していく。

 

「⋯⋯ッ、見たことない! こんな黄金(こがね)色の光! ⋯⋯と言う事は、さっきの話はやっぱり本当だったのか!?」


 初めて目にする驚愕の光景。

 目を真ん丸にした鎌足(かまたり)は、口までもぽかんと真ん丸に開け、唖然としている。

 そんな鎌足(かまたり)に軽く目を流した浪人笠(ろうにんがさ)の男は、薄笑いと共に刀を手にした腕を三度(みたび)切り返す。

 そのまま刀を右肩に掛け乗せると、村人たちに向けて改めて“狩り”の幕開けを代弁する、鋭い眼(まなこ)と余裕の笑みを送った。


「⋯⋯はははは、これで分かったはずだ、鎌足(かまたり)殿。⋯⋯そして、⋯⋯鬼どもよ」



 ━━━━鬼どもよ。


 この最後の一言が放つ、尋常ではない憎しみと殺意、そして全てを見通しているような迫力を前に、静観していた村人たちの表情が一転する。



 ⋯⋯そして、遂にその本性を現した。



「⋯⋯おのれ人間め! まさかまさか我らが葬魂(そうこん)の術を見破ル刀ナンゾヲ持ッテイルトハ!!》

「⋯⋯殺す、殺す、殺す、殺す! 我らの折角の陽の当タル安住ノ世界ヲ壊シ、邪魔スル人間ハ、全テ殺ス!!》

「⋯⋯我らを狩りに来た愚かな人間め、返り討ちにして頭カラバリバリト、喰ラッテヤル!》

「⋯⋯大人しくその刀を渡し、黙って喰われていれば、幾分カハマダ楽二地獄ノ底ニ行ケタモノヲノウ!》


 一人、また一人。

 村長(むらおさ)の妻と三人の子供を除く、村人たち十七人。

 その三十四の目が蒼(あお)く血走る。

 どの額も真っ二つに割け、二本の角を持つ新たな顔が飛び出した。

 もはや男も女も、年齢の違いも無い。

 彼等の誰も彼もが邪悪と醜悪に満ちた、異形(いぎょう)のあの“蒼鬼(おに)””羅刹(らせつ)“の姿へと変わっていく。


「⋯⋯紅(あか)の鬼も出た、京御所から文(ふみ)でそう聞いていたが、廃村(ここ)は今まで通り、蒼(あお)であったか」


 浪人笠(ろうにんがさ)の下から覗く口がにやりと笑う。

 この時、つい今しがたまでは確かに人であったはずの村人は、その全員が禍々しく狂わしい鬼と化していた。


 鎌足(かまたり)の瞳の黒すらも蒼(あお)で埋め尽くす、十七の禍々しい真(まこと)の顔。

 あまりに悍(おぞ)ましく、身の毛もよだつその恐ろしい情景に、鎌足(かまたり)は思わず後退りする。

 そしてわなわなと身体を震わせながら呟いた。


「蒼(あお)い目、二本の角⋯⋯、⋯⋯ッ、やはり! さっきの話通り、村人たちが蒼鬼(おに)だったのか!?」


 その時、蒼鬼(おに)の群れを映していた鎌足(かまたり)の瞳に、両断された般若(はんにゃ)の面が被さった。


(⋯⋯あ)


