35手に入れる
壇上へ駆け寄る
彼女の元へ
早く
彼女の元へ
だが、
「人が多い!」
「ちょっと割り込まないでください!」
無理やり体を押し込んだが、壇上へ行くものと会場整備の係員に阻まれてどうにもならない
思う様に進まない、こんな時こそ騎士団に支給されて居る通信具が欲しいところだが、私用で使うのは禁止されて居るし、周囲が騒がしいから声が聞こえないだろう。
まあ、家のもの達に会場の周囲を張らせて居るから会場から出ようとしたら引き止める様に命じてある。
大丈夫だ大丈夫だと自分に言い聞かせても、彼女のときの事を思い出し手が震える。
彼女の時は卒業式だった。
彼女は優秀で(さすが我が婚約者!)卒業生代表としてスピーチをしたのだ壇上の彼女は輝いて居た。
掠れた様な声が艶かしかった。
壇上から降りた彼女を迎えようと、駆け寄ったが人混みに遮られ彼女に会えなかった。
仕方がないので、学園の正門近くで待って居た。
しかし待っても待っても彼女は出てこない。
卒業式が終わって、日が落ちても彼女は見つからなかった。
大金を投じて彼女を探させたが、見つからなかった。
世界が暗くなった。
心が欠けた様だ。
ただただ義務を果たし続ける日々が続いた。
そろそろ結婚をと親戚れんちゅうからせっつかれる様になった。
しかも自家の管理地域では「淀み」が溜まって居た
急いで処置を施そうと思って居たら・・・
「淀み」を浄化されたと
しかもまだ幼い見習いの聖女が浄化したと
その聖女の写し絵を見た途端
彼女が帰って来たのかと思った。
似て居た
髪も瞳も何よりどこか掠れた様な面立ちが・・・
すぐに呼び出し、家に招いた
顔も声も何より遠慮がちな仕草がそっくりだった。
彼女だ彼女が帰って来たのだ!
直ぐに我が家に迎えようと手を尽くした!
だが教団はなんやかんやと理由をつけて彼女を渡そうとしない!
絶対に絶対に!手にいれる!




