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415話:殲滅


「もっと俺の力を見たいなら、この艦隊を全滅させることもできるけど、嘘だと思うなら試してみるか?」


 反応を見るために、わざと挑発してみたけど。


「……ふざけるな! たとえ覚醒者と言えども、米国(ステイツ)が個人に敗北するなどあり得ない! 我々の真の実力を見せてやる!」


 艦隊司令官のマーク・ブレイクマン中将が激昂する。どう考えても馬鹿な選択だけど、魔力を感知できない奴に、俺の力を測るなんて無理なんだろう。だったら面倒臭いけど、有言実行するだけの話だ。


「このまま艦隊を殲滅しても構わないけど、それじゃ納得できないだろう。現代戦の主力は戦闘機だよな。艦載機が全部出撃するまで待っているから、まずは空中戦で相手になるよ」


「その余裕……絶対に後悔させてやる!」


 なんか性格が変わっていないか? まあ、何をしようと殲滅するだけだから、どうでも良いけど。『短距離転移(ディメンジョンムーブ)』で上空に移動して、艦載機が空母から出撃するのを待ち構える。


 ネットで調べると、この空母の艦載機はF35CライトニングⅡの他に、FA18E/Fスーパーホーネットがある。FA18E/Fはステルス性能はないけど、最高速度はF35Cよりも速いらしい。俺にとっては、誤差の範囲だけど。


 空母から離陸した戦闘機が編隊を組んで、一斉に空対空ミサイルを放つ。俺はミサイルが到達する前に自分から近づいて、全部素手で殴って粉砕する。

 爆発に巻き込まれても、一応身体を覆うように『絶対防壁アブソリュートシールド』を展開してるけど、これくらいなら俺のステータスだけでノーダメージだな。


「そっちが攻撃したんだから、撃墜されても文句を言うなよ」


 戦闘機の群れの中を駆け抜けながら、続けざまに撃墜していく。速度も機動性も俺の方が圧倒的に上回っているから、ドッグファイトにすらならない。空母から出撃した八〇機ほどの戦闘機が数分で全滅する。


 こんなことで殺すつもりはないから、破壊する前に『絶対防壁アブソリュートシールド』を発動してパイロットたちは全員無傷だ。


「次は艦隊の方だな。安心しろよ。とりあえず今のところ(・・・・・)、誰も殺すつもりはないからな」


 範囲攻撃魔法を放てば、艦隊を何も残さずに蒸発させることは簡単だ。だけど、そこまでするつもりはないから――


 『収納庫(ストレージ)』から二本の剣を取り出すと、魔力の刃を伸ばして一隻ずつ両断する。原子力空母を普通に破壊すると洒落にならないから、原子炉だけは『収納庫(ストレージ)』の応用で亜空間に転移させる。


 艦隊の米軍兵も一人ずつ『絶対防壁アブソリュートシールド』に入れたから、死者は一切出でいない。


「これでも俺の実力を疑うなら好きにしろよ。だけど次に仕掛けて来たら、殺すからな」


 殺意を放つと、『絶対防壁アブソリュートシールド』の中の兵士たちが恐怖の顔で震える。魔力を感知できなくても、殺意は伝わるんだな。


「わ、解った……か、艦隊司令官として誓う。我々は……アリウス・ジルベルトとその関係者に、今後一切干渉しない!」


 マーク中将も青い顔で震えている。今回の損害は個人で賠償できる金額じゃないけど、マーク中将が責任を取らされても、まさか全額の賠償を求められることはないだろう。


「船も戦闘機もなくなったから、このままじゃ帰れないだろう。おまえたちの基地まで運んでやるよ」


 マーク中将の艦隊はハワイの基地に所属しているらしい。兵士たちを『転移魔法(テレポート)』と高速移動の組み合わせでオアフ島まで運ぶ。俺はハワイに行ったことがないから、直接『転移魔法(テレポート)』することができないからな。


 無数の『絶対防壁アブソリュートシールド』に包まれた兵士たちを引き連れて、空からやって来た俺に、ハワイ基地の米軍機がスクランブル発進する。

 だけど戦闘機が離陸する前に、俺は基地に降り立つ。


「領空侵犯したことは謝るけど、俺はこいつらを連れて来ただけだ」


「これは……いったい、どういうことだ?」


 艦隊にいた全員だから、俺が運んだ米国兵は一万人を超えている。ハワイ基地の兵士たちが銃を構えて俺を取り囲むけど、状況を理解できないんだな。


「詳しいことは、マーク・ブレイクマン中将に訊けよ。用は済んだから、俺は行くからな」


 兵士たちを放置して『短距離転移(ディメンジョンムーブ)』を発動する。

 俺が向かったのはホノルルの市街地。せっかくハワイに来たんだから、みんなと来るときのために下見でもしておくか。


 スマホで観光スポットを検索すると、『認識阻害(アンチパーセプション)』と『透明化(インビジブル)』を発動して、高速移動で一通り周る。ハワイだから海で遊ぶのがメインになるけど、他にも色々楽しめそうだな。


 次は評判のレストランに行って、ロコモコとガーリックシュリンプを食べる。アサイーボールとマサラダにスパムむすびも買って味見。どれも味は悪くない。


「ねえ、一人? 貴方ってクールね。私と遊ばない?」


 ナイトスポットに行くと、女に声を掛けられる。露出度が多い服のブロンドで、遊び慣れている感じだ。


「悪いけど、俺は妻帯者なんだ」


「なんだ、残念。でも今日は家族と一緒じゃないわよね? だったら一緒に夜を楽しむくらい構わないじゃない」


「酒を飲むだけならな」


「解ったわ。だけどそう言っていられるのも、今のうちかもよ?」


 誘うように魅惑的な笑みを浮かべる。酒を飲みながら話をしていると、さりげなく何度もボディタッチしようとするから、その度に最小限の動きだけで躱す。


「何よ、つれないわね。だけど私が触れることもできないなんて――やっぱり、貴方って只者じゃないわね。どこの組織に所属しているの? それともフリーの覚醒者かしら?」


 こいつが覚醒者だってことは最初から気づいていた。上手く魔力を隠しているけど、結構なレベルだ。それに俺の方は魔力を完全に隠しているのに、気づいたってことは、魔力に対する感覚が鋭いってことだ。


「そこは企業秘密だ。これ以上、しつこくするなら帰るぞ。酒を飲むむだけって話だっただろう」


「解ったわよ、仕方ないわね。今日のところは諦めるわ……ホント、貴方って面白い人ね。そう言えば、まだ名乗っていなかったわね。私はレイチェル・ストーリア、フリーの覚醒者で、どこの組織にも所属していないわ。今日は基地の方が騒がしいけど、貴方と何か関係があるんじゃない?」


 どこまで本当のことを言っているのか解らないけど、こいつは俺を疑っているみたいだな。



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