 それは浪人笠(ろうにんがさ)の男の羽織、背中だった。

 戸惑う鎌足(かまたり)の前へ。

 浪人笠(ろうにんがさ)の男は自身が盾になるように、鎌足(かまたり)と蒼鬼(おに)たちの間に歩み出ていたのだ。


 その般若(はんにゃ)を纏(まと)う背中にも、戦いを間近に控えた息吹(いぶ)きにも、浪人笠(ろうにんがさ)の男には既に迷いも恐れも無い。

 目の前に蠢(うごめ)く鬼の群れ、ただ敵(それ)だけを睨む。

 そして刃に付いた血や泥を払うように力強く刀を一振りすると、浪人笠(ろうにんがさ)の男は鎌足(かまたり)の方を振り向いた。


「鎌足(かまたり)殿よ、この蒼(あお)き羅刹(らせつ)どもは拙者がすぐに片付ける故(ゆえ)、御主は下がっていろ」


 それはあの御前試合を遥かに上回る、凄みを感じさせる言葉、声。

 そしてそれ以上に、人としての温かみと思いやりに溢れた、優しい眼差しだった。


 しかしそれは反面、浪人笠(ろうにんがさ)の男が見せた一瞬の隙でもあった。

 蒼鬼(おに)の群れはその隙を見逃なさい。


 ⋯⋯次の瞬間。


 まだ人間の姿を保っていた村長(むらおさ)の妻が、急襲の第一撃に動いた。


 着物の両裾から二本の短刀を取り出し、奇声と共に畳を大きく跳躍、座敷の宙を舞う。

 髪と袖を振り乱し、野獣の牙のように二刀を高々と翳(かざ)しながら、浪人笠(ろうにんがさ)の男の真上から遅いかかった。


「馬鹿め! 隙を見せたな!! この蒼鬼(おに)の隠れ里の秘密、そして我々の正体を知ったからには、此処(ココ)デ必ズ死ンデモラウゾ! 人間!! 狩ラレルノハ貴様タチダ!!!!》


 空中でその姿は人間から魔性(ましょう)の者へ。

 女性の名残など何一つも無い、醜い蒼鬼(おに)へと変わっていた。


「⋯⋯ッ! 危ないッ! 後ろから鬼が! ⋯⋯ッ!」


 突然に切られた戦いの火蓋(ひぶた)、蒼鬼(おに)の奇襲。

 浪人笠(ろうにんがさ)の男の視線は鎌足(じしん)に向いている。

 危険を知らせるために鎌足(かまたり)が叫ぶ。


 しかしその叫びは、男にとってまるで無意味だった。

 鎌足(かまたり)が叫び終えた時にはもう、この浪人笠(ろうにんがさ)の男は素早く身体を回転させると、襲いかかるこの蒼鬼(おに)の首を事も無げに薙(な)ぎ払っていたのである。


 血飛沫(ちしぶき)を上げて、蒼鬼(おに)の首が飛ぶ。

 座敷に荒々しく転落した首の無い蒼鬼(おに)の身体は、見る見る内に白骨へと化していき、肉は蒼(あお)い霧と共に座敷の虚空(こくう)に散っていく。



「あ、あれは! 奥山念流(おくやまねんりゅう)、横一文字(よこいちもんじ)邪祓(ばゃばら)いの太刀(たち)!」


 驚きで目を見張りながら、鎌足(かまたり)は思わずまた大声で叫んでいた。


 あの江戸城で十人と対峙した御前試合。

 相手は名のある剣客(けんきゃく)たちとは言え、人間。

 しかも実力には雲泥(うんでい)の差があった。

 全て木刀による小手調べ的な剣閃(けんせん)のみ。

 それだけで全ての勝負の決着がついていたため、鎌足(かまたり)がこの男の”本気“の太刀筋(たちすじ)や、流派(りゅうは)独特の剣閃(けんせん)を見る事ができたのは、この時が初めてだったのだ。


