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理不尽を論破したら異世界のルールが壊れた件  作者: 万丈トオル


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18/30

第18話「衝突」



煙が見えた。




黒い煙。




空を汚すように立ち上っている。




---




「……あそこだ」




フィートスが指をさす。




---




荒野の先。




小さな集落。




---




だが――




---




「……酷いな」




リドウが低く呟く。




---




建物は崩れ、




火が回り、




人影が走っている。




---




「止めるぞ」




フィートスが言う。




---




翼が広がる。




---




「俺は上から制圧する!」




---




一瞬で飛び上がる。




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「安心しな!すぐ片付ける!」




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空から急降下。




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槍が閃く。




---




ドンッ!!




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地面が弾ける。




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暴れていた男が吹き飛ぶ。




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「な、なんだ!?」




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「味方じゃねぇのかよ!?」




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混乱。




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(統制がない)




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一目で分かる。




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「……やっぱりか」




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俺は前に出る。




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「リドウ」




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「ああ」




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それだけで通じる。




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突っ込む。




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ドンッ!!




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リドウの拳が一人を沈める。




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「雑だな」




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「動きがバラバラだ」




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そのまま二人、三人。




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圧倒的。




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リリーニャが後方に回る。




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「回復、行きます!」




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傷ついた住民へ駆け寄る。




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光が広がる。




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「大丈夫です、もう少しだけ……!」




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震えながらも、手は止まらない。




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フウカがその隣に立つ。




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「こっちに来て!」




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子どもを引き寄せる。




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「大丈夫、大丈夫だから!」




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声は小さい。




だが――




必死だった。




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ドミールは、少し離れた場所に立っていた。




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「……ふーん」




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戦場を眺める。




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「予想通り、ぐちゃぐちゃだねぇ」




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その目は冷静だった。




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クローは動く。




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一切の無駄なく。




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暴走している一人へ近づく。




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「……対象、確認」




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一撃。




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最小動作で、沈める。




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音すらほとんどない。




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(無駄がない)




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俺は一瞬だけ視線を向けた。




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「……そっちは任せる」




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クローは何も答えない。




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だが――




十分だった。




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そのとき。




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「クソがぁぁ!!」




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叫び声。




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一人の男が、魔法を放つ。




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炎が暴れる。




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無差別。




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「っ……!」




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住民に向かう。




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(間に合わない――)




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その瞬間。




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「遅い」




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俺は踏み込んだ。




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「対象:一点」




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「出力:最小」




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炎を“削る”。




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消滅。




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男が目を見開く。




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「なっ……!?」




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「成立条件が甘い」




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距離を詰める。




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そのまま――




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倒す。




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静寂。




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一瞬だけ。




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戦場の音が、止まった気がした。




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「……なんだ、あいつ」




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誰かが呟く。




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だが、関係ない。




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「フィートス!」




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俺は上を見る。




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空。




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フィートスが旋回している。




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「暴れてるのはこの辺りだけじゃない!」




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「まだ広がってる!」




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(……予想通りだ)




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俺は小さく息を吐いた。




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「一箇所じゃ終わらない」




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リドウが笑う。




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「面倒だな」




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「だが――」




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拳を握る。




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「潰しがいはある」




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リリーニャが立ち上がる。




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「次も行けます!」




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フウカも頷く。




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「私も……!」




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ドミールがくすりと笑う。




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「いい流れだねぇ」




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「でも――」




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少しだけ目を細める。




---




「これは“序章”だよ」




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風が吹く。




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煙が流れる。




---




戦場は、一つじゃない。




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そして――




---




これはまだ、“始まり”に過ぎない。




---




(続く)

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