5転生者という事
いきなりだが、俺は転生者だ。
前世と別の世界の記憶がある
別世界の記憶だが、ほとんどがおぼろげでハッキリしないけどときどき、変な知識が浮かんで来るのだ。そしてそれはこの世界の法則では説明出来ないなんせ魔法の存在が無いというか感じない意識してないうちに変な用語が飛び出してくる。
別世界の知識とやらは魔術、霊力を使わずに色んなことが出来る。薬品を使って爆発を起こしたり、水を綺麗にしたり、美味い調味料を作ったりと多種多様な知識が有る。
だがしかし、記憶なんて忘れるのが当たり前、中途半端な知識で周囲を巻き込み混乱させる人死も出た。
だから教団は転生者を敵視して居る。自分達が神聖視して居る魔法を守るために
もう一つはこの今俺が生きている世界での前世の記憶だ。
正直これが一番知られてはいけない事だと思う。
覚えて居るだけでも、兵士となって戦争に参加し、騎士となって君主のために戦い、料理人になって美食を追求したり、商人となって商品開発や売り込みなどもした。
色んな職業について居た記憶がある。
魔導師だった時も何度か有る。その時は学院に入って魔術の研究をしたり魔導師兵として攻撃魔術を使ったりもした。
教団員にもなって居たかなあ。
冒険者というか探索者、探索専門の冒険者にもなったと言うか一番多い綺麗な景色とか不思議な遺跡とか色んなものが見られるのは良かったしお宝も手に入れられるのが良かった。
後はどんな身分にも貴族、商人、農民、奴隷などの記憶もある。
身分が低いと明日の飯と眠る所が身分の高い人に頼らないと確保できないからひたすら辛かった思い返すと自分が人として扱われて居ないのを何とも思わなくなっていくのがキツかった。
王族とか尊き身分のものにはならなかったが、生まれてから外に出られずに死んだ時記憶が有るんで、多分隠し子か何かだったと思う。
一番辛い記憶だ。何もできずに死んでいった。
死因も多様だ。一番多いのは、怪我の悪化、その次が病死、餓死、毒殺、刺殺、溺死、圧死、馬に蹴られた、魔獣に噛まれた、災害に巻き込まれた、痴情のはてにと「死に方全書」が出来るほど色んな死に方をした。
時間が経つにつれ飢死とか病死は少なくなった
大戦時戦死しまくったせいで、戦争は大嫌いだ。
黒焦げにされたのなんて今でも夢に見る。
おかげで反戦主義となった。
戦争反対!
この流れで討伐者、戦闘魔獣狩り専門の冒険者も嫌いだ。血生臭いし、何でもかんでも喧嘩ふっかけて来て好きあらば斬りつけてくるから嫌いだ。
そのせいなのか芸術特に音楽が好きで、音楽家となった。
音楽は良い、絵や彫刻だったら形は残るが戦争や自然災害で壊されてしまうしなあ。
前世で少し役者をやって居た時は楽しかった。
だから今世、音楽家となれたのは嬉しかった。
前世の記憶があるせいか家族というより生みの親とはどうしても親しくなれなかった。
親子でも他人だと思う。
実親に殺されたりもしたし、捨てられたこともあるし、冷たいと言われて泣かれた事もある。
騎士として生きて居た頃は家のために王のためにと戦ってきたが裏切られて殺されたり投獄されたりもした。
何か剥離を感じて来たせいなのだろうか。
結婚とかもしたことも有るが、すぐに離婚するか死別したりした。
子供ができた事も無い
体質なのか生き方なのか、顔に皺が出る歳まで生きたことは無い
記憶を持ちながら生きたせいで変な知り合いも出来たが、今のところそいつらに頼る気もない
家族を持った事もほとんど無い
今代の俺は、商家の夫婦の次男として生まれたが、父と母は離婚して母方に付きその母も亡くなった。親戚付き合いもほとんど無かったし、継ぐ家も無い。仇も恩人も居ない、遺産とかも断った。
天外孤独となったが、転生者である俺には正直都合が良い。
別世界での家族のことは思い出せないが、家族仲は悪く無かったと思う多分。
孤独を選んだはずなの自分から孤独を選んだはずなのに
時々周囲から剥離してフッとした空しさを俺は感じるのだ。
だから聖女ちゃんにはシンパシーを感じるのだ。
転生者特有の悩み