 斬ったばかりの蒼鬼(おに)の血の滴(したた)る刀を手に、浪人笠(ろうにんがさ)の男は残りの蒼鬼(おに)たちの方へと向き直る。


「来い⋯⋯、残虐非道な人喰い蒼鬼(おに)ども」


 鍬(くわ)や鎌(かま)、斧(おの)に竹槍(たけやり)⋯⋯。

 仲間を斃された蒼鬼(おに)たちは皆様々な武器を手に、凶悪な雄叫びを上げる。

 そしてこの憎らしい浪人笠(ろうにんがさ)の狩人に向かって、一斉に襲いかかった。


《⋯⋯グオオオオオオオオオオオオォォォォォッ!!》

《⋯⋯ギイイイイイイイイイイイイィィィィィッ!!》


 耳を劈(つんざ)く程の蒼鬼(おに)たちの絶叫が、十七の狂気を孕(はら)みながら座敷内に木霊(こだま)する。

 それは群れである事の最大の利点を生かす、多方向からの必殺の集中攻撃。


 それでも浪人笠(ろうにんがさ)の男は怯む事無く余裕綽々、狩りの成功を確信している狩人の瞳のままだった。

 右肩上段に黒刀を構え直すと、逆に気合の咆哮(ほうこう)と共に、襲いかかる蒼鬼(おに)の波状(はじょう)の刃の中に飛び込んでいく。

 そして剛(ごう)の一閃(いっせん)の下(もと)、数鬼の蒼鬼(おに)の身体を脳天から二つに斬り裂くと、次は返す刃で柔(やわら)の剣を魅せる。

 それは円を描くような独特な型からの、鋭い剣戟(けんげき)。

 浪人笠(ろうにんがさ)が僅かに揺れ終えた時、更に数鬼の蒼鬼(おに)の首が刎(は)ねられ、離断された首は宙を高々と舞っていた。



「今の二つの剣技(わざ)は先程見せた奥山念流(おくやまねんりゅう)じゃないぞ!? 薩摩示現流(さつまじげんりゅう)蜻蛉(とんぼ)斬りからの、鹿島新當流(かしましんとみりゅう)秘剣偃月(ひけんえんげつ)!」


 遠巻きで見守る鎌足(かまたり)は、驚嘆の溜め息が止まらない。

 目の前で華麗に豪快に繰り出されていく剣技(わざ)の数々。

 太刀筋(それ)はどれも、音に聞こえた高名な流派の剣技(もの)ばかりだったからだ。


 浪人笠(ろうにんがさ)の男の柔(じゅう)と剛(ごう)の刃は留まる所を知らなかった。

 更にたった一振りで、数鬼を斬り伏せる。

 その直後に、羽織を翻(ひるがえ)して左へ、右へ。

 残像だけを残しながら、目にも留まらない連続の剣戟(けんげき)で、更に数鬼の蒼鬼(おに)の脳天を砕き割る。

 その返す刀で腰を沈めたかと思うと、次に構えた下段から繰り出したのは、凄まじい斬り上げ。

 下から上へ、上から下へ、下から上へ、迫り来る三鬼の蒼鬼(おに)の身体へ自由自在に刃を滑らせる━━━━。



 ━━━━背中に纏(まと)う般若(はんにゃ)の面と同じように、蒼鬼(おに)たちを尽(ことごと)く一刀両断、真っ二つに斬り裂いていった。


「⋯⋯わ、次は小野派一刀流無影剣(おのはいっとうりゅうむえいけん)に、私が学んだ将軍家御留流(しょうぐんけおとめりゅう)の江戸(えど)柳生新陰(やぎゅうしんかげ)、その一派である尾張(おわり)柳生(やぎゅう)の独特の下段斬り上げと上段斬りの複合技、烈(れつ)の型まで!」


 座敷内に蒼鬼(おに)たちの断末魔の叫びが絶え間なく響き、次々と白い骨と蒼(あお)い霧へと化していく⋯⋯、この時。


 浪人笠(ろうにんがさ)の男の剣技に見惚(みと)れていた鎌足(かまたり)の視界、その端に映ったのは、村の子供たち三人の姿だった。

 鎌足(かまたり)は思わずまた櫻(さく)の名を呟きかける。


(⋯⋯さ、櫻(さく)ちゃ⋯⋯、ああッ!?)


 しかし次の瞬間。

 その言葉は動揺と恐怖に変わっていた。


 こんな時でも変わらず無邪気に笑っている子供たち。

 年相応のあどけなさと純粋さに溢れている。

 だが、その笑う口角(こうかく)だけは異様だった。



 三人とも、その口は耳まで裂けていたのだ。



(あぁッ!? この子たちもやはり蒼鬼(おに)だったのか!)



 口から耳に繋がった裂け目は、そのまま顔を二つに分かち、下顎が畳にずり落ちる。

 残った上顎の皮膚はびりびりと紙細工のように裂け、既に大人たちと同様に新たな顔が姿を覗かせていた。


 それは三鬼の獰猛(どうもう)で狡猾(こうかつ)な表情をした、小さな蒼鬼(おに)。


《⋯⋯グキキキキ、御前タチモアノ鬼面(キメン)ノ男ト一緒ダ! 殺シテ塩漬二シテ、次ノ新月ノ夜二喰ラッテヤル!!》


 子供の身体に、蒼鬼(おに)の顔。

 この奇怪な三鬼は、いつの間にか針のような、細長く鋭い武器を手にしていた。

 そして村長(むらおさ)の妻に化けていた蒼鬼(おに)を遥かに凌駕(りょうが)する素早さで、最後の数鬼の蒼鬼(おに)と対峙している浪人笠(ろうにんがさ)の男の背後を狙って襲いかかった。



「⋯⋯ッ、蒼鬼(おに)たちめ、許さない! まだあどけない、あんな小さな子供までも⋯⋯殺めやがって!!」


 子供たちが食べられた⋯⋯その悲壮な事実が分かった瞬間、まるで櫻(さく)の命を奪われたに等しい衝撃が鎌足(かまたり)に押し寄せていた。

 鬼たちへの壮絶な怒りが湧き上がる。


 帝から鬼と戦う東番の警備を任された立場。

 しかも伊賀(いが)新陰流(しんかげりゅう)の使い手としても、今しがた目の前で見た浪人笠(ろうにんがさ)の男の無双(むそう)に刺激を受けていた。

 鎌足(かまたり)の中に脈々と流れる鬼と戦う使命感、そして一人の剣客(けんきゃく)としての心の昂(たかぶ)りが、この怒りに拍車をかける。

 そして鎌足(かまたり)の戦闘本能を激しく突き動かした。


(⋯⋯許さないッ!!)


 鎌足(かまたり)は脚に巻く鎖を、荒々しく振り回すように一気に振り解(ほど)くと攻撃に転じた。

 鎖の先端に鬼切丸(おにきりまる)を絡め、空から襲いかかってくる小さな蒼鬼(おに)たちに向けて、必殺の一撃を繰り出した。


「⋯⋯伊賀流鎖鎌術(いがりゅうくさりがまじゅつ)、壱(いち)ノ鎖刃(さじん)、天渡りッ!!」


 気迫の咆哮(ほうこう)と共に勢い良く放たれた、鎖と鬼切丸(おにきりまる)。

 その怒りの閃光は、浪人笠(ろうにんがさ)の男に飛びかかる三鬼の内の手前側の一鬼、その胸の真ん中を的確に捉えていた。

 鎌足(かまたり)の怒りが宿った鬼切丸(おにきりまる)の鋭さは、浪人笠(ろうにんがさ)の男の剣閃の鋭さにも引けを取らない。

 標的にされた小蒼鬼(こおに)は鎖ごと吹き飛ばされ、そして鬼切丸(おにきりまる)と共に壁に突き刺さった。


《⋯⋯グガガ? ⋯⋯何ガ起キキキ⋯⋯タアアァァ!?》


 壁に磔(はりつけ)にされた小蒼鬼(こおに)が、苦渋と動揺に満ちた唸り声を上げる。

 と同時に、閉ざされた室内であるにも関わらず、鎌足(かまたり)の忍装束が突風を受けたように靡(なび)いた。

 その風の出処(でどころ)、鎌足(かまたり)の背後ではこの時、浪人笠(ろうにんがさ)の男が身体と刀を巧みに旋回させていた。


 それはまるで人間(にんげん)独楽(こま)のようだった。

 男の身体は激しく左に三回転したかと思えば、今度は更に激しく右に三回転する。

 空から襲いかかっていた残りの小蒼鬼(こおに)二鬼、そして地上から遅いかかる四鬼の蒼鬼(おに)たちは、この旋風(せんぷう)の剣閃(けんせん)の中に飲み込まれていく。


「琉球古剣(りゅうきゅうこけん)、双旋(そうせん)独楽(こま)。からの⋯⋯」


 この旋回する強烈な六つの太刀と、最期に繰り出した袈裟(けさ)斬りは、六鬼の蒼鬼(おに)たちの上下半身を、一瞬の内に真っ二つに斬り裂いていた。


 振り向いた鎌足(かまたり)が辛うじて視界に捉える事ができたのは、独楽(こま)の太刀筋(たちすじ)の僅かな残像だけ。

 驚くべき事に、男は既に納刀すらも終えていた。


 そして黒鞘(くろさや)に納めた刀を左肩口に掲げながら、浪人笠(ろうにんがさ)の男は落ち着き払った声でこの”狩り“の終幕を告げる。

 その黒刀の下には、横たわる仲間の亡骸(なきがら)の血で荒々しく染めた、あの“紅の花”の刺繍があった⋯⋯。


「⋯⋯鹿島一刀流(かしまいっとうりゅう)、紫電(しでん)の太刀。⋯⋯最期は死んだ御主得意の剣で、仇(かたき)は取ったぞ。⋯⋯しかし、拙者とした事が見誤った。⋯⋯子供に化けていた小さな三鬼こそが、この村の真(まこと)の首領だったか」━━⋯⋯




 ⋯⋯━━小蒼鬼(こおに)が畳(ち)に落ち、最後の蒼鬼(あおおに)が崩れ逝く。

 蒼鬼(おに)たちの終焉の死散(しさん)を見届けながら、浪人笠(ろうにんがさ)の男はまるで何事も無かったかように笠を目深に被り直す。

 そして静かに息を吐き、呼吸を整えた。


 そんな刃を下ろした男に、唐突に横から声ががかる。


「今最後に見せた風。あれは琉球(りゅうきゅう)に伝わる古剣ですよね。そんな技まで会得しているなんて凄いなぁ。⋯⋯で、どうやら全て終わったみたいですね。⋯⋯にひひ」


 目をきらきらと輝かせた鎌足(かまたり)だった。


 鎌足(かまたり)の手元からぴんと張り、伸びた鎖。

 そして蒼い霧に包まれている磔(はりつけ)にされた小蒼鬼(こおに)と、壁に刺さったままの鬼切丸(おにきりまる)。


 浪人笠(ろうにんがさ)の男も、そんな鎌足(かまたり)の雄姿を振り向く。

 そして鎌足(かまたり)の大切な相棒たちを一瞥(いちべつ)した後、鎌足(かまたり)の得意気な笑みに応えるように、感心の目を投げかけた。


「⋯⋯やはり。その半刃(はんじん)の刀は、七十年前、紅鬼(あかおに)を滅した伝説の『鬼切丸(おにきりまる)』であったか」


「⋯⋯私も貴方の刀を知っています。その刀は日本(ひのもと)全ての剣客(けんきゃく)武人(ぶじん)たちの頭領に値する者を示す、神君(しんくん)家康(いえやす)公から“天下一”の称号を受けた、名刀中の名刀⋯⋯、『国士無双(こくしむそう)正宗(まさむね)』ですね」


「いかにも。この愛刀(かたな)の銘は、『国士無双(こくしむそう)正宗(まさむね)』。⋯⋯ふふふ、銘(めい)だけでなく称(しょう)や誉(ほまれ)までを知るとは。⋯⋯伊賀の鎌足(かまたり)殿よ。伊賀を名乗るならば、御主の正体は公儀御庭番(こうぎおにわばん)。しかもかなりの御役(おやく)を持つ者と見た。違うか?」


 鎖を撓(しな)らせて鬼切丸(おにきりまる)と鎖を手元に戻し終えた鎌足(かまたり)が、更に一段と頬を緩ませて言葉を返す。


「⋯⋯にひひ、御名答です。そして浪人(ろうにん)さん、貴方の姓名(な)も、私は知っていますよ」


「⋯⋯名? ⋯⋯言ったろう。浪人(ろうにん)さんでいい」


「⋯⋯いえ、やっぱりそうはいきません。北は蝦夷(えぞ)から南は薩摩(さつま)琉球(りゅうきゅう)に至るまで。齢(よわい)当時、二十三、そんな若さで、名だたる百八(ひゃくはち)もの流派(りゅうは)の極意奥義の全てを会得した、伝説の最強の武芸者。⋯⋯“御影燈十郎(みかげとうじゅうろう) ”様。⋯⋯そんな凄い方をいつまでも浪人(ろうにん)さんなんて呼んでいると、剣の神様から罰(ばち)が当たっちゃいますよぉ?」⋯⋯



 ⋯⋯━━━━御影燈十郎(みかげとうじゅうろう)。



 やっと浪人笠(ろうにんがさ)の男の名を告げる事ができた。

 鎌足(かまたり)は今宵一番に顔をくしゃくしゃと崩して、満面の笑顔ではにかんだ。


「神からの罰(ばち)? ははははは⋯⋯、それは言い過ぎだ。拙者はまだまだ神の領域には程遠い。修行中の身だ」


「⋯⋯御謙遜(ごけんそう)を。⋯⋯一年前の江戸城での御前試合。並み居る武芸者を十人抜きした際の、あの無敵の強さ、私もその場で観ておりました。そして機会があれば、一度また是非お目にかかりたいと思っておりました」


 人懐っこく微笑む鎌足(かまたり)とその言葉には、同じ武に生きる者としての尊敬の念が確かに熱く込められていた。

 そしてそんな鎌足(かまたり)の見せる畏敬(いけい)の念を、燈十郎(とうじゅうろう)もまた静かに熱く感じ入っている。


 ⋯⋯この時、見つめ合う二人の間には、年齢も性別も流派も超えて、刀に生きる一剣客同士としての不思議な親近感のが生まれていた。


「⋯⋯拙者の名を覚えていてくれて光栄だ。⋯⋯それにしても、あの時。警護に勤しんでいた忍が無数に居るのは気付いていたが、こんな形で再び巡り会い、友好を深める事になるとは。人の縁(えにし)とはおかしなものだ」


「本当に。でもあの時の燈十郎(とうじゅうろう)様は本当に凄かった。相手には江戸で名うての猛者(もさ)も居たんです。が、まるで子供のようにあしらわれて⋯⋯。自分などまだまだ未熟。この御方にはどんなに修行を積んでも絶対に勝てない、敵(かな)わない。素質(もの)が違うと甚(はなは)だ思わされました」


「鎌足(かまたり)殿よ、御主こそそんな謙遜(けんそん)するな。女人(にょにん)の忍ながら、今の蒼鬼(おに)を斃(たお)した鎖の一閃、まさに変幻自在で真(まこと)に素晴らしかった。⋯⋯で、拙者にも今一度教えてくれ。その見事な技を操る剣に生きる強き忍、御主の身分を」


「⋯⋯あ、はいっ! ⋯⋯私の名は、伊賀御庭番(いがおにわばん)、小頭(こがしら)の、鎌足(かまたり)、ですっ!」


 鎌足(かまたり)は自信と元気に溢れた声で返した。


 ⋯⋯今、鎌足(かまたり)が告げた言葉。

 鎌足(かまたり)は気付いてはいないものの、それは奇しくも二年前、御頭(おかしら)半蔵(はんぞう)と話していた時に鎌足(かまたり)が夢見ていた、未来の鎌足(じぶん)の名乗り━━━、そのままの台詞だった⋯⋯。



「⋯⋯鎌足(かまたり)殿よ、今の技。鎖の先に必殺の刃を秘めるとは。なかなかに考えたものだな」


「⋯⋯いえ.そんな。燈十郎(とうじゅうろう)様こそ、流石の腕前。幾つもの流派の剣を、時には全てを薙ぎ払うように猛々しく、時には流水の如く颯爽(さっそう)と。変幻自在にあれ程までに繰り出せるとは、やっぱり凄すぎますよ」


「⋯⋯なに。百八の奥義の内の極(ごく)一部を披露したまで」


「しかも今まで既に、数え切れない程に多くの鬼を滅してきた御様子。国士無双正宗(こくしむそうまさむね)が鬼の血に反応して光る、そんな特別な力を得ているなんて。鬼切丸(おにきりまる)もいつかは光るようになるのかなぁ。⋯⋯でもこの正宗(かたな)さえ有れば、鬼の葬魂(そうこん)など、これからは恐るるに足りませんね」


 鎌足(かまたり)の言葉と無垢な笑顔に、燈十郎(とうじゅうろう)は今までの謙遜(けんそん)の佇まいが嘘のように、突然大笑いをし始めた。


「はっははは! いやはや、これはすまない事をした」


「⋯⋯え? 何か私、変な事でも言いました?」


 燈十郎(とうじゅうろう)の笑みの意味がさっぱり分からない。

 鎌足(かまたり)は首を傾(かし)げた。


「⋯⋯いや実はな。この国士無双正宗(こくしむそうまさむね)が光る、と語ったは、全てが出鱈目(でたらめ)なのだ」


「⋯⋯は?」


「⋯⋯光の正体は、これだ」


 燈十郎(とうじゅうろう)は懐から、小さな巾着(きんちゃく)を一つ取り出した。


「⋯⋯どういう事ですか? そしてこの巾着(きんちゃく)は?」


 燈十郎(とうじゅうろう)は巾着(きんちゃく)の紐を解くと、その中身をぱらぱらと掌(てのひら)の上に落とした。


「⋯⋯? 何かの粉?」


 その粉のような“何か”は、燈十郎(とうじゅうろう)の掌(てのひら)の上で、小さな粉粒(こなつぶ)の山を作っている。

 そして座敷内には蒼鬼(おに)は全て果てているにも関わらず、何故(なぜ)か今も黄金(こがね)色の仄(ほの)かな光を放っていた。


「⋯⋯あれ? 鬼がいないのに光ってる?」


「これは光苔(ひかりごけ)だ」


「⋯⋯光苔(ひかりごけ)?」


「闇の中で光を放つ苔(こけ)。その中でも特に強く光を強く放つ、中部連峰(ちゅうぶれんぽう)の山中にしか生えていない、奥飛騨(おくひだ)光苔(ひかりごけ)を磨り潰した粉(もの)だ」


「⋯⋯この粉、元は苔(こけ)なんですか?」


「この苔(こけ)ならばどんな闇でも煌々と照らす、金色(こんじき)の光を放つ。しかもその光は粉(こな)の量によって強くなる。⋯⋯なに、先程は蒼鬼(おに)どもに刃を向ける前や、刃を翳(かざ)した後、鎌足(かまたり)殿や蒼鬼(やつら)の目を盗み、この粉を少々刃に振りかけたまでの事。⋯⋯ぱっぱっ、とな。⋯⋯はははは」


「⋯⋯え、えぇー? ⋯⋯じゃ、じゃあ」


「鎌足(かまたり)殿は先程、目の前の者を人間と信じ抜きたいと願う人間の心を突いた、まさに”葬魂(そうこん)の術“の罠の“真髄(しんずい)”に完全に堕ちていたのでな。こうでもしなければ、村人を前にした拙者の抜刀を理解してもらえぬと思ったのだ」


「⋯⋯なら、刀が光るというのは、真っ赤な嘘ぉ!?」


「⋯⋯騙してすまなかったな。⋯⋯あっははははは」


 燈十郎(とうじゅうろう)は再び明朗爽快に大笑いした。

 そしてその掌の光苔(ひかりごけ)の粉山を鷲掴みにすると、座敷の四つの壁に向かって勢い良く振り撒いた。


「⋯⋯当然に、こんな使い方もできる。⋯⋯見よ」

 

 この時、燈十郎(とうじゅうろう)が最後に起こした独楽(こま)の剣技(わざ)による風もまた、座敷の壁際に並ぶ幾つかの行灯(あんどん)の向きを壁側へと変えていた。

 その灯りの向きの変化により、既に当初より闇が薄まっていた座敷の壁が今、更に光苔(ひかりごけ)を纏(まと)う。



 灯(あか)り煌(きら)めく、その四方の壁には⋯⋯。



 ⋯⋯大小、無数の人骨が埋め込まれていた。



 座敷を囲む四面、その壁一面に所狭しと頭蓋骨、胸骨などの骨、骨、骨、骨、また骨⋯⋯。


「⋯⋯う、げぇっ。これ、みんな”喰った“後の骨?」


 鎌足(かまたり)は思わず口元を手で抑え、顔を顰(しか)めていた。

 その喰われた骨一人一人の生を願う声、死を恐れる声、嘆き悲しむ声の幻聴が、鎌足(かまたり)の耳を襲う。

 鳥肌が立ち、背筋が凍り付き、吐き気を催す。

 亡き人々が最期に見た景色、蒼鬼(おに)たちの狂わしい恐怖の晩餐(ばんさん)までもが見える気がした。


「⋯⋯座敷を集中して照らすためじゃない。食べ終えた亡骸(なきがら)たちを埋めてある、この壁面を隠すために、こんなへんてこな一面だけ照らす行灯(あんどん)を並べていたのか!?」


 狼狽(ろうばい)する鎌足(かまたり)の傍で、燈十郎(とうじゅうろう)は静かに呟いた。



「⋯⋯鎌足(かまたり)殿よ、だからあの壁に“あまりもたれかからないほうがよい”、と言ったであろう? 拙者のもたれていたあの壁の下部分だけ、幸いにも骨が無くてな⋯⋯」━━━━⋯⋯。




第103話も最後までお読み頂き、ありがとうございました。ブックマーク、☆評価、顔文字、感想等、良かったらぜひよろしくお願いします。その優しさや応援が新たな創作の励みに繋がります(*^_^*)。


※ちなみに燈十郎(とうじゅうろう)の“燈”は旧字体、新字体では”灯“になります。六歌戦(ろっかせん)の和歌の“鬼灯(ほおずき)”の”灯“は、燈十郎(とうじゅうろう)を暗に指しています。(*^^*)(以上、小ネタでした笑)


次回は燈十郎(とうじゅうろう)の目的や役目が明らかになります。そして燈十郎(とうじゅうろう)が六歌戦(ろっかせん)の一人である事を知った鎌足(かまたり)は、気になっていたあの謎について問いかけます。第104話「鎌足と燈十郎」は10月14日〜15日頃の投稿予定です。


引き続き『羅生門怪鬼譚(らしょうもんかいきたん)』をよろしくお願い致します。


【改稿履歴】

改稿履歴は全て誤字脱字等や細部表現の訂正です。

過去話も誤字脱字を見つけ次第、訂正しています。

内容は全く変わっていませんので御安心ください。


